余命宣告を受けると、悲しみのあまり、これからどのように過ごせばよいのかわからず、途方に暮れてしまうこともあるでしょう。治療を継続する方もいれば、緩和ケアを受けたり、大切な人へ挨拶をしたりと、終活を始める方もいます。
余命宣告後の終活は、残された時間を自分らしく過ごすために大切な取り組みです。同時に、亡くなった後の家族の負担を軽減することにもつながります。本記事では、余命宣告後の終活について、必要な連絡や遺言書の作成や持ち物の整理、葬儀の準備など、やるべきことを解説します。
この記事を要約すると
- 余命宣告で告げられる期間はあくまで目安であり、実際にはそれより長く生きられることもあれば、早く亡くなることもあります。限られた時間を自分らしく過ごすためにも、やるべきことや、やりたいことを整理しておくことが大切です。
- 余命宣告後の終活として、まず行いたいのは、治療方針を決めたうえで今後の過ごし方を考えることです。そのうえで、持ち物の整理や遺言書の作成、大切な人への連絡、葬儀の準備などを進めていきましょう。
- 終活をすべて一人で抱え込む必要はありません。家族や医療スタッフを頼りながら進めることが重要です。遺言書の作成は行政書士に依頼する、葬儀については葬儀社に相談するなど、わからないことは専門家の力を借りると安心です。
そもそも「余命宣告」とは?
余命宣告を受けた際の衝撃や不安、悲しみは計り知れないものがあります。一方で、告げられた内容がどこまで現実の経過と一致するのか、不安や疑問を抱く方も多いでしょう。ここでは、そもそも余命宣告とは何か、どのように捉えるべきかについて解説します。
余命宣告で告げられた日数は、正確ではないことを理解する
余命宣告とは、がんや重度の脳梗塞などで治療が困難な場合に、医師が「あとどれくらい生きられるか」を患者や家族に伝えるものです。医師から「あと3ヶ月」「あと1年」と告げられると、それ以上は生きられないと受け止めてしまう方もいるかもしれません。
しかし、余命はあくまで医学的な統計に基づいた予測であり、どれほど多くの患者を診てきた医師であっても、完璧に見通すことは困難です。実際には、余命よりも長く生きる方もいれば、早く亡くなる方もいます。大切なのは、余命はあくまで目安であると理解し、残された時間を後悔のないように過ごすことです。
余命宣告を受けたらどうする?
余命宣告を受けた直後は、深い悲しみや戸惑いから何も考えられなくなるのも無理はありません。無理に前向きになろうとせず、医療スタッフや信頼できる人に気持ちを打ち明けることが大切です。
そのうえで、病気について正しく理解し、治療方針や今後の過ごし方を考えながら、必要に応じて終活を進めていきます。余命宣告後の終活は、定年退職や還暦をきっかけに始める場合とは異なり、急いで判断しなければならない場面も少なくありません。気持ちの整理がつかないまま決断を迫られることもあるため、家族や専門家など周囲のサポートを受けながら進めていきましょう。
余命宣告を受けたときの終活の進め方
余命宣告を受ける前から終活を進めていた方もいれば、これまで考えたことがなかったという方もいるでしょう。余命の長さや、亡くなるまでにやっておきたいことの量は人それぞれですが、限られた時間の中ですべてを一人で行うのは難しい場合もあります。
また、病状によっては自分で対応できないことも出てくるため、終活は家族の協力や専門家のサポートを受けながら進めることが大切です。
大切な人へ連絡をする
余命宣告を受けたら、まずは家族など身近な人に伝えましょう。そのうえで、親しい友人や職場にも必要に応じて連絡を行います。
大切な人を悲しませたくないという気持ちから、伝えることをためらう方もいるかもしれません。もちろん、必ず伝えなければならないわけではありませんが、亡くなる直前や亡くなった後に知らされることで、より深い悲しみや「もっと話したかった」という後悔につながる可能性もあります。
自身の状況を伝えるには大きな勇気が必要です。家族に先に共有したうえで同席してもらう、手紙で気持ちを伝えるなど、無理のない方法を選びましょう。
治療や過ごし方の方針を決める
今後の治療方針や、どこでどのように過ごすかを検討します。病状だけでなく、「残された時間をどう過ごしたいか」「家族の協力が得られるか」「費用はどの程度かかるか」といった点も踏まえて判断することが重要です。
まずは、積極的な治療を続けるのか、痛みや苦しさを和らげる緩和ケアを中心にするのかを考えます。あわせて、治療に特化した病院で過ごすのか、ホスピスなどの施設で穏やかに過ごすのか、自宅で療養するのかといった選択肢も検討しましょう。
