宇宙全体を司る「大元霊(みおやおおかみ)」を信仰するPL教団の葬儀は、一般的な仏式とは異なり神道の形式で執り行われます。日本の葬儀の多くは仏式で執り行われるため、神式の葬儀の流れやマナーに戸惑う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、初めてPL教団の葬儀に参列する方向けに、PL教団の基本から葬儀の流れまでをわかりやすく解説します。神道の葬儀に基づくマナーを知り、参列に備えましょう。
この記事を要約すると
- PL教団は、大阪府に本部を置く習合神道系の新宗教です。宇宙全体を司る「大元霊(みおやおおかみ)」を信仰し、「人生は芸術である」という理念のもとで活動しています。
- PL教団の葬儀は、一般的な神道の葬儀と同様の形式で行われます。葬儀の一連の儀式を通して、故人の御霊を祖先の一員として家に祀ります。
- PL教団の葬儀では、仏式の葬儀における焼香にあたる「玉串奉奠」という儀式が行われます。また、死を「穢れ」ととらえるため、儀式の前後で「手水の儀」や「修祓の儀」などのお祓いを行うのが特徴です。
PL教団とは?
PL教団は「パーフェクト リバティー教団」と呼ばれる習合神道系の新宗教で、「人生は芸術である」という教義のもと活動しています。宇宙全体を司る存在である「大元霊(みおやおおかみ)」を信仰の対象とし、人が自らの人生をより良く表現することを追求しています。
教団の本部は大阪府富田林市にあり、象徴的な建造物として知られる大平和祈念塔が建てられています。高校野球で有名なPL学園はこの教団を母体としており、社会的にも広く知られています。
PL教団の成り立ち
PL教団の起源は、1924年に御木徳一によって創設された「人道徳光教」にあります。1931年に「ひとのみち教団」に改称されて活動を続けていましたが、戦前の宗教統制の影響を受けて一度解体されました。
その後、戦後になって二代目の御木徳近が教団を再建し、「パーフェクトリバティー教団」として再出発しました。こうした歴史を経て現在のPL教団が成り立ち、現在も多くの信者に支持されています。
PL教団の教義
PL教団は、「人生は芸術である」という理念を大切にしています。これは、信者一人ひとりが自分らしい生き方を追求し、日々の行動や選択を通じて人生を表現していくという考え方です。
また、人類全体の平和と福祉の実現に貢献することも重要な目標とされています。信者は日常生活の中で自己を磨き、他者との調和を大切にしながら生きることが求められます。
PL教団の特徴
PL教団の信仰や実践には、他宗教とは異なる独自の文化があります。
宗教的多様性を尊重する
PL教団は宗教的分類では諸派神道に属しますが、特定の宗教観に固執しない、宗教的多様性を尊重する姿勢を基本としています。ほかの宗教への信教を否定せず、それぞれの価値観や信仰を認め合う姿勢を持つのが特徴です。この柔軟な考え方は現代社会において広く受け入れられやすく、多くの人に支持される理由の1つとなっています。
毎月献金を行う
PL教団では、信仰活動の一環として毎月の献金が行われています。この献金は教団の運営や活動の支援に充てられるものであり、信者にとっては信仰心を表す行為でもあります。金額は1,000円以上が目安で、個人の状況に応じて決められます。
お身代わりの神事を行う
PL教団では「お身代わり」と呼ばれる神事が行われることがあります。これは、信者が突発的な苦痛に襲われた際、教祖が痛みを代わりに引き受けるという意味合いの儀式です。信者の災いや困難を軽減するために神に祈りを捧げながら、儀式を通して心の安寧や精神的な支えを得ることができます。
PL教団の葬儀は神式で行う
PL教団の葬儀は、基本的に神道の形式に基づいた神式で行われます。そのため、初めてPL教団の葬儀に参列する方は、神式の葬儀マナーを身に付けていれば問題ありません。
なお、神式の葬儀についての詳細については、以下をご覧ください。
神式葬儀と仏式葬儀の違い
神式の葬儀と仏式の葬儀では、死生観や儀式の内容に大きな違いがあります。仏式では葬儀や法要を通して故人の極楽浄土での成仏を願うのに対し、神式では祖先の一員として家に祀ることを目的とします。そのため、神式の葬儀では、故人の魂を丁寧に送り出し、祖霊として祀るためのさまざまな儀式を行います。
