ご家族やお知り合いに「エホバの証人」の信者の方がいて、葬儀をどう執り行えばよいのか、あるいは参列する際にどんなマナーに気をつければよいのか、戸惑っていらっしゃる方は少なくありません。日本で一般的な仏式の葬儀とは、考え方も式の内容も大きく異なるためです。
この記事では、葬儀社の立場から、エホバの証人の葬儀(追悼式)の内容と流れ、費用相場、参列する際のマナー(香典・服装・言葉遣い)、そしてご遺族側が葬儀社に依頼する際のポイントを解説します。
この記事を要約すると
- エホバの証人の葬儀の特徴は、一般的な葬儀とは違い、通夜や年忌供養といったの宗教儀式は行わず、追悼式を行います。これは、亡くなった方には意識がなく、生きている人に影響を与えることはないと考えられているためです。
- エホバの証人の葬儀費用の相場は、およそ20万円〜50万円とされています。祭壇を設けたりせず、直葬形式で行われることが多いため、一般的な葬儀に比べて費用を抑えやすいです。
- エホバの証人の葬儀の服装マナーは、喪服は着用せずにネイビーやグレーの落ち着いた黒系の服装です。靴やアクセサリーに厳格なルールはないものの、落ち着いたフォーマルなものが好ましいです。
エホバの証人とは
エホバの証人は、1870年代にアメリカで始まった、聖書に基づく信仰活動を行うキリスト教系の宗教団体です。神を「エホバ」という名で崇拝し、世界各国に信者がいます(公表値では2023年時点で世界に約880万人)。
エホバの証人では、亡くなった方には意識がなく、将来の復活を待つ「眠り」の状態にあると考えられています。この死生観から、故人の霊を慰めたり供養したりするという概念がなく、通夜・読経・焼香・年忌法要といった儀式は行われません。葬儀に対する考え方が仏式と根本的に異なる点を、まず押さえておきましょう。
エホバの証人の葬儀は「追悼式」と呼ばれる
エホバの証人では、一般的な「葬儀・告別式」の代わりに「追悼式」が行われます。追悼式の目的は、故人の霊を弔うことではなく、遺族を慰め、聖書に基づく「死と復活の希望」を分かち合うこととされています。
追悼式は、信者の集会所である王国会館のほか、斎場(葬儀場)や自宅で行われることもあります。式の内容は非常にシンプルで、「長老」と呼ばれる立場の方による聖書に基づく話、祈り、「王国の歌」と呼ばれる歌の斉唱、故人の人柄や思い出の紹介などが中心です。所要時間は30分〜1時間程度と、一般的な葬儀より短めです。
また、信者ではない方(故人の友人・知人・会社関係者など)も追悼式に参列できます。
エホバの証人の葬儀と仏教の葬儀の違い
| 違い | 仏教の葬儀 | エホバの証人の葬儀 |
|---|---|---|
| 葬儀の呼び方 | 通夜・葬儀・告別式 | 追悼式(通夜はなし) |
| 葬儀の場所 | 斎場・寺院など | 王国会館・斎場・自宅など |
| 焼香 | 行う | 行わない |
| 香典 | 持参する | 受け取らないことが多い |
| 祭壇・遺影 | 祭壇に遺影を飾る | 遺影は飾らない |
| 宗教者 | 僧侶 | 長老 |
| お布施 | 必要 | 不要 |
| 収骨 | する | 宗教上不要 ※火葬場の規定により必要の場合あり |
| お悔やみの言葉 | 「ご愁傷様です」 「ご冥福をお祈りします」 | 「大切な方が安らかに眠れますように」 |
エホバの証人は、イエス・キリストや聖書の教えに基づいて葬儀を執り行います。そのため、日本国内で一般的な仏教葬とは内容やマナーが異なります。
追悼式には信者以外の人も参列可能ですが、これらの違いについて正しく理解していなければ、失礼になってしまう可能性がありますのでしっかりチェックしましょう。
献花や焼香は行わず香典も受け取らない
エホバの証人の追悼式では、献花や焼香といった仏式行事は一切行われません。これは、聖書の教えに基づき、死者には意識がなく参列者の祈りなどを認識できないからと信じられているからです。
また、仏教葬で準備する香典に関しても受け取りません。香典は死者の魂に供えるものとされているため、霊魂の存在を認めていないエホバの証人の考え方に合わないためです。また、葬儀で寄付を募ることも禁じられているため、参列者に金銭的な負担をかけるようなことはありません。
遺族の負担を軽減させたいといった考えで、どうしても金銭を渡したい場合は「御花料」と表書きした香典袋を渡す方法もあります。
ただし、キリスト教の葬儀で使われる言葉である「御花料」は、正式なマナーではないといった意見もあり、白い封筒に名前だけ書いて渡すといった方法も存在します。明確なルールが存在しないため、状況に応じて適切な対応を検討しましょう。
遺骨は基本的に収骨しない
