遠方に住む親の訃報を突然受けたとき、どうすればいいかと不安になるのは当然です。すぐに現地へ向かえない状況で、何から手をつけるべきか、誰に連絡すべきか、葬儀の準備をどう進めるのか、わからないことばかりで、気持ちも落ち着かないかもしれません。
この記事では、遠方に住む方が親の訃報を受けた時に必要な対応を、時系列でわかりやすくまとめました。訃報直後の確認事項、葬儀社への連絡方法、現地への移動準備、死亡届の提出、葬儀の流れ、そして葬儀後の手続きまで、ひとつずつ丁寧にご紹介します。
遠方に住んでいても、焦らず落ち着いて対応すれば、心を込めたお見送りができます。ぜひこの記事を参考に、大切な方との最後の時間を過ごしてください。
この記事を要約すると
- 訃報を受けたら、まずはいつどこで亡くなったか、医師の死亡確認が済んでいるか、ご遺体がどこにあるか、遺体搬送が必要かを確認します。
- 搬送が必要であれば現地の葬儀社などに連絡し、搬送の手配をします。現地へ行く前に、家族や主要親族、勤務先、菩提寺等へ連絡を済ませておくとスムーズです。
- 現地へ着いたら葬儀社と合流し、葬儀の詳細を打ち合わせ、準備を進めます。葬儀を行った後は、貴重品の確認をはじめ、現地でしかできない手続き等を済ませましょう。
訃報を受けたあとにやること
突然の訃報を受けた直後は、悲しみ・疑問・不安などが一気に押し寄せます。ましてや遠方に住んでいると、何をどう進めればいいのか分からず、混乱してしまうのは当然のことです。
ここでは、訃報を受けた直後に確認すべきことと、必要な手配について解説します。
現在の状況を確認する
落ち着いて現状を把握することから始めましょう。以下の4点を確認すれば、次に取るべき行動が明確になります。
- いつ、どこで亡くなったのか
- 医師による死亡確認が済んでいるか
- ご遺体がどこに安置されているか
- 搬送が必要かどうか
確認事項はメモをとっておくと安心です。後から問い合わせができるよう、相手の連絡先も控えておきます。
また、病院や施設で亡くなった場合は、ご遺体を安置できる時間に制限があることも少なくありません。「いつまでに迎えに来てほしい」といった要望がある場合は、その期限も確認しておくことが重要です。
搬送の必要があれば手配する
ご遺体が病院や施設にある場合、安置場所への搬送手配が必要になります。この時点で搬送先を決めなければなりません。搬送先の選択肢は以下の通りです。
- 現地の葬儀社の安置施設:最も一般的な選択肢
- 親が住んでいた自宅:自宅で安置する場合
- あなたが住む地域への搬送:長距離搬送も可能
故人を搬送する必要がある場合は、すぐに葬儀社に連絡して搬送を依頼します。ほとんどの葬儀社が24時間365日対応しており、ご遺体の搬送から安置まで一貫して対応してくれます。
葬儀社が決まっているならすぐに連絡をしましょう。決まっていない場合は、まずは問い合わせや相談窓口に連絡してみましょう。葬儀社は後から変更も可能なので、まずは搬送を優先させます。
遺体搬送については以下の記事で詳しく解説しています。
現地へ向かう前にやること
訃報を受けて現地に向かう前に、いくつか連絡や手配を済ませておくとスムーズです。移動中も気持ちは落ち着かないかもしれませんが、必要な連絡を済ませておけば、現地到着後の負担を減らせます。
葬儀社へ連絡・相談する
まだ葬儀社に連絡していない場合は、現地へ向かう前に連絡を入れておきましょう。
葬儀社に伝えるべき情報は以下の通りです。
- 故人の名前と続柄
- 現在ご遺体がある場所
- あなたが現地に到着する予定時刻
- 希望する葬儀の形式(一般葬、家族葬など)
- おおよその予算
「どこの葬儀社に頼めばいいかわからない」という場合は、以下の方法で探してみましょう。
- 親が住んでいた地域の葬儀社:インターネットで「〇〇市 葬儀社」などで検索
- 病院や施設からの紹介:提携している葬儀社を紹介されることも
