大切なご家族を見送る準備を進めるなかで、「死化粧」という言葉を初めて知った方は多いのではないでしょうか。死化粧は、故人の表情や身だしなみを整え、生前に近い穏やかな姿でお別れできるように仕上げる大切なケアのひとつです。
今回は、これから葬儀の準備を始める方向けに、エンゼルケアの後に行われる死化粧について詳しく解説します。死化粧が行われる目的や流れ、遺族が参加を希望する場合のマナーを知り、いざというときに備えましょう。
この記事を要約すると
- 死化粧は、亡くなった方の髪を整えたりメイクを施したりする処置を指します。一般的には、エンゼルケアの後に一連の流れとして行います。
- 死化粧には、故人の尊厳を守る・生前の姿に近付ける・遺族の心理的負担を軽減するといった目的があります。
- 処置の際はエンゼルケアの後に全身の清拭を行い、衣服を着替えた後に整髪とメイクを行います。華美に仕上げるのではなく、故人の年齢に合った自然な表情を引き出すことがポイントです。
死化粧とは?
死化粧は、亡くなった方の表情や身だしなみを整えるために行う処置で、ラストメイクとも呼ばれています。全身を清潔に拭き、髪を整えたり髭を剃ったりするなどのケアを行ったあと、専用の化粧パレットやメイク用品を使ってメイクを施します。
死化粧は単にきれいに見せるためのものではなく、その人らしい自然な表情を引き出すことが目的です。顔色を整えながら肌の血色感を引き出し、生前のような穏やかな表情に仕上げることで、遺族が安心してお別れすることができます。
エンゼルケアとの違い
エンゼルケアは、亡くなった直後に看護師が行う医療的な処置を指し、死化粧とは役割が異なります。点滴やチューブなどの医療器具の取り外し・体内に残った内容物の除去・口腔ケア・全身の消毒・傷跡の縫合や治療痕の手当てなどが行われます。
エンゼルケアはご遺体の腐敗や異臭発生を防ぐ目的で行われるもので、ご遺体を衛生的に保つために欠かせない処置の1つです。故人が病院で亡くなった場合は、エンゼルケアを終えた後に死化粧を行うのが一般的です。
湯灌との違い
湯灌は故人のご遺体をお風呂に入れて全身を洗い清める儀式で、エンゼルケアや死化粧における「清拭」の代わりに行うケースがあります。この儀式には、故人の髪や体を丁寧に洗うことで、この世での苦しみや煩悩を洗い流すという仏教的な意味が込められています。
一般的な入浴の際にはお湯に水を加えて水温を調整しますが、湯灌では水に熱湯を加えて温度を調整する「逆さ水」という方法を用いるのが特徴です。
エンバーミングとの違い
エンバーミングは、ご遺体の腐敗を防ぎ、長期間清潔に安置するために行われる科学的処置です。全身の消毒や洗浄の後、体内の血液を抜いて代わりに防腐液を注入するほか、必要に応じてご遺体の修復も行います。この処置は、「エンバーマー」と呼ばれる認定資格を取得した技術者が専門施設で行います。
エンバーミングは、葬儀まで日数がある場合・空路でのご遺体搬送がある場合・ご遺体の損傷が激しい場合など、必要に応じて選択するのが一般的です。
死化粧を行う目的
死化粧の主な目的には、以下の3つがあります。
- 故人の尊厳を守るため
- 遺族が故人の死に向き合いながら心の整理をするため
- 故人の生前の姿に近付けてお別れするため
亡くなった直後のご遺体は顔色が変色しやすく、そのままでは生前の印象と大きく異なることがあります。死化粧を通して故人の姿を生前の状態へと近付けることで、故人の尊厳を守りながら、遺族が安心して最期のお別れができる状態へと整える目的があります。
また、死化粧は遺族が故人の死に向き合い、ゆっくりと気持ちを整理していく大切な時間です。故人のご遺体を整えながら、同時に遺族の心のケアを行うという役割も担っています。
死化粧を行うタイミング
死化粧は、エンゼルケアが終わった後に一連の流れとして行うのが一般的です。故人が病院で亡くなった場合は、エンゼルケアで医療器具の取り外しや衛生処置を行ったあと、整髪やメイクなどの見た目を整える工程へと移ります。なお、死化粧はエンゼルケアとは別のタイミングで行うこともできますが、必ず納棺を終える前に施す必要があります。
