葬儀の基礎知識

黄檗宗の葬儀とは?特徴や流れ、参列時のマナーを解説

黄檗宗の葬儀とは?特徴や流れ、参列時のマナーを解説

黄檗宗の葬儀に参列することになり、「どのような作法があるのか」「ほかの宗派と何が違うのか」と不安に感じている方もいるでしょう。また、喪主や遺族として黄檗宗の葬儀を行う場合、葬儀の流れや準備すべきことを事前に知っておきたいところです。

黄檗宗の葬儀には、読経や鳴り物など独自の特徴があります。一方で、葬儀全体の流れや参列時の基本マナーは、一般的な仏式の葬儀と大きく変わりません

この記事では、黄檗宗の特徴や葬儀の流れ、焼香・数珠・香典・服装などのマナー、葬儀費用の目安について解説します。

黄檗宗の葬儀について基本を押さえておくことで、喪主・参列者のどちらの立場でも、落ち着いて故人を見送れるでしょう。

この記事を要約すると

  • 黄檗宗は、臨済宗・曹洞宗と並ぶ禅宗の一つで、中国風の文化や儀式作法を色濃く残している宗派です。
  • 黄檗宗の葬儀では、独特の読経や太鼓・銅鑼などの鳴り物が用いられることがあります。
  • 葬儀の基本的な流れや参列時のマナーは、一般的な仏式葬儀と大きく変わらないため、基本を押さえておけば安心です。
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黄檗宗とは?

黄檗宗は、臨済宗・曹洞宗と並ぶ禅宗の一つです。3つの禅宗のうちもっとも新しく日本に伝えられた宗派で、明時代の中国の文化を色濃く残しているのが大きな特徴です。

葬儀では、太鼓や銅鑼などの鳴り物をともなう独特の読経や、故人を仏弟子として迎え入れる授戒の儀式が行われます。他の宗派とは異なる雰囲気に戸惑う参列者も少なくありませんが、事前に基本を知っておけば落ち着いて故人を見送ることができます。

黄檗宗の概要

黄檗宗は、坐禅や読経を重んじる禅宗の一派です。1654年(承応3年)、江戸時代初期に中国から渡来した僧・隠元隆琦(いんげんりゅうき)禅師によって日本に伝えられました

総本山は京都府宇治市の黄檗山萬福寺で、もとは中国の臨済宗の一派でしたが、明治9年に独立して「黄檗宗」となりました。

ほかの禅宗(臨済宗・曹洞宗)との違い

黄檗宗と臨済宗・曹洞宗の大きな違いは、伝来した時期と、中国風の文化が色濃く残っている点です。

臨済宗と曹洞宗は鎌倉時代に広まりましたが、黄檗宗は江戸時代に中国から伝わりました。日本に伝わった時期が比較的新しいため、黄檗宗には読経や儀式作法に中国風の要素が残っています。

一方で、黄檗宗・臨済宗・曹洞宗はいずれも禅宗に分類されます。坐禅を重んじることや、葬儀で故人に戒を授け、仏弟子として送り出す考え方は同じです。

その他の宗派の葬儀との違い

黄檗宗の葬儀で特徴的なのは、読経と鳴り物です。

黄檗宗では、唐音と呼ばれる中国風の発音でお経を読むことがあります一般的な日本語読みの読経とは響きが異なるため、はじめて聞くと「いつものお経と少し違う」と感じるかもしれません。

また、読経に節をつける梵唄(ぼんばい)や、太鼓・銅鑼などの鳴り物が使われる場合もあります。読経だけの葬儀を想像していると、音の響きに驚くこともあるでしょう。

参列者が細かな作法を知らなくても問題はありません。基本的には、僧侶や葬儀社の案内に従い、合掌・焼香を行えば十分です。

黄檗宗の葬儀の流れ

黄檗宗の葬儀も、基本的な流れは一般的な仏式葬儀と大きく変わりません。臨終後に遺体を安置し、納棺、通夜、葬儀・告別式、火葬、お骨上げ、精進落としへと進みます

葬儀・告別式では、故人に戒を授ける「授戒」や、導師が引導を渡す儀式などが行われます。具体的な進行や作法は寺院によって異なるため、喪主や遺族は菩提寺や葬儀社に確認しておくと安心です。

1.ご臨終・安置

ご臨終後は、医師による死亡確認を受け、葬儀社や菩提寺へ連絡します自宅や安置施設などに故人を安置したあと、枕飾りを整え、僧侶による枕経(まくらぎょう)が行われることがあります。

枕経とは、故人の枕元で読経を行い、故人の冥福を祈る儀式です。黄檗宗の場合も、菩提寺がある場合はまずお寺に連絡し、枕経やその後の葬儀の流れについて相談します。

2.納棺・通夜(通夜振る舞い)

納棺では、故人の身支度を整え、棺に納めます。その後、通夜を行い、遺族や親族、参列者が故人を偲びます。

通夜では、僧侶による読経、焼香、法話、喪主挨拶などが行われるのが一般的です。黄檗宗では、読経の際に太鼓や銅鑼などの鳴り物が使われることもあります。

通夜後には、通夜振る舞いの席が設けられます。ただし家族葬や一日葬など、葬儀の形式によっては、通夜振る舞いを省略するケースも見られるようになりました。喪主として通夜振る舞いを用意するかどうかは、葬儀社と相談して決めるとよいでしょう。

