葬儀の準備を進めるなかで「葬儀費用の負担が思った以上に重い」「どの補助金制度を使えばいいのかわからない」と悩んでいる方は多いのではないでしょうか。
実は、故人が加入していた医療制度などに応じて、葬儀費用の一部を補ってくれる公的な補助金制度がいくつもあります。
そこで、本記事では葬儀でもらえる補助金の種類・申請方法・対象外となるケースまで詳しく解説します。申請期限を過ぎると受け取れなくなる制度もあるため、葬儀の費用負担を少しでも軽くしたい方はぜひ参考にしてみてください。
この記事を要約すると
- 葬儀でもらえる補助金には、国民健康保険の葬祭費・後期高齢者医療制度の葬祭費・健康保険の埋葬料・生活保護の葬祭扶助・労災保険の葬祭料の5種類があります。
- 申請先は、故人が住んでいた市区町村役場や勤務先の健康保険窓口です。葬儀の領収書・本人確認書類・振込口座情報などを提出することで、おおむね1〜2ヵ月後に指定口座へ補助金が振り込まれます。
- 葬祭を行った日の翌日から2年を過ぎると時効により申請できなくなるほか、故人が公的医療保険に未加入だった場合や保険料未納がある場合は対象外となることもあるため注意が必要です。
葬儀でもらえる補助金の種類
ここでは、葬儀でもらえる補助金について以下の5つの制度を紹介します。
- 国民健康保険の葬祭費
- 後期高齢者医療制度の葬祭費
- 健康保険(協会けんぽ・組合健保)の埋葬料・埋葬費
- 生活保護受給者向けの葬祭扶助
- 労災保険の葬祭料(葬祭給付)
国民健康保険の葬祭費
国民健康保険の葬祭費は、亡くなった人が死亡時に国民健康保険へ加入していた場合に、葬儀や火葬などを行った人へ支給される補助金です。支給額は自治体によって異なり、2〜7万円程度が目安です。
申請先は、申請者の住所地ではなく、亡くなった人が住んでいた市区町村の国民健康保険を担当する窓口である点に留意しましょう。
必要書類は以下のとおりです。
- 葬儀の領収書や会葬礼状など葬祭を行ったことがわかる書類
- 本人確認書類
- 振込口座がわかるもの など
原則として葬祭を行った日の翌日から2年以内に申請する必要があります。
葬祭費については、以下の記事も参考にしてみてください。
後期高齢者医療制度の葬祭費
後期高齢者医療制度の葬祭費は、75歳以上などの後期高齢者医療制度の被保険者が亡くなったときに、葬祭を行った人へ支給される補助金です。
支給額は、広域連合や自治体の公式案内で5万円としているケースがよく見られます。
一方で、東京都の品川区や目黒区などの一部の区のように、7万円としている自治体もあります。
国民健康保険の葬祭費との違いは、亡くなった人が加入している医療制度で判断する点です。
| 亡くなった人が加入していた医療制度 | 申請する制度 |
|---|---|
| 国民健康保険 | 国民健康保険の葬祭費 |
| 後期高齢者医療制度 | 後期高齢者医療制度の葬祭費 |
申請先は、亡くなった人が住んでいた市区町村の後期高齢者医療担当窓口が基本であり、必要書類や郵送・オンライン申請の可否は自治体ごとに確認しておきましょう。なお、申請時には葬儀の領収書や会葬礼状などで、喪主であることを示せるようにしておく必要があります。
健康保険(協会けんぽ・組合健保)の埋葬料・埋葬費
会社員などが加入する健康保険では、被保険者や被扶養者が業務外の理由で亡くなった場合、葬儀費用の負担を補う給付として埋葬料・埋葬費・家族埋葬料があります。
それぞれの違いは、以下のとおりです。
| 名称 | 対象となるケース | 申請できる人 | 支給額 |
|---|---|---|---|
| 埋葬料 | 被保険者が亡くなった | 被保険者により生計を維持されていた人 | 5万円 |
