親族や友人などの親しい方が亡くなったときは、最後に一目でもご遺体と対面し、直接顔を見ながらお別れしたいと思うことがあるものです。反対に、故人との顔合わせを遺族から頼まれたものの、怖いのでお断りしたいケースもあるかもしれません。
ご遺体との対面に関しては、いくつかのマナーを押さえて行動する必要があります。
本記事では、ご遺体と顔合わせするときのマナーを解説します。遺族に配慮しつつ弔意を伝える作法から、ご遺体の顔を整える方法、ご遺体の顔の変化など幅広く紹介するので、ぜひ参考にしてください。
この記事を要約すると
- 遺族が許可すれば、ご遺体との顔合わせは可能です。事前の許可取りや対面時の作法など、マナーを守って行動しましょう。
- 遺族からご遺体との対面を促された場合、本来は従うのがマナーですが、怖い場合は断ってもかまいません。ただし断り方にもマナーがあり、失礼のない応対が求められます。
- ご遺体の顔をきれいに整えるには、エンゼルケアや死化粧、エンバーミング、湯灌などいくつかの方法があります。希望に沿ったケアを選択し、つつがなく葬儀を執り行いましょう。
ご遺体との顔合わせは可能?
遺族の許可があれば、ご遺体との顔合わせは可能です。場合によっては、遺族側から故人との対面を促されることもあるでしょう。
対面のタイミングと場所は、以下のどちらかであるのが一般的です。
- 葬儀を行う前の自宅や安置所
- 葬儀中の葬儀会場
葬儀中に顔合わせを行う場合は、お通夜の席で機会が設けられる傾向があります。
ただしご遺体との対面ができるのは、基本的には顔がきれいに保たれている場合に限ります。事故や自死、病気で変わり果てた姿をしており、死化粧や整顔などでの修復も難しいときには、顔合わせは難しいでしょう。
ご遺体と顔合わせするときのマナー
ご遺体と顔合わせするとき、特に注意が必要なマナーは以下のとおりです。それぞれ詳しく解説します。
- 事前に遺族の許可を取る
- 葬儀前の弔問時は平服・葬儀中は喪服を着用する
- ご遺体の顔の白い布・棺の扉は勝手にいじらない
- ご遺体には手を触れない
- 手短に済ませる
- 遺族にお礼の言葉を伝える
事前に遺族の許可を取る
ご遺体との顔合わせを希望する場合は、事前に遺族の許可を取っておくのがマナーです。
故人の遺言やご遺体の状態によっては、遺族はご遺体を誰にも見られなくないと考えることがあります。遺族の意に反して対面を望むのはタブーとなるため注意しましょう。
事故死や自死などでご遺体の損傷が予想される場合や、遺族が死因を伏せているような場合は、対面の申し出自体が失礼にあたる可能性もあります。
また、対面がかなう場合でも、直葬や火葬式を行う際は葬儀前に安置所などに弔問する必要があります。あらかじめ遺族と訪問日時の調整を行いましょう。
葬儀前の弔問時は平服・葬儀中は喪服を着用する
ご遺体と対面する際は、葬儀前の弔問時であれば平服(略喪服)を、葬儀中であれば喪服(準喪服)を着用しましょう。
喪服を着用して弔問するのは、故人の死に備えていたかのように見えることからタブー視されています。黒・紺・グレー・茶色などのダークスーツや、装飾のない無地のワンピースなど、落ち着いた服装を選択しましょう。結婚指輪を除き、アクセサリー類も外しておくのが無難です。
葬儀中に顔合わせの場が設けられる場合は、通常通り喪服を着用して対面します。
ご遺体の顔の白い布・棺の扉は勝手にいじらない
ご遺体との対面時は、顔にかかった白い布や、棺の扉を勝手に動かしてはいけません。遺族や葬儀社が取ったり開けたりしてくれるのを待つのがマナーです。
状況ごとの顔合わせの作法は、以下のとおりです。
| ご遺体の状況 | 対面の作法 |
|---|---|
| 布団に寝かせられている場合 | ●枕元より少し下がった位置で正座し、床に両手をついて深く一礼する ●白い布が外されたら膝をついた状態で顔まで近づき、両手を膝に置いて対面する ●対面後、一礼・合掌する再度枕元から少し下がった位置まで戻る ●最後に深く一礼する |
| 棺に納められている場合 | ●棺の胸元あたりで深く一礼する ●棺の扉が開けられたら、顔の位置まで近づいて対面する ●対面後、一礼・合掌する ●再度胸元あたりの位置まで戻る ●最後に深く一礼する |
ご遺体には手を触れない
対面の際は、ご遺体には手を触れないよう注意しましょう。マナー違反に該当するばかりか、ご遺体の状況次第では感染症のリスクもあります。
棺や布団などにも触れず、あくまで顔を拝見するだけにとどめるのが大切です。
手短に済ませる
ご遺体との顔合わせは、なるべく手短に済ませましょう。
弔問時に長居して話し込むと、葬儀の準備で忙しい遺族の時間を割くことで負担をかけてしまいます。また、葬儀中に場が設けられた際も、対面に時間をかけすぎれば他の参列者を待たせたり、式の進行を遅らせたりしてしまう可能性があります。
