火葬後に遺骨を引き取ることや、納骨先の確保に悩んでいる方のなかには、「焼き切り」という方法を検討している方もいるでしょう。焼き切りとは、火葬の際に遺骨を残さず、灰状になるまで焼く方法です。ただし、すべての火葬場で対応しているわけではなく、費用や手続きなども火葬場によって異なります。
この記事では、火葬の焼き切りとはどのような方法なのか、依頼するときの注意点について解説します。また焼き切りができない場合の遺骨の供養方法についても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
この記事を要約すると
- 「焼き切り」とは、火葬時に故人の遺骨を残さず灰状になるまで焼くことです。遺骨を骨壷に収めず、火葬場で処理されます。
- 焼き切りができるかどうかは、自治体や火葬場によって異なります。焼き切りを希望する場合は、費用や手続きとあわせて事前に確認しましょう。
- 焼き切りができない場合は、遺骨の受け取りをしないか、永代供養や納骨堂、散骨、手元供養などの方法があります。
火葬の「焼き切り」とは?
一般に通常より焼骨を細かい状態になるまで火葬し、収骨を行わない方法を指して使われる言葉です。ただし、法律上統一された名称ではなく、具体的な方法や焼骨・残骨灰の扱いは火葬場によって異なります。
焼き切りを行うことで、火葬後に遺骨を自宅で保管したり、お墓や納骨堂に納めたりする必要がなくなります。そのため、お墓がない場合など遺骨を引き取って管理することが難しい場合などに検討されることがあります。
ただし、すべての火葬場で焼き切りができるわけではありません。焼き切りを希望する場合は、利用する火葬場に対応の可否や条件、費用、申し込み方法などを事前に確認しておく必要があります。
焼き切りは火葬場でできる?
焼き切りは、火葬場で行われる方法ですが、すべての火葬場が対応しているわけではありません。
焼き切りでは、通常の火葬よりも長い時間をかけて火葬する必要があります。そのため、火葬炉の性能や設備によっては、対応できない場合があります。また、高温で長時間の火葬を行うことで、火葬炉に負担がかかることもあります。
さらに、自治体によっては、火葬後の遺骨の取り扱いについて独自の規定を設けている場合があります。焼き切りができるかどうかは異なるため、希望する場合は、利用する火葬場に対応の可否を事前に確認しましょう。
焼き切りの対応状況は地域や慣習によって変化する?
焼き切りの対応状況は、地域によって異なります。一般的に、西日本では遺骨の一部を拾う「部分収骨」、東日本では遺骨をほぼすべて拾う「全収骨」が行われる地域が多いとされています。
部分収骨に対応している地域では、小さな骨壷に、喉仏や頭蓋骨などの骨や足や腕などの主要な骨をバランスよく収めます。すべての骨を入れずに、残った骨は火葬場で処理されています。
そのため、焼き切り以外の通常の火葬でも残った骨を処理していることから、遺骨の受け取り拒否などに対応してくれるケースもあります。
ただし、同じ地域でも火葬場によって対応が異なります。「西日本なら焼き切りができる」といったように、地域だけで判断することはできません。実際に利用する火葬場が対応しているかを確認しましょう。
焼き切りを希望する理由
焼き切りを希望する理由は、お墓がなく遺骨を納める場所がない、遺骨の管理が難しいなど、人によってさまざまです。ここでは焼き切りを希望する理由やその背景を詳しく解説します。
墓じまいをするなど納骨する場所がない
遺骨を収める場所というと、お墓を第一選択に考える方が多いでしょう。しかし、お墓がなく納骨する場所がないと、遺骨の残らない焼き切りを検討される方もいらっしゃいます。
先祖のお墓が遠方にある、お墓を管理できる人がいないなどの理由で、墓じまいを検討している人も少なくありません。新しくお墓を建てる必要がある場合も、費用がかかることや、やはり管理できる人がいないなどの問題があります。