| 埋葬費 | 被保険者が亡くなり、生計を維持されていた人がいない | 実際に埋葬を行った人 | 5万円の範囲内で実際にかかった費用 |
| 家族埋葬料 | 被扶養者が亡くなった | 被保険者本人 | 5万円 |
なお、退職後でも、被保険者だった人が資格喪失後3ヵ月以内に亡くなった場合などは、資格喪失後の給付として埋葬料または埋葬費を申請できることがあります。申請先は、協会けんぽ加入者なら加入していた協会けんぽ支部、組合健保加入者なら加入していた健康保険組合の案内に従いましょう。
生活保護受給者向けの葬祭扶助
生活保護受給者向けの葬祭扶助は、葬儀費用を負担できない場合に火葬や遺体の運搬など最低限必要な葬祭費用を支える制度です。
生活保護法では、検案や死体の運搬・火葬または埋葬・納骨その他葬祭のために必要なものが葬祭扶助の対象とされています。通夜や告別式を含む一般的な葬儀費用を広く補助する制度ではありません。
支給額は地域区分によって異なり、厚生労働省の2026年4月施行資料によると基準額は以下のとおりです。
| 級地別 | 大人 | 子ども |
|---|---|---|
| 1級地及び2級地 | 22万2,000円以内 | 17万7,600円以内 |
| 3級地 | 19万4,300円以内 | 15万5,400円以内 |
葬祭扶助制度の利用を検討する場合は、葬儀社に正式に依頼する前に自治体の福祉事務所や生活支援課へ相談し、対象可否や手続きの流れを確認してから進めるのが無難です。
葬祭扶助制度については、以下の記事を参考にしてみてください。
労災保険の葬祭料(葬祭給付)
労災保険の葬祭料・葬祭給付は、業務または通勤が原因となった傷病により労働者が亡くなり、葬祭を行ったときに支給される給付です。
業務災害の場合は「葬祭料」、通勤災害の場合は「葬祭給付」と呼ばれ、複数業務要因災害の場合は「複数事業労働者葬祭給付」として扱われます。支給対象は遺族に限られず、通常は葬祭を行うにふさわしい遺族であり、葬祭を執り行う遺族がなく会社が社葬を行った場合は会社も対象になり得ます。
請求先は、亡くなった労働者が所属していた事業場を管轄する労働基準監督署です。
2026年3月以前の支給額は、原則として「31万5,000円+給付基礎日額30日分」であり、その額が給付基礎日額60日分に満たない場合は給付基礎日額60日分でした。厚生労働省資料によると、2026年4月1日から定額部分が33万円に改められました。(参考:葬祭料、複数事業労働者葬祭給付及び葬祭給付の額の改正について|厚生労働省)
給付基礎日額は、原則として事故前の賃金をもとにした1日あたりの平均賃金に相当する額です。実際の葬儀費用そのものではなく、亡くなった人の賃金水準をもとに計算されます。
葬儀の補助金(後期高齢者医療制度の葬祭費)の申請方法
後期高齢者医療制度の葬祭費は、被保険者が亡くなったときに、葬祭を行った人へ支給される給付です。
国民健康保険にも葬祭費はありますが、申請窓口や必要書類は自治体ごとに異なります。また、会社員本人や健康保険の被扶養者だった人が亡くなった場合は、葬祭費ではなく健康保険の埋葬料・埋葬費・家族埋葬料を確認する必要があります。
ここでは、代表的なケースとして後期高齢者医療制度の葬祭費を申請する流れを以下のステップに分けて紹介します。
- 市区町村役場に申請する
- 必要書類を準備する
- 申請書を記入して窓口または郵送で提出する
- 支給までの期間(1〜2ヶ月)と振込のタイミングを把握する
1. 市区町村役場に申請する
後期高齢者医療制度の葬祭費は、葬祭を行った人が、故人が住んでいた市区町村の後期高齢者医療制度担当窓口へ申請する給付です。
