葬儀の基礎知識

真言宗の葬儀とは?葬儀の流れや特徴、参列時のマナーを解説

真言宗の葬儀とは?葬儀の流れや特徴、参列時のマナーを解説

仏教の一派・真言宗は、密教の考え方のもと、さまざまな特有の文化を持っています。真言宗の葬儀はほかの仏式の葬儀と異なる点がいくつかあるので、参列する際は事前に違いを知っておくことが大切です。

本記事は、真言宗で葬儀を執り行う方や真言宗の葬儀に参列する方向けに、真言宗の葬儀の特色や、お通夜から葬儀・火葬までの流れを詳しく解説します。真言宗特有の文化や参列時に押さえておくべきマナーも紹介するので、ぜひ参考にしてください。

この記事を要約すると

  • 真言宗は、平安時代に空海によって開かれました。亡くなってすぐに成仏する「即身成仏」の教義を持っており、葬儀もその考え方の元に執り行われます。
  • 真言宗の葬儀では、故人の頭にお清めの水を注ぐ「灌頂(かんじょう)」や、お清めをした土砂をご遺体に振りかける「土砂加持(どしゃかじ)」の儀式を行います。
  • 真言宗の葬儀に参列する際は、喪服に身を包み、「御霊前」や「御香典」と表書きをした香典を持参します。数珠は「振分数珠(ふりわけじゅず)」と呼ばれるものを用います。
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真言宗とは?

真言宗は、平安時代初期に空海(弘法大師)によって開かれた密教の一派です。京都の東寺を根本道場として布教を始めたことから、「東密」とも呼ばれています。

日本国内には18の本山と宗派があり、国内の寺院の約16%を占めています。御本尊は大日如来で、宇宙の真理そのものを象徴する存在と位置づけられています。

真言宗の教義

真言宗は、「真理を学び続けた先で救いの道が開ける」という教義を持っています。そのため、誰もが簡単に信仰できるのではなく、修行によって直接教えを受けた人以外には教えを開示していません。このような宗教形態を、「密教」といいます。真言宗では、煩悩や執着のない、真理で語る言葉を重要視します。

密教としての布教のしかた

真言宗は信徒以外には教えを公開しておらず、師匠から弟子へと口伝で伝える形式を取っています。教えは修行によって身をもって体得するべきものであり、直接伝授を受けた者のみが真理に触れることができると考えられています。

真言宗の修行では、身口意(しんくい)の三密行を行います。これは、身体の所作(身密)・真言の唱え方(口密)・心の在り方(意密)の三要素を一致させる修行方法で、これによって仏の境地に近づくと考えられています。

真言宗の葬儀の特徴

真言宗の葬儀は、密教独自の考え方や儀礼が重視されています。葬儀は、故人が仏となるための重要な儀式です。

即身成仏の考え方

真言宗は亡くなると同時に仏になる「即身成仏」の考え方が基本です。真言宗の葬儀は、故人を大日如来が治める密厳浄土(みつごんじょうど)へ無事に送り届けるための儀式と位置付けられています。密厳浄土へ向かうためには、生前に身に付けた悪い行いや習慣を清め、仏のご加護を受けられるように祈る必要があります。

灌頂(かんじょう)

灌頂は、故人が仏の位に入れるように導く、密教特有の儀式です。僧侶が故人の頭にお清めの水を注ぎ、仏との結びつきを強めます。この儀式を経ることで、故人の魂が仏の世界へと渡り、安らぎを得られると考えられています。

土砂加持(どしゃかじ)

土砂加持は、故人のご遺体の浄化と救済のために行われる真言宗独自の儀式です。まず、ご本尊の前で光明真言を唱えながら土砂を清め、その土砂を護摩の火で焚きます。続いて、清められた土砂を故人のご遺体にふりかけて納棺します。

一連の儀式によって、故人が生前犯した罪や穢れが浄化され、苦しみから解放されると考えられています。これを滅罪生善(めつざいしょうぜん)といいます。

真言宗の葬儀の流れ

ここからは、真言宗の葬儀の流れを解説します。

お通夜

お通夜は、故人と最後の夜を過ごす大切な時間です。真言宗のお通夜は、仏間か広間で行われます。ご遺体の周囲には枕飾りを施し、魔を払う意味で刃先を足元に向けた守り刀が置かれます。