亡くなった際の状況や死因などを尋ねるのもタブーです。遺族がつらい思いをする可能性があるため、こちらからは話題に出さないようにしましょう。
悲しみから取り乱したり、反対に場の空気を和ませようとして冗談を言ったりするのもマナー違反です。
遺族にお礼の言葉を伝える
ご遺体との対面時には、遺族にお礼の言葉を伝えましょう。遺族をねぎらったり、故人を悼む言葉をかけたりするのも大切です。
遺族にかける言葉の一例は次のとおりです。
- ありがとうございます、お別れさせていただきます
- 謹んでお悔やみ申し上げます
- 心からご冥福をお祈りいたします
- この度はご愁傷様です
- 安らかなお顔ですね
- きれいなお顔ですね
一般的な言い回しで構わないので、手短に言葉を添えましょう。故人との思い出を振り返ろうとしたり、無理にオリジナリティを出そうとしたりして、長々と言葉をかけるのは逆に失礼にあたります。
お葬式でご遺体の顔を見たくないときの対処法
遺族から故人との対面を促されたものの、できればご遺体の顔を見たくない場合は、遺族や故人に配慮した婉曲的な表現で申し出を辞退しましょう。
具体的には、以下のように伝えます。
- お会いするのはつらくて耐えられそうにありません
- お顔を見ると取り乱してしまいそうですので、対面は遠慮させていただきます
- 心の準備ができておらず、対面する自信がありません
- 生前の元気なお姿を記憶にとどめておきたいので、心の中でお別れを伝えさせていただきます
- お会いすると悲しみが深くなりそうなため、お気持ちだけ頂戴します
遺族から顔合わせの申し出があった際は、本来はできるだけ対面に応じるのがマナーです。しかし、死に顔を見るのが怖いと感じるのもごく自然なことです。
対面で強いショックを受けそうなときは、慎重に言葉を選んだうえで辞退しても構いません。「怖いから見たくない」とストレートに伝えるのではなく、「悲しくて耐えられない」「元気な姿を思い出に残したい」という趣旨で伝えましょう。
ご遺体の顔を整える方法
ご遺体の顔を整える主な方法は、以下のとおりです。それぞれの内容を詳しく解説します。
- エンゼルケア
- 死化粧
- エンバーミング
- 湯灌
エンゼルケア
エンゼルケアとは、故人の死亡時に医師や看護師によって病院内で行われる医療的な処置を指します。ご遺体に感染症の予防処置を施し、火葬まで問題なくご遺体を安置できるように整えるのがエンゼルケアの主な目的です。
具体的には、故人が使用していた点滴やドレーンなどの医療器具を取り外したうえで、体内に残った食べ物や尿、便などを排出します。さらに顔を含めた全身の消毒や口腔ケアも実施します。必要に応じて、治療跡のケアや傷口の縫合にも対応可能です。
ただし、エンゼルケアの内容は、医療機関によって異なります。エンゼルケアについては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
死化粧
死化粧とは、ご遺体の顔にメイクをほどこしたり、身だしなみを整えたりすることを指します。
死化粧の目的は、病気や事故などの痕跡を隠し、なるべく生前の姿に近づけることで遺族をいたわることです。参列者が故人と支障なく対面できるようご遺体を整えるという意義ももちます。
死化粧では、ご遺体を清めた後に髭剃りや整髪、爪切りなどを実施し、必要に応じて頬に綿を詰めふくらみをもたせてから薄化粧をほどこします。
なお、死化粧のタイミングは、エンゼルケアの実施後です。エンゼルケアを行った流れで、化粧や整顔まで看護師が対応するケースもあります。
エンバーミング
エンバーミングとは、ご遺体に防腐処理を施して衛生的に保つ科学的な処置です。
単にきれいに整えるのではなく、特殊な防腐処理により、ご遺体を長期にわたって保存できるよう調整することがエンバーミングの主な目的です。エンバーミングを行えば、ご遺体を常温で保存できるようになります。感染症の心配も不要です。
エンバーミングでは、遺体を洗浄・消毒した後、血液や体液を排出して代わりに防腐液を注入します。ご遺体の修復もできるため、事故や自死などによる痕跡をカバーできるのも特徴です。
湯灌
湯灌とは、ご遺体をきれいに洗い清める儀式です。湯灌は、宗教儀式の一環という意味合いが強く、必ずしも実施するものではありません。
具体的な湯灌の手法としては、蒸しタオルやアルコールを使ってご遺体拭き清めるほか、シャワーや湯船を使って本格的に身体と髪を洗い清める方法もあります。
なお、湯灌を行うタイミングは納棺前で、湯灌後に死化粧を実施するのが一般的です。
湯灌について詳しく知りたい方は、以下の記事をあわせてご覧ください。
ご遺体の顔に関するよくある質問
ここからは、ご遺体の顔に関するよくある質問を紹介します。
- 亡くなった人の顔が変わるのはなぜ?
