香典は故人への供養と遺族へのお見舞いを表す大切な風習ですが、書き方や包み方のマナーが多く、準備する際に悩む方は多いのではないでしょうか。
そこで今回は、これから葬儀に参列する方向けに、香典の基本的な包み方と香典袋の正しい書き方をわかりやすく解説します。香典の包み方や渡し方のマナーを知り、故人や遺族へ丁寧に想いを伝えましょう。
この記事を要約すると
- 香典の包み方や渡し方、香典袋の書き方にはさまざまなマナーが存在します。慶事のご祝儀とは反対になるものが多いため、間違えないように注意しましょう。
- 香典袋はお金を入れる中袋とそれを包む外袋に分かれるものが主流です。中袋には包んだ金額と住所・氏名、外袋には表書きと名前を記します。
- 包んだ香典袋はさらに上からふくさに包み、当日受付で芳名帳を書いてから手渡します。渡す際は手短にお悔やみの言葉を伝えるのがマナーです。
香典とは?
香典は、葬儀の際に参列者が包む金銭を指すものです。故人へのお悔やみと遺族への弔意・お見舞いを表す目的があり、もともとは故人へ供えるお香や線香の代わりとして贈られていたことから、「香典」と呼ばれています。現在は葬儀や法事の運営費用を支える意味合いも含まれており、遺族の代表者である喪主に対して渡されるのが一般的です。なお、葬儀会場に受付がある場合は、受付係へ渡します。
香典を用意する際は、お金の入れ方や香典袋の書き方にさまざまなマナーがあります。参列時に故人や遺族に対して失礼にあたらないよう、あらかじめ包み方のマナーを覚えておきましょう。
香典を包むときに必要なもの
香典を用意する際には下記の3点が必要です。
- 香典袋
- 古札
- 薄墨の筆ペンまたは毛筆
香典を用意する際は、宗教や包む金額に合わせた香典袋と適度に使い古された古札、そして薄墨の筆ペンまたは毛筆を準備しましょう。香典袋は宗教によってデザインや水引の種類が異なるため、事前に故人の葬儀形式を確認してから選ぶと安心です。
香典袋に表書きや名前を書く際は、薄墨を用いるのがマナーです。これは、突然の不幸で十分に墨を擦る時間がなかったという意味合いや、涙で墨が滲んだという意味合いがあるといわれています。
香典袋の選び方

香典を用意する際は、故人の宗教や包む金額に合わせて適切なデザインの香典袋を選ぶ必要があります。香典袋は宗教によって使用できる表書きやデザインが大きく異なるため、失礼にならないようにあらかじめ故人の宗派を確認しておきましょう。
仏教では、黒白の結び切りの水引が付いたデザインの香典袋を用いるのが一般的です。神道では黒白または双銀の水引が付いたもの、キリスト教では水引のない白無地封筒や、ユリ・十字架が描かれた不祝儀袋を使用します。
なお、包む金額が3,000〜5,000円の場合は水引がプリントされたものでもかまいませんが、1万円以上の金額を包む場合は本物の水引が付いた香典袋を選ぶのがマナーです。
| 宗教・宗派 | 香典袋のデザイン | 表書きの記載 |
|---|---|---|
| 仏教 | 黒白の結び切りの水引 | 香典 |
| 神道 | 黒白または双銀の結び切り | 玉串料 |
| キリスト教 | 白無地封筒またはユリ・十字架の絵 | 御花料 |
中袋の書き方

中袋には、包んだ香典の金額や差出人の情報を記します。特に金額は普段使用しない旧字体を用いるため、書き方に注意しましょう。
包んだ金額を書く
中袋の表面には、香典として包んだ金額を旧字体の漢数字で記します。一般的な書き方は「金〇〇圓也」です。例えば5千円なら「金伍阡圓也」、1万円なら「金壱萬圓也」、3万円なら「金参萬圓也」と記します。普段使用しない旧字体を使用するのは、金額の書き加えや改ざんを防ぐためといわれています。
| 金額 | 記載内容 |
|---|---|
| 3千円 | 金参仟圓也 |
| 5千円 | 金伍仟圓也 |
| 1万円 | 金壱萬圓也 |
| 3万円 | 金参萬圓也 |
| 5万円 | 金伍萬圓也 |
| 10万円 | 金拾萬圓也 |
署名を書く
中袋の裏面には、郵便封筒と同じように住所・氏名を記載します。遺族はこの情報をもとに香典返しを準備するため、郵便番号を含めて正確に書きましょう。
連名で香典を包む場合は、中袋に全員分の署名を書くとスペースが足りなくなるため、代表者のみの署名をしたうえで別紙に全員の氏名・住所をまとめて同封するのが一般的です。
外袋の書き方
香典袋の外袋には、表書きと包んだ人の氏名を記します。故人の宗派や名義によって書き方が異なるため、基本的なマナーを押さえておきましょう。
表書きを書く

