日本では仏教葬が一般的ですが、信仰する宗教によって故人の死に対する考え方や葬儀内容が異なります。その一つとしてあるのが「エホバの証人」で、イエス・キリストの教えに沿った葬儀を執り行います。
エホバの証人に関わりのある方が亡くなり、葬儀への参列を予定しているものの、葬儀の流れやマナーが分からないという方もいるでしょう。この記事では、エホバの証人の葬儀について、考え方やマナーについて解説します。
仏教葬との違いも紹介していますので、内容を理解したうえで、参列するようにしましょう。
この記事を要約すると
- エホバの証人では「死者には意識がなく、生者に影響を及ぼすことはない」と考えているため、通夜や年忌供養といった風習はない
- エホバの証人の葬儀では、献花や焼香がなく香典も受け取らない。また、遺骨は収骨しないのが一般的
- エホバの証人では、偶像崇拝を禁じているため、故人に対して手を合わせる行為は禁止されている。また、故人は再度復活する考えがあるため「ご愁傷様です」「ご冥福をお祈りします」といった挨拶はさける
エホバの証人とは1870年代に創立された宗教団体
エホバの証人は、1870年代にアメリカでチャールズ・テイズ・ラッセルによって設立された宗教団体です。神の名を「エホバ」として崇拝しており、イエス・キリストの教えに従いクリスチャンとしての生活を大切にしています。
エホバの証人は政治的中立を守り、戦争への参加を拒否するなど独自の信仰と生活習慣を持っています。2023年現在、エホバの証人の信者は239の国や地域に広がり、その総数は882万6,562人に達しています。
エホバの証人では、死者には意識がなく、生者に影響を及ぼすことはないと信じてきました。そのため、通夜や年忌供養といった風習はなく、死者に話しかけたり願いごとをしたりすることはありません。
エホバの証人では宗教的な儀式がなく追悼式を執り行う
前述の通り、エホバの証人では死者には意識がなく、生者に影響を及ぼすことはないと考えており、故人を供養するような宗教的な儀式は基本的に行いません。人が亡くなった際には追悼式を執り行います。
追悼式は、遺族を慰めることと、聖書に基づいた死と復活の希望を伝えることを目的としています。式は王国会館や葬儀場、自宅などで行われ、聖書の教えや祈り、故人をしのぶ話などが行われるシンプルな内容です。
参列者に特別な条件はなく、故人の友人など信者ではない人でも追悼式に参列できます。また、信者が他の宗教の葬儀に参列することは、聖書で訓練された良心に基づいて決定すると定められており、聖書と調和しないと感じた場合には葬儀に参列しません。
日本の仏教葬とエホバの証人の追悼式の主な違い
エホバの証人は、イエス・キリストや聖書の教えに基づいて葬儀を執り行います。そのため、日本国内で一般的な仏教葬とは内容やマナーが異なります。具体的な違いは以下の通りです。
- 献花や焼香は行わず香典も受け取らない
- 遺骨は基本的に収骨しない
- 祭壇や遺影がない
- お悔やみの言葉は言わないのが一般的
追悼式には信者以外の人も参列可能ですが、これらの違いについて正しく理解していなければ、失礼になってしまう可能性があります。ここでは、追悼式の内容や考え方を交えながら仏教葬との違いについて解説します。
献花や焼香は行わず香典も受け取らない
エホバの証人の追悼式では、献花や焼香といった仏式行事は一切行われません。これは、聖書の教えに基づき、死者には意識がなく参列者の祈りなどを認識できないからと信じられているからです。
また、仏教葬で準備する香典に関しても受け取りません。香典は死者の魂に供えるものとされているため、霊魂の存在を認めていないエホバの証人の考え方に合わないためです。また、葬儀で寄付を募ることも禁じられているため、参列者に金銭的な負担をかけるようなことはありません。
遺族の負担を軽減させたいといった考えで、どうしても金銭を渡したい場合は「御花料」と表書きした香典袋を渡す方法もあります。
ただし、キリスト教の葬儀で使われる言葉である「御花料」は、正式なマナーではないといった意見もあり、白い封筒に名前だけ書いて渡すといった方法も存在します。明確なルールが存在しないため、状況に応じて適切な対応を検討しましょう。
遺骨は基本的に収骨しない
エホバの証人では、聖書の考えに基づき死者の復活を信じています。そのため、死者の霊を供養するといった考えはなく、仏教葬で行われる遺骨の収骨や供養は行いません。
大切な人の死を悼むことは自然な感情として尊重していますが、供養よりも復活への希望を共有し、前向きに進むことを大切にしています。なお、仏教葬でも骨上げは必ずしも行う必要はありません。
お墓を持たない場合や、今回のような宗教上の理由により骨上げを行わないこともあります。
祭壇や遺影がない
エホバの証人にとって追悼式は、故人との最後のお別れをする場ではありません。聖書の教えに基づいて、ハルマゲドンの後に故人が復活すると信じています。
そのため、葬儀は一時的な別れと考えられ、仏教葬のように祭壇や遺影は飾りません。写真を飾る場合も、生前の自然なスナップ写真を使う程度です。形式にこだわらず、葬儀を通じて聖書の希望を共有し、遺族を励ますことを目的としています。
「弔電」や「供花」を送った場合、受け取ってもらえることが多いものの、なるべく遺族に送りたい旨を伝えておくようにしましょう。
