葬儀では、香典へのお礼として渡す「香典返し」や、参列してくれた方への感謝を伝える「会葬御礼」を用意するのが一般的です。特に会葬御礼は、その場で気持ちを伝える大切な習慣であり、故人と遺族の丁寧な姿勢を示す役割を持っています。
ただし、渡す品やタイミングにはマナーがあり、何を選んでも良いわけではありません。また、一緒に添える会葬礼状にも正しい書き方があります。この記事では、会葬御礼の内容や品物の選び方、礼状の書き方や文例、注意点まで分かりやすく解説していきます。
この記事を要約すると
- 会葬御礼とは参列への感謝を伝えるもので、香典へのお返しである香典返しとは目的も渡す時期も異なります。
- 会葬御礼には礼状・品物・清めの塩が含まれ、御礼品を選ぶ際は軽くてかさばらない500~1,000円程度のものを用意しましょう。
- 会葬礼状を書く際は季節の挨拶を省き、忌み言葉や重ね言葉、句読点を避けて薄墨で丁寧に記入しましょう。
会葬御礼とは参列者への感謝を伝えるための贈り物のこと
会葬御礼とは、葬儀や告別式に参列してくれた方へ感謝の気持ちを伝えるために渡す品物や礼状を指します。時間を割いて足を運んでくれたことへのお礼として扱われ、地域によっては「粗供養品(そくようひん)」と呼ばれるケースもあります。
かつては遺族が後日一軒ずつ挨拶に伺うのが礼儀とされていましたが、現代では仕事の都合や遠方在住などの事情から、式当日に品物を渡す形へ変化しました。参列者への気遣いを形にする会葬御礼は、遺族の丁寧な姿勢を示す大切な役割を担っています。
葬儀全体の印象にも関わるため、適切に準備することが求められます。
香典返しとの違い
会葬御礼と似た役割をもつものに「香典返し」があります。香典返しは香典をいただいた方へのお礼として渡す品物であり、多くの人が会葬御礼と同じものと考えてしまいがちです。しかし、この2つは目的や渡すタイミングなどが異なるため、混同しないよう注意が必要です。
会葬御礼と香典返しでは「目的」が異なる
会葬御礼は「参列してくれたことへの感謝」を伝えるものです。香典の有無に関わらず、葬儀に足を運んでくれたすべての人に渡します。一方、香典返しは「香典をいただいたことへの返礼」であり、金銭的な負担に対するお礼として扱われます。
つまり、会葬御礼は参列への感謝、香典返しは、香典へのお礼というように目的が根本的に異なります。香典を辞退した場合でも会葬御礼は必要となるため、両者を同じものと考えないようにしましょう。
会葬御礼は葬儀当日、香典返しは忌明け後に行う
会葬御礼は、葬儀や告別式の当日に受付やお焼香後のタイミングで直接手渡しします。かつては遺族が後日挨拶に伺っていました。一方、香典返しは四十九日の忌明け後に送るのが基本であり、法要を無事に終えた報告も兼ねています。
最近では「即日返し」として葬儀当日に香典返しを渡すケースもありますが、本来は渡す時期が異なることを理解しておきましょう。
会葬御礼は一律、香典返しは金額に応じて選ぶ
会葬御礼は1人あたり500〜1,000円程度の品を目安にし、参列者全員に同じものを渡します。高価すぎる品はかえって気を遣わせてしまうため、軽くて持ち帰りやすい「消え物」を選ぶのが一般的です。
対して香典返しは、いただいた香典の額に応じて内容を変えるのが一般的で、3分の1から2分の1程度を目安に品物を選びます。カタログギフトなど金額調整がしやすい品を用いるケースも多く、会葬御礼とは選び方の基準が大きく異なります。
会葬御礼に含まれるもの
会葬御礼はいくつかの品や書面をセットにして渡すのが一般的です。代表的なのは「会葬礼状」「会葬御礼品」「清めの塩」の3つで、それぞれに役割や意味があります。ここでは、会葬御礼を構成する主な内容について解説します。
会葬礼状
会葬礼状は、参列してくれた方への感謝の気持ちを丁寧に文章で伝えるためのものです。宗教や宗派を問わず用意するのが基本で「どのような経緯で葬儀を執り行ったのか」や「生前のお礼」などを簡潔に記入します。
