故人へのお悔やみの気持ちや、遺族へのお見舞いの気持ちを表す香典。日本では古くから葬儀に参列する際に香典を包む風習がありますが、近年は香典を辞退するケースも増えています。
今回は、これから葬儀を執り行う遺族や葬儀への参列予定がある方向けに、香典辞退の伝え方や香典を辞退されたときのマナー、香典を辞退している葬儀で香典を受け取ってしまった場合の対応方法などを詳しく解説します。香典を辞退する際は、参列者に失礼のないように連絡することが大切です。
この記事を要約すると
- 日本では昔から葬儀に参列する際に香典を包む風習がありますが、近年は故人の遺志や遺族・参列者の負担軽減など理由で香典を辞退するケースが増えています。
- 香典を辞退する場合は、葬儀案内のタイミングで「誠に勝手ではございますが故人の遺志により 弔問 香典は固くご辞退申し上げます」といった文言で香典辞退の旨を伝えましょう。
- 香典を辞退している葬儀に参列する場合は、香典の代わりに供物や供花を用意して弔意を伝えることができます。葬儀に参列できなかった場合は、弔電・お悔やみのお手紙・忌中明けの贈り物などで弔意を伝えましょう。
香典とは
香典とは、故人へのお悔やみの気持ちや遺族へのお見舞いの気持ちを表すもので、亡くなった人の霊前に供える金銭です。日本では、古くから葬儀に参列する際に香典を包むのがマナーとされてきました。
香典は故人との関係性の深さや包む人の年齢によって、金額相場が明確に定められています。また、宗派によって香典袋の書き方にさまざまなルールがあるため、必ず事前に包み方を確認をしたうえで用意することが大切です。
以下の記事では、香典の金額相場や香典袋の書き方、遺族に渡す際のマナーなどをより詳しく解説しています。ぜひ、あわせてチェックしてみてください。
遺族が香典を辞退する理由
近年は葬儀規模の縮小化や葬儀の簡略化が進み、香典を辞退するケースが増えてきました。遺族が香典を辞退する理由として、故人の生前の遺志や遺族・参列者の負担軽減などが挙げられます。
故人の遺志
香典は基本的に遺族がもらうものですが、故人が生前に受け取らないことを望むケースも珍しくありません。
香典を辞退するにあたってもっとも角が立たない理由であることから、ほかの理由で香典を辞退する場合でも、建前上は故人の遺志として香典辞退を伝えるケースがあります。
遺族の負担軽減
香典を受け取った遺族は、四十九日法要の後に香典返しを贈るのがマナーです。
斎場受付での香典の受け取りや香典を包んだ参列者の名簿管理、香典返しの用意など、遺族側が対応すべきことが数多くあるため、これらの手間や負担を軽減するために香典を受け取らない選択をするケースがあります。
参列者の負担軽減
香典は故人との関係性や参列者の年齢によって金額相場が定められているほか、香典袋の包み方にもさまざまなマナーがあります。遺族側が参列者の金銭的負担や香典を包む手間をかけないようにと、香典を辞退するケースがあります。
葬儀の簡略化
近年は葬儀の小規模化や簡略化が進み、家族や親戚のみが参列する家族葬や火葬のみを行う直葬を選択する遺族が増えています。
参列者が身内のみの葬儀で気を遣い合ったり、香典返しを用意する手間や負担を軽減したりするため、家族葬や直葬では、香典を受け取らないケースが増えています。
なお、弊社「1日葬・家族葬のこれから」では、無駄なものを省いたセットプラン料金で、現代に合わせた形式での葬儀を全国にご提供しております。ご不明な点やお困りごとございましたら、24時間葬儀の専門スタッフが承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。
香典辞退を伝えるタイミング
参列者に香典辞退を伝えるベストなタイミングは、葬儀案内を連絡するときです。参列者が事前に香典を用意しないよう、できるだけ早めに伝えることが大切です。
また、香典だけでなく供物や弔電も辞退したい場合は、そちらも香典辞退の旨とあわせて伝えましょう。
葬儀案内の電話や案内状
参列者に香典辞退を伝えるもっとも適切なタイミングは、葬儀案内と同時に伝える方法です。事前に参列者に対して香典を辞退する意向を伝えることで、参列者側が香典を包む手間がかからず、葬儀当日にやむを得ず受け取るケースも避けられるでしょう。
葬儀会場の案内板
事前に香典を辞退する案内を伝えている場合でも、改めてリマインドする目的で葬儀会場に案内板を設置する場合があります。
また、葬儀直前に香典を辞退する意向が決まった場合は当日の案内となるケースもありますが、すでに参列者の多くが香典を包んできているため、当日のアナウンスはあまり好ましくありません。
葬儀後の挨拶状
家族葬・一日葬・直葬などの小規模な葬儀では、故人と生前に関わりのあったすべての人が参列できないことがほとんどです。そのため、葬儀が無事に終わった後に故人の訃報と葬儀を執り行った旨を伝える挨拶状を送るのが一般的です。
葬儀に参列できなかった人は、葬儀後に弔問で訪れる際に香典を包んできたり、香典を郵送してきたりすることが考えられます。香典を辞退している場合は、葬儀に参列しなかった人に対しても挨拶状で香典を辞退している旨を伝えておきましょう。
香典辞退の伝え方
香典を辞退する意向を伝える際は、相手に対して失礼のないような言葉選びをすることが大切です。
<香典辞退の例文>
●口頭での例
「誠に勝手ではございますが故人の遺志により 弔問 香典は固くご辞退申し上げます」
