葬儀のマナー

神式のお通夜に呼ばれたら|通夜祭の流れや参列の作法・服装や香典のポイントを解説

神式のお通夜に呼ばれたら|通夜祭の流れや参列の作法・服装や香典のポイントを解説

葬儀は宗派によって考え方や進め方が大きく変わります。日本では仏式が一般的で、神式のお通夜に呼ばれると、服装や香典袋の選び方、作法などで迷う方がほとんどでしょう。特に神式における通夜祭や遷霊祭には独自の流れがあるため、事前に内容を理解していくことが大切です。

この記事では、神式ならではの儀式の流れや参列時のマナー、服装や香典についての考え方まで解説していきます。

この記事を要約すると

  • 神式では、通夜にあたる「通夜祭」で献饌・祭詞・誄詞が順に行われ、斎主が神前で供物奉献や祈りを進めます。その後の「遷霊祭」では会場を暗くして遷霊詞を奏上し、故人の御霊を霊璽へ移す独自の儀式が行われます。
  • 通夜祭では着席したまま祭詞と誄詞を静かに拝聴し、合図に合わせて一礼します。遷霊祭では参列者は姿勢を正して見守り、玉串奉奠では案内に従い玉串を受け取り、祭壇前で供えて二礼二拍手一礼を行います。
  • 服装は仏式と同じ黒の喪服が基本で、男女・子どもとも落ち着いた色合いを選びましょう。香典袋は蓮柄や「御仏前」を避け、「御玉串料」「御神前」など神式向けの表書きと黒白・双銀の水引を選びます。
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神式ではお通夜の代わりに「通夜祭」と「遷霊祭」が執り行われる

神式の葬儀では、仏式のお通夜にあたる儀式として「通夜祭」と「遷霊祭」が営まれます。神道では、故人の御霊を丁重に祀り守護神として迎える考え方があるため、この流れが重視されています。ここでは、神式のお通夜にあたる儀式の概要や考え方について解説します。

通夜祭の目的と位置づけ

通夜祭は、神式の葬儀における最初の儀式で、仏式の通夜にあたります。仏教では「故人と最後の夜を共に過ごす時間」という意味を持ちますが、神式の場合は「故人が神々の世界へ向かう準備を整える場」という位置づけです。

儀式では、神主が故人の安らぎを祈る言葉(祭詞)を読み上げ、雅楽の音色が静かに流れます。雅楽は古くから伝わる神事の音楽で、場を清める役割があります。参列者は榊の枝に紙垂を付けた玉串を手渡され、祭壇にそっと捧げて拝礼する流れです。

神道では死を穢れと考えるため、通夜祭は心身を落ち着け、故人を丁寧に送り出すための大事な節目となります。

仏式の通夜との違い

仏式の通夜は、僧侶が読経し、参列者が焼香を行う流れが一般的です。一方の神式では読経や焼香は行われません。代わりに、神主が祭詞を奏上し、参列者は玉串を捧げて拝礼します。

また、神道では死を「気が弱った状態」と捉えるため、儀式は静かで厳かな雰囲気で進みます。仏式よりも神事としての色が強く、形式よりも「場を清める」「気持ちを整える」といった意味が重視される点が大きな違いです。

通夜祭と遷霊祭を続けて行う理由

遷霊祭(せんれいさい)は、故人の御霊を身体から霊璽(れいじ)に移す儀式で、霊璽は仏式でいう位牌にあたるものです。本来は通夜祭とは別の儀式ですが、現在は通夜祭の後に続けて行う形が一般的になっています。

その理由は、通夜祭で故人をしのび、続く遷霊祭で御霊を丁寧に遷す流れが自然であり、儀式としても意味がつながるためです。遷霊祭では場の明かりを落とし、神主が遷霊詞を唱える中、参列者は平伏して静かに見守ります。これにより、故人が神々の世界へ向かう節目が整えられます。

関連:  神式葬儀の流れやマナー|香典袋や服装の正しい選び方を解説

神式の通夜祭・遷霊祭の流れ

神式のお通夜に参列する際は、通夜祭から遷霊祭までの流れを理解しておくことで落ち着いて行動できます。ここでは、当日の流れについて解説します。

通夜祭(献饌・祭詞・誄詞)から遷霊祭へと続く

通夜祭は神式の葬儀で最初に行われる儀式で、仏式の通夜にあたります。故を神々のもとへ導くための最初の段階で、以下の流れに沿って進みます。

通夜祭の流れ詳細
献饌(けんせん)斎主(神主)がご飯・酒・塩などを神前にそなえ、故人への感謝を伝えるとともに、儀式を始める場を整える行い
祭詞(さいし)斎主が故人の安らぎや遺族の平穏を祈る言葉を厳かに読み上げる中心儀式で、参列者は姿勢を正して静かに拝聴する
誄詞(るいし)斎主または遺族代表が故人の歩みや人柄をしのぶ言葉を述べ、故人への感謝を神前へ丁寧に届ける時間

