家族が亡くなり葬儀を執り行う際に悩みやすいのが、葬儀の日程をどう決めるかです。地域の習慣や参列者の都合が異なるため、平日に実施していいのか判断しにくい場面もあります。実際の日程はご逝去の時期や火葬場の空き状況など、複数の条件で変わるため、落ち着いて整理する必要があります。
この記事では、葬儀を平日に行っても大丈夫なのか、その際のメリットや日程を決める際の考え方や注意点について解説していきます。
この記事を要約すると
- 葬儀は平日に行ってはいけないという決まりはなく、式場や火葬場の空き状況、参列者の都合によって平日になることもあります。平日だから不適切という考え方はなく、状況に合った日程調整が大切です。
- 葬儀日程は曜日ではなくご逝去からの経過日数で組まれるのが一般的で、通常は翌日通夜・翌々日葬儀となります。行政手続きや火葬場の予約状況によっては半日〜1日ずれることがあり、曜日を基準に決定することはほとんどありません。
- 日程に影響する要素として、僧侶の予定、友引を避ける地域習慣、年末年始やお盆の混雑、遠方参列者の移動などが挙げられます。調整が難しい場合は、一日葬や直葬など形式を変えて対応する方法もあります。
葬儀は平日にしても大丈夫?
葬儀は平日に行っても問題はありません。曜日に関する明確な決まりはなく、平日だから避けるべきという考え方にこだわる必要はないでしょう。実際の現場でも、火葬場の空き状況や手続きの流れに合わせた結果、平日になるケースは珍しくありません。
ただし、平日にすると参列しづらい方がいる可能性はあるため、家族だけの意向で決めてしまうのではなく、誰を呼ぶ予定なのかを踏まえた判断が重要です。平日は斎場の予約が取りやすい反面、仕事や学校と重なることも多少は考慮すべきです。
この他にも逝去のタイミングや準備の進み具合など、さまざまな要素がかかわるため、無理に土日に合わせず、総合的に判断しましょう。
葬儀を平日に行うメリット
平日に葬儀を行うと、進め方によっては負担を軽くできることがあります。週末よりも調整しやすいことがいくつかあるため、結果的にスムーズに進むケースも珍しくありません。ただし、家族や参列者の状況によって感じ方が変わるため、自分たちの優先度に合わせて考える姿勢が大切です。
ここでは、平日に葬儀を行うメリットについて解説します。
僧侶・斎場・火葬場が予約しやすい
平日は僧侶や斎場、火葬場の予定が比較的合わせやすく、日程を調整しやすい傾向です。土日や祝日は法事が集中しやすく、僧侶の予定が埋まっていることも珍しくありません。また、火葬場も週末は利用希望が重なりやすく、希望時間を確保できない可能性があります。
一方で平日は予約の競合が少なく、式の流れを組み立てやすいというメリットがあります。急な逝去で時間に余裕がないときも、平日の方が希望に沿って進めやすいでしょう。地域や施設の状況によって差はありますが、混雑を避けたい場合は平日の方が落ち着いて準備しやすいといえます。
精進落としなど食事会場を確保しやすい
平日は飲食店や会食スペースの利用が比較的しやすく、精進落としの場所を決めやすいことも大きなメリットです。土日は法事や家族集まりが集中しやすく、人数が多い会場ほど予約が難しくなる傾向があります。
特に近親者や僧侶が参加する食事会は時間が読みにくいため、無理なく使える会場を確保しておきたいところです。
平日なら混乱を避けつつ、席の配置や料理内容の相談も進めやすい環境が整っています。式後の流れを落ち着いて組み立てられる点は、喪主にとっても負担を減らす助けになります。
精進落としなどの食事について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
葬儀日程は平日・土日より「ご逝去日からの日数」で決まる
葬儀の日程は、平日か週末かを基準に決めているわけではありません。多くの葬儀では、亡くなった時間帯や火葬場の予約状況に合せて流れが決まり、結果として平日になるケースが自然に生まれます。
実際の現場では「平日だから避けたい」と強く意識する人は少なく、まずは基本のスケジュールに沿って進めるのが一般的です。
具体的な流れとしては、亡くなった翌日にお通夜、翌々日に葬儀と火葬を行う形が中心です。深夜や早朝に亡くなり、準備が追い付かない場合は、少し日数を調整することもありますが、いずれも曜日よりも亡くなってからの経過日数が基準です。
これにプラスして、火葬場の稼働状況や役所の手続きなどの都合もあるため、希望した曜日に葬儀を執り行う人は稀と言えるでしょう。
葬儀の日程決めに影響する主な要素