- 親が加入していた互助会:事前に積み立て等をしていた場合
電話で相談する際は、「遠方に住んでいるため、すぐには到着できない」という状況を伝えましょう。経験豊富な葬儀社であれば、到着を待って対応してくれたり、到着前にできる準備を提案してくれたりします。
家族・兄弟姉妹など身近な親族へ連絡する
訃報は、故人に近い親族から順に連絡していくのが一般的です。目安としては以下の通りです。
- 配偶者・子ども:最も近い家族
- 故人の兄弟姉妹:高齢の場合は特に早めに連絡
- 孫や甥・姪:若い世代への連絡
- 親しくしていた親族:故人との関係性を考慮
連絡する際に伝える内容は以下の通りです。
- 亡くなった日時と場所
- 葬儀の日程(決まっている場合)
- 葬儀の場所と形式
- 喪主は誰か
- 連絡先(あなたの電話番号)
葬儀の日程がまだ決まっていない場合は、「詳細が決まり次第、改めて連絡します」と伝えておけば問題ありません。
また、高齢の親族に連絡する場合は、ショックを和らげるよう配慮した言葉選びを心がけましょう。深夜や早朝の連絡は避け、できるだけ日中の落ち着いた時間帯を選ぶことをおすすめします。
誰がどこへ連絡したかをメモしておくとよいでしょう。
勤務先へ連絡する
勤務先への連絡も忘れずに行いましょう。忌引き休暇を取得するため、できるだけ早い段階での連絡します。
勤務先へ伝える内容は以下の通りです。
- 親が亡くなったこと
- 忌引き休暇を取得したい旨
- 休暇の日数(目安)
- 葬儀の日程(決まっている場合)
- 連絡が取れる電話番号
忌引き休暇の日数は、会社の就業規則によって異なりますが、一般的に親の場合は3〜7日程度が認められています。遠方の場合は、移動時間も考慮して休暇日数を相談するとよいでしょう。
連絡は、直属の上司に電話で行うのが基本です。メールやメッセージだけで済ませず、まずは電話で状況を説明した後、必要に応じてメールなどで詳細を送ると行き違いがありません。
また、休暇から戻った際には、死亡診断書のコピーや会葬礼状など、証明書類の提出を求められることがあります。会社の規定も確認しておきましょう。
忌引き休暇については以下の記事で解説しています。
菩提寺があれば連絡する
菩提寺がある場合、できるだけ早めに連絡を入れましょう。菩提寺への連絡で伝えるべき内容は以下の通りです。
- 故人の名前
- 葬儀の予定日時(決まっている場合)
- 読経をお願いしたい旨
- 葬儀の場所
その後の納骨にも関係するため、葬儀は菩提寺へ依頼すると安心です。
菩提寺の連絡先がわからない場合は、親族に確認してみましょう。親の遺品の中から過去の法事の案内状や、お寺の名刺などを探す方法もあります。
菩提寺がある場合は、葬儀の日程を住職のスケジュールに合わせて調整する必要があります。葬儀社に相談する際も、「菩提寺があります」と伝えておくとスムーズです。
菩提寺との付き合いがない、特定の宗教を持っていないなどの場合は、葬儀社紹介の僧侶への依頼や、無宗教式の葬儀を行うことも可能です。
現地への交通手段と宿泊先を確認する
現地への移動手段と宿泊先の確保も、早めに手配しておきましょう。
遠方の場合、数日間滞在することになるため、宿泊先の確保が必要です。
- 親が住んでいた自宅:泊まれる状態であれば費用を抑えられる
- ビジネスホテル等:葬儀場の近くで予約すると移動が楽
- 親族の家:近くに住む親族がいれば相談してみる
葬儀の前後は慌ただしくなるため、できるだけ葬儀場に近い宿泊先を選ぶことをおすすめします。また、葬儀社によっては提携の宿泊施設や宿泊施設を整えていることもあるので、相談してみるとよいでしょう。
現地に到着したら行うこと
現地に到着したら、いよいよ具体的な葬儀の準備が始まります。やるべきことは多いですが、葬儀社のサポートを受けながらひとつずつ進めていけば大丈夫です。ここでは現地到着後の流れを時系列で解説します。