先祖の遺骨は、永代供養や納骨堂、散骨などさまざまな方法で供養できます。同じように、故人の遺骨も先祖の遺骨と同じように別の場所で供養することもあれば、そもそも遺骨の残らない焼き切りを選択する遺族もいます。
なお、お墓を持たない場合や葬儀をしないなどの供養方法についてはこちらの記事でも紹介しています。
遺骨の管理が難しい
お墓がない場合などは、納骨堂に収める、散骨するなどの方法が取られます。しかし、遺骨を引き取ったとしても、自宅に遺骨を保管する場所がないなど、管理を続けることが難しい場合があります。
また、現在は管理できていても、将来的に転居や遺族の高齢化などによって遺骨の管理が難しくなることを心配する人もいるでしょう。遺骨を引き継ぐ人がいない場合など、将来の管理まで考えたうえで、焼き切りを希望するケースもあります。
故人との関係が希薄で遺骨を引き取ることが難しい
故人と長く疎遠になっていたなどの事情から、遺骨を引き取って管理することが難しい場合もあります。親族であっても、故人との関係や家庭の事情によって、遺骨を引き取ることに負担を感じることはあるでしょう。
民法上は、故人が口頭や遺言書などで指名した人や祭祀承継者が遺骨を引き取るのが通例ですが、強制力はありません。引き取りを拒否することもありますが、個人で勝手に遺骨を廃棄することはできないため、適切な方法で供養する必要があります。
供養することも負担である場合、焼き切りをして火葬場で処理してもらいたいと考えることが多いでしょう。
焼き切りを依頼するときの注意点
焼き切りを希望する場合は、火葬場が対応しているかどうかだけでなく、費用や必要な手続きなども事前に確認しておくことが大切です。また、焼き切りを行った後は遺骨を元に戻せないため、親族とも相談したうえで決めましょう。
事前に対応の可否を確認する
焼き切りを希望する場合は、火葬の予約をする際などに、火葬場へ対応できるかどうかを事前に確認しましょう。すべての火葬場が焼き切りに対応しているわけではありません。
また、焼き切りに対応している場合でも、申し込み方法や申請の時期などに決まりが設けられていることがあります。焼き切りは通常の火葬より時間を要する場合があり、火葬炉の性能や予約状況などによって対応できないことがあります。対応している火葬炉の使用状況やスケジュールを調整する必要があり、当日に伝えても対応が難しい場合が多いです。
利用する火葬場が決まったら、できるだけ早い段階で焼き切りを希望していることを伝え、必要な手続きについて確認しておきましょう。自分で火葬場に確認することが難しい場合は、葬儀社に依頼して対応の可否や申し込み方法を確認してもらえるか相談してみるといいでしょう。
費用や必要な手続きを確認する
焼き切りにかかる費用や必要な手続きは、火葬場によって異なります。焼き切りや遺灰の引き取りに、通常の火葬料金とは別に追加で費用が必要になることがあり、無料の場合もあれば6万円程度かかることもあり、火葬場によって異なります。焼き切り自体に対応していない施設もあるため、利用予定の火葬場へ確認してください。
また、焼き切りを希望することや遺骨の引き取りを拒否するために、誓約書や同意書の提出などが必要になる場合があります。費用だけでなく、いつまでに申し込む必要があるのか、どのような手続きが必要なのかもあわせて確認しておくと安心です。
一度焼き切ると遺骨を元に戻せない
焼き切りを行うと遺灰になるため、通常の火葬のように遺骨を納骨したり、自宅で手元供養したりすることはできなくなります。そのため、焼き切りを依頼する前に、今後遺骨をどのように扱うのかをよく考えておく必要があります。
特に、故人の遺骨をどのように扱うかについては、親族によって考え方が異なる場合が少なくありません。親族のなかで意見が割れて、焼き終えた後に「遺骨を残しておけばよかった」と思っても、元の状態に戻すことはできません。
後から親族間でトラブルになることを避けるためにも、焼き切りを希望する理由やその後の遺骨の扱いについて、事前に親族と相談しておきましょう。
焼き切りができない場合はどうする?
