葬儀では、参列してくださった方への感謝を表すために「会葬御礼」や、香典へのお返しとして渡す「香典返し」を用意するのが一般的です。会葬御礼は、故人を見送る場に足を運んでくれた方へ感謝の気持ちを伝える大切な品です。
近年は家族葬や一日葬、直葬といった葬儀の形が多用化し、どのように準備すべきか迷う方も増えています。この記事では、家族葬における会葬御礼の基本マナーや渡すタイミング、会葬礼状の文例などについてわかりやすく解説していきます。
この記事を要約すると
- 会葬御礼とは参列してくれた方への感謝を伝える贈り物のことで、家族葬でも形式に関わらず用意しておくのが一般的とされています。
- 会葬礼状の手配方法には葬儀社へ依頼する方法と自分で作成する方法があり、句読点を使わないなど弔事特有のマナーに注意しましょう。
- 会葬御礼は香典返しとは目的や渡す時期が異なり、葬儀当日に全員へ感謝を伝えるための大切な贈り物として準備します。
会葬御礼とは|感謝の気持ちを形にして伝える贈り物
会葬御礼とは、通夜や葬儀・告別式に参列してくれた方へ感謝を込めて渡す品です。西日本では「粗供養(そくよう)」とも呼ばれ、基本的に参列者全員に同じものを手渡しします。会葬礼状・会葬御礼品・清めの塩を袋にまとめて渡す形が一般的です。
ただし、清めの塩は宗教や宗派によって扱いが異なるため注意しましょう。会葬御礼品は「会葬返礼品」「粗供養品」とも呼ばれ、のし紙には白黒や黄白を使用します。近年では簡略化が進み、会葬礼状のみを渡す場合もあります。
家族葬のケース別にみる会葬御礼の対応方法
家族葬とは、親族やごく親しい友人だけで執り行う小規模な葬儀を指します。一般葬と比べて参列者が少なく、故人との時間を静かに過ごせるのが特徴です。葬儀の流れは一般葬と似ていますが、会葬御礼の準備については参列者の範囲などによって対応が異なります。
ここでは、家族葬における3つのケース別に会葬御礼の対応方法を解説します。
一般参列者がいる家族葬の場合
家族葬であっても、親族以外の一般参列者を招く場合は、通常の葬儀と同じように会葬御礼を準備します。人数を限定している葬儀だからこそ、参列してくださった方には丁寧な対応が求められます。香典の有無にかかわらず、全員に会葬御礼を渡すのが基本です。
参列者が少ない分、一人ひとり直接お礼を伝えられるため、形式だけでなく気持ちのこもった対応を心掛けるとよいでしょう。
親族のみの家族葬の場合
親族だけで家族葬を執り行う際にも、基本的に会葬御礼を準備します。これは、参列してくれた方への感謝の気持ちは、身内であっても変わらないためです。
ただし、明確なルールはなく、参列者が喪主を含むごく少数の遺族のみであれば、省略されるケースもあります。判断に迷った場合は葬儀社のスタッフに相談しておくと安心です。
弔問や供花をいただいた場合
家族葬では葬儀への参列を遠慮してもらうケースも多く、後日、弔問や供花・供物をいただくことがあります。その場合も会葬御礼を渡すのが一般的です。弔問を受けた際は、直接お礼を伝えるとともに、手渡しできない場合はお礼状に品物を添えて郵送します。
供花だけをいただいた場合も、葬儀後1週間程度を目安に感謝の気持ちを伝えるようにしましょう。
「会葬御礼」と「会葬礼状」では扱いが異なる
家族葬では、遺族のみが参列する場合など会葬御礼を簡略化するケースもありますが、その中に含まれる「会葬礼状」については別の視点から考えておく必要があります。どちらも参列者への感謝を伝える点では同じですが、会葬礼状にはもうひとつの役割があるためです。
会葬礼状は、葬儀に参列した事実を証明する書類として、会社や学校で忌引きの申請を行う際に提出を求められることがあります。そのため、会葬御礼の準備を検討する際は、こうした事情も踏まえて判断するとよいでしょう。
