華厳宗(けごんしゅう)は、奈良の東大寺にある大仏の「毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)」をご本尊として祀っている仏教宗派です。華厳宗では、葬儀などの宗教儀礼を行わないとされているため、「葬儀はしないのか」「葬儀をする場合はどうしたらいいのか」と疑問に思う方もいるでしょう。
本記事では、華厳宗を信仰している場合に葬儀は行えるのか、どのような方法があるのかを紹介します。華厳宗の基本的な教えや、お墓・法要などについても解説しますので、華厳宗の葬儀について知りたい方はぜひ参考にしてください。
この記事を要約すると
- 華厳宗は南都六宗の一つで、経典の研究や教えの理解を重視する宗派であり、独自の葬儀などの宗教儀礼は行わないとされています。そのため、葬儀は直葬や無宗教葬、または真言宗など他の宗派に依頼して行うことが一般的です。
- お墓や法要についても華厳宗独自の決まりはなく、永代供養や納骨堂などを含めて柔軟に選択でき、葬儀を依頼した寺院や僧侶に相談しながら進めるのが一般的です。
- 戒名については、宗派そのものではなく葬儀の形式や依頼する僧侶によって授かるかどうかが決まり、仏式の場合は授けられることが一般的です。また戒名料は内容や寺院によって幅があります。
そもそも華厳宗とは?
華厳宗は、中国・唐の時代に生まれた仏教宗派の一つです。開祖は杜順(とじゅん)で、3代目にあたる審祥(しんじょう)が奈良時代に日本へ伝えました。本山は、聖武天皇の発願によって建立された東大寺で、奈良の大仏として知られる毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)をご本尊としています。
- 開祖:杜順
- 本山:東大寺
- 経典:華厳経
- ご本尊:毘盧遮那仏
- 教え:四法界(しほっかい)
華厳宗は南都六宗のひとつ
南都六宗とは、奈良時代に成立した6つの仏教の学派の総称です。華厳宗のほか、倶舎宗(くしゃしゅう)、成実宗(じょうじつしゅう)、律宗(りっしゅう)、法相宗(ほっそうしゅう)、三論宗(さんろんしゅう)があります。
「南都」は奈良を指し、奈良を中心に仏教の教えや経典の研究を重視して発展したことから、「南都六宗」と呼ばれています。現在、日本に残る南都六宗は、華厳宗・法相宗・律宗の3つです。
華厳宗の教えは四法界
華厳宗は、「華厳経」を根本経典とし、高度な哲学的内容を含むことから、仏教の中でも難解な教えの一つとされています。
華厳宗には、「四法界(しほっかい)」という考え方があり、「事法界(じほっかい)」「理法界(りほっかい)」「理事無礙法界(りじむげほっかい)」「事事無礙法界(じじむげほっかい)」の4つから成り立っています。
この教えでは、あらゆるものは縁によって互いにつながり、影響し合いながら存在していると考えられています。そのため、華厳宗では自分本位ではなく、物事をありのままに受け止めることを重視しています。
華厳宗では葬儀などの宗教儀礼は行わない
華厳宗を含む南都六宗では、葬儀や祭礼などの宗教儀礼は行わないとされています。これは、経典の研究や教えを学ぶことを目的とした学派として発展したためです。
華厳宗では、教えを体系的に研究することが重視されてきました。一方で、葬儀や法要などの宗教儀礼を執り行う文化は発展しなかったため、独自の葬儀の作法はありません。
ただし、華厳宗では葬儀を行ってはいけないという決まりがあるわけではありません。葬儀を行う場合は、故人や遺族の意向に合わせた方法を選ぶことが大切です。
華厳宗でも葬儀を行うには
ご家族など大切な方が亡くなった際、華厳宗を信仰していたとしても、葬儀を行いたいと考える方は多いでしょう。華厳宗には独自の葬儀の作法はありませんが、他の宗派で葬儀を行う方法や、無宗教葬・直葬を選ぶ方法があります。
ここでは、華厳宗を信仰している方が葬儀を行う主な方法について解説します。
