「最後に何か持たせてあげたい」。大切な人を送り出すとき、そう思うのはごく自然なことです。しかし、いざ準備を始めると「これは燃えるのか」「火葬場に迷惑をかけないか」といった迷いや不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、棺に入れられるものと入れられないものには明確な基準があります。その基準を理解しておけば、迷わず準備を進めることができます。
この記事では、副葬品として棺に入れてよいもの・入れてはいけないものを具体的に紹介します。あわせて、入れたいけれど入れられない場合の代替案や、入れるか残すか迷ったときの判断基準についても解説します。
この記事を読むことで、副葬品の準備に迷うことが少なくなり、大切な方を後悔なく送り出すための判断ができるようになるでしょう。
この記事を要約すると
- 副葬品の基本的な判断基準は「完全に燃え切るか」「火葬炉・遺骨への影響がないか」「法律・火葬場のルールに違反しないか」の3つです。
- 棺に入れるものは一般的に、花や紙類、衣類などをはじめとしたお別れの品・思い出の品が選ばれます。金属・ガラス・カーボンなどはNGです。入れられないものは写真プリントや木製レプリカなどで代用する方法があります。
- 入れるか残すか迷ったときは、故人の生前の希望・形見として手元に残す意味・家族間での合意の3つを基準に判断しましょう。
棺に入れる「副葬品」の基本ルール
棺に納める品物は「副葬品」と呼ばれます。故人への想いを込めて選ぶものですが、何でも自由に入れられるわけではありません。副葬品には、主に3つの判断基準があります。
燃えるかどうか
紙・布・木製品など、燃えやすい素材のものは棺に入れても基本的に問題ありません。一方、金属・ガラス・プラスチックは燃え残ってしまうため副葬品に選ぶことはできません。
火葬炉・遺骨への影響がないかどうか
燃やした際に炉や遺骨などに影響がないかも重要なポイントです。「燃える素材」であっても、燃焼時に大量の灰が出たり、ドロドロに溶けて遺骨に付着してしまったりするものは避けなければなりません。
たとえば、以下のものは注意が必要です。たとえ燃える素材であっても棺には入れないようにしましょう。
- 遺骨に色素が付着するもの
- 火葬炉を傷めるもの
- 燃焼中に有害ガスが発生するもの
法律・火葬場のルールに違反しないかどうか
法律で焼却が禁止されているもの(通貨など)や、爆発の危険があるものは絶対にNGです。また、自治体や火葬場の設備(炉の性能)によってルールが異なる場合があります。迷ったときは、担当の葬儀社か火葬場に事前に確認しておくと安心です。
棺に入れてよいもの
ここでは、一般的に副葬品として棺に入れられるものをご紹介します。ただし、量や状態によっては断られる場合もあるため、心配な場合は事前に葬儀社へ相談することをおすすめします。
お花・植物
生花は多くの火葬場で認められており、棺に入れる副葬品の定番です。故人の好きだった花を添えるとよいでしょう。
ただし、ドライフラワーやプリザーブドフラワーには注意が必要xです。これらは加工の段階で「染料」や「薬品」が使われていることが多く、燃焼時にお骨に色が移ってしまったり、お骨を黒ずませたりする恐れがあります。
火葬場によっては制限されていることもあるため、事前に確認するか、最後のお別れには生花を選ぶのが安心です。
手紙・寄せ書き・メッセージカード
紙製品は完全に燃え切るため、副葬品として問題ありません。家族や友人からのメッセージを綴った手紙や寄せ書きを棺に入れる風習は広くみられます。
衣類・布製品
故人の愛用品を入れる場合は、素材に注意が必要です。綿や絹、麻などの「天然素材」であれば問題ありません。
一方、厚手のコートや、化学繊維(ポリエステル等)が多い服、大きなぬいぐるみなどは、不完全燃焼の原因になるため制限されることがあります。
故人の好きだった食べ物・嗜好品
故人が好きだった食べ物やお菓子、嗜好品なども少量であれば入れられます。缶・瓶・金属製の容器はNGなので、中身だけ取り出して紙に包むなど工夫してみましょう。果物など水分の多いものは少量を切り分けて入れるなど工夫しましょう。