式では僧侶が枕経をあげるほか、通夜説法の時間が設けられることもあります。式の後には僧侶や参列者を招いて通夜振る舞いを開き、故人を偲びながら語らい合います。

納棺式

納棺式では、真言宗独自の儀式「土砂加持」が執り行われます。土砂で故人の身体を清め、無事に成仏できるように祈りを捧げましょう。また、場合によってはこのタイミングで湯灌を行うこともあります。

葬儀・告別式

真言宗の葬儀・告別式は、故人を密厳浄土へ送り出すための重要な儀式です。僧侶と参列者は密教の真言を唱えながら、故人の魂の成仏を祈ります。密教の教えに基づいて執り行うため、ほかの仏式の葬儀と異なる点が数多くあります。以下は、一般的な真言宗の葬儀の流れです。

式の流れ

  1. 入場
    僧侶の入場
  2. 塗香(ずこう)
    故人のご遺体にお香を塗って汚れを清める
  3. 洒水(しゃすい)
    故人のご遺体にお清めした水を振りまく
  4. 加持香水
    香水をお清めするための祈祷
  5. 三礼
    仏法僧への礼拝
  6. 剃髪
    僧侶が「偈文(げもん)」を唱えながら故人様の髪を剃る仕草をする
  7. 受戒
    故人へ戒名を授ける
  8. 表白(ひょうびゃく)
    大日如来へ祈祷
  9. 神分(じんぶん)
    神に感謝し故人の滅罪・成仏を願う
  10. 引導
    表白と神分を繰り返す
  11. 破地獄(はじごく)の印
    故人の心の中の苦しみを取り除く
  12. 御引導大事
    弘法大師の引導の印を授ける
  13. 血脈
    真言宗の血脈を授ける
  14. 六大印
    真言を授ける
  15. 諷誦文(ふじゅもん)
    故人の成仏を願ってお経を唱える
  16. 後讃
    鉢をつく
  17. 読経
    真言宗の経典を唱える
  18. 祈願
    故人が密厳浄土で往生できるように祈る
  19. 導師最極秘印
    僧侶が密教の教えによって印を結ぶ
  20. 退場
    僧侶の退場
  21. 出棺
    故人が出棺される

火葬・初七日法要

葬儀・告別式を終え、故人が出棺されたら、遺族や近親者で火葬場へ向かいます。火葬前には僧侶による読経があげられ、故人を浄化するための祈りが捧げられます。火葬後は「お骨上げ」という収骨の儀式を行い、遺族は遺骨を納めた骨壷を自宅に持ち帰ります。

その後、自宅や寺院で繰り上げの初七日法要を執り行います。初七日法要は本来故人が亡くなって7日目に行う法要ですが、近年は葬儀・火葬と同じ日に行われるのが一般的です。こちらの法要でも読経や焼香を行い、仏の加護と故人の冥福を祈ります。

関連: 火葬とは?必要な手続きや流れ・費用を解説|注意点や当日のマナー

関連: 初七日法要はいつ行う?準備や流れ、精進落とし・香典のマナーを解説

四十九日法要

四十九日は亡くなった日から49日目にあたる日で、故人がこの世とあの世の境を超え、成仏する節目とされています。真言宗ではこの日に、故人が無事に密厳浄土に到達できるよう願って四十九日法要を行います。法要には遺族や親族が集まり、僧侶の読経と焼香によって供養を捧げます。

四十九日を終えると、位牌を白木から本位牌に移したり納骨を行ったりして、少しずつ日常生活に戻っていくようになります。

関連: 四十九日法要とは?事前に準備すべきものから当日の流れまでを詳しく解説!