3.葬儀・告別式(葬儀式)

黄檗宗の葬儀式は、いくつかの独自の儀式で構成されています

儀式内容
授戒(じゅかい)故人を仏弟子として正式に迎え入れる儀式です。故人の頭髪にカミソリを当てて出家を表す「剃髪(ていはつ)」をはじめとした儀式が行われます。なお本来の授戒は、生前に7日間かけて行われます。
鎖龕法式(さがんほうしき)棺を持って式場へと向かうための儀式です。最近では、葬儀式場など棺が安置されている場所で葬儀が行われることが一般的なため、省略される傾向があります。
起龕法式(きがんほうしき)閉じた棺を式場から出す儀式です。斎場に安置される場合、棺を移動する必要性がないため、起龕法式と同じく、儀式として独立して行うケースが減っています。
秉炬法式(ひんこほうしき)葬儀のなかで最も中心となる儀式です。導師が故人に引導を渡し、法語を唱えます。引導とは、迷いを断ち切り故人を仏の世界へ送り出す言葉です。禅宗の葬儀においてとくに重んじられています。

4.火葬・お骨上げ

葬儀・告別式が終わると、出棺し、火葬場へ向かいます。火葬場へ行くのは、喪主・親族をはじめ、特に親しかった人のみであることが一般的です。火葬の前後には、僧侶による読経が行われることもあります。

火葬後は、お骨上げを行います。お骨上げとは、遺族や近親者が故人の遺骨を箸で拾い、骨壺へ納める儀式です。地域によって収骨の方法や順番が異なるため、火葬場の係員や葬儀社の案内に従うといいでしょう。

5.精進

火葬の後は、遺族や親族、僧侶を招き、精進落としの席を設けることがあります。

黄檗宗でよく知られているのが、中国風の精進料理である「普茶料理(ふちゃりょうり)」です。普茶料理は、黄檗宗の開祖である隠元禅師が中国から伝えた精進料理で、その名前は「普く(あまねく)大衆と茶を共にする」という意味を持つと言われています。

ただし、葬儀後の精進落としで必ず普茶料理を用意しなければならないわけではありません。実際には、葬儀会館や料理店の会食プランを利用するケースも多くあります。喪主として準備する場合は、参列者数や会場、予算に合わせて葬儀社と相談しましょう。

黄檗宗ならではの作法

黄檗宗の葬儀には、読経や鳴り物など独自の特徴がありますが参列者の基本的な作法は一般的な仏式葬儀と大きく変わりません。

覚えておきたいのは、焼香の回数や数珠の種類などです。ただし、宗派によって異なる部分もあります。はじめて黄檗宗の葬儀に参列する場合は、基本的な作法を確認しておくと安心です。

ここでは、黄檗宗の葬儀で知っておきたい焼香や数珠、戒名の特徴について解説します。

焼香の作法

黄檗宗の焼香は、抹香を額に押しいただいてから香炉にくべる作法が一般的です。回数は3回とされています

焼香の基本的な流れは、以下の通りです。

  1. 焼香台の手前で遺族に一礼する
  2. 遺影に向かって一礼する
  3. 右手の親指・人差し指・中指で抹香をつまむ
  4. 額の高さまで押しいただく
  5. 抹香を香炉にくべる
  6. これを3回繰り返す
  7. 合掌し、遺影と遺族に一礼して席に戻る

参列者が多い場合や葬儀会場の進行によっては、焼香を1回に省略することもあります。回数に迷った場合は、前の人の作法にならうか、葬儀社の案内に従うといいでしょう。

数珠の選び方

黄檗宗では、正式には看経念珠(かんきんねんじゅ)と呼ばれる数珠を用います108個の玉に親玉がついた、禅宗で用いられる数珠の一種です。

参列者は、宗派を問わず使える略式数珠を持参しても問題ありません。喪主や遺族として葬儀を執り行う場合は、できるだけ宗派に合った数珠を用意しておくとよいでしょう。不安な場合は、菩提寺や葬儀社に相談して確認するのがおすすめです。

数珠の持ち方

数珠は、葬儀中は左手に持つか、左手首にかけておくのが一般的です。合掌する際は、数珠を両手にかける、または両手の親指にかけて房を下に垂らします。

数珠は本来、個人が持つ仏具とされています。家族のものを借りるケースもありますが、今後も葬儀や法要に参列する機会がある場合は、自分用の数珠を用意しておくと安心です。