自宅で過ごす場合は、訪問診療や訪問看護を利用するのが一般的です。車椅子や介護用ベッドのレンタルも可能で、医療保険や介護保険が適用されるサービスもあります。
余命宣告後の過ごし方については、別記事でも詳しく解説しています。治療の選択肢や、実際に余命宣告を受けた方の過ごし方も紹介していますので、参考にしてください。
加入している保険を確認する
余命宣告を受けたら、できるだけ早く加入している保険の内容を確認し、必要に応じて保険会社へ連絡しましょう。医療保険やがん保険では、医療費や入院費に応じた給付金を受け取れる場合があります。
また、生命保険は死亡後に家族が受け取るものというイメージがありますが、存命中に受け取れる制度もあります。たとえば「リビング・ニーズ特約」は、余命6ヶ月以内と判断された場合に、死亡保険金の一部を前倒しで受け取れる仕組みです。一般的に使い道は自由なため、治療費や介護費用だけでなく、家族との時間を充実させるためにも活用できます。
あわせて、生命保険の受取人も確認しておきましょう。指定された受取人は、相続手続きを経ずに保険金を受け取ることができるため、残された家族の生活費や葬儀費用など、急な支出への備えになります。
財産の確認と遺言書の準備をする
余命宣告を受けた後は、なるべく早い段階で預貯金や不動産、株式などの財産を整理・確認しておきましょう。通帳や実印、不動産の権利書などの重要書類をまとめるとともに、暗証番号など本人しか分からない情報も、家族が把握できる形で管理しておくことが重要です。
銀行口座は名義人が亡くなると凍結され、相続手続きが完了するまで自由に引き出すことができなくなります。必要に応じて、事前に資金の準備をしておくことも検討しましょう。
遺産が多い場合や相続トラブルを避けたい場合は、税理士や弁護士に相談しながら準備を進めると安心です。遺言書は法的効力を持つため、法律に則って作成する必要があります。すでに遺言書がある場合も、内容を見直し、必要に応じて修正や再作成を行いましょう。
自分の希望をエンディングノートに残す
エンディングノートには、治療や今後の過ごし方の希望、亡くなる前にやっておきたいことなどを書き残しておくとよいでしょう。書き出すことで気持ちが整理され、自分の考えを明確にしやすくなります。
病状の進行によっては、自分の意思を十分に伝えられなくなる可能性もあります。大切な内容は、意思表示ができるうちに記録しておくことが重要です。一方で、すべてを決める必要はなく、判断を家族に委ねたい項目は無理に書かなくても問題ありません。
エンディングノートは、亡くなる前のことだけでなく、葬儀やお墓など亡くなった後の希望についても自由に記載できます。大切な人へのメッセージや連絡先、財産情報の備忘録として活用する方も多くいます。エンディングノートの詳細については、別記事も参考にしてください。
持ち物やデジタルデータを整理する
持ち物の整理を行い、今後の生活に必要なものと不要なものを分けていきましょう。手放しても問題のないものは、人に譲ったり処分したりします。
ただし、すべてを一度に片付けようとすると時間や体力を要するため、無理のない範囲で進めることが大切です。特に、家族が判断に迷いやすい趣味の品や写真など、思い出の品から整理しておくとよいでしょう。
あわせて、スマートフォンやパソコンに保存されているデジタルデータの整理も重要です。亡くなった後、家族がログインできずに困るケースは少なくありません。利用していないSNSやサブスクリプションは解約し、必要なものだけを残すようにします。ログインIDやパスワードは、エンディングノートなどにまとめて記録しておきましょう。
葬儀やお墓の準備をする
余命宣告後、あらかじめ考えておきたいのが葬儀やお墓についての希望です。知人や友人を招いて多くの人に見送ってもらうのか、それとも家族だけで静かに見送りたいのかなど、自分の望む形を整理しておきましょう。
また、先祖代々のお墓に入るのか、新たにお墓を用意するのかも検討が必要です。新しくお墓を建てる場合は、誰が継承するのかを考えたうえで、家族が無理なくお参りできる場所を選ぶことが重要です。
墓地の選定から石材店との契約、工事までには一般的に2〜3ヶ月ほどかかるため、余裕をもって準備を進めるようにしましょう。
葬儀やお墓の準備を生前に進めておくことで、自分の希望に沿った形を実現しやすくなるだけでなく、残された家族の負担軽減にもつながります。すべてを一人で抱え込まず、葬儀に招きたい人のリスト作成は自身で行い、手続き面は家族に任せるなど、役割分担を意識することもポイントです。
やるべきことを整理し、家族や葬儀社、寺院と相談しながら進めていきましょう。
家族が余命宣告を受けたらどうする?