外袋の上半分には、表書きを記入します。使用する表書きは宗教や宗派によって異なるため、事前に葬儀形式や故人の宗派を確認しましょう。
仏教では「御霊前」「御香料」などが一般的で、四十九日以降は「御仏前」を用いるケースもあります。ただし、浄土真宗では葬儀の時点から「御仏前」を使用し、「御霊前」は使いません。
神道では「御霊前」「御玉串料」などを使用します。カトリックでは「御花料」「献花料」「御ミサ料」、プロテスタントでは「御花料」「献花料」「忌慰料」が一般的です。
故人の宗教が分からない場合や無宗教形式の葬儀では、「御霊前」「御香料」「御香資」を用いれば失礼にあたりません。
| 宗教・宗派 | 表書き |
|---|---|
| 仏教 | ●御霊前 ●御香料 ●御仏前 ●御香典 |
| 神道 | ●御霊前 ●御玉串料 ●御榊料 ●御神饌料 ●御神前 |
| カトリック | ●御花料 ●献花料 ●御ミサ料 |
| プロテスタント | ●御花料 ●献花料 ●忌慰料 |
| 無宗教・不明 | ●御霊前 ●御香料 ●御香資 |
名前を書く

外袋の下半分には、表書きよりやや小さめの文字で香典を包んだ人の名前を記します。個人で包む場合は自分のフルネームを、夫婦や家族名義で包む場合は世帯主のフルネームを書くか、家族連名としましょう。
4人以上の連名で香典を包む場合は代表者のみを中央に記載して左下に「外一同」と書き添え、別紙に全員の氏名をまとめるのが一般的です。
会社や団体名義の場合は、中央に代表者の氏名と役職、右側に会社名を記載してください。なお、誰かの香典を代理で手渡す場合は、代理人が渡したことがわかるように記すのがマナーです。家族の代理なら氏名の左下に「内」、上司の代理なら「代」と記載すると、代理人に依頼したことが相手に伝わります。
| 名義 | 書き方 |
|---|---|
| 自分 | フルネーム |
| 家族 | 連名または世帯主のフルネーム |
| 複数人の連名 | 3人以下の場合は全員のフルネーム4人以上の場合は代表者のフルネーム・左下に「外一同」 |
| 企業・団体 | 中央に代表者の氏名と役職・右に社名複数人の場合は代表者のフルネーム・左下に「外一同」 |
| 家族の代理 | 依頼者のフルネームの左下に「内」 |
| 上司の代理 | 依頼者のフルネームの左下に「代」 |
香典袋の包み方

香典袋は、中袋を外袋で包んだ後に上からふくさで包むのがマナーです。正しい包み方を覚えましょう。
お札を入れる
香典に入れるお札は、すべて向きと表裏を揃えて中袋へ入れるのが基本です。人物の肖像がある面がお札の表側ですが、香典では中袋の裏側から見たときに、お札の表面が見える向きで揃えるのがマナーです。さらに、肖像画が下側になるように包むことで、「悲しみに顔を伏せる」という意味合いを表すとされています。
複数枚のお札を入れる場合も向きを統一し、ばらばらにならないよう丁寧に重ねて入れましょう。なお、反対の向きに入れると慶事の包み方と同じになるため、お札の面裏や向きには十分注意が必要です。
表面を揃えて折りたたむ

中袋に金額と住所・氏名を書き、お札を入れたら、上から外袋で包みます。まず外袋を広げ、中袋の表側が見える向きで中央に置きます。その後、左側、右側、下側、上側の順番で折り目に沿って折り込みましょう。
続いて裏側に返し、上側の折り返し部分を下側の折り返し部分へ重ねる形で閉じます。最後に水引を元の位置へ戻し、袋全体の形を整えれば完成です。こちらは弔事の場合の香典袋の正式な包み方であり、お札の向きと同様に慶事の場合の包み方とは逆になるため注意してください。
香典袋をふくさに包む