また、会社や学校によっては忌引きの証明として提出を求められることもあるため、形式的な役割も持っています。
会葬御礼品
会葬御礼品は「会葬返礼品」や「粗供養品」と呼ばれ、参列してくれた方全員に同じものを渡します。お茶・お菓子・タオルなど、使えば残らない「消え物」を選ぶのが一般的です。金額は1人あたり500〜1,000円程度が目安で、高価すぎる品はかえって相手に気を使わせてしまいます。
通夜の参列者に渡す場合は「通夜返礼品」と呼ぶこともありますが、通夜と告別式をまとめて会葬返礼品とするケースも多く見られます。
清めの塩
清めの塩は、参列後に体へ振りかけて「穢れを家に持ち込まないようにする」という意味で使われます。本来は神道の考え方ですが、神仏習合の影響で仏式の葬儀でも広く用いられてきました。ただし、浄土真宗やキリスト教など清めの塩を用いない宗派もあり、最近では形式にこだわらず省略することも増えています。
必要かどうかは宗派や地域によって異なるため、葬儀社に確認しておくと安心です。
会葬御礼を選ぶポイント
会葬御礼品は「何でも良いから配ればよい」というものではなく、参列者に失礼のないように配慮して選ぶ必要があります。ここでは、品物を選ぶ際に押さえておきたい基本的なポイントを解説します。
軽くてかさばらないものや「消えもの」が基本
会葬御礼品は、持ち帰りやすさを第一に考える必要があります。大きすぎたり重かったりすると、公共交通機関で来た参列者に負担をかけてしまいます。小さなバッグに入る程度のサイズが理想です。紙袋に入れて渡すと、持ち運びやすくなるためおすすめです。
また「後に残らない方が良い」という考えから、食べ物や日用品など使うとなくなる「消えもの」がよく選ばれます。具体的にはお茶・お菓子・タオル・ハンカチなどがあり、食べ物の場合は日持ちするものにしましょう。最近はクオカードなどのカード型ギフトを選ぶケースも増えています。
金額は500~1,000円にする
会葬御礼は参列そのものへの感謝を示すものであるため、高価な品を用意する必要はありません。一般的な相場は500〜1,000円程度で、あまり高すぎると相手に気を遣わせたり香典返しと勘違いされたりする可能性があります。
香典返しは香典の額に応じて内容が変わりますが、会葬御礼は全員同じ品を一律に用意するようにします。金額の目安を守ることで、形式としてもマナーとしても適切なお礼になります。
殺生を連想させるものは避ける
会葬御礼では、生肉や魚など「命」を連想させるものは避けるのが基本です。また、宗教的な考え方からも、葬儀で生ものを渡すのは不適切とされています。さらに、お酒やコーヒーなど嗜好性の強い品も、人によって好みが分かれるため避けた方がよいでしょう。
ただし、故人の好物やゆかりのある品を選びたい場合は、葬儀社へ相談すればマナーに沿った形で工夫できることもあります。形式的なマナーだけでなく「相手が受け取りやすいか」という視点も含めて総合的に判断しましょう。
会葬御礼品の手配方法
会葬御礼品は自分で用意することもあれば、葬儀社に任せるケースもあります。こだわりや準備のしやすさによって最適な方法が変わるため、それぞれの特徴を理解して選ぶことが大切です。ここでは、代表的な2つの手配方法を紹介します。
ギフトショップで購入する|品物にこだわりたい場合におすすめ
故人の好物やゆかりのある品を選びたい、オリジナルの包装をしたいなど、会葬御礼品にこだわりがある場合はギフトショップでの購入が向いています。専門店や百貨店では、品質の高い商品や名入れ対応のギフトも選べるため、オリジナリティを出しやすいのが魅力です。
ただし、マナーに合わない品を選んでしまうリスクもあるため、事前に葬儀社へ「このような品を用意したい」と相談しておくと安心です。また、参列者数に合わせて数量を調整する必要があるため、余った際に返品できるかも必ず確認しましょう。