「誠に勝手ながらご香典 ご供花などのお気遣いは 故人の遺志により 辞退させていただきます」
「弔問 ご香典 弔電 ご供花などのご厚志は 故人の遺志により辞退させていただきます」
●文面での例
「謹啓
◯月◯日 父◯◯(享年◯◯歳)が永眠いたしました
故人の遺志により 葬儀 告別式は近親者のみで執り行います
誠に勝手ではございますが 御香典 ご供花 御供え物などのお気遣いは固くご辞退申し上げます
ここに故人が生前賜りましたご厚誼を深謝し 謹んでご通知申し上げます
謹白
喪主(名前)」
香典を辞退しているのに受け取った場合の対応
香典を辞退している遺族のなかには、参列者に香典辞退の旨を伝えていたとしても、「どうしても」といって香典を手渡される経験をする方が珍しくありません。
一度は断るが、「どうしても」と言われたら受け取る
香典を辞退する意向を伝えている場合でも、参列者からどうしても受け取ってほしいといって香典を手渡されるケースがあります。一度は断っても問題ありませんが、それでも相手が引き下がらなかったときは、ありがたく受け取りましょう。
なお、他の人に受け取ったことがわからないよう、人目につかない場所で受け取ることをおすすめします。
受け取った場合は香典返しを用意する
参列者から香典を受け取ったら、その金額の3分の1〜半額程度の予算で香典返しを用意するのがマナーです。香典を辞退している葬儀でやむを得ず香典を受け取った場合は、香典返しの義務はありませんが、受け取った金額にあわせて香典返しを贈るのが好ましいでしょう。
なお、参列者から「香典返しは不要」として香典を受け取るケースもあるかもしれません。その場合であっても、相場よりやや少額の返礼品を贈ったり御礼の連絡を入れたりして感謝を伝えましょう。
会社から香典や慶弔見舞金を受け取った場合はお返し不要
遺族が会社に勤めている場合は、会社や社内の人から香典を受け取る可能性があります。香典を辞退する場合は、勤め先に対しても香典を受け取らない意向を伝えておきましょう。
なお、会社名義の香典は社内の福利厚生費で賄っているため、基本的には香典返しは不要とされています。
また、会社によっては身内が亡くなった際に見舞金を受け取れることがありますが、こちらは福利厚生の一種であり香典ではないため、香典を辞退している場合でも受け取ってしまってかまいません。
香典を辞退している場合の参列者の対応方法
ここからは、参列予定の葬儀で香典辞退の旨が伝えられている場合の対応方法を解説します。香典を辞退している葬儀では香典を包まず、代わりに供物や弔電などを贈りましょう。
供物や供花を贈る
香典を辞退している葬儀に参列する場合、香典の代わりに供物や供花を用意することで弔意を伝えることができます。
供物はお菓子・缶詰・果物などの食品や線香・ローソクなどの消え物を選ぶのがマナーです。供花の種類や形状は宗教形式によって異なりますが、仏式では白や淡い色味を基調とした菊・ユリ・胡蝶蘭などの花束やスタンドフラワーがよく選ばれています。
なお、香典を辞退している葬儀では、供物や供花も辞退しているケースが珍しくないため、事前に対応状況を確認しておくと安心です。
弔電を送る
香典を辞退している葬儀に参列できないときや、訃報は受け取ったものの参列の案内を受け取らなかったときは、弔電を送って弔意を伝えるのが一般的です。
弔電はお悔やみの気持ちを伝える電報で、送り先の名前や斎場がわかれば誰でも簡単に手配できます。近年はインターネットから申し込みを行って当日に発送ができるので、忙しい方でもすぐに用意できるでしょう。
後日弔問に伺う
葬儀に参列できなかった場合は、葬儀後に遺族の自宅へ後日弔問に伺うこともできます。弔問に伺う際は喪服を身に付け、供物を持参するのがマナーです。
ただし、弔問前に必ず遺族に連絡を取り、伺ってよいかどうかを確認するようにしてください。場合によっては、香典とあわせて後日弔問も辞退している可能性があります。
お悔やみのお手紙を送る
葬儀に参列できないときや、訃報は受け取ったものの葬儀の案内はされなかった場合は、遺族に対してお悔やみのお手紙を送るという方法もあります。
お悔やみのお手紙も弔電と同じく弔意を伝える手紙の一つですが、弔電は葬儀中に紹介される機会があるのに対し、お悔やみのお手紙は基本的におおやけにはされません。
お悔やみの手紙は、訃報を聞いたときから初七日を迎えるまでの期間に送るのがマナーです。手紙には頭語と時候の挨拶を使用せず、薄墨を使って手書きでお悔やみの気持ちを書き記しましょう。
忌中明けに贈り物をする
訃報の知らせを受けてから忌中の間にお悔やみを伝える機会がなかったときは、忌中明けにお歳暮やお中元を送るという方法もあります。お花や菓子折りなどのギフトとともに、お悔やみのお手紙を添えて贈りましょう。
香典は遺族の対応に従いましょう
故人へのお悔やみや遺族へのお見舞いを伝えるために包まれる香典。近年は葬儀の簡略化や小規模化によって香典を辞退するケースが増えていますが、香典の代わりにもお悔やみを伝える方法はいくつかあります。遺族の香典の対応状況を確認のうえ、適切な方法でお悔やみの気持ちを伝えましょう。
弊社では、価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代に合わせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。