香典袋はそのまま持参せず、ふくさに包んで持ち運ぶのがマナーです。弔事では、グレー・ネイビー・紫などの寒色系や落ち着いた色合いのふくさを使用します。
形状は、3万円を超えない金額であれば、香典袋を挟んで持ち運べる手帳型でかまいません。それよりも高額の香典を包む場合は、風呂敷のように自分で折りたたんで包むタイプを選ぶとより丁寧な印象を与えられます。なお、香典袋を包む際は、ふくさが左開きになるように向きを調整してください。
香典を用意するときの注意点
香典は香典袋の書き方だけでなく、中に入れるお金の扱いにも細かなマナーがあります。相手に失礼のないよう、正しい包み方を心がけてください。
新札は使わず古札を使う
香典を用意する際は、新札ではなく適度に使用感のある古札を用いるのがマナーです。新札は相手に「あらかじめ不幸を予想して準備していた」という印象を与えるため、弔事にはふさわしくありません。
ただし、古札のなかでも、汚れや破れが目立つ古札や極端に傷んだお札もかえって失礼にあたります。手元に新札しかない場合は、そのまま入れるのではなく、一度軽く折り目を付けてから香典袋へ入れてください。
金額は奇数で用意する
香典の金額は、1万円・3万円・5万円などの奇数になるように包むのが基本です。偶数は「割り切れる=縁が切れる」という意味を連想させるため、弔事では避けましょう。また、4は「死」、9は「苦」を連想させる数字として縁起がよくないとされていることから、4千円・9千円・4万円なども避けましょう。
なお、額面だけでなく、香典袋へ入れるお札の枚数も奇数枚に揃えるのが望ましいとされています。例えば、1万円を用意する際に「5千円札1枚と千円札5枚」を入れるのではなく、「1万円札1枚」を入れるのがマナーです。
中袋がない香典袋は外袋に金額と署名を書く
地域の風習や香典袋の種類によっては、中袋が付いていない香典袋を使用する場合があるかもしれません。中袋がない香典袋には、「不幸が重なることを避ける」という意味合いがあります。
中袋のない香典袋の場合は、本来中袋に記載する金額と署名を外袋の裏面に記すのが一般的です。裏面に包んだ金額を旧字体で「金壱萬圓也」のように書き、あわせて住所と氏名も書きましょう。
極端に高い金額を包まない
香典はお悔やみやお見舞いの気持ちを表すものですが、高い金額を包めばよいというものではありません。故人との関係性に見合わない高額な香典は、遺族にかえって気を遣わせてしまいます。香典返しの負担が大きくなるほか、ほかの参列者とのバランスを崩してしまうこともあるため避けましょう。
故人や遺族に感謝や弔意を伝えたい場合は、無理に高額を包むのではなく、相場に沿った金額を丁寧なマナーで渡すことが最も気持ちが伝わる方法といえます。
香典を渡すときのポイント
香典は、当日の渡し方にもいくつかのマナーがあります。受付の方や遺族に失礼のないよう、基本的な流れを確認しておきましょう。
手渡す前に記帳を済ませる
葬儀場へ到着したら、まず受付で芳名帳に氏名や住所を記帳します。芳名帳は、遺族が香典返しを準備したり、参列者を確認したりするために管理する名簿です。書き間違えのないよう、読みやすい字で丁寧に記しましょう。
記帳が終わったら、受付係へ香典を手渡す流れになります。自宅へ弔問する場合は受付がないため、先に線香をあげて故人へのお参りを済ませた後、遺族へ香典を渡すのが一般的です。
ふくさから取り出して手渡す