葬儀社に依頼する|マナーに沿った品を安心して手配できる
多くの葬儀社は会葬御礼品の手配サービスを用意しており、定番の商品を取り揃えています。マナーに沿った品が選ばれているため安心して任せられ、数量の見積もりや袋詰めなどの手間もかかりません。さらに、葬儀当日の配布タイミングまで含めてサポートしてもらえるため、準備の負担を大幅に軽減できます。
一方で、ラインナップが限られていたり、希望する品がない場合もあるため、こだわりがある場合は、早めに相談しておくことが大切です。返品の可否や追加が必要になった際の対応なども事前に確認しておくと、より安心して準備できます。
会葬御礼を渡すタイミングとマナー
会葬御礼は「いつ・どのように渡すか」によって参列者の受け取りやすさや印象が大きく変わります。葬儀の規模や受付の有無によって渡し方が異なるため、事前に流れを把握し、失礼のないように配慮することが大切です。ここでは、渡すタイミングと具体的な流れ、マナー面で注意したいポイントを解説します。
渡すタイミングと具体的な流れ
会葬御礼の渡し方には主に2つの方法があります。もっとも多いのは受付で記帳後に手渡しする方法で、参列者が確実に受け取れるのがメリットです。
もう1つは焼香後や退場時に渡す方法で、受付が少ない小規模な葬儀や家族葬などで選ばれます。
式場に間に合わなかった参列者には、退出口や控室で葬儀社スタッフが渡すなど柔軟に対応できるようにしましょう。遠方の方や代表者のみ参列した場合は、後日郵送するケースもあります。渡すのは葬儀社のスタッフやお手伝いの方が担当しますが、少人数であれば遺族が直接渡すこともあります。
どの方法を選ぶ場合でも、参列者全員に漏れなく渡せるよう、数に余裕をもって準備しておくことが重要です。
渡す際に気をつけたいマナーと配慮
会葬御礼は「配る」のではなく「感謝を込めて丁寧に渡す」姿勢が大切です。無言で手渡すのは避け「本日はご会葬いただきありがとうございました」など一言添えるのが礼儀です。また、会葬御礼は参列へのお礼であり香典返しとは目的が異なるため、香典返しを辞退された方にも基本的には渡します。
適切な言葉遣いと受け取りやすさへの気遣いが、遺族の感謝をより伝わりやすくします。
会葬礼状の書き方・マナー
会葬礼状は参列していただいた方への感謝を正式な形で伝える大切な文章です。一般的な挨拶状とは異なる独自のルールがあるため注意が必要です。ここでは、特に注意すべき基本的なポイントを解説します。
季節の挨拶は省略する
通常の挨拶状では「〇〇の候」などの時候の挨拶を入れますが、会葬礼状では用いません。弔事では季節の言葉よりも感謝の気持ちを真っすぐ伝えることを優先するためです。「拝啓」「敬具」などの頭語・結語も必須でなく、入れる場合はセットで使う必要があります。形式よりも簡潔で丁寧な表現を意識しましょう。
忌み言葉や重ね言葉を避ける
葬儀に関する文章では、不吉さや不幸の繰り返しを連想させる言葉は避けるのが礼儀です。「消える・落ちる・迷う・浮かばれない」などの忌み言葉や「重ね重ね・くれぐれも・わざわざ」などの重ね言葉は使用しません。
宗教によって細かな違いはありますが「縁起の悪さを感じさせない表現」を意識して文章を組み立てることが大切です。
句読点は使わずに書く
会葬礼状では「、」「。」などの句読点を使わないのが伝統的な書き方です。古来の正式な文書には句読点がなかったことに由来し「葬儀が滞りなく進むように」との意味も込められています。読みやすくするためには、適度な改行やスペースを入れて文章を区切ります。
最近は句読点を使う例もありますが、弔事では今も使わないのが一般的です。
基本的に薄墨で書く
弔事の挨拶状では、文字を薄墨で書くのがマナーです。「悲しみで涙がにじみ、墨が薄くなった」という意味が込められており、深い哀悼の意を表す表現とされています。現在は印刷が主流ですが、その場合も薄墨風のデザインを使うようにします。