通夜祭が終わると、儀式は遷霊祭へと移ります。遷霊祭は故人の御霊を新しい依り代へ迎えるための重要な儀式で、通夜祭とは目的が異なります。遷霊祭へと移る際は席で待つだけで、何かをする必要はありません。

遷霊詞の奏上と霊璽の奉遷が行われる

遷霊祭では、故人の御霊を霊璽(れいじ)と呼ばれる依り代へ丁寧に移します。霊璽は仏式でいう位牌に近い存在で、ここに御霊を迎えることで、家庭でお祀りする準備が整います。

儀式が始まると会場の明かりが落とされ、斎主が「遷霊詞(せんれいし)」と呼ばれる言葉を唱えますが、参列者は特に何もする必要はありません。

御霊が霊璽へ移されると明かりが戻り、霊璽が仮霊舎に安置されて遷霊祭の中心部分が終わります。

玉串奉奠を経て儀式が締めくくられる

遷霊詞と霊璽の奉遷が終ると、参列者による玉串奉奠(たまぐしほうてん)が行われます。玉串とは榊(さかき)の枝に白い紙(紙垂)を付けたもので、神前にそっと捧げることで敬意を表す行いです。参列者は案内された順番に前へ進み、玉串を受け取って祭壇へ向かいます。

根元が神前に向くように置いたあと、静かに拝礼しましょう。この一連の動作が焼香にあたる部分で、儀式を締めくくる大切な流れです。全員の玉串奉奠が終ると斎主の礼拝があり、通夜祭と遷霊祭が終了します。その後は喪主の挨拶があり、続けて直会(なおらい)へと案内される流れです。

直会とは、神前に供えた食べ物を下げて一緒にいただく場で、儀式を終えたあと気持ちを落ち着かせる意味があります。

神式の通夜祭・遷霊祭に参列するときのマナー

神式の通夜祭や遷霊祭には、独自の作法があります。どれも難しいものではありませんが、仏式とは手順が異なるため、事前に正しく理解しておきましょう。ここでは、会場に入るときの清め方から、順番に解説します。

手水で手と口を清めてから入場する

会場に入る前、入口付近に「手水(ちょうず)」の場所が用意されています。これは神式で神聖な場へ入る前に身を清めるための大切な作法です。柄杓(ひしゃく)に水をくみ、左手→右手の順に軽く流し、最後に左手に水を受けて口をすすぎます。

直接柄杓に口をつけるのは避けましょう。清め終えたら軽く手を拭き、会場へと進みます。

祭詞・遷霊詞は姿勢を崩さず静かに拝聴する

通夜祭が始まると、斎主が故人へ祈りの言葉である「祭詞(さいし)」をゆっくりと奏上します。遷霊祭に入ると「遷霊詞(せんれいし)」が読み上げられ、会場が暗くなる場合もあります。

この時間は故人の御霊を丁寧にお迎えする大切な場面であるため、参列者は立ち歩かず、背筋を伸ばして静かに耳を傾けるのが礼儀です。

玉串奉奠は案内された順番で静かに捧げる

遷霊祭の後半では、参列者が順番に「玉串奉奠(たまぐしほうてん)」を行います。玉串とは榊の枝に紙垂(しで)を付けた神前へのお供え物です。

係の人から渡されたら右手で根元を上から、左手で葉先を下から支えます。祭壇の前で一礼し、茎が神前へ向くように時計回りで回してそっと置きます。

その後は「二礼・二拍手・一礼」ですが、拍手は音を立てない忍び手で行うのが神式の特徴です。

数珠は神式では使用しない

神式の通夜祭や遷霊祭では、仏式で使う数珠は持ちません。神道では数珠の文化がなく、手を合わせる場面でも仏式のような扱い方は行いません。もし宗派が分からず不安な時は、鞄の中に入れておき、神式だと分かった段階で出さずに参列しましょう。

通夜ぶるまい(直会)に参加するときのマナー

通夜祭・遷霊祭が終わったあと、参列者は「直会(なおらい)」という会食の場に誘われることがあります。直会は故人への敬意と弔問へのお礼の意味が込められた時間で、会話や飲食の内容にも配慮が必要です。ここでは、直会におけるマナーについて解説します。

酒は「お清め」として一口だけいただく

直会では、お膳と共にお酒が振る舞われることがあります。神式の場合、このお酒は「お清め」の意味があるため、形式的に一口いただくのが望ましいです。杯を両手で静かに受け取り、斎主や遺族の指示を待ってからいただくと丁寧です。

お酒を勧められたからといって全て飲み切る必要はありません。酔って会話の声が大きくならないよう注意しましょう。参列者としては「一口・適量」を心がけると安心です。

長居せず1時間ほどで退席する

直会はあくまで儀式後の小休憩であり、遺族や関係者の負担を考えて滞在時間は1時間前後を目安にしましょう。長居してしまうと、謝恩の場が弔問者の雑談場になってしまい、故人を偲ぶ場の雰囲気が薄れてしまう恐れがあります。退席前には遺族や世話役に軽くお礼を伝えると良いでしょう。