死化粧を施す人
死化粧を行う人に決まりはなく、亡くなった場所や遺族の希望によってさまざまです。病院で亡くなった場合は看護師、介護施設で亡くなった場合は介護士が担当することが多く、ほかにも納棺師・死化粧師・葬儀社スタッフなどに依頼できます。
近年は、遺族が自らの手で故人に死化粧を施すことも増えています。故人との最後の時間を大切にしたいという思いがある方は、参加を希望してみてはいかがでしょうか。
死化粧の一般的な流れ
死化粧は、エンゼルケアを行った後にそのままの流れで行うのが一般的です。
医療器具の抜去
はじめに、点滴やドレーンなどの医療器具を取り外します。ペースメーカーが装着されている場合は、このタイミングで抜去手術を行うのが一般的です。ご遺体に手術痕や外傷がある場合は、縫合や保護などの処置を施し、目立たない状態へと整えます。
排泄物や内容物の除去
体内に残った排泄物や内容物は時間の経過とともに異臭や腐敗の原因となるため、適切に除去する必要があります。一般的には腹部を軽く圧迫したり口や鼻から吸引したりする方法が用いられ、処置後に紙オムツやパッドをあてて体液の漏出を防ぎます。
口腔ケア
口腔ケアでは、口内に残った内容物を取り出して消毒を行います。歯ブラシ・ガーゼ・アルコールなどを用いて口内を拭った後、のどの奥にアルコールを含ませた綿を詰めて腐敗による臭いの発生を防ぎます。死後はあごの硬直が早く進むため、できるだけ迅速に口元の形を整えることが大切です。
全身の清拭
続いて、アルコールや専用の清拭剤を用いてご遺体の全身を丁寧に拭き上げ、清潔な状態に整えます。場合によっては、清拭の代わりに湯灌を行うこともあります。こちらの処置は病院や葬儀社によっては遺族の立ち会いや参加が可能なため、希望する場合は事前に申し出ておきましょう。
死後は皮脂の分泌が止まるため肌が乾燥しやすく、清拭後にはローションやクリームで保湿を行う必要があります。また、体液の漏出を防ぐために綿を詰める処置が行われることもあります。
衣服の着替え
清拭後は、納棺の際に着用する姿へと衣服を着替えます。仏式の葬儀の場合は、死装束と呼ばれる仏衣を着用するのが一般的です。死装束は故人が三途の川を渡ってあの世へと旅立つための正装で、白い着物と足袋・脚絆・手甲・数珠・六文銭・三角頭巾・草履・編み笠・金剛杖を身に付けます。襟を左前にし、帯は縦結びにするなど特有の着付け方法があるため、着付けに参加する場合は専門スタッフの指示に従いましょう。
なお、近年は死装束の代わりに生前に愛用していた服やエンディングドレスなどを着用するケースも増えています。納棺時に着用させたい衣服がある場合は、事前に葬儀社スタッフに申し出たうえで準備しておきましょう。
整髪・化粧
着替えを終えたら最後に整髪と化粧を行い、故人の表情を整えます。髪がベタついている場合はドライシャンプーで髪を清潔にし、ブラッシングで整えます。男性の場合は、必要に応じて髭剃りも行います。続いてメイクを施し、故人の肌色を整えて血色感を引き出したら完了です。
故人の肌は乾燥しやすいため、メイクの前に乳液などで肌を保湿することが大切です。また、頬が痩せている場合は含み綿を使って頬にふくらみを持たせたり、ご遺体に損傷がある場合には特殊メイクやプロテーゼを用いたりして、できるだけ自然な表情に近付けられるように工夫されます。なお、故人の遺髪や遺爪を残したい場合は、このタイミングで切って保管することが可能です。最後に手を合掌の形に整え、顔に白布をかけて全身にシーツを掛けます。
死化粧の費用相場
死化粧にかかる費用は、依頼先やケアの内容によって大きく異なります。
病院で行う場合
病院で行う死化粧は、亡くなった後の処置の一環として提供されることが多く、なかには無料で行ってもらえるケースもあります。有料の場合でも比較的安価で、一般的には3,000円〜1万5,000円程度が目安です。