また、仏教の読経に当たる祝詞や、焼香にあたる玉串奉奠が行われるのも違いの1つです。それぞれ作法やマナーが異なるため、参列前に知っておくと安心です。
| 神式 | 仏式 | |
|---|---|---|
| 死生観 | 祖霊として祀る | 成仏を願う |
| 主な儀式 | 祝詞の奏上 | 読経 |
| 拝礼方法 | 玉串奉奠 | 焼香 |
PL教団の葬儀から法要までの流れ
PL教式の葬儀は、神式の葬儀の流れに則って行われます。一連の葬儀は複数の儀式によって構成されますが、逝去当日・神葬祭1日目・神葬祭2日目・法要の4つに大別できます。
逝去当日の流れ
逝去当日は、故人の魂を家に迎え、安らかに送り出すための準備が行われます。
帰幽奉告(きゆうほうこく)
帰幽奉告は、故人が亡くなったことを神に報告する儀式です。遺族が神棚や祖霊舎の前に集まり、故人の帰幽を静かに伝えます。儀式の際は、神棚や祖霊舎が死という穢れを受けないよう、白い半紙を貼って神棚封じを行います。
枕直しの儀
枕直しの儀では、故人の寝姿勢を整え、北枕に寝かせるなどの準備を行います。顔や手を洗い清めた後に白布をかけ、安らかな姿に整えます。枕元には仏式の枕飾りが整えられることもあります。
納棺の儀
納棺の儀では、故人の身なりを整えたうえで丁寧に棺へ移し、上から白い布を掛けます。衣服は死装束を身に付けるのが一般的ですが、生前よく着ていた服を選ぶこともあります。
柩前日供の儀
柩前日供の儀は、棺の前に供物を捧げる儀式です。納棺から出棺までの毎日朝夕に食べ物や酒などを供え、故人の御霊を慰めます。
墓所地鎮祭
墓所地鎮祭は、故人を埋葬する予定の土地を清める儀式です。神主を招いて土地の神に対して祈りを捧げ、墓地として使用することへの許しを得るという目的があります。
神葬祭1日目の流れ
神葬祭の1日目は、仏式の通夜にあたる儀式を中心に構成され、故人の霊を送り出すための準備が行われます。
通夜祭
通夜祭は仏式の通夜にあたる儀式で、故人と最後の夜を共に過ごす重要な時間です。神職が祝詞を奏上し、参列者は順番に玉串奉奠を行いながら故人の御霊の安寧を祈ります。
<通夜祭の主な流れ>
- 手水の儀
- 斎主・遺族入場
- 修祓の儀
- 献饌
- 祭詞奏上
- 玉串奉奠
- 撤饌
遷霊祭
遷霊祭は、故人の魂を遺体から霊璽と呼ばれる依り代へ移す神道特有の儀式です。魂は夜に動くと考えられていることから、部屋の明かりを落とした状態で神職が祝詞を奏上し、遺族は深く頭を下げて見守ります。この儀式によって故人の御霊は新たな場所に鎮まり、これ以降の儀式では霊璽を中心に供養が行われます。
発柩祭・発柩後祓除の儀
発柩祭は、故人の棺を自宅や斎場から送り出す儀式です。神主が祝詞を奏上し、遺族や参列者が玉串を捧げて祈りを捧げます。この儀式を終えると、棺は霊柩車へと運ばれます。
続いて行われる発柩後祓除の儀では、家に残った家族と家の穢れを祓い清めるための祈祷が行われます。
神葬祭2日目の流れ
神葬祭の2日目は、葬儀の中心となる葬場祭をはじめ、火葬や埋葬の儀式が行われます。
葬場祭
葬場祭は仏式の告別式にあたる儀式で、神葬祭の中でも最も重要な位置付けといえます。神主が祝詞を奏上し、参列者は玉串奉奠を行って故人の御霊に祈りを捧げます。
<葬場祭の主な流れ>
- 手水の儀
- 斎主・遺族入場
- 修祓の儀
- 献饌
- 弔辞の奉呈
- 弔電の奉読
- 祭詞奏上
- 玉串奉奠
- 撤饌
火葬祭
火葬祭は火葬の直前に行われる儀式で、故人の魂が安らかに旅立つよう祈る意味合いがあります。火葬炉の前で神職が祝詞を奏上し、遺族が玉串奉奠を行います。儀式を終えると、火葬が行われます。
埋葬祭
埋葬祭は、遺骨を墓に納める際に行われる儀式です。神道の葬儀では、仏教と異なり火葬の後に納骨がそのまま行われますが、近年は五十日祭の後に行われるケースもあります。儀式では神主が土地の神に対して祝詞を奏上し、故人の御霊が祖霊として鎮まることを祈ります。
帰家祭
帰家祭は、遺族や参列者が葬儀後に自宅へ戻った際に行う清めの儀式で、参列者や遺族の穢れを祓う目的があります。神主が祝詞を奏上し、塩や祓具を用いて清めを行います。
霊前祭
霊前祭は故人の霊前で行う供養の儀式で、仏教における日々供養にあたります。葬儀後も霊璽の供養を続けることで、故人の御霊が祖霊として安定していくと考えられています。特に亡くなってから十日ごとの節目に行われる「毎十日祭」が重要とされています。