写真
写真は基本的に副葬品として認められています。ただし「生きている人が写っている写真を一緒に入れると、その人もあの世に連れて行かれる」といった迷信を気にされる方もいます。存命中の方が映った写真は避けましょう。また、遺影と同じ写真も入れないとする考え方が一般的です。
棺に入れてはいけないもの
さまざまな理由から、棺に入れてはいけないものがあります。火葬炉の故障や事故を防ぎ、遺骨をきれいな状態で残すためにも、しっかり把握しておきましょう。判断に迷う場合は、葬儀社に相談することをおすすめします。
故人の装着品(ペースメーカー・入れ歯など)
ペースメーカーなどの医療機器は、爆発の恐れがあります。装着したまま火葬する場合は、事前に火葬場へ必ず申告しなければなりません。申告を怠ると、火葬炉の損傷や作業員の事故につながる危険性があります。葬儀社を通じて早めに伝えておきましょう。
また入れ歯や義肢など、金属部分を含む装着品もNGです。外せる場合は、納棺前に取り外しておくようにしてください。
金属製品(腕時計・アクセサリーなど)
金属は燃え残って遺骨に混ざったり、火葬炉を傷めたりする原因になります。腕時計・指輪・ネックレスなど、故人が愛用していたアクセサリーは、形見として手元に残すことをおすすめします。
ガラス・陶器製品
ガラスや陶器は、火葬中に割れたり破裂したりするリスクがあります。思い出の品として湯呑みや花瓶を入れたい場合は、木製や紙製のレプリカで代用する方法があります。
カーボン製品(ゴルフクラブ・釣竿・杖など)
カーボンは燃え残りや燃焼時に火葬炉を傷める原因にもなるためNGです。ゴルフクラブ・釣竿・ラケット・杖など、趣味や日常で使っていた道具にカーボン素材が使われていることがあります。事前に撮った写真をプリントして入れる、木製のレプリカを用意するといった代替案を検討しましょう。
革・プラスチック・ビニール製品
皮革類・プラスチックやビニール製品は、燃焼時に有害ガスが発生するためNGです。お気に入りの革のバッグや財布、靴、プラスチック製のおもちゃやケースなど、身近な物は気づきにくいこともあるため注意が必要です。
法律で禁止されているもの(現金/硬貨・紙幣など)
硬貨は「貨幣損傷等取締法」により、火葬で燃やすことが法律で禁止されています。紙幣も同様にNGです。「三途の川の渡し賃」として硬貨を入れる風習がある地域もありますが、紙製の模擬硬貨(冥銭)で代用するとよいでしょう。
大きな物・厚手のもの(分厚い本・アルバム・布団など)
大きすぎるもの・厚みのあるものは、不完全燃焼や火葬時間の遅延につながるため入れられません。大きなぬいぐるみなどは、写真に撮ったりパーツの一部だけ入れたりといった方法があります。思い出のアルバムや愛読書を入れたい場合は、特に思い入れのあるページだけをコピーして入れるとよいでしょう。
爆発・液漏れのリスクがあるもの
スプレー缶・ライター・乾電池・化粧品のボトルなどは、火葬中に爆発や液漏れを起こす危険があるため厳禁です。また、スイカやメロンなど水分の多い果物も、加熱によって破裂するリスクがあるため入れられません。
入れたいものがNGだったときの「4つの代替案」
火葬場のルールによって棺に入れられない場合でも、故人に持たせてあげたいという想いを形にする方法はいくつかあります。すぐに諦めてしまうのではなく、以下の代替案を検討してみてください。
1. 写真に撮ってプリントを入れる(メガネ、ゴルフクラブ、愛車など)
メガネやカーボン製のスポーツ用品、車や家など、ルールで入れられないもの・物理的に入らないものは、写真に撮ってプリントしましょう。生前よく使っていた道具や、大切にしていた愛車なども、写真なら一緒に送り出すことができます。
現代では、スマートフォンの写真をコンビニなどで手軽にプリントできるため、準備の手間もかかりません。
2. 木製や紙製のレプリカ(身代わり)を用意する
刀・メガネ・杖など、形のあるものは木製や紙製のレプリカを棺に入れる方法もあります。納棺用として、仏具店や葬儀社で取り扱っている場合もあるので、相談してみるとよいでしょう。本物の代わりに「身代わり」として納めるという考え方で、古くから行われてきた風習のひとつです。