ただし、死装束や浴衣などの衣服の提供や追加で行う処置内容によっては、料金が変動することもあります。病院でのケアは簡易的なものが多いため、より専門的なケアを希望する場合は、葬儀社へ依頼するのがおすすめです。
葬儀社に依頼する場合
葬儀社に死化粧を依頼する場合は、専門スタッフによるケアが行われるため、病院よりも費用が高くなる傾向があります。清拭が済んでいる状態で着替えと化粧のみを行う場合は5万円程度が目安で、さらに湯灌もセットで依頼する場合は8万円〜10万円程度が目安となります。
なお、弊社では清拭と死化粧をセットとしたプランや、死化粧に湯灌を加えたセットプランでも対応しております。葬儀も必要なものに厳選したわかりやすいセットプランで、全国に提供しておりますので、事前のご相談からお気軽にお問いわせください。
死化粧に立ち会う際の注意点
遺族が死化粧に立ち会う場合は、衛生面や進め方に注意が必要です。
エンゼルケアは病院に任せる
エンゼルケアは医療的な処置に該当するため、基本的には専門知識を持たない遺族が行うことはありません。点滴や医療器具の取り外し、体内処置などは感染症のリスクも伴うため、必ず医療スタッフに任せましょう。無理に参加しようとすると、衛生面の問題だけでなく、大切なご遺体を傷つけてしまう可能性もあるため注意が必要です
死化粧の希望ははっきり伝える
死化粧の仕上がりについて遺族の希望がある場合は、事前に担当者へ伝えておくことが重要です。故人の生前の好みや雰囲気、普段のメイクの特徴などを共有することで、よりその人らしい表情へと仕上がるでしょう。
宗教上の配慮や服装の希望などがある場合も、遠慮せずに伝えることが大切です。また、遺族が一部の工程に参加したい場合も、事前に申し出ておくことでスムーズに進めることができます。
ケアに参加する場合は医療関係者の指示に従う
遺族が死化粧に参加する場合は、ご遺体に触れたり動かしたりする作業が発生するため、必ず専門スタッフの指示に従いましょう。ご遺体は非常にデリケートな状態であり、無理な力を加えると損傷の原因になります。
特に顔や手などの目立つパーツは、慎重な取り扱いが必要です。スタッフに適切な方法を教えてもらいながら、丁寧かつ安全に作業を進めましょう。
感染症リスクを考慮する
死化粧に立ち会う際は、感染症対策に注意が必要です。必ずマスクや手袋を着用し、直接触れる場合は手指の消毒を徹底しましょう。また、死化粧で使用したコスメやブラシなどのツールは、衛生的な観点から再利用しないのが基本です。使い回しは避け、故人の形見として保管するという方法もあります。
故人の年代に合ったメイクを薄く施す
死化粧は必要以上に派手に仕上げることはなく、基本的には薄化粧で仕上げます。あくまで生前の姿に近づけることが目的であるため、故人の年齢や生前の雰囲気に合わせて自然な色味を選ぶのがポイントです。血色感のあるカラーや暖かみのあるトーンを選び、柔らかく穏やかな表情へと整えましょう。
ご遺体の損傷が激しい場合はエンバーミングを行う
事故や外傷などによってご遺体の損傷が激しい場合は、通常の死化粧だけでは自然な状態に整えることが難しいケースがあります。このような場合は、エンバーミングによってご遺体の修復や保存処置を行った後にメイクを施すことがあります。エンバーミングは専門技術によって見た目を生前に近い状態へと整えることができるため、遺族が対面した際のショックを軽減できる可能性が高いといえるでしょう。
故人に死化粧を施し、安らかな旅立ちを祈りましょう
死化粧は、故人の見た目を生前の姿に近い状態へと整えることで、故人の尊厳を守り、遺族の心をケアする目的があります。費用やケアの内容は依頼先によって異なるため、病院や葬儀社のプランを事前に確認しておくことが大切です。遺族がケアに参加したい場合は、事前に依頼先のスタッフに申し出ておきましょう。
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