真言宗の葬儀に参列するときのマナー

真言宗の葬儀に参列する際は、焼香の作法や服装などのマナーを事前に理解しておくことが大切です。

焼香の回数は3回

真言宗の焼香は、3回行うのが基本です。焼香の順番が回ってきたら、香を香炉にくべ、額の高さまで持ち上げて押しいただく所作を3回繰り返します。

焼香の際は姿勢を正し、心を込めて行うことが大切です。順番は喪主・遺族・そのほかの参列者の順が一般的ですが、式の進行案内に従えば問題ありません。焼香の回数は寺院や地域によって異なる場合があるため、不安な方は事前に確認しておきましょう。

振分数珠を使用する

真言宗の葬儀では、振分数珠(ふりわけじゅず)と呼ばれる数珠を用います。これは108個の珠が連なったもので、面裏に2本ずつの房と、親玉から数えて7個目・21個目に四天と呼ばれる小さな珠が配置されています。

僧侶は本式の数珠を用いますが、参列者は略式数珠でも問題ありません。色は黒・茶系・水晶などが一般的で、合掌するとき以外は左手に持ちます。合掌の際は、親玉を上にして両手の中指にかけ、房を手の甲側に垂らすのがマナーです。

香典の表書きは「御霊前」や「御香典」

真言宗の葬儀に参列する際は、香典の表書きに「御霊前」や「御香典」と書き記すのが一般的です。

香典袋は、黒白または双銀の水引が施されたものを選びましょう。金額は故人との関係性や参列者の年齢によって異なるため、事前に相場の金額を調べておくと安心です。たとえば、故人が両親の場合は3〜10万円、祖父母の場合は1〜5万円が相場です。

包んだ香典袋はさらに上からふくさに包み、受付の方に丁寧に手渡しましょう。そのほか、中袋や金額の書き方にも細かいマナーがあります。詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。

関連: 香典の正しい包み方とは?相場の金額・送り方のマナー・香典袋の書き方を詳しく解説

服装は喪服を着用する

真言宗の葬儀に参列する際の服装は、ほかの宗派と同様に一般的な喪服でかまいません。男性はブラックスーツに黒ネクタイ、女性はブラックフォーマルに黒のストッキングを合わせましょう。アクセサリーは真珠のみで、派手なメイクや香水は避けるのがマナーです。

遺族の場合、葬儀当日は正喪服を着用し、四十九日法要以降は略式喪服、さらにその後は普段着へと段階的に移行するケースもあります。故人への敬意を表すためにも、式の場にふさわしい服装を心がけましょう。

関連: 家族葬の服装は?身内だけなら普段着OK?持ち物やマナーも解説

真言宗のお布施の相場

真言宗のお布施の相場は30万円〜70万円程度で、ほかの宗派と金額に大きな差はありません。お布施は白い封筒に入れ、水引のないふくさに包んで手渡しましょう。

また、僧侶の交通費や食事代として、御車料や御膳料を別途包むケースもあります。戒名を授かる場合は、戒名料も必要です。お布施の金額相場は地域によって異なる場合もあるため、不安な方は菩提寺や葬儀社に相談するとよいでしょう。

宗派金額相場
真言宗30〜70万円
浄土宗15〜50万円
曹洞宗30〜100万円
天台宗40〜70万円
臨済宗30〜50万円
日蓮宗30〜60万円
浄土真宗10〜30万円

関連: 真言宗の葬儀で渡すお布施の相場は?封筒や表書き・各法要の目安も解説

真言宗の葬儀費用の相場

真言宗の葬儀費用は、どの葬儀形式で行うかによって変動します。一般的な葬儀では、通夜・告別式・火葬などを含めて100万〜200万円程度かかります。

家族葬であれば30万〜100万円前後、直葬なら20万円〜50万円程度に抑えることも可能です。また、基本の葬儀費用に加えてお布施や戒名料も別途でかかるため、あらかじめ予算を決めてから葬儀準備を始めることをおすすめします。

葬儀形式費用相場
一般葬100~200万円程度
家族葬30~100万円程度
一日葬30~50万円程度
直葬・火葬式20~50万円程度

関連: 葬儀費用の平均はいくら?内訳や形式ごとの相場、費用を抑えるためのポイントを詳しく解説

真言宗の葬儀の特徴を知り、マナーを守って参列しましょう

真言宗の葬儀では、灌頂(かんじょう)や土砂加持(どしゃかじ)などの密教特有の儀式が行われます。ほかにも真言宗ならではのマナーがいくつか存在するので、個人への敬意を持って参列しましょう。

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