本来は毛筆や筆ペンが望ましいものの、最近は黒のボールペンやサインペンが使われることもあります。この場合も、できるだけ真っ黒なインクではなく、薄めの色味を選ぶようにしましょう。形式を理解したうえで「故人を悼む気持ちを込めて丁寧に書く姿勢」を意識することが大切です。
会葬礼状の文例
会葬礼状は参列してくれた方全員に渡すため、誰が読んでも失礼のない文章にまとめることが大切です。長くなりすぎず、感謝の気持ちを簡潔に伝えるのが基本となります。具体的な内容は以下の通りです。
故 〇〇〇〇 儀 葬儀に際しましてはご多用のところ ご会葬賜り誠にありがとうございました
生前に賜りましたご厚情に深く感謝申し上げます
本来であれば拝眉のうえ御礼申し上げるべきところ 略儀ながら書中をもちまして御礼申し上げます
令和〇年〇月〇日
〒xxx-xxxx
住所
喪主 〇〇〇〇
親族一同
必要に応じて「遠方よりご会葬いただき」と冒頭に加えたり「ご芳志(香典)を賜り」と香典へのお礼を一文に含めることで、より丁寧な印象になります。
会葬御礼で気をつけたいこと
会葬御礼は参列者への感謝を伝える大切なものであり、失礼のない形で準備する必要があります。ここでは、準備する際に注意すべきことについて解説します。
参列者が増えても困らないよう多めに準備する
会葬御礼は香典の有無にかかわらず参列者全員に渡すのが基本です。葬儀では予想より多くの方が来ることも珍しくありません。数が足りなくなると、急いで追加を手配したり、特定の人に渡せなくなったりと失礼につながる可能性があります。
そのため、参列予定人数より多めに用意できるようにしておきましょう。逆に予想より少なくなり大量に余る可能性もあるため、余った分を返品できるかも事前に確認しておくと安心です。
小規模な家族葬では会葬御礼を省くこともある
会葬御礼は原則として準備するものですが、家族やごく親しい人のみで行う小規模な家族葬や直葬では省略されることもあります。人数が限られており、口頭で感謝を伝えられる場合や、香典自体を辞退している場合などは、会葬御礼を用意しない選択肢もあります。
ただし、親族間でも考え方に差が出やすい部分であるため、事前に家族で話し合い葬儀社にも相談することが大切です。
熨斗(のし)の種類や書き方にも注意する
会葬御礼品には、熨斗をかけるのが一般的です。弔事では白黒または黄白の熨斗を使用し、水引は「結び切り」を選びます。これには「同じことを繰り返さない」という意味が込められています。表書きには「御会葬御礼」などと記入し、水引の下に喪主の氏名を入れます。
本来は毛筆で書くのが正式ですが、最近は筆ペンを使うことも増えています。ただし、目上の方が多い場合や格式を重んじる地域では毛筆を用いた方が無難です。
家族葬における会葬御礼の考え方
近年は一般葬だけでなく家族葬や直葬など、葬儀形式が多様化しており、会葬御礼を用意すべきか迷う声も増えています。家族葬に関しては、喪主と遺族以外に参列する人がいる場合は、参列へのお礼として準備するのが基本です。礼状は葬儀に参列した証明として使われることもあるため、省略しない方が安心です。
ただし、参列者全員が遺族であり、形式よりも口頭で感謝を伝える方が自然な場合には、会葬御礼を用意しないケースもあります。「誰が参列するか」を基準に考えたうえで、迷ったときは葬儀社に相談してみましょう。
マナーを守った会葬御礼で心のこもったお礼をしよ
会葬御礼は、参列してくれた方への感謝を伝える大切なものです。目的や香典返しとの違いを理解し、礼状・品物・渡し方のマナーを押さえておくことで、失礼のない気持ちの伝え方ができます。また、会葬礼状の書き方や品物の選び方は形式だけでなく「相手が受け取りやすいか」という配慮も重要です。
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