3. 一部だけを切り取って入れる(洋服のボタンや布の一部)
洋服そのものは量が多くてNGでも、布の一部や洋服のボタンだけなら入れられる場合があります。故人が長年愛用していた服の端切れや、思い出のボタンを添えることで、気持ちを込めて送り出すことができるでしょう。
4. 収骨後の「骨箱」に一緒に入れる、または仏壇に供える
「火葬(燃やす)」ことにこだわらず、火葬が終わった後にお骨と一緒に納めるという選択肢もあります。どうしても諦めきれないものは、火葬後の収骨のタイミングで骨箱に一緒に納めるのも一案です。また、仏壇に供えて手元供養するのもよいでしょう。
入れるかどうか迷ったときの判断基準
「ルール的にはOKだけど、棺に入れてしまっていいのかな?」と迷うこともあるでしょう。一度火葬してしまうと、二度と取り出すことはできません。迷ったときは、以下の3つの基準で考えてみてください。
故人の生前の希望があるか
故人がエンディングノートや口頭で「棺に入れてほしい」と伝えていた場合は、その意志を最優先にしましょう。故人自身の希望がはっきりしている場合は、迷わず叶えることが何よりの供養になります。
「形見」として残すことが心の支えになるか
その品を棺に入れず、手元に残した場合のことを想像してみましょう。「毎日その品を見ることで故人を身近に感じ、前向きな気持ちになれる」と思えるのであれば、無理に棺に入れる必要はありません。それは大切な「形見」として残す価値があります。
一方で、「大切すぎて自分では扱いきれない」「手元にあると悲しみが深まってしまう」と感じる場合は、故人とともに送り出してあげることが、一つの区切りになることもあります。
家族・親族間での合意があるか
自分一人の判断で棺に入れてしまうと、「なぜ入れてしまったのか」「形見として欲しかった」といった、トラブルになるケースもあります。
特に、高価なものや家族全員の思い出深い品については、事前に納棺するかどうかを相談するとよいでしょう。全員が「一緒に送り出そう」と納得した状態で納めることが大切です。
火葬で入れる副葬品について、よくある質問
納棺の際によく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。判断に迷った際の参考にしてください。
お酒やコーヒーなど液体を入れてもいい?
容器(瓶・缶)から出し、少量を紙コップなどに移せば可能です。お酒やジュースを瓶や缶のまま入れると、熱で破裂して大変危険です。また、大量の液体は炉の温度を下げてしまい、不完全燃焼の原因にもなります。
なお、コーヒーや紅茶などは、粉末や茶葉の状態で納めるのもひとつの方法です。
副葬品の量に制限はある?
明確な個数制限はありませんが、「少量」に留めるのが基本です。あまりに多くの副葬品を棺に入れると、燃え残りが出たり、灰が大量に出たりします。
大切なお骨が灰に埋もれて見つけにくくなることもあるため、お骨をきれいに残すことを優先し、品物は厳選しましょう。迷ったときは、葬儀社の担当者に確認するのが確実です。
火葬場によってルールが異なるのはなぜ?
火葬炉の性能(メーカーや年式)や、自治体の条例が異なるためです。最新の火葬炉は排気処理能力が高いですが、古い設備では煙や臭いが出やすいため、ルールを厳しく設定している場合があります。
また、公営の火葬場と民営の火葬場で基準が違うことも珍しくありません。「前の葬儀では大丈夫だったから」と思わず、その都度、現場のルールに従うことが大切です。
大切な人との最後のお別れを後悔しないために
大切な人を送り出すとき、「あれも持たせてあげたかった」「これは入れても大丈夫だったのかな?」という迷いや後悔は、誰にでもあるものです。最も大切なのは「物」ではなく「故人をきれいに、安らかに送り出してあげたい」という想いです。
判断に迷うものがあれば、遠慮なく葬儀社の担当者や火葬場のスタッフに相談してみましょう。プロの視点から、代わりの方法や、個々のケースに合ったアドバイスをもらえるはずです。
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