会葬礼状の手配方法
会葬礼状を手配する方法としては、葬儀会社へ依頼する方法と、自分で作成・印刷する方法があります。どちらにもメリット・デメリットがあるため、葬儀の規模や準備状況に応じて選んでみましょう。
葬儀会社に依頼する場合
会葬礼状の手配は、多くの葬儀社で標準サービスとして対応しています。文面の作成から印刷、必要部数の手配まで一括で任せられるため、喪主や遺族の負担を大きく減らせます。葬儀の形式や宗派に合わせた文面を提案してくれることも多く、マナー面でも安心です。
ただし、オリジナルのデザインを加えたり、文章を細かくカスタマイズしたりすることは難しい場合があります。葬儀社によって対応範囲が異なるため、事前に確認しておきましょう。
自分で作成・印刷する場合
会葬礼状は自宅のパソコンやプリンターを使って作成することも可能です。費用を抑えたい場合や、故人らしさを反映させたオリジナルの文面にしたい場合に向いています。作成する際には句読点の使い方や忌み言葉など、弔事特有のマナーに注意しましょう。
印刷ミスや部数不足に備えて、予備を含めて多めに準備しておくと安心です。また、念のため葬儀会社のスタッフにも内容や文面を確認してもらい、マナー面や表現に誤りがないかチェックを受けておくとより確実です。
会葬礼状の書き方の基本
会葬礼状には、一般の手紙とは異なる弔事特有のマナーがあります。ここでは、文面を作成する際に押さえておきたい基本的なルールを解説します。
季節の挨拶は省略する
会葬礼状では、一般的な手紙に用いられる季節の挨拶や「拝啓」「敬具」などの頭語・結語は省略します。葬儀に関する文書では、形式よりも感謝の気持ちを簡潔に伝えることが大切とされるためです。
どうしても使用したい場合は「拝啓」から始めて「敬具」で締めるなど、最初と最後の言葉の組み合わせをそろえるようにしましょう。
忌み言葉や重ね言葉を避ける
会葬礼状では、不幸を連想させたり悲しみが続くことを想起させる「忌み言葉」や「重ね言葉」を使わないのがマナーです。たとえば「重ね重ね・ますます・たびたび・また」などは避けましょう。代わりに「改めてお礼申し上げます」など、穏やかで区切りのある言い回しを使うと安心です。
句読点は使わずに書く
会葬礼状では、文中に句読点を使わないのが昔からの習慣です。これには「葬儀が途切れることなく滞りなく進むように」という願いが込められています。区切りたい部分では、一文字分の空白を入れたり改行したりして読みやすく整えます。
現代では印刷するケースが多いため、無理にこだわる必要はないものの、できる限りこの形式に合わせるようにしましょう。
薄墨で丁寧に書く
会葬礼状は、故人を悼む気持ちを表すために薄墨を使うのが正式な書き方です。もともとは「訃報を聞いて急いで墨をすったため薄くなった」「涙で墨がにじんだ」など、悲しみの気持ちを表現する意味がありました。
現在では筆を使う機会が減ったため、グレーのボールペンや万年筆でも問題ありません。できるだけ濃い黒ではなく、やや薄いトーンを選ぶのが理想です。
家族葬における会葬礼状の文例
会葬礼状には決まった書式はありませんが、一定の構成に沿ってまとめるのが一般的です。文面は「感謝の言葉」を中心に、簡潔で読みやすい内容に整えましょう。構成の流れは以下の通りです。
- 故人の氏名と続柄
- 参列へのお礼
- 略儀によるお詫び
- 日付、住所、喪主名
文例)
亡父 〇〇 葬儀に際しましては
ご多用のところお心遣いを賜り誠にありがとうございました
これからも皆様の温かいお力添えをいただけますようお願い申し上げます
本日は誠にありがとうございました
令和〇年〇月〇日
〇〇県〇〇市〇〇町
喪主 〇〇〇〇
外 家族一同
