親が危篤になったという連絡ほど、心を揺さぶるものはありません。「今すぐ何をすべき?」「職場にはどう連絡する?」といった不安と焦りが一度に押し寄せてくることでしょう。しかし、実は危篤の知らせを受けたときにやるべきことは意外とシンプルです。
本記事では、親の容態確認から帰省準備・職場への連絡方法まで詳しく解説します。また、親のそばに到着してからの接し方や、よくある疑問への対処法も解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
この記事を要約すると
- 遠方の親が危篤になったときは、まず親の容態を病院に確認し、できるだけ早く帰省するための交通手段を手配し、職場に電話やメールで状況を伝えることが重要です。着替えや印鑑など必要なものを素早くまとめ、携帯電話の充電器も忘れず、親のもとへ駆けつけることを優先しましょう。
- 意識がなくても聴覚は残るとされており、家族がそばにいるという温もりが親に安心をもたらします。付き添いは心身の負担が大きいため、兄弟姉妹や親族で役割を分担して支え合いましょう。
- 遠方の親戚への連絡も家族で優先順位を決めて分担します。親との最後の時間をともに過ごし、後悔のないよう寄り添うことが何より大切です。
遠方にいる親が危篤になったと連絡を受けたときにすべきこと
親が危篤との連絡を受けたとき、すぐにやるべきことが3つあります。
- 親の容態の確認
- 帰省の準備
- 職場への連絡
心が落ち着かなくなるのは自然ですが、冷静に対応しましょう。
親が危篤になった場合の一般的な対応方法については、以下の記事も参考にしてみてください。
親の容態の確認
親が危篤との連絡を受けた瞬間、心は動揺し、何から手をつけてよいかわからなくなるのも無理はありません。まず落ち着いて、連絡をくれた病院や施設の担当者に親の現在の容態を詳しく確認しましょう。
意識の有無や生命維持装置の使用状況・医師からの見立てなど、できるだけ具体的な情報を聞き取ることが重要です。あとどれくらい時間の猶予があるのか、面会は可能なのかといった点も確認しておくとよいでしょう。
連絡者の氏名や連絡先・病院の所在地や病棟名もメモしておくことを忘れてはいけません。また、1人で抱え込まず、兄弟姉妹や親族とも情報を共有し、今後の対応を話し合っておきましょう。
帰省の準備
容態を確認したら、一刻も早く親のもとへ駆けつけるための準備を始めます。まず、交通手段を検討し新幹線や飛行機などなるべく早く親のもとに行ける方法を選びましょう。
着替えや貴重品・健康保険証など最低限の荷物をまとめ、印鑑なども持っていくことをおすすめします。小さな子どもがいる場合は、預け先の手配も必要です。移動中も病院と連絡が取れるよう、携帯電話の充電器も忘れてはいけません。
職場への連絡
職場への連絡は気が引けるかもしれませんが、遠慮せずに速やかに上司や人事担当者に事情を伝えることが大切です。電話で直接話すのが望ましいですが、早朝や深夜であればメールやメッセージで第一報を入れ、のちほど改めて連絡しましょう。
担当業務については、引き継ぎ可能な範囲で指示を出し、急を要する案件はほかの同僚に依頼するのが現実的です。完璧な引き継ぎは難しいかもしれませんが、できる限りの配慮を示すことで周囲の理解も得られます。
危篤とはどのような状態か
危篤とは、医学的に生命の危機が差し迫っており、いつ息を引き取ってもおかしくない状態を指す言葉です。回復の見込みが極めて低く、数時間から数日のうちに最後を迎える可能性が高いと医師が判断した状況を指します。
具体的には、意識が混濁し呼びかけにも反応しなくなったり、呼吸や脈拍が不規則になったり、血圧が著しく低下したりするなどの兆候が現れます。人工呼吸器や昇圧剤などで生命を維持している場合も多いでしょう。
この連絡を受けたということは、医療チームが家族に最後の時間をともに過ごしてほしいと考えているサインといえます。たとえ意識がなくても、家族の声や存在は伝わるといわれています。後悔のないよう、できる限り早く親のそばに行き、感謝や別れの言葉を伝えることが大切です。危篤については、以下の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
遠方の親が危篤になり帰省する際に持っていくもの
遠方の親が危篤になったとき、限られた時間のなかで必要なものを準備するのは難しいでしょう。ここでは、持っていくべきものについて詳しく紹介します。
- 最低限の着替えと日用品
- 仕事に必要な書類やPC
- 印鑑(認印・実印)
- 喪服
ぜひ参考にしてみてください。
最低限の着替えと日用品
親が危篤という緊急事態では、荷造りに時間をかける余裕はありません。最低限必要なものだけを素早くまとめ、なるべく早く出発することを優先してください。着替えは2~3日分あれば十分で、下着や靴下・動きやすい服を選ぶとよいでしょう。