エホバの証人では、聖書の考えに基づき死者の復活を信じています。そのため、死者の霊を供養するといった考えはなく、仏教葬で行われる遺骨の収骨や供養は行いません。
大切な人の死を悼むことは自然な感情として尊重していますが、供養よりも復活への希望を共有し、前向きに進むことを大切にしています。なお、仏教葬でも骨上げは必ずしも行う必要はありません。
お墓を持たない場合や、今回のような宗教上の理由により骨上げを行わないこともあります。
祭壇や遺影がない
エホバの証人にとって追悼式は、故人との最後のお別れをする場ではありません。聖書の教えに基づいて、ハルマゲドンの後に故人が復活すると信じています。
そのため、葬儀は一時的な別れと考えられ、仏教葬のように祭壇や遺影は飾りません。写真を飾る場合も、生前の自然なスナップ写真を使う程度です。形式にこだわらず、葬儀を通じて聖書の希望を共有し、遺族を励ますことを目的としています。
「弔電」や「供花」を送った場合、受け取ってもらえることが多いものの、なるべく遺族に送りたい旨を伝えておくようにしましょう。
お悔やみの言葉は言わないのが一般的
エホバの証人では、死者の霊魂を慰める必要がないと考えられているため、仏教葬のようにお悔やみの言葉をかけることはありません。「ご愁傷様です」「ご冥福をお祈りします」といった言葉は使わないようにしましょう。
エホバの証人の追悼式では、遺族を慰め励ます言葉が大切とされており「大切な方が安らかに眠れますように」「神様の平安があなたの上にありますように」といった表現が使用されます。
「冥福」や「成仏」といった言葉は忌み言葉とされているため、追悼式では話さないようにしましょう。
エホバの証人の追悼式は、宗教色が控えめで簡素なキリスト教式の追悼式です。形式よりも信仰や個人の意志を重視した、静かで落ち着いたお別れが特徴です。
エホバの証人の葬儀の流れ
エホバの証人の葬儀では、火葬を先に行い、後日あらためて追悼式を開く形が多いです。一般的な流れは以下の通りです。
- ご逝去・搬送・安置
- 火葬
- 追悼式(後日)
1. ご逝去・搬送・安置
ご逝去後の流れは一般的な葬儀と同じです。病院などから安置場所へご搬送し、法律で定められた死後24時間の経過を待ちます。安置中に宗教的な儀式(枕経など)は行いません。
ご逝去場所までのお迎え、ご安置場所までのご搬送は葬儀社が行います。
2. 火葬
儀式を伴わないため、火葬のみを行う「直葬(火葬式)」の形式が選ばれることが多くなっています。出棺前に、参列者が棺に花(お別れ花)を手向けてお別れをすることもあります。
なお、遺骨の収骨(骨上げ)にはこだわらないとされていますが、自治体や火葬場の規定により収骨が必要な場合がありますので、地域のルールに従う形になります。
3. 追悼式(後日)
火葬後、日をあらためて王国会館などで追悼式が開かれます。追悼式は、以下の流れで進められます。
- 故人についての説明や思い出が語られる
- 聖書の朗読と讃美歌の合唱を行い火葬する
故人についての説明や思い出が語られる
エホバの証人の追悼式では、故人の生涯や人柄が紹介され、参加者が思い出を共有することから始まります。具体的には、故人がどのような人生を歩んできたか、映像やスピーチにて紹介します。
その後、遺族や親しい友人が故人との思い出やエピソードを語り、故人が信仰にどのように向き合ってきたかや、信仰の深さについて話していく流れです。
仏教葬のように焼香で故人の冥福を祈るような儀式は一切なく、故人を偲びながらも復活への希望を共有することが重視されています。
聖書の朗読と讃美歌の合唱を行い火葬する
故人との思い出やエピソードを語った後は、聖書の朗読が行われます。「死と復活の希望」に関する章が選ばれ、遺族や参列者に向けて読み上げられます。その後、参列者全員で賛美歌を合唱し、祈りをささげる流れです。
これらの儀式は、故人の死を悼むと同時に復活への希望の共有を目的としています。その後は、短いお別れの会が行われ、参列者が棺に花(お別れ花)を入れて出棺します。火葬場には親族のみが同行します。
エホバの証人の葬儀費用の相場
エホバの証人の葬儀費用は、およそ20万〜50万円程度が目安です。
形式別では、火葬のみの直葬・火葬式であれば20万円前後から、斎場で式を行う一日葬の場合は30万〜50万円程度が相場となります。
一般的な、仏教の葬儀より費用を抑えやすいのには、明確な理由があります。
- お布施・戒名料が不要
宗教者への謝礼や寄付を集めることがないため、仏式で数十万円かかることもあるお布施が発生しません - 祭壇が不要
祭壇や遺影を飾らないため、祭壇費用がかかりません - 通夜がない
通夜分の斎場利用料、通夜振る舞いなどの飲食接待費が抑えられます
一方で、ご搬送・安置(ドライアイス)・棺・火葬手続きの代行・火葬場までの搬送などといった部分は宗教にかかわらず必要で、ここが葬儀社に依頼する範囲になります。