他の宗派で葬儀を依頼する
華厳宗には独自の葬儀儀礼が確立されていないため、実際の葬儀では他の宗派の僧侶に読経や儀式を依頼することがあります。その場合、葬儀の流れや読経、焼香などは、依頼した宗派の作法に沿って執り行われます。
なかでも、真言宗の僧侶に依頼されることが少なくありません。華厳宗と真言宗に直接的な宗派上のつながりがあるわけではありませんが、思想的な親和性があることや、真言宗の寺院数が多く葬儀を依頼しやすいことなどが理由とされています。
他宗派で葬儀を依頼するときの注意点
華厳宗の方が他宗派の作法で葬儀を行う場合は、どの宗派の僧侶に依頼するかを早めに決めておくことが大切です。実際の手配は、葬儀社を通じて行われることが一般的です。
また、葬儀の内容や依頼する宗派については、家族や親族と事前に共有し、認識をそろえておきましょう。読経の内容や葬儀の進め方、焼香の作法などは宗派によって異なるため、希望がある場合は事前に相談しておくと安心です。
あわせて、お布施の目安や寺院との付き合い方についても確認しておくことをおすすめします。寺院や地域によって考え方が異なるほか、お墓の受け入れに檀家となることを条件としている寺院もあるためです。
なお、弊社では菩提寺(お付き合いのあるお寺)がない方に向けて、お坊さんのご手配を承っております。全国一律価格で、読経や戒名・御車代も含まれたお布施となっております。
また、葬儀後に檀家になる必要はないためご安心ください。
無宗教葬を行う
華厳宗の方が葬儀を行う選択肢の一つとして選ばれているのが無宗教葬で、自由葬ともいわれています。形式にとらわれず自由に葬儀を演出できる点が特徴です。
無宗教葬のメリット・デメリット
無宗教葬は、特定の宗教に縛られない葬儀形式で、宗教そのものを否定するものではありません。焼香や読経などの儀式を取り入れることも可能で、希望に応じて柔軟に内容を決めることができます。
宗教者を呼ばない場合は、僧侶へのお布施や戒名料などが不要となります。また、故人が好きだった音楽を流したり、思い出の映像を上映したりするなど、故人や遺族の想いを反映した葬儀にすることもできます。
一方で、身近な方だけで静かに行われることが多い反面、内容を一から決める必要があるため準備に手間がかかることがあります。また、親族の理解が得にくいこともあり、注意が必要です。
無宗教葬の注意点
無宗教葬は形式の自由度が高い一方で、葬儀内容によって費用に幅が出やすい点があります。生演奏や映像上映のためのスクリーンなど、演出に必要な設備を追加すると、その分費用が上がる傾向があります。
また、使用料が比較的安価な公民館や寺院ではなく、民間の専門式場を利用するケースが多くなることも、費用が高くなる要因の一つです。
さらに、読経や映像などの儀式や演出がない場合は、時間が短くなり、あっという間に終わってしまったと感じるかもしれません。華厳宗に葬儀の形式がないからといって、費用面だけで無宗教葬を選ぶのではなく、納得できるお別れの形を考えることが大切です。
また、無宗教であっても服装や香典に関する一般的なマナーは存在します。参列時はダークスーツなどの平服を着用し、普段着での参列はマナー違反とされています。
無宗教葬のマナーや注意点について詳しく知りたい方は、こちらの記事をご参照ください。
宗教儀礼を伴わない「直葬」を行う
直葬とは、通夜や葬儀などの宗教儀式を行わず、火葬のみでお見送りする形式の葬儀です。焼香なども行わない非常にシンプルな形式で、近年は選ばれるケースが増えています。華厳宗に限らず、全国的に広がっている葬儀形式の一つです。
直葬のメリット・デメリット
直葬では、ご遺体を安置場所から火葬場へ直接搬送し、火葬を行います。準備にかかる時間が短く、費用を抑えられる点が大きなメリットです。また、身内だけで静かに見送りたい場合や、遺族が高齢で葬儀の負担を軽くしたい場合にも選ばれています。