常備薬がある場合は、忘れずに持っていくことが大切です。財布に現金を多めに入れておくと、交通費や急な出費に対応できます。また、健康保険証や身分証明書も忘れてはいけません。
焦っていると忘れ物をしやすいものですが、本当に大切なのは親のそばにいることです。足りないものは、あとから購入したり送ってもらったりできるので、完璧でなくても問題ありません。
仕事に必要な書類やPC
親の危篤という状況下では、仕事のことを考える余裕などないかもしれません。しかし、数日間の滞在が予想される場合、PCや書類などの最低限仕事に対応するためのものを持参することで、緊急対応や連絡が必要になったときに慌てずに済みます。
ただし、無理に仕事を続けようとせず職場には状況を正直に伝えて理解を求めることを優先しましょう。
印鑑(認印・実印)
親が危篤の際には、医療や事務手続きで印鑑が必要になる場面があります。病院での書類手続きや、万が一のときの死亡届の提出・火葬許可申請など、さまざまな場面で印鑑の押印を求められます。
実家に保管されている場合は、到着後すぐに確認しておくとよいでしょう。
喪服
親が危篤という知らせを受けたとき、最悪の事態を想定することは辛いものですが、現実的な準備も必要です。喪服を持参するかどうかは難しい判断ですが、遠方から駆けつける場合は、用意しておくとあとから郵送してもらったり現地で購入したりする負担が軽くなります。
万が一のときに、再び自宅に戻って喪服を取りに行く時間的余裕がないことも多いでしょう。礼服一式を持参すれば、通夜や葬儀にそのまま対応でき、慌てて現地で購入する必要もなくなります。
それでも、喪服を用意して親のもとに行くことに抵抗を感じる人もいるでしょう。その場合は、到着後に家族と相談しながら準備する選択肢もあります。
服装のルールについては、以下の記事を参考にしてみてください。
遠方の親が危篤になったときに職場へ連絡する内容
親が危篤になったとき、職場への連絡が必要になるケースがほとんどです。ここでは、メールと電話の場合に分けて解説します。
- メールで伝える場合
- 電話で伝える場合
それぞれの対応方法を詳しく見ていきましょう。
職場へ連絡する際に使える具体的な例文などについては、以下の記事で解説しているのでこちらもぜひご覧ください。
メールで伝える場合
深夜や早朝に危篤の連絡を受けた場合、まずはメールで第一報を入れるのが現実的です。本文では、親が危篤状態であることを簡潔に伝え、直ちに帰省する必要があることを書いておきましょう。
ただし、詳細な状況説明は不要で、事実のみを端的に書く方が読みやすいでしょう。「ご迷惑をおかけしますが」といった謝罪の言葉を添えつつも、必要以上に恐縮する必要はありません。連絡可能な時間帯や緊急連絡先も伝えておくとよいでしょう。
メール送信後は、営業時間になり次第、上司に直接電話で状況を説明することが大切です。緊急時ではあるものの、丁寧に連絡することで周囲からの理解を得やすくなります。
電話で伝える場合
電話で直接伝える場合は、落ち着いて要点を簡潔に話すことを心がけましょう。まず、上司や人事担当者に親が危篤状態にあり、すぐに帰省しなければならないことを伝えます。
動揺していて当然の状況ですが、できるだけ冷静に事実を説明することが大切です。担当している業務については、緊急対応が必要な案件や引き継ぎ事項をかんたんに説明しましょう。
詳細な引き継ぎが難しい場合は、資料の保管場所やパスワードなど最低限の情報を共有することが大切です。多くの職場は家族の危機に対して配慮してくれるものであり、仕事のことは気にせず親のそばに行くことを優先してあげましょう。
親が危篤になったときの寄り添い方
親が危篤状態にあるとき、家族としてどのように接すればよいかについて悩む方も多いのではないでしょうか。ここでは、危篤になった親に対する接し方について詳しく解説します。
- そばにいて手を握る・語りかける
- 前向きな言葉や感謝の気持ちを伝える
- 家族や親族で負担を分担する
接し方に迷う場合は、ぜひ参考にしてみてください。
そばにいて手を握る・語りかける
危篤状態の親のそばにいるとき、何をすればよいのか戸惑う人は多いでしょう。しかし、難しく考える必要はなく、ただそばにいて手を握り、声をかけることがなにより大切です。
医学的には意識がないように見えても、聴覚は最後まで残るといわれています。手を優しく握りしめ、温もりを感じてもらうだけで、親は安心できます。「ここにいるよ」「ありがとう」といった短い言葉でも、心を込めて語りかけるとよいでしょう。
昔の思い出話や感謝の気持ち、伝えたかった言葉を静かに話しかけてあげてください。涙があふれても構いませんし、言葉に詰まっても問題ありません。素直な気持ちを伝えることが大切です。最後の時間をともに過ごせることは、親にとっても自分にとっても、かけがえのない贈りものです。