死亡診断書を受け取る
まだ死亡診断書を受け取っていない場合は、最優先で入手します。死亡診断書は、死亡届の提出や各種手続きに必要な重要書類です。
死亡診断書をどこで受け取るかは、亡くなった状況によって異なります。
- 病院で亡くなった場合:病院の医師から発行される
- 自宅で亡くなった場合:かかりつけ医または警察医が発行
- 施設で亡くなった場合:施設の嘱託医または搬送先の病院で発行
死亡診断書は通常、A3サイズの用紙の右半分が死亡診断書、左半分が死亡届になっています。右半分の死亡診断書は医師が記入し、左半分の死亡届は遺族が記入する形式です。
死亡診断書についての注意点
- 死亡診断書の発行は3,000円〜1万円程度の費用が必要
- 原本は役所に提出するため、必ず複数枚コピーを取っておく
- 生命保険の請求、銀行口座の解約、年金の手続きなど、様々な場面で必要になる
葬儀社と合流し、安置場所・葬儀日程などを決める
葬儀社の担当者と合流したら、葬儀の具体的な内容を決めていきます。
確認・決定すべき主な項目は以下の通りです。
1. 安置場所・状況の確認
- ご遺体の安置状況などの確認
- 安置期間中の面会についても確認
2. 葬儀の形式の決定
一般的には以下の4つの葬儀形式から選びます。
- 一般葬:広く参列者を募る従来型の葬儀
- 家族葬:身内だけで行う小規模な葬儀
- 一日葬:通夜を行わず、告別式と火葬のみ
- 直葬(火葬式):儀式を省略し、火葬のみ行う
3. 葬儀の日程の確認
- 通夜と告別式の日時(エリアによっては友引は火葬場が休業)
- 火葬場の空き状況や、菩提寺とのスケジュール調整
4. 葬儀の場所の決定
- 葬儀場、寺院、自宅、集会所などから選択
- 予想される参列者数に応じた会場の広さを検討
5. 予算の確認
- 希望する予算を伝える
- 見積もりの内訳を確認し、不明点は質問する
基本的には葬儀社のプランに沿って決めることが多いです。故人・喪主の希望があれば伝えます。
遠方に住んでいる場合、「現地の慣習がわからない」と不安に感じることもあるかもしれません。葬儀社の担当者に「この地域ではどのような形式が一般的ですか」と率直に聞いてみましょう。
また現地に親族がいるなら、確認すると確実です。一人で決定せずに家族・親族に相談しながら進めると、後々もめることもないでしょう。
葬儀の準備を行う
葬儀の方針が決まったら、具体的な準備を進めていきます。葬儀の準備は、葬儀社の担当者が丁寧にサポートしてくれます。わからないことは遠慮せずに質問しながら進めていきましょう。
- 故人の遺言・エンディングノートの確認
- 参列者への連絡
- 返礼品・会食の有無・内容を決める
- 費用の見積もりと現金の準備
- 僧侶への連絡やお布施の用意
とくに費用面は、見積書を必ず確認し、内容をよく理解しておきましょう。 「あとで追加になった」というトラブルを防ぐために重要です。
またお布施や火葬料などのために現金が必要になります。銀行やATMの営業時間に注意し、現金を多めに用意しておきましょう。
死亡届の提出・火葬許可申請を行う
死亡届は、死亡の事実を知った日から7日以内の提出が義務付けられています。
届出先は、状況に応じて以下のいずれかです。
- 故人の死亡地の市区町村役場
- 故人の本籍地の市区町村役場
- 届出人の住所地の市区町村役場
遠方の場合は、現地(故人の死亡地)の役場に提出するのが一般的です。
多くの場合、葬儀社が代行して提出してくれますが、記入は遺族が行います。医師から発行された死亡診断書の左側の死亡届(届出人の欄)に必要事項を記入し、葬儀社に渡すだけで済むことがほとんどです。
役所では死亡届と同時に火葬許可申請を行い、火葬許可証を発行してもらいます。火葬許可証は火葬場で提出する必要がある重要な書類です。
なお、弊社「1日葬・家族葬のこれから」では、セットプラン料金内に、これらの代行手続きも含めておりますので、ご不安な方も安心してお任せください。