喪主以外の口座へ振り込む場合や領収書名義と振込名義が異なる場合は、委任状などを求められるケースがあります。そのため、家族が代わりに手続きする場合は窓口へ事前に確認しておくとよいでしょう。
2. 必要書類を準備する
後期高齢者医療制度の葬祭費を申請するときは、葬祭費支給申請書や故人の資格確認書等、葬儀を行った人の本人確認書類、振込先口座がわかるものを準備します。
たとえば、大阪市では、申請書や葬儀の領収書・申請者の本人確認書類・申請者が葬祭を行ったことを確認できるもの、申請者の口座情報を必要書類として案内しています。
神戸市では、喪主が確認できるものとして会葬礼状や葬祭の領収書が挙げられており、喪主以外が申請または受領する場合は委任状や来庁者の本人確認書類も必要です。
このように、必要書類は市区町村によって異なるため、申請前に故人が住んでいた市区町村において必要な書類を確認しましょう。
3. 申請書を記入して窓口または郵送で提出する
次に、葬祭費支給申請書に必要事項を記入し、故人が住んでいた市区町村の担当窓口、または郵送で提出します。
申請書には、以下の項目を記入します。
- 故人の情報や申請者である喪主の氏名
- 住所・連絡先
- 葬祭を行った日
- 振込先口座 など
振込先は喪主名義の口座が原則で、葬祭を行った人や申請者と口座名義人が異なる場合は委任状が必要です。郵送する場合は、申請書に加えて、領収書や会葬礼状や口座情報・本人確認書類など自治体が指定する書類を同封します。
不備があると確認に時間がかかるため、提出前に記入漏れと名義の一致を確認しておきましょう。
4. 支給までの期間(1〜2ヶ月)と振込のタイミングを把握する
後期高齢者医療制度の葬祭費は、申請後すぐに現金で受け取れるものではなく、審査後に葬祭を行った人の口座へ振り込まれます。振込時期は自治体の処理状況によって差があります。
振り込みのタイミングは、申請後1〜2ヵ月程度を目安とされることが多いため、葬儀費用の支払い直後に入金されるとは期待しないほうがよいでしょう。支給が遅れる主な原因は、申請書の記入漏れや喪主名義と振込口座名義の不一致・領収書や会葬礼状などの確認書類の不備です。
振込先は葬祭執行者本人の口座が原則で、別名義の口座を指定する場合は委任状が必要になるケースがあります。そのため、申請後の入金を待って葬儀費用を支払うのではなく、まずは立て替えや支払い予定を整理し、申請書類に不備がない状態で早めに提出することが大切です。
葬儀の補助金(葬祭費)がもらえない・対象外となるケース
葬儀の補助金に関する主な対象外ケースは以下の4つです。
- 申請期限(2年)を過ぎてしまった
- 火葬や葬儀を行っていない
- 第三者から葬儀費用の損害賠償を受けた
- 健康保険料に未納期間があった
これらのケースにどのように対処できるか、順を追って解説します。
申請期限(2年)を過ぎてしまった
葬祭費は、原則として葬祭を行った日の翌日から2年を過ぎると時効となり、申請できなくなります。例外的な救済措置については、自治体の公式案内では基本的に示されておらず、期限を過ぎると時効により支給されません。
気づいた時点でできるのは、まず葬儀日と火葬日・領収書の日付・故人の加入保険を確認し、故人の住所地の市区町村や後期高齢者医療担当窓口に期限内かどうかを確認することです。期限内であれば、会葬礼状や領収書・振込口座・資格確認書などをそろえて早めに申請しましょう。
期限超過が疑われる場合でも、日付の数え方や別制度の対象可能性を自己判断せず窓口へ確認するとよいでしょう。
火葬や葬儀を行っていない