年齢や病状によっては、本人ではなく家族が余命宣告を受けるケースもあります。ここでは、家族が余命宣告を受けた場合の考え方や、対応のポイントについて解説します。
本人に伝えるか決める
家族が余命宣告を受けた場合、まずはその内容を本人に伝えるかどうかを検討します。余命が短いことを知ることで、強いショックを受けたり、気力を失ってしまったりする可能性もあり、本人が知りたくないと望む場合もあります。
一方で、本人が自ら病状の深刻さに気づく場合や、知らないままでは治療や今後の過ごし方を選択する機会を逃してしまう可能性もあります。余命を知ることで、残された時間を大切に過ごそうと前向きに捉える方もいます。
本人の性格や意向を踏まえ、家族でよく話し合って判断しましょう。伝える場合は、タイミングや伝え方、伝えた後の心のケアについても、医師や看護師に相談しておくと安心です。
本人の意思を確認して終活をサポートする
今後の治療方針や過ごし方、やっておきたいこと、どのような最期を迎えたいかなど、本人の希望を丁寧に確認していきます。可能であれば、葬儀やお墓、財産に関する考えについても共有しておくとよいでしょう。
ただし、こうした内容はデリケートで聞きにくい場合も多いため、体調や気持ちが落ち着いているタイミングを見計らい、段階的に確認することが重要です。必要に応じて、医師や医療スタッフとの面談の場を設けるのも一つの方法です。
本人の意向がわかれば、やりたいことの実現をサポートしていきましょう。すべてを叶えることは難しくても、食べたいものや会いたい人、行きたい場所などを一緒に考え、できる範囲で支えることが、本人にとっても家族にとっても大切な時間になります。
また、各種手続きなど本人でなくても進められることは、早めに対応しておくことで、いざというときの負担軽減にもつながります。
家族自身のケアをする
余命宣告は本人だけでなく、家族にとっても大きな精神的ショックを伴います。お見舞いや介護、入院先の調整など対応すべきことも多く、心身ともに負担がかかりやすい状況です。
それでも、「本人の方がつらいはず」と考えて気丈に振る舞い、自分のケアを後回しにしてしまう方も少なくありません。しかし、家族自身が無理をし続けることは長続きしません。
適度に休息をとり、自分の時間を確保することも大切です。友人に話を聞いてもらう、医師や看護師などの医療従事者に相談することで、気持ちが軽くなったり、介護の負担を軽減できたりすることもあります。
家族が余命宣告を受けたときの心構えや準備については、以下の記事でも詳しく解説しています。
余命宣告を受けたときの終活についてよくある質問
余命宣告後の終活としてやるべきことについて解説してきましたが、実際に進めるなかでは、精神面や体力面で負担を感じたり、専門的な内容に戸惑ったりすることも少なくありません。ここでは、余命宣告後の終活に関するよくある質問と、その対処法を紹介します。
後悔しない最後のためにできることは?
余命宣告後は、時間的な制約に加え、体調によっては一人でできないことも増えていきます。すべてを自分で抱え込むのではなく、やるべきことを整理し、優先順位の高いものから取り組むことが大切です。自分にしかできないことと、家族に任せられることを分けて考えると進めやすくなります。
また、後悔のない時間を過ごすためには、「やらなければならないこと」だけでなく、「やりたいこと」にも目を向けましょう。会いたい人に会う、行きたい場所を訪れる、好きな音楽や趣味を楽しむなど、これまで我慢していたことに取り組むのも一つです。直接会えない場合は手紙を書く、訪れられない場所があれば名産品を取り寄せるなど、工夫しながら過ごすこともできます。
終活を進めていてわからないことがあれば誰に聞けばいい?
治療の選択や保険の手続き、葬儀の準備などは、専門的な知識が必要になる場面も多いため、適切な専門家に相談することが重要です。
体調や治療に関する不安がある場合は、主治医や看護師に相談しましょう。精神的な負担が大きいときは、心理カウンセラーなど心の専門家のサポートを受けるのも有効です。
入院中の転院や退院後の生活については、医療ソーシャルワーカーに相談すると、制度や支援サービスについて案内を受けることができます。自宅療養に関するケアやサービスについては、介護支援専門員(ケアマネージャー)に相談するとよいでしょう。
また、遺言書の作成は形式が厳格であるため、不備があると無効になる可能性があります。相続内容が複雑な場合や相続人が多い場合は、行政書士や弁護士に相談すると安心です。字を書くことが難しい場合には、公証人に代筆を依頼することも可能です。
葬儀の準備は何から始めたらいい?
終活のなかでも、葬儀については後回しになりがちな項目ですが、自分の意思を反映し、家族の負担を軽減するためにも、早めに検討しておくことが望ましいでしょう。
まずは葬儀社を選ぶところから始めます。参列してほしい人をリストアップし、想定される人数や予算をもとに、葬儀の規模や形式について葬儀社に相談しましょう。また、宗教・宗派や喪主を誰にするかといった点についても、あらかじめ希望を伝えておくことが大切です。
遺影は新たに撮影するほか、既存の写真から選ぶことも可能です。ピントが合っており、自然な表情が写っている写真を用意するとよいでしょう。
葬儀社の選び方や費用相場、準備の進め方については、別記事でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
余命宣告を受けた後の終活で葬儀を考えたら葬儀社に相談を
余命宣告を受けた後は、残された時間を後悔なく過ごすためにも、家族や周囲の力を借りながら終活を進めていくことが大切です。葬儀の準備を始める際や、形式・規模について迷う場合は、早めに葬儀社へ相談すると安心です。
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