菩提寺が遠方にある場合、葬儀や法要をどうすべきか悩まれる方は多いものです。「遠いのに来てもらえる?」「費用は?」「ほかのお寺に頼っていいの?」など疑問はたくさんあるでしょう。
この記事では、遠方の菩提寺との葬儀の進め方、現実的な対応パターン、費用の目安、新しいお寺への切り替え判断などを詳しく解説しています。
菩提寺が遠い状況でも、無理なく希望通りの供養ができる選択肢がわかれば、不安要素を整理できるでしょう。
この記事を要約すると
- 菩提寺が遠い場合の対応として、「1.遠方から僧侶に来てもらう」「2.菩提寺に代わりのお寺を紹介してもらう」「3.葬儀社に代わりのお寺を紹介してもらう」という3つの方法があります。
- 菩提寺が遠い場合、費用面で注意が必要です。遠方の僧侶に出張してもらうにあたり交通費・宿泊費の負担が発生します。また葬儀と戒名授与を別のお寺にしてもらう際は、葬儀のお布施と戒名料を別々に払うことになります。
- 菩提寺を変えるのは悪いことではありません。故人の意思を尊重しつつ、しっかり先祖を供養できる現実的で納得のいく方法を模索するとよいでしょう。菩提寺がない・わからない場合、葬儀社に相談するのも一つの方法です。
そもそも菩提寺とは
菩提寺(ぼだいじ)とは、一般的に先祖代々のお墓があるお寺のことをいいます。菩提を弔う墓があるということは、その寺に属する檀家であり、葬儀・法要・納骨などの際、供養をお願いできる関係性が築かれているということでもあります。
生涯を生まれた地で過ごすことが多かったひと昔前とは異なり、近年では、進学・就職・転勤を機に故郷を離れる人が増えました。それにともない、菩提寺の場所や存在を知らない、遠方にあって付き合いが薄れているというケースが増え、不安を感じる人も多くなっています。
菩提寺が遠い場合の3つの対応
「菩提寺が遠いから葬儀を頼めない・頼みにくい」と考えてしまうのは自然なことですが、昨今、菩提寺が遠いことは珍しくありません。相談すれば対応してくれるケースは多いので、まずは問い合わせてみましょう。菩提寺が遠い場合の対応方法として、主に次の3つの選択肢があります。
1. 遠方から僧侶に来てもらう
最も基本的な対応が、菩提寺の僧侶に出張してもらう方法です。日程さえ都合がつけば、遠方であっても菩提寺の僧侶が葬儀にかけつけてくれるケースは多いようです。
葬儀のスケジュールは僧侶・葬儀場・火葬場の都合で決まります。遠方であればあるほど、亡くなってからではなく早めに相談しておくとよいでしょう。
この場合の注意点として、新幹線やガソリン代といった交通・宿泊の費用負担が発生することを認識しておかなければなりません。必要経費の把握のためにも、交通ルートや宿泊の有無などについて、前もって僧侶に確認しておきましょう。
2. 菩提寺に、代わりのお寺を紹介してもらう
スケジュールや距離の関係で菩提寺の僧侶が来られない場合、同じ宗派の別のお寺を紹介してもらえることもあります。この場合、戒名は菩提寺が授け、位牌への記入と葬儀のお勤めは紹介されたお寺が担当するのが一般的です。
戒名については以下の記事で詳しく解説しています。気になる方はご確認ください。
3. 葬儀社から紹介を受ける
菩提寺に相談した結果、出張も紹介も難しいとなった場合、葬儀社を通じて僧侶を紹介してもらう方法があります。
この場合、菩提寺には戒名のみ授けてもらい、葬儀は紹介された僧侶に執り行ってもらうことになります。戒名は納骨の際に必要となるため、事前に菩提寺に確認しておくことが大切です。
なお、弊社「1日葬・家族葬のこれから」では、全国一律価格で僧侶を手配いたします。お車代や心付けなども全て含まれた定額の手配料金ですので、安心してご依頼ください。
菩提寺が遠い場合にかかる費用とは?
遠方にある菩提寺に、葬儀や法要をお願いする際、通常の「お布施」以外にも費用が必要となります。事前に想定しておくことで、慌てず準備ができるでしょう。
交通費・宿泊費
僧侶を遠方から招く場合、以下の一連の費用は通常喪主が負担します。
- 往復の交通費(新幹線・ガソリン代・高速道路料金など)
- 宿泊費
- 食事代
地域や距離、交通手段によって金額が大きく変わるため、事前の確認は必須です。
お布施・戒名料
戒名は遠方の菩提寺が授け、実際に葬儀を行うのは別の寺院である場合、「戒名料(菩提寺)」と「お布施(葬儀を執り行うお寺)」は別々に用意するのが一般的です。
お布施は、僧侶への感謝の気持ちとしてお渡しするもので、決まった額はありません。宗派や地域、葬儀の内容などによっても異なりますが、目安としては以下のとおりです。
通夜・葬儀 | 10~50万円 |
戒名 | 30~50万円 |
なお戒名は階級ごとに費用が変わります。お布施・戒名の金額については、事前に確認しておきましょう。お布施の考え方や相場については以下の記事で解説しているので、詳しく知りたい方はぜひご覧ください。
菩提寺が遠い場合、新しいお寺に変えるべき?