一方で、儀式的なお別れの時間が短くなるため、「気持ちの整理がつきにくい」と感じることもあります。家族や親族の理解が得られないケースもあるため、事前に話し合いをしておくことが大切です。
直葬の流れ
基本的な直葬の流れは以下のとおりです。
- ご逝去
- ご遺体の搬送・安置
- 火葬
- 収骨
病院やご自宅でお亡くなりになった後、寝台車で安置施設へ搬送されます。その後、火葬までの間はご遺体を安置し、お身体を整えるケア(エンゼルケア)などが行われます。
法律により、死亡から24時間以上経過しなければ火葬は行えないため、その間にご家族でお別れの時間を過ごします。火葬当日は火葬場へ移動し、炉前で短いお別れの時間を設けた後、火葬が行われます。火葬後はご遺骨を収骨し、直葬の一連の流れが終了します。
直葬についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。直葬の詳しい流れや所要時間、費用の目安、注意点などについて詳しく解説しています。
なお、弊社では直葬形式にも対応しております。必要なものを厳選したセットプランでの直葬を全国に提供しておりますので、相場よりも抑えた価格で執り行えます。
華厳宗の葬儀やお墓についてよくある質問
実際に華厳宗の方が葬儀を行う場合、他にも疑問に感じる点があるかもしれません。ここでは、華厳宗の葬儀やお墓に関するよくある質問について解説します。
華厳宗には檀家制度はある?
檀家制度とは、江戸時代に始まった制度で、法事やお墓の管理、供養などを菩提寺に任せる仕組みのことです。華厳宗を含む南都六宗には、この檀家制度はありません。
檀家は寺院の運営を支えるためにお布施を行い、その代わりに優先的に供養などの対応を受けることができます。ただし、先祖のお墓が遠方にある場合などは、供養や管理の面で負担になることもあります。また近年では、檀家制度そのものを維持する寺院は減少傾向にあります。
華厳宗でも戒名は授かれる?
戒名とは、故人が仏の弟子になった証として授けられる名前です。宗派によっては「法名」や「法号」と呼ばれることもあります。
華厳宗には独自の戒名制度があるわけではありません。しかし、実際の葬儀では他宗派の僧侶に読経や儀式を依頼することも多く、その場合は依頼先の宗派の作法に従って戒名が授けられるのが一般的です。
そのため、戒名を授かる予定がある場合は、事前に僧侶や葬儀社へ確認しておくと安心です。また、戒名にはお布施の一部として費用が必要になることが多いため、あわせて確認しておきましょう。
なお、戒名に関する費用は寺院や地域によって異なりますが、一般的には30万〜50万円程度がひとつの目安とされています。ただし、戒名の位号や寺院との関係性、地域の慣習などによっては、さらに高額になる場合もあります。
華厳宗の信者のお墓や法要は?
華厳宗には檀家制度がなく、独自の墓地制度や法要の仕組みはありません。そのため、お墓を建てる場合は、他の宗派の寺院に供養や法要を依頼するケースが一般的です。
また、お墓を持たずに永代供養墓や納骨堂、樹木葬、手元供養などを選ぶ方もいます。寺院墓地だけでなく、公営・民営霊園を利用することもできるため、故人やご家族の希望、費用などに応じて供養方法を選ぶとよいでしょう。
法要についても、葬儀を依頼した寺院や僧侶に依頼することが一般的です。四十九日法要や一周忌、三回忌などの年忌法要も、依頼した寺院や僧侶の作法に沿って行われます。
華厳宗でも葬儀を行う場合は葬儀社に相談を
華厳宗には独自の葬儀の作法がありません。他宗派で葬儀を行う場合や、無宗教葬、直葬など、故人やご家族の希望に合わせて葬儀形式を選ぶことになります。葬儀の形式や依頼先に迷った場合は、早めに葬儀社へ相談しておくとよいでしょう。
弊社では、価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代に合わせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。