焼き切りを希望していても、利用する火葬場が対応していない場合はどうすればよいのでしょうか。ここでは、焼き切りができない場合の主な選択肢を紹介します。
火葬場に遺骨の引き取りについて相談する
焼き切りに対応していない火葬場でも、火葬後の遺骨の引き取りや、その後の取り扱いについて相談できる場合があります。遺骨を引き取ることが難しい事情がある場合は、まず火葬場に相談してみましょう。
自治体や火葬場によって、遺骨の取り扱いや必要な手続きなどは異なります。自分で処分する方法を考える前に、火葬場や葬儀社に事情を伝え、どのような対応ができるのか確認することが大切です。
永代供養を利用する
永代供養とは、寺院や霊園などが遺族に代わって遺骨を供養・管理するお墓のひとつです。先祖のお墓を継ぐ人がいない場合や、自分でお墓や遺骨を管理することが難しい場合などに利用されています。お墓を新たに建てるよりも、費用を抑えられることも多いです。
永代供養では、遺骨を一定期間個別に安置してから、他の人々の遺骨と一緒に供養する「合祀」に移す形式があります。また、最初から合祀する形式もあります。
供養の方法や遺骨を個別に安置する期間、費用などは施設によって異なるため、利用する前に確認しておきましょう。
納骨堂を利用する
納骨堂とは、遺骨を納めて供養するための施設です。墓石を建てる必要がなく、都市部にも多く設けられています。納骨堂には、1人用、夫婦用、家族用など、納める人数に合わせたタイプがあります。また、ロッカー型や仏壇式など、遺骨を納めるスペースの形式もさまざまです。
墓石を建てる一般的なお墓と比べて、墓石の掃除や草むしりなどの管理をする必要がないため、お墓の管理に負担を感じている場合にも選ばれています。屋内の施設も多く、天候を気にせずお参りできるのもメリットのひとつです。
散骨する
散骨とは、遺骨を細かく砕いて粉末状にし、海や山などにまく方法です。お墓を持たず、自然に還す形で供養したい場合などに選択される方法のひとつです。
散骨を行う場合は、どこでも自由に遺骨をまいていいわけではありません。条例などによって規制されていることもあります。遺骨の粉砕や散骨場所などルールも多いため、専門の業者に依頼するといいでしょう。また、散骨後は遺骨を回収できないため、家族や親族と相談したうえで決めることも大切です。
手元供養する
お墓や仏壇がないから焼き切りを考えているが、可能であれば遺骨を残す形で供養したいという方に選ばれているのが手元供養です。遺骨を自宅などで保管し、身近な場所で故人を供養します。
小さな骨壺やアクセサリー、キーホルダーなど専用の容器を使えば、限られたスペースでも遺骨を保管できます。お墓を建てるほど費用もかからず、自宅で故人を身近に感じながら供養したいという方に向いています。
火葬の焼き切りに関するよくある質問
ここまで焼き切りを希望する際の注意点や、焼き切りできない場合の供養方法についてご紹介しました。ここでは、実際に焼き切りや遺骨の管理をするうえでのよくある質問を紹介します。
遺骨を自分で捨ててもいい?
遺骨がいらない場合でも、遺骨を一般ごみとして捨てるなど自己判断で遺棄したり、墓地以外の場所へ勝手に埋蔵したりしてはいけません。刑法第190条の「死体損壊等」の罪では、「死体、遺骨、遺髪又は棺に納めてある物を損壊し、遺棄し、又は領得した者は、三年以下の拘禁刑に処する。」と定められています。
遺骨の引き取りや納骨が難しい場合でも、自己判断で処分するのではなく、まずは火葬場や葬儀社に相談しましょう。永代供養や納骨堂、散骨など、状況に応じた方法があります。
他の市町村で焼き切りできる火葬場を探してもいい?
故人が住んでいた市町村の火葬場で焼き切りができない場合、他の市町村にある火葬場を探す方もいらっしゃるでしょう。市外住民でも利用できる場合がありますが、市内住民と市外住民で火葬料金が異なることもあります。また、混雑状況などによって利用できない場合もあります。
他の市町村の火葬場を利用する場合は、市外からでも利用できるか、料金はいくらか、焼き切りに対応しているかなどを事前に確認しましょう。自分で複数の火葬場を探すことが難しい場合は、利用できる火葬場や焼き切りの対応状況について、葬儀社に確認してもらえるか相談してみる方法もあります。
なお、住民票のある地域以外での火葬について詳しく知りたい方はこちらの記事も参考にしてください。費用の相場や、手続きについても紹介します。
焼き切りや葬儀についてわからないことがあれば葬儀社に相談を
焼き切りを希望する場合は、対応している火葬場や費用、必要な手続きなどを事前に確認する必要があります。また、焼き切りができない場合は、遺骨をどのように扱うかについても考えておかなければなりません。
火葬場によって対応や条件が異なるため、自分で確認することが難しい場合は、葬儀社に相談するとよいでしょう。
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