お悔やみの言葉は言わないのが一般的
エホバの証人では、死者の霊魂を慰める必要がないと考えられているため、仏教葬のようにお悔やみの言葉をかけることはありません。「ご愁傷様です」「ご冥福をお祈りします」といった言葉は使わないようにしましょう。
エホバの証人の追悼式では、遺族を慰め励ます言葉が大切とされており「大切な方が安らかに眠れますように」「神様の平安があなたの上にありますように」といった表現が使用されます。
「冥福」や「成仏」といった言葉は忌み言葉とされているため、追悼式では話さないようにしましょう。
エホバの証人の追悼式は、宗教色が控えめで簡素なキリスト教式の追悼式です。形式よりも信仰や個人の意志を重視した、静かで落ち着いたお別れが特徴です。
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エホバの証人の追悼式ではダーク系の服装が一般的
エホバの証人の信者は、基本的に喪服を着用せずに紺やグレーといった落ち着いたダーク系の服装が一般的です。ただし、信者以外の人が追悼式に参加する際には、喪服で問題ありません。
葬儀会場で周りに合わせたいという場合は、ブラックスーツを避けてダーク系のフォーマルな服装を選ぶのが良いでしょう。
靴や装飾品などに関する細かいマナーは存在しないものの、できるだけシンプルで控えめなフォーマルスタイルが望ましいといえます。
エホバの証人の葬儀の流れ
エホバの証人は、死者に対する考え方が仏教と大きく異なるため、葬儀内容や流れが異なります。追悼式は、以下の流れで進められます。
- 故人についての説明や思い出が語られる
- 聖書の朗読と讃美歌の合唱を行い火葬する
ここでは、エホバの証人の追悼式について、詳しい流れを解説します。
故人についての説明や思い出が語られる
エホバの証人の追悼式では、故人の生涯や人柄が紹介され、参加者が思い出を共有することから始まります。具体的には、故人がどのような人生を歩んできたか、映像やスピーチにて紹介します。
その後、遺族や親しい友人が故人との思い出やエピソードを語り、故人が信仰にどのように向き合ってきたかや、信仰の深さについて話していく流れです。
仏教葬のように焼香で故人の冥福を祈るような儀式は一切なく、故人を偲びながらも復活への希望を共有することが重視されています。
聖書の朗読と讃美歌の合唱を行い火葬する
故人との思い出やエピソードを語った後は、聖書の朗読が行われます。「死と復活の希望」に関する章が選ばれ、遺族や参列者に向けて読み上げられます。その後、参列者全員で賛美歌を合唱し、祈りをささげる流れです。
これらの儀式は、故人の死を悼むと同時に復活への希望の共有を目的としています。その後は、短いお別れの会が行われ、参列者が棺に花を入れて出棺します。火葬場には親族のみが同行します。
エホバの証人の追悼式で注意すべきこと
エホバの証人と仏教では、死者に対する考え方が異なるため、葬儀中のマナーには注意が必要です。具体的な注意点としては、以下のような内容があります。
- 手を合わせる行為は避ける
- 仏教用語の使用は控える
- 香典は渡さない
エホバの証人では、偶像崇拝を禁じており、故人に対して手を合わせる行為は禁止されています。また、故人は復活するという考えがあるため「冥福」「成仏」「供養」といった仏教特有の表現も使用しないようにしましょう。
追悼式では寄付を募ることも禁じられているため、香典を渡さないようにしましょう。
エホバの証人の追悼式に該当する葬儀プランと費用
エホバの証人の考えに沿った追悼式を葬儀社に依頼する場合、火葬のみを行う内容が一般的です。仏教葬のように僧侶を呼んで読経や戒名を付けることはなく、祭壇なども用意しません。火葬プランの相場は20〜50万円であるため、同程度の金額になると考えておきましょう。
弊社「1日葬・家族葬のこれから」では、参列者の数に応じて、適切な規模や価格プランを提供しております。直葬の場合は8万6,900円~(資料割引適用後)で葬儀を執り行えます。ご予算に合わせたプランの提供にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。
プランに含まれる葬儀内容は葬儀社によって異なりますが、お迎えから安置までに関しては、お迎えの車やドライアイス、役所手続きや火葬手続きの代行などが含まれます。
また、葬儀では棺や納棺に関する作業全般、霊柩車による火葬場までの搬送、骨壺や骨箱の用意も含まれています。
なお、弊社では火葬プランの他に、家族葬や一日葬といったプランも用意されています。以下の記事で詳しく解説しているので、気になる方はチェックしてみてください。
エホバの証人では宗教的な儀式を行わない
エホバの証人は1870年代にアメリカで設立された宗教団体で、死者には意識がなく、生者に影響を及ぼすことがないと考えがあります。そのため、僧侶による読経や焼香など、故人の冥福を祈るような儀式は一切なく、独自の追悼式が実施されます。
追悼式では故人の思い出や思想が語られ、聖書の朗読と讃美歌の合唱を行い、火葬へと移る流れです。仏教葬とはマナーがことなるため、今回の内容を理解したうえで参列するようにしましょう。
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