香典は、受付の前でふくさから取り出して渡すのが作法です。ふくさを開いたらその上に香典袋を置き、反時計回りに回転させて表書きが相手から読める向きに整えてから手渡しましょう。ふくさから直接取り出して片手で渡したり、バッグから香典袋をそのまま出したりするのは、丁寧な印象を与えないため避けてください。
手短にお悔やみの言葉を伝える
香典を渡す際は、「このたびはご愁傷様です」「このたびは心よりお悔やみ申し上げます」など、お悔やみの言葉を添えて手渡します。遺族は葬儀当日に多くの参列者への対応に追われているため、長話は避け、簡潔にお悔やみの気持ちを伝えるのがポイントです。
また、「重ね重ね」「たびたび」などの不幸が続くことを連想させる重ね言葉や、「苦しむ」「死」といった直接的な表現も避けるのがマナーです。お悔やみの場での言葉選びに気を付けながら、丁寧に対応しましょう。
お通夜と葬儀の両方に参列する場合はお通夜の際に渡す
お通夜と葬儀・告別式の両方へ参列する場合、どちらか一方で香典を渡します。香典はお通夜で渡すケースが多いです。同じ故人に対して香典を二度渡すことは「不幸が重なる」という意味合いにつながるため、お通夜で一度香典を渡していれば、翌日の葬儀でもう一度包み直す必要はありません。
弔問する最初の機会に香典を渡すと覚えておけば、迷わず対応できるでしょう。
香典に関するよくある質問
ここからは、香典を用意する際によくある疑問について解説します。
香典を包むかどうか迷ったらどうすればよい?
香典を包むべきか迷った場合でも、遺族から香典辞退の案内がない限り、基本的には用意しておくのがマナーです。家族葬や一日葬などの規模の小さな葬儀であっても、香典を受け付けている場合は一般葬と同様に持参しましょう。
どうしても判断に迷う場合は、あらかじめ香典を用意して持参し、受付で辞退されていることが分かった際に持ち帰る方法でも問題ありません。
一方で、訃報や案内状に「香典はご辞退申し上げます」「ご厚志はご辞退申し上げます」などと明記されている場合は、香典は不要です。香典を辞退しているときに持参するのはかえってマナー違反になるため、故人や遺族の意向を尊重しましょう。
香典の相場は?
香典の金額相場は、故人との関係性や自分の年齢、地域の慣習などによって大きく異なります。一般的には故人との関係が近く、年齢を重ねているほど包む金額が高くなります。
なお、故人に生前お世話になったからといって、相場を大きく超える金額を包むのは好ましくありません。高額すぎる香典はかえって遺族に気を遣わせてしまうため、相場の範囲内に収めるのがマナーです。
| 故人との関係 | 一般的な金額相場 |
|---|---|
| 両親 | 3万円〜10万円 |
| 祖父母 | 1万円〜5万円 |
| 兄弟姉妹 | 3万円〜5万円 |
| 叔父・叔母 | 1万円〜3万円 |
| 友人・知人 | 5千円〜1万円 |
| 勤務先の上司・同僚 | 5千円〜1万円 |
| ご近所の方 | 3千円〜1万円 |
香典を直接手渡せないときは?
事情があって葬儀へ参列できない場合でも、遺族に香典を渡す方法はいくつかあります。もし参列予定の親族や知人がいる場合は、代理で持参してもらうのがスムーズです。この場合は、代理人が手渡したことが分かるように香典袋へその旨を記しましょう。
また、現金書留を利用して遺族の自宅へ郵送する方法も一般的です。現金書留のみだと淡白な印象を与えるため、お悔やみの気持ちを伝える送付状を添えると丁寧です。
葬儀後に都合がついた場合は、事前に遺族へ連絡し、弔問の了承を得たうえで香典を持参する方法もあります。いずれの場合も遺族への配慮を忘れず、香典返しの手間にならないようすみやかに対応しましょう。
遺族が香典を辞退している場合は?
遺族が香典辞退の意向を示している場合は、その意思を尊重して香典は持参しないのがマナーです。無理に受け取ってもらおうとすると、かえって遺族の負担になってしまうため控えましょう。
香典を辞退している場合は、香典だけでなく供花や供物もあわせて辞退しているケースが多いため、案内状や訃報の内容をよく確認しましょう。どうしても弔意を伝えたい場合は、弔電を送ったり、お悔やみの手紙を添えたりするのもひとつの方法です。
香典の書き方のマナーを守り、丁寧にお悔やみを伝えましょう
香典は包む金額だけでなく、香典袋の選び方や表書き、お札の入れ方など、弔事ならではのさまざまなマナーがあります。故人や遺族への敬意を表すためにも、一つひとつの作法を正しく理解しておくことが大切です。
弊社では、価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代に合わせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。
全国から葬儀場を探す
※サービスサイトに移動します。