前向きな言葉や感謝の気持ちを伝える
危篤状態の親に語りかけるとき、悲しみや別れの言葉だけでなく、前向きな言葉や感謝の気持ちを伝えることも大切です。「今まで本当にありがとう」「おかげで幸せだった」といった感謝の言葉は、親にとって何よりの慰めとなるでしょう。
自分が親から受け継いだものや、大切に育ててもらった思い出を語ることで、親の人生が価値あるものだったと伝えられます。「安心して」「大丈夫だから」と、親が心配せずに旅立てるような言葉をかけるのもよいでしょう。
苦しい治療や闘病を続けてきた親に対しては「もう頑張らなくていいよ」と労いの言葉を贈ることも優しさです。後悔のないよう、心に秘めていた気持ちを素直に言葉にしましょう。
家族や親族で負担を分担する
親が危篤状態にあるとき、付き添いや看護は心身ともに負担が大きいものです。1人で抱え込まず、兄弟姉妹や親族と協力しながら役割を分担することが重要です。
24時間の付き添いが必要な場合は、交代制でそばにいる時間を決め、適度に休息を取りましょう。誰かが常に病室にいることで、親も安心でき、家族も疲弊せずに最後まで寄り添えます。食事の手配や実家の管理・親戚への連絡といった実務面も、分担することで負担が軽減されます。
このような緊急時には、普段は疎遠な親族とも協力し合う必要があるでしょう。感情的になりやすい状況ですが、冷静にコミュニケーションを取り、支え合うことが大切です。
遠方の親が危篤になったとき人がよく抱く疑問と解決策
親が危篤になったとき、さまざまな疑問や不安が生じるのは当然のことです。ここでは、よくある質問と解決策について詳しく紹介します。
- 親が危篤になったとき、銀行預金は引き出せる?
- 危篤という理由で、どのくらいの期間仕事を休める?
- 危篤の連絡を遠方の親戚にするとき、どう伝えたらいい?
同じような疑問をお持ちの方は、ぜひ参考にしてみてください。
親が危篤になったとき、銀行預金は引き出せる?
結論として、本人の意思確認ができる状態であれば、委任状や代理人カードで引き出しが可能です。しかし、危篤状態で意思確認が困難な場合、原則として家族であっても勝手に引き出せません。
そのため、可能であれば危篤になる前に、医療費や当面の生活費を引き出しておくことが望ましいでしょう。また、葬儀費用については葬儀社に分割払いや後払いを相談できます。お金のことで頭を悩ませるのは辛いものですが、現実的な準備も必要です。
親が危篤になったときの銀行口座の扱いについては、以下の記事を参考にしてみてください。
危篤という理由で、どのくらいの期間仕事を休める?
労働基準法では忌引き休暇の取得義務は定められておらず、各企業の就業規則によって扱いが異なります。一般的に親が亡くなった場合の忌引き休暇は、3~7日程度が多いですが、危篤状態での休暇については明確な規定がない企業もあります。
そのため、まずは就業規則を確認して人事部や上司に相談しましょう。多くの企業は柔軟に対応してくれますが、正式な手続きを踏むことであとからトラブルになることを避けられます。休暇期間が足りない場合は、有給休暇や欠勤扱いでの対応を相談するとよいでしょう。
危篤の連絡を遠方の親戚にするとき、どう伝えたらいい?
まず、連絡すべき範囲を家族で相談し、優先順位を決めることが大切です。親の兄弟姉妹や近い親戚には、できるだけ早く電話で伝えるのが望ましいでしょう。伝える際は、親の現在の容態や医師からの説明・病院の所在地などを簡潔に伝えます。
「いつ息を引き取ってもおかしくない状態」と具体的に伝えることで、緊急性を理解してもらえます。面会を希望するかどうかも確認し、来られる場合は交通手段や所要時間についても情報提供しましょう。
1人で全員に連絡するのは大変なので、兄弟姉妹で分担したり、近い親戚から連絡網を回してもらう方法もあります。冷静に対応できなくても当然であり、助けを借りながら進めていきましょう。
遠方の親が危篤になったら後悔がないよう寄り添ってあげましょう
親が危篤になったという知らせは、誰にとっても辛い瞬間です。動揺し、何をすべきか混乱するのは当然のことですが、一刻も早く親のもとへ駆けつけることが何より大切です。容態の確認・交通手段の手配・職場への連絡と、やるべきことは多いですが、ひとつずつ冷静に対処していけば間に合うでしょう。
親のそばに到着したら、手を握り、声をかけ、感謝の気持ちを伝えることが大切です。完璧な言葉を探す必要はなく、ただそばにいるだけで親は安心できます。最後の時間をともに過ごせることは、親にとっても自分にとっても、かけがえのない贈りものです。後になって「あのとき駆けつければよかった」と後悔しないよう、今できることを精一杯してあげましょう。
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