死亡届については以下の記事で詳しく解説しています。
通夜~葬儀・告別式~火葬を行う
故人が亡くなってから24時間経過後に火葬が可能になります。火葬までの一般的な流れは次のとおりです。
- 納棺の儀
- 通夜(僧侶の読経・焼香)
- 葬儀・告別式(読経・弔辞・焼香など)
- 火葬・収骨
当日は、葬儀社の指示に従って進行すれば問題ありません。
僧侶へのお布施・お車代・心付けは、葬儀当日に現金で渡すのが一般的です。葬儀が始まる前に僧侶への挨拶とともに渡しましょう。
葬儀が終わったあとにやること
葬儀が無事に終わっても、まだやるべきことがあります。特に遠方に住んでいる場合は、現地でしかできないことを済ませておく必要があります。
遺品整理をはじめ、現地でしかできないことを済ませる
葬儀直後は疲れも大きいですが、一度帰ってしまうと再び現地へ行くのは大変です。可能であれば、現地でしかできない手続きや整理をまとめて済ませましょう。
1. 遺品整理の開始
- 貴重品(現金、通帳、印鑑、権利証など)の確認と持ち帰り
- 重要書類(年金手帳、保険証券、契約書など)の整理
- 形見分けする品物の選定
すべてを一度に片付けることはできませんが、貴重品や重要書類は早めに確認しておきましょう。賃貸住宅の場合は、退去の期限も考慮する必要があります。
2. 公共料金・各種サービスの手続き
- 電気・ガス・水道の使用停止または名義変更
- 電話・インターネットの解約
- 新聞の配達停止
- NHK受信料の解約
これらの手続きは電話やインターネットでもできますが、現地にいる間に問い合わせておくとスムーズです。
3. 関係機関への挨拶
- 大家さんや管理会社への報告(賃貸の場合)
- 近隣住民への挨拶
- お世話になった施設やケアマネージャーへのお礼
特に賃貸住宅の場合は、退去時期や原状回復について早めに相談しておくことが大切です。
4. 郵便物の確認と管理
郵便物のチェックも忘れずにしておきましょう。故人宛ての郵便物は、家族であっても別住所に転送することはできません。郵便物は差出人へ戻されます。配達されている場合、各差出人への訃報や諸手続きが必要となります。
四十九日法要・納骨などについて考えておく
葬儀が終わると、次に行う儀式は四十九日法要や納骨です。これらは菩提寺や宗派によって日程・形式が異なるため、葬儀を担当した僧侶または菩提寺に早めに相談しておきましょう。
四十九日法要の準備にあたり確認すべき点は以下の通りです。
- 日程の決定:49日目の前後の土日に行うことが多い
- 場所の手配:寺院、自宅、法要施設など
- 僧侶への依頼:菩提寺に読経を依頼
- 参列者への案内:親族に日時と場所を連絡
- 会食の手配:法要後の食事(お斎)の準備
納骨は、四十九日法要と同日に行うのが一般的ですが、状況に応じて調整しても構いません。
遠方に住んでいる場合、菩提寺に納骨するのか、自分が住む地域に納骨するかは迷いやすいポイントです。家族でよく話し合いお墓参りのしやすさや費用・管理の負担などを考慮して決めましょう。
遠方に住んでいても、焦らず落ち着いて、心を込めたお見送りを
遠方に住む親が亡くなった時、「すぐに駆けつけられない」「現地の事情がわからない」といった不安を感じるのは当然のことです。焦らず一つずつ手順を踏んでいけば、問題なくお見送りをすることができます。
訃報を受けたらまずは状況を確認し、葬儀社へ連絡してみるとよいでしょう。現代の社会では、喪主が遠方に住むケースは少なくありません。わからないこと・困ったことなどは、さまざまなケースを知るプロに相談すると安心です。
弊社では、価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代に合わせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。