弊社は、宗教儀式を伴わない直葬・火葬式・一日葬のセットプランを全国でご提供しています。エホバの証人の追悼式に対応した実績もございますので、ご希望の形式をお気軽にお伝えください。
エホバの証人の葬儀の服装マナー

エホバの証人の信者は、基本的に喪服を着用せずに紺やグレーといった落ち着いたダーク系の服装が一般的です。ただし、信者以外の人が追悼式に参加する際には、喪服で問題ありません。
葬儀会場で周りに合わせたいという場合は、ブラックスーツを避けてダーク系のフォーマルな服装を選ぶのが良いでしょう。
靴や装飾品などに関する細かいマナーは存在しないものの、できるだけシンプルで控えめなフォーマルスタイルが望ましいといえます。
エホバの証人の葬儀の参列マナー

エホバの証人と仏教では、死者に対する考え方が異なるため、葬儀中のマナーには注意が必要です。具体的な注意点としては、以下のような内容があります。
- 手を合わせる行為は避ける
- 仏教用語の使用は控える
- 香典は渡さない
エホバの証人では、偶像崇拝を禁じており、故人に対して手を合わせる行為は禁止されています。また、故人は復活するという考えがあるため「冥福」「成仏」「供養」といった仏教特有の表現も使用しないようにしましょう。
追悼式では寄付を募ることも禁じられているため、香典を渡さないようにしましょう。
家族でエホバの証人と仏教など信仰が違う場合
実際のご相談で多いのが、「故人はエホバの証人の信者だが、遺族は信者ではない」「配偶者だけが信者」といったケースです。この場合、どの形式で見送るかはご家族での話し合いになります。
- 故人が信者・遺族が非信者の場合
故人の信仰を尊重して追悼式の形をとることも、無宗教形式の葬儀(お別れの会)にすることもあります。信者の親族や会衆の方々と事前に相談しておくとスムーズです - 遺族が信者・故人が非信者の場合
無宗教形式で行われるケースが多く見られます
いずれの場合も、葬儀社には「エホバの証人の追悼式(または無宗教形式)で、宗教儀式は行わない」ことを最初に伝えてください。読経や焼香を前提としない進行・見積もりを最初から組めるため、行き違いを防げます。弊社では宗教・宗派を問わないプラン設計が可能ですので、ご事情をそのままお聞かせいただければ大丈夫です。
エホバの証人の葬儀でよくある質問
エホバの証人の方から葬儀のご相談で弊社によくいただくお問い合わせをまとめました。こちらに掲載されいてる内容以外で、些細なことでもご不安な事ございましたらお気軽にお問い合わせください。
24時間全国対応で、無料で事前のご相談やお見積もりも受け付けております。
エホバの証人には葬儀がない?
通夜・読経・焼香といった宗教儀式は行われませんが、「追悼式」という形で故人を偲ぶ集まりが開かれます。火葬のみを先に行い、後日追悼式を開く形が一般的です。
香典はいくら包めばいい?
エホバの証人の追悼式では香典を受け取らないのが基本のため、金額の相場という考え方自体がありません。
持参しなくても失礼にあたりません。どうしても渡したい場合は、無地の封筒などで受け取っていただけるかを事前にご遺族へ確認しましょう。
信者ではなくても追悼式に参列できる?
参列できます。故人の友人・知人・会社関係者など、信者以外の方の参列に制限はありません。服装は喪服で問題ありません。
エホバの証人でのお悔やみの言葉は?
「大切な方が安らかに眠れますように」「神様の平安があなたの上にありますように」などが使用されます。
ご遺族をいたわる一般的な言葉として「ご愁傷様です」使っても大きな問題はないですがとされますが、「ご冥福をお祈りします」「成仏」「供養」など仏教由来の表現は避けましょう。
エホバの証人では宗教的な儀式を行わない
エホバの証人は1870年代にアメリカで設立された宗教団体で、死者には意識がなく、生者に影響を及ぼすことがないと考えがあります。そのため、僧侶による読経や焼香など、故人の冥福を祈るような儀式は一切なく、独自の追悼式が実施されます。
追悼式では故人の思い出や思想が語られ、聖書の朗読と讃美歌の合唱を行い、火葬へと移る流れです。仏教葬とはマナーがことなるため、今回の内容を理解したうえで参列するようにしましょう。
葬儀社に追悼式を依頼する場合、火葬のみを行う直葬プランが該当します。弊社では、価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代に合わせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。
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