葬儀後の流れ
神葬祭の後も、一定期間にわたり故人の御霊を慰めるための儀式が続きます。仏教と同様に、節目ごとに丁寧な供養が行われます。
五十日祭・清祓
五十日祭は、仏教の四十九日に相当する重要な節目の儀式です。神道では、この日を境に故人の御霊が祖霊として落ち着くと考えられています。式では神職が祝詞を奏上し、遺族や参列者が玉串奉奠を行って故人を偲びます。同時に清祓も行われ、遺族にかかっているとされる穢れを祓い清めます。神道ではこの儀式をもって忌明けとされており、日常生活へと戻る区切りとなります。
合祀祭
合祀祭は、故人の御霊を仮の祭壇から祖霊舎へ移す儀式です。神主が祝詞を奏上し、遺族が玉串を捧げることで、故人の霊璽が正式に家の祖霊の一員として迎え入れられます。
PL教団の葬儀に参列する際のマナー
PL教徒の葬儀は神式に基づいて行われるため、仏式とは異なる作法やマナーがいくつかあります。事前にマナーを知っておき、落ち着いて参列できるように備えましょう。
一般的な葬儀と同様に喪服を着用する
PL教式の葬儀でも、服装は一般的な葬儀と同様に喪服を着用するのが基本です。男性はブラックスーツに黒ネクタイ、女性は黒のワンピースやアンサンブルを選び、華美な装飾は避けましょう。服装のマナーは仏式と変わらないため、普段使用している喪服をそのまま着用して問題ありません。
数珠の持ち込みは不要
神式の葬儀では仏教のように数珠を使用する習慣がないため、数珠を持参する必要はありません。持ち物を用意する際は、誤ってカバンに入れないように注意してください。
「手水の儀」で身を清める
神式の葬儀では、会場に入る前に手水の儀を行い、手や口を清めます。この儀式は、身の穢れを祓い、清浄な状態で儀式に臨むための神道における重要な作法です。はじめに柄杓で水をすくい、左手・右手の順に清め、最後に口をすすぐという流れです。会場によっては簡略化される場合もありますが、案内があった場合は丁寧に行いましょう。
<手水の儀の作法>
- 右手でひしゃくを持ち、水をすくって左手にかける
- ひしゃくを左手に持ち替えて右手に水をかける
- ひしゃくを再び右手に持ち替えて左手に水をかけ、その水で口をすすぐ
焼香にあたる「玉串奉奠」を行う
神式の葬儀や法要では、仏教で行われる焼香の代わりに玉串奉奠を行います。玉串は榊の枝に紙垂を付けたもので、これを神前に捧げて故人の御霊に祈りを捧げます。玉串奉奠には細かい作法が定められているため、参列前に正しい作法を身に付けておきましょう。
<玉串奉奠の作法>
- 斎主と遺族に一礼して玉串を受け取る
- 右手で上から枝を持ち、左手で葉を支える
- 時計回りに90度回転し、枝を手前に向ける
- 右手が葉、左手が枝になるように持ち替える
- 枝を祭壇に向けるように時計回りに半回転して供る
- 一歩下がって二礼二拍手一礼
- 数歩下がって神主と遺族に一礼
受け取った玉串を時計回りに回し、根元を祭壇に向けて供えるのが基本的な作法です。その後、二礼二拍手一礼で拝礼しますが、拍手は音を立てない「忍び手」で行う点に注意が必要です。
香典の表書きは「御玉串料」や「御榊料」と記す
PL教徒の葬儀では、香典の表書きにも注意が必要です。仏式で用いられる「御香典」や「御仏前」ではなく、神式の「御玉串料」や「御榊料」と記すのが一般的です。不祝儀袋は、黒白または双銀の水引が用いられた落ち着いたデザインを選びましょう。
お悔やみの挨拶の際は仏教用語を使用しない
神式の葬儀では、仏教用語を避けたお悔やみの言葉を選ぶことが大切です。たとえば「ご冥福をお祈りします」は仏教的な表現にあたるため、「御霊の御平安をお祈りします」という神式の表現を選びましょう。宗教の違いを理解し、適切な言葉遣いを心掛けることが大切です。また、仏式の葬儀と同様に、不幸を連想させる「重ね言葉」や「忌み言葉」も使用を避けてください。
PL教式の葬儀マナーを守って参列しましょう
PL教団の葬儀は神式に基づいて行われるため、仏式とは異なる特徴やマナーがいくつかあります。玉串奉奠や手水の儀など、独自の作法を理解しておき、落ち着いて参列できるように備えましょう。
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