- ご遺体を自宅できれいに安置する方法は?
- 死化粧などのご遺体のケアは遺族が行ってもよい?
亡くなった人の顔が変わるのはなぜ?
亡くなった人の顔が変わって見えるのは、時間経過とともに身体に変化が生じ、扁平化や死後硬直、弛緩などが起こるためです。
死後の身体に起こるこれらの変化により、苦しんで死んだ顔をしているように見えることもありますが、死亡時の感情や表情とは無関係です。
ご遺体には、時間とともに以下のような変化が起こります。
| 時間経過 | 身体に起こる現象 | 概要 |
|---|---|---|
| 死亡直後 | 扁平化 | 筋肉が緩み、重力の影響で顔が平坦になる |
| 死後30分以降 | 蒼白化 | 仰向けの場合、重力の影響で血液が背中側へ移動し、顔の血色が失われて白っぽくなる |
| 死後1時間以降 | 死後硬直 | ●身体の筋肉が硬直する ●顎から四肢へと全身に硬直が広がっていく ●12~24時間でピークを迎え、その後徐々に弛緩していく |
| 死後3時間以降 | 皮膚の乾燥 | 体表面への水分供給がストップすることで皮膚や唇が乾燥する |
| 死後6時間以降 | 腐敗 | ●細菌の繁殖で腐敗が進む ●死後硬直が解けはじめるタイミングで腐敗が本格化するのが一般的 ●気温条件によって腐敗の進行速度が異なる |
ご遺体を自宅できれいに安置する方法は?
ご遺体を自宅できれいに安置するには、ドライアイスやエアコンを利用し、室温を18度以下に保ちましょう。気温が高いほど、ご遺体の腐敗が進みやすくなります。
自宅で適温を保つのが難しい場合は、葬儀社や葬儀場の安置室での保管も選択肢のひとつです。ただし、施設では面会時間に制限を設けていることが一般的であるため、葬儀社と相談しながら慎重に検討しましょう。
死化粧などのご遺体のケアは遺族が行ってもよい?
死化粧などのご遺体のケアは遺族が行うのではなく、なるべく専門家に依頼しましょう。
慣れていない人がケアをすると、ご遺体を傷付けてしまう可能性があります。また、細菌やウィルスの影響を受ける恐れもあるため、素人が無理やり整えようとするのは危険な場合があります。どうしても遺族が対応する場合は、手袋やマスクで防護し、化粧道具は使い捨てましょう。
専門家に依頼すれば、ご遺体の口や目が開いてしまったときや、急に血液・体液が漏れ出した際にもスムーズに対応してもらえます。
ご遺体と顔合わせの際にはマナーを守って行動しよう
遺族の許可があれば、ご遺体との顔合わせは可能です。事前に遺族の許可を取ったうえで手短に対面し、ご遺体には触れないなどのマナーを守って行動しましょう。
ご遺体との対面を依頼されたものの、顔を見るのが怖い場合は断ってもかまいません。ただし断り方にもマナーがあるため、遺族や故人に配慮しつつ、失礼のないよう行動するのが大切です。
ご遺体の顔をきれいに整えるにはいくつかの方法があるため、納得のいく方法で故人をケアし、悔いのない葬儀を行いましょう。
弊社では、価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代に合わせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。