遠方の菩提寺と付き合い続けるか、近くのお寺に変えるかは、多くの方が一度は悩む問題でしょう。親が高齢になり、葬儀や供養を担う立場になったとき、このままで大丈夫かと不安を感じるのは自然なことです。
この問題には正解があるわけではなく、故人や家族の考え方、生活環境、宗教観、費用面など複数の視点から総合的に判断することが大切といえるでしょう。ここでは、状況に応じた解決方法の選択肢について紹介します。
弔われる故人、祖父母や両親の意思を優先する
故人や家族の「代々家族がお世話になった」「両親が大切にしていた」といった想いがあるなら、その気持ちを尊重するとよいでしょう。 生前、葬儀や墓について、一度きちんと話し合っておくと故人の希望に沿った対応ができます。
代々続く関係は大切にしつつ現実的な供養の形を考える
先祖代々築いてきた関係は大切にすべきですが、現実問題として、菩提寺との関係を維持するのが難しいこともあるでしょう。世代交代や住まいの変化などにより、あまりに遠方であれば、供養も満足にできないといった問題も起こりえます。
菩提寺の変更を検討することは悪いことではありません。家族の現在の生活環境に合わせた供養の形を模索するのも選択肢のひとつです。菩提寺との関係を円満に保ちながら、今後の方向性を相談してみるとよいでしょう。
なお、「お墓の引っ越し=改葬」には、行政への手続きが必要です。申請については、現在遺骨を納めている墓地のある市区町村役場へ確認しましょう。
急ぎの場面では紹介寺も選択肢、相性次第で今後も検討可
葬儀社に一時的な対応として紹介されたお寺でも、もし相性が良ければ、その後も長くお付き合いしていくことはもちろん可能です。葬儀や法要での対応はもちろん、僧侶の人柄やお寺の立地、雰囲気なども含めて、総合的に判断するとよいでしょう。
急な葬儀の場合は、まず目の前の対応を優先し、今後の供養については落ち着いてから検討して問題ありません。
「子供が墓参りしやすい」は絶対条件ではない
「子供たちが墓参りしやすいように」と墓地を現在の住まいの近くに移したいと考える方も多いかもしれません。
しかし、たとえ今住んでいる場所に墓地を移したとしても、お子さんやお孫さんが将来別の地域で生活する可能性も十分に考えられます。
「今できる最善の供養の形」を基準に、物理的・精神的に納得できる選択をとるとよいでしょう。
菩提寺がわからない場合の対処法
いざ葬儀の段階になって「そもそも菩提寺がどこかわからない」というケースもあります。その場合、まずは以下の方法で確認してみましょう。菩提寺の宗派がわかれば、対応策がみえることもあります。
- 親族に確認する
- 仏壇の位牌やご本尊、過去帳などを確認する
- お墓から宗派を推測する
菩提寺がない場合の対処法
これまで菩提寺と縁がなかったり、既に離檀している場合は、葬儀社に相談すれば、希望する宗派に合った僧侶を紹介してもらえます。近年では菩提寺を持たない方も増えており、葬儀社も柔軟に対応してくれることが多くなっています。
また、終活の一環として、将来の供養先を早めに検討しておくことも、安心につながります。お墓の形態は従来の墓石だけでなく、樹木葬や永代供養墓、納骨堂など多様化しているため、自分や家族の希望に合った形を選ぶことができます。
なお、弊社「1日葬・家族葬のこれから」では、全国一律価格で僧侶を手配いたします。お車代や心付けなども全て含まれた定額の手配料金ですので、安心してご依頼ください。
菩提寺が遠くても、思い通りの葬儀・供養はできる
菩提寺が遠くても、代々受け継がれてきた形式で故人を見送ることは可能です。遠方から僧侶を招く、別のお寺を紹介してもらう、または葬儀社を通じて僧侶を手配するなど、状況に応じた柔軟な選択肢があります。
さらに、先祖代々続くお寺との関係を大切にしながら、現在の生活環境に合った供養の形を考えることも大切です。無理なく続けられる方法を見つけ、今できる最善の供養の形を選ぶことが、長く供養を続けていくためのポイントとなります。
菩提寺がどこにあるのかわからない、あるいは菩提寺がないという場合には、まず葬儀社や家族に相談してみましょう。
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