神式の通夜祭に参列するときの服装

神式の通夜祭・遷霊祭では、基本的に仏式と同じ喪服を着用します。ただし、場の神聖さを損なう素材や装飾には注意が必要です。ここでは、服装マナーについて解説します。

仏式と同様の黒喪服を着用する

神式における参列者の服装は仏式とほぼ同じ考え方で問題ありません。準喪服が基本で、詳細は以下のとおりです。

年齢・性別服装の詳細
社会人・男性黒無地のスーツ・白シャツと黒ネクタイ・靴は黒の革靴(光沢の強いものは避ける)
社会人・女性黒のワンピース、アンサンブル、スーツ(スカート丈は膝~ふくらはぎ)・黒のストッキング(肌色は避ける)
学生学校の制服が最適(制服が極端に明るい場合は黒いカーディガンなどを合わせると自然)
幼児黒や紺、グレーといった落ち着いた色の服

喪服には「正喪服・準喪服・略喪服」がありますが、正喪服は遺族側が着用する格式の高い服であるため避けましょう。

関連: 家族葬の服装は?身内だけなら普段着OK?持ち物やマナーも解説

アクセサリーは控えめにする

神式の場では、華美な装飾や輝きの強いアクセサリーは場の雰囲気を損ねるため不向きとされています。アクセサリーは原則つけないのが望ましいですが「一連の真珠ネックレス」であれば付けても問題ありません。

真珠は、光沢が控えめで涙の象徴とされており、弔事にふさわしいと考えられています。ただし、二連の真珠は「不幸が重なる」と連想されるため避けましょう。控えめであったとしてもピアスやイヤリングも避けます。

腕時計に関しては付けても問題ありませんが、派手で金属が強く光るものなどは避けましょう。

派手な色柄や光沢のある素材は避ける

神式は穢れを避けるという考え方が強く、落ち着いた色と質感の服装がふさわしいとされています。派手な色や柄、強い光沢のある素材は場の雰囲気を乱すため避けるのが基本です。

特に注意が必要なのが「殺生を連想させる素材」で、具体的には毛皮や動物の革で作ったバッグや財布などがあります。この他では、ラメやサテンのような光沢の強い生地のものは避けましょう。

神式の通夜祭に持参するものと選び方

神式の通夜祭に参列する際には、仏式の香典にあたる玉串料(たまぐしりょう)を持参します。選ぶ袋や書き方には神式ならではの決まりがあり、いつもの感覚で仏式用を使うと失礼になることがあります。ここでは、玉串料に関するマナーを解説します。

香典は「玉串料」を包み白黒・双銀の水引を選ぶ

神式では、仏式の香典に相当するのが玉串料で、金額の相場は仏式と同じです。袋を選ぶ際は、蓮の花が印刷されたもの(仏式用)や十字架・百合が描かれたもの(キリスト教用)は避け、無地の白い不祝儀袋を選びます。

水引は、黒白・双銀・双白が神式で使われる正式な組み合わせです。黒白の水引は地域差もありますが最も広く使えます。双銀はやや格式の高い印象があり、親族や近しい関係での参列にも最適です。

香典袋の表書きは「御玉串料」「御神前」「御霊前」のいずれかにする

神式の香典袋の表書きは「御玉串料(もっとも一般的)」「御神前」「御霊前(宗派を問わず使える)」のいずれかを書きます。神式ではなくなった方が神様となって家族を見守るという考えがあるため、仏式用の「御仏前」や「御香典」は使わないようにしましょう。

名前の書き方は仏式と同じで、表書きの下段にフルネーム、会社関係なら社名を添えます。複数人で包む場合は「代表者名+外一同」と書くようにしましょう。

袱紗は紫・紺などの寒色を使う

玉串料の袋は、むき出しで持ち歩くのは失礼に当たるため、必ず袱紗(ふくさ)に包んで持参します。弔事で使う袱紗の色は、紫・紺・灰色・深緑などの落ち着いた寒色が基本です。袱紗の包み方は「1:右→2:下→3:上→4:左」の順に折り、左側を最後に閉じるようにします。

ちなみに台付き袱紗を使う場合、台が赤いものは慶事用であるため、紺や紫のものを使うようにしましょう。

神式の通夜祭のポイントを押さえて落ち着いて参列しよう

神式の通夜祭は仏式とは進み方や作法が少し異なるため、初めて参列する方は戸惑う場面もあるかもしれません。ただ、基本的な流れや服装・玉串料の準備さえ押さえておけば、過度に心配する必要はありません。

今回紹介したポイントを事前に知っておくことで、当日は自然と落ち着いて行動できるようになります。無理に完璧を目指さず、ゆっくりと故人をしのぶ気持ちを大切にすれば問題ありません。

弊社では、神式に対応し価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代に合わせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。

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