葬祭費は、故人が亡くなっただけで自動的に支給されるものではなく、葬祭を行った人に支給される給付金です。火葬代の領収書や火葬・埋葬証明書も喪主確認書類に含めています。そのため、通夜や告別式を行わない直葬・火葬式でも、火葬を含む葬祭を行ったことを必要書類で確認できればよいでしょう。
つまり、補助金の対象になるかどうかは「火葬・埋葬を含む葬祭を誰が行い、その事実を領収書などで確認できるか」という点で判断されます。火葬や葬儀をまったく行っていない、または自治体や別の人が行ったため自分が葬祭執行者でない場合は、葬祭費の申請者にはなれない可能性が高いことに注意しましょう。
第三者から葬儀費用の損害賠償を受けた
交通事故や傷害事件など、第三者の行為が原因で亡くなった場合でも、葬祭費を必ず受け取れるとは限りません。第三者から葬祭にかかる費用について賠償を受ける場合は葬祭費を支給しないと案内している自治体が多いです。
同じ葬儀費用について、加害者側の自賠責保険や損害賠償と公的な葬祭費が二重に補填されるのを避けるためです。申請書で死亡原因が交通事故や暴行などの第三者行為に当たる場合は隠さず記入し、示談や保険金の受け取り状況についても申請先の自治体へ確認・申告する必要があります。
第三者から葬儀費用の賠償を受けた、またはこれから受ける可能性がある場合は、葬祭費を申請する前に、故人が加入していた医療制度を担当する窓口へ相談しましょう。
健康保険料に未納期間があった
国民健康保険や後期高齢者医療制度の保険料に未納がある場合でも、葬祭費が対象外になるケースがあります。自治体によっては、保険給付の全部または一部を差し止めたり、葬祭費を未払いの保険料に充当したりして対応しています。
未納分を支払うことで申請できるかどうかは、自治体の判断によります。まずは、納付状況を確認し、完納または納付相談をしたうえで申請しましょう。
葬儀の補助金についてよくある質問
葬儀の補助金について、よく寄せられる質問は以下の2つです。
- 葬儀の補助金はいつ振り込まれますか?
- 葬祭費補助金制度はいつまでですか?
それぞれ詳しく見ていきましょう。
葬儀の補助金はいつ振り込まれますか?
葬祭費は、申請してすぐ窓口で受け取るものではなく、申請内容の確認後に指定口座へ振り込まれます。振込時期は自治体によって異なりますが、実際に入金されるまでは1〜2ヵ月程度を見込んでおきましょう。
書類の不備や内容確認があると支給が遅れる場合があるため、申請前に領収書や会葬礼状・振込先口座などをそろえておくことが大切です。
葬祭費の補助金制度はいつまでですか?
葬祭費は、制度そのものに一律の終了期限があるというより、申請できる期限があります。多くの自治体では、葬祭を行った日の翌日から2年以内が申請期限とされ、2年を過ぎると時効により申請できなくなります。
後期高齢者医療制度の葬祭費でも、同じく2年以内と案内しているため、葬儀後は領収書や会葬礼状を保管し、早めに担当窓口へ確認しましょう。
葬儀の補助金を活用して費用負担を抑えよう
葬儀の費用は、公的な補助金制度を活用することで経済的な負担を軽減できます。
故人が加入していた医療制度や状況に応じて、葬祭費・埋葬料・葬祭扶助・労災保険の葬祭料など、利用できる制度が異なります。申請には葬儀の領収書や会葬礼状・本人確認書類などが必要であり、申請期限は葬祭を行った日の翌日から2年以内が原則です。
期限を過ぎると時効により申請できなくなるため、葬儀後はできるだけ早めに故人の住所地の市区町村窓口や勤務先の健康保険担当へ相談することが大切です。本記事を参考に、利用できる補助金制度を確認し、落ち着いて手続きを進めていきましょう。
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