基本的に家族葬用の文面などはなく、一般葬でも同じような内容となります。親族やごく近しい方のみが参列する場合でも、形式は整えるようにしましょう。
香典返しとの違い
会葬御礼と似たものに「香典返し」があり、どちらも感謝を伝えるための品ですが、渡す目的やタイミングが異なります。混同しないように注意が必要です。ここでは、それぞれの違いを解説します。
会葬御礼と香典返しは感謝の対象が異なる
会葬御礼は「参列そのもの」に対する感謝の気持ちを表すもので、香典の有無にかかわらず全員に渡します。対して香典返しは、香典をいただいた方に「金品のお礼」として贈るものです。混同しないように注意しましょう。
会葬御礼は葬儀当日、香典返しは忌明け後に行う
会葬御礼は、葬儀や告別式の当日に受付や退席時などで手渡しするのが一般的です。一方、香典返しは四十九日(忌明け)を迎えた後、無事に法要を終えた報告を兼ねてお渡しします。最近では、当日に香典返しを渡す「即日返し」も増えていますが、会葬御礼とは別に考えましょう。
ちなみに、金額の相場も異なります。会葬御礼は1人あたり500〜1,000円程度の品物が一般的で、参列者全員に同じものを用意します。香典返しは、いただいた香典の金額に応じて内容を変えるのが基本で、一般的には香典の3分の1〜半額程度が目安です。
会葬御礼を渡すタイミングと流れ
会葬御礼を渡すタイミングは、葬儀の形式や参列者の数によって異なります。一般的には、受付で記帳を終えた参列者へ手渡しするか、焼香後や退席時に渡す方法のいずれかです。香典返しを辞退する方がいても、会葬御礼は参列へのお礼として別に用意します。
予定していたよりも参列者が増えるケースもあるため、会葬御礼は余裕をもって多めに準備しておきましょう。参列できなかった方から弔電や供花をいただいた場合は、葬儀後に礼状を添えて郵送するとよいでしょう。
家族葬における会葬御礼のマナー
家族葬で会葬御礼を準備する場合、参列者側への配慮はもちろん、表書きなど細かな部分にも気を配ることが大切です。ここでは、品物を用意する際のマナーについて解説します。
持ち運びにくいものは避ける
会葬御礼の品に明確な決まりはないものの、参列者が持ち帰りやすい品を選ぶようにしましょう。重たいものや大きすぎるもの、日持ちしない食品などは避けた方が無難です。また、高価すぎる品物も相手に気を遣わせてしまう可能性があります。
さらに、お酒や昆布など、慶事を連想させる品も避けるのが一般的です。一方で、故人の趣味や好みを反映した品であれば問題ありません。ただし、ビールを用意するのではなくビール券にするといった配慮は必要です。
熨斗(のし)の種類や書き方にも注意する
会葬御礼品には、紙の「掛け紙(のし袋)」を掛けるのが一般的です。水引は、東日本では黒白または双銀の結び切り、西日本では黄白または双銀の結び切りが多く用いられます。
表書きには「会葬御礼」「志」を記すのが一般的で、宗教を問わず使用可能です。地域によっては「粗供養(そくよう)」とすることもあります。掛け紙の扱いひとつでも印象が変わるため、宗派や地域の習慣を確認し、統一感のある形で準備しておきましょう。
家族葬にふさわしい会葬御礼で丁寧に感謝の気持ちを届けよう
家族葬では、参列者が限られるからこそ、一人ひとりへの感謝を丁寧に伝えることが大切です。会葬御礼は、故人を偲び支えてくださった方へ気持ちを形にして届ける大切な機会です。
礼状や品物の準備、渡すタイミング、言葉遣いなどの基本を押さえ、心を込めて対応すれば、相手にも誠意が伝わり、故人への思いをより深く共有することにつながります。迷ったときは、専門の葬儀社に相談しながら進めていきましょう。
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