戒名の特徴

黄檗宗の戒名は、基本的に「院号・道号・戒名・位号」で構成されます。以下のように、最大で9文字になる形が基本とされ、臨済宗などの禅宗と近い構成です。

  • 〇〇院◇◇◆◆信女
  • 〇〇院◇◇◆◆信士

戒名の内容や構成は、菩提寺の考え方、故人の生前の歩み、寺院との関係などによって異なります。

戒名は、菩提寺と相談しながら決めるのが一般的です。費用や戒名の種類について不安がある場合は、葬儀社を通じて確認してもよいでしょう。

戒名について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

葬儀費用の目安

費用は、葬儀の形式や参列者の人数、会場の規模、飲食や返礼品の有無、お布施の金額などによって変動します

一般的な葬儀費用の目安は以下の通りです。

葬儀形式費用相場の目安
一般葬100万〜200万円程度
家族葬30万〜100万円程度
一日葬30万〜50万円程度
直葬・火葬式20万〜50万円程度

黄檗宗の葬儀でも、通夜・葬儀・告別式を行う一般葬であれば、ある程度まとまった費用がかかります。

一方、家族葬や一日葬を選ぶことで、会場費や飲食接待費、返礼品費用を抑えられる場合もあります。

また葬儀費用とは別に、寺院へ渡すお布施も必要です。金額は地域や寺院、戒名の有無・位によって異なります。戒名料が別途必要になる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

費用面で不安がある場合は、複数の葬儀社から見積もりを取り、内容を比較することが大切です。「葬儀一式」と書かれていても、飲食費や返礼品、お布施、火葬料などが含まれていない場合もあるため、総額で確認しましょう。

黄檗宗の葬儀に参列する際のマナー

黄檗宗の葬儀に参列する際の服装や香典、持ち物などは、一般的な仏式葬儀と同じと捉えて問題ありません。

ここでは香典や服装などの基本マナーを見ていきましょう。

香典の書き方

黄檗宗の葬儀に持参する香典の表書きは、「御霊前」または「御香典」とするのが一般的です。四十九日後の法要では「御仏前」と書くことが多いため、葬儀や通夜では表書きを間違えないよう注意しましょう。

表書きの下には、自分の名前をフルネームで記入します。夫婦で出す場合は、中央に夫の氏名を書き、左側に妻の名前を添えるのが一般的です。

名前は薄墨の筆ペンで書くのが正式ですが、用意が難しい場合は黒の筆ペンでもかまいません。

なお、香典袋は黒白または双銀の水引がついたものを選びます。地域によっては黄白の水引を使う場合もあります。

宗派や地域によって考え方が異なる場合もあるため、不安な場合は葬儀社や親族に確認すると安心です。

香典の相場

香典の金額は、故人との関係性や年齢、また地域によっても異なります。

金額の目安は以下の通りです。

故人との間柄相場の金額
両親3〜10万円
祖父母1〜5万円
兄弟姉妹3〜5万円
おじ・おば1〜3万円
その他の親戚5千円〜1万円
友人・知人5千円〜1万円

香典の金額は、偶数や「死」「苦」を連想させる4・9の数字を避けるのが一般的です。

また、新札は「不幸を予期して用意していた」と受け取られることがあるため、使う場合は一度折り目をつけてから包むとよいでしょう。

香典については以下の記事でも解説しています。気になる方はチェックしてみてください。

関連: 香典の正しい包み方とは?相場の金額・送り方のマナー・香典袋の書き方を詳しく解説

服装・持ち物

黄檗宗の葬儀でも、服装は一般的な仏式葬儀と同じく喪服で問題ありません。男性はブラックスーツ、女性は黒のワンピースやアンサンブル、スーツなどを選びます。

アクセサリーは控えめにし、結婚指輪以外は外すのが無難です。真珠の一連ネックレスやイヤリングは弔事用として使われることがありますが、二連のネックレスは避けるのが一般的です。

持ち物としては、香典、袱紗、数珠、ハンカチなどを用意しましょう。バッグや靴も黒を基調とし、光沢の強い素材や派手な装飾は避けます。

喪主や遺族の場合は、参列者対応や僧侶への挨拶、香典返し、精進落としの案内なども必要になります。葬儀当日は慌ただしくなるため、事前に葬儀社と役割分担を確認しておくとよいでしょう。

当日の服装をはじめとしたマナーについては、以下の記事でも解説しています。

関連: 葬儀のマナー|喪主・参列者の服装・香典・焼香・挨拶を詳しく解説

黄檗宗の葬儀を理解し、不安なく故人を見送ろう

黄檗宗は、臨済宗・曹洞宗と並ぶ日本三禅宗の一つで、中国・明朝様式の文化を色濃く残す宗派です。葬儀では、唐音による読経や銅鑼などの鳴り物が用いられることがあり、ほかの宗派の葬儀とは異なる雰囲気を感じるかもしれません。

一方で、葬儀全体の流れや参列時の基本マナーは、一般的な仏式葬儀と大きく変わりません。焼香は3回が基本とされますが、会場の進行によって省略される場合もあります。迷ったときは、僧侶や葬儀社の案内に従えば問題ありません。

喪主や遺族として黄檗宗の葬儀を行う場合は、菩提寺の有無や僧侶の手配、お布施、葬儀費用について早めに確認しておきましょう。

慣れない場面で判断に悩む際は、プロである葬儀社に相談すると安心です。個々のケースに応じて、納得のいくアドバイスがもらえるでしょう。

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