葬儀の日程は、亡くなった翌日に通夜、その翌日に葬儀という基本の流れがある一方で、実際にはいくつかの要素が重なることで前後する可能性があります。亡くなった際の状況や施設の都合が変われば、日程も柔軟に調整しなければなりません。ここでは、日程に影響しやすい主な要素について解説します。
参列者の都合
参加者の予定は葬儀の日程に最も影響が出やすい部分です。近親者が遠方に住んでいたり、仕事や受験でどうしても日程を動かせなかったりする場合は、基本の流れで進めると間に合いません。そのため、移動などに時間がかかる場合は一日ほど伸ばす判断がよく行われます。
【日程を調整するか検討すべきケース】
・主要な近親者が飛行機や新幹線で来る距離に住んでいる
・急な休暇を取りにくい職種が多い家庭である
・強く参列を希望する人が複数いる
こうした事情があると、無理のない移動や準備を優先するため、半日から一日ほど日程が変わることは珍しくありません。ただしこの場合も判断の軸になるのは曜日ではなく、最短で葬儀を行える日となります。
逝去したタイミング
亡くなった時間帯は、日程に直接影響します。深夜や早朝に亡くなった場合、医師の手続きや搬送の準備に時間が必要となり、その日のうちに通夜を行うのは現実的ではありません。遺族の体力面も考慮すると、翌日に通夜を行うケースがほとんどです。
また、夕方以降に亡くなった場合も同様で、書類の取得や安置先の手配が進むまでに時間がかかるため、無理に急ぐと遺族も参列者も混乱しやすくなります。結果として、半日から一日程度の調整が必要になるケースが多く、時間帯によっては一度ゆっくり落ち着いてから進める判断が適しています。
火葬場や斎場の状況
火葬場や斎場の空き状況は、日程が最も動きやすい要素の1つです。地域によって利用できる枠が限られており、希望日が埋まっている場合は数日後になることがあります。特に年末年始や友引の休場日が続いた直後は予約が集中しやすく、3〜5日ほどずれるケースも珍しくありません。
公営・民営どちらを使うかでも差が出ます。公営は料金が安いため予約が取りにくい傾向があり、民営は比較的取りやすい反面、費用が高くなる点に注意が必要です。希望する式場がある場合は、その空き枠を基準にスケジュールを組むことになります。
行政手続きの内容
死亡届の提出や火葬許可証の取得など、役所での手続きも葬儀の日程に影響します。死亡診断書の発行に時間がかかったり、役所の開庁時間外だったりすると、その日のうちに許可証を受け取れず、通夜や火葬が一日後ろへずれることがあります。
また、突然死や交通事故で亡くなり、死因がすぐに判断できないときには警察による確認や死亡解剖が必要です。司法解剖が行われると、ご遺体が戻るまでに数日かかることもあり、日程は解剖結果が出てから決める流れになります。
特に土日や祝日を挟むと対応できる窓口が限られ、手続きの進みが遅くなるため、行政の状況に合わせて柔軟に調整する必要があります。
なお、火葬許可証や検視などの詳細については、以下の記事も併せてチェックしてみてください。
故人の搬送や安置環境
ご遺体をどこで安置するか、どの施設を利用するかによっても日程が変わります。旅行中など遠方で亡くなった場合は、搬送に数時間から1日かかり、その間は準備を進められません。また、自宅安置を希望してもスペースや温度管理が難しい場合は、安置施設を手配するまでに時間が必要です。
夏場や気温が高い時期は保全のために冷却装置が必要となることもあり、処置の可否で日程を微調整するケースもあります。搬送距離が長い場合や安置場所が限られている地域では、半日以上のズレがでやすくなります。
宗教や地域性による要因
宗教や地域の習慣によっては、葬儀を控えた方がよいと考えられる日があります。特に多いのが友引を避ける考え方で、告別式と友引が重なる場合は別に調整することがあります。また、この習慣を受けて友引を休場日にしている火葬場も少なくありません。
菩提寺がある家庭では、僧侶の予定が調整の前提になります。お彼岸・お盆・年末は法要が重なり、僧侶の予定が埋まりやすいため、この時期は希望どおりに進まないケースが増えます。宗教上の理由で日程を調整する場合は1日から数日ほど動くこともあり、事前確認が欠かせません。
日程が合わない場合は、葬儀形式を見直すのもおすすめ
どうしても参列者の都合などが合わない場合は、葬儀形式を見直すのも1つの方法です。一般葬は参列者が多いぶん調整が必要で、通夜・葬儀の2日間を確保する前提になります。それ以外の葬儀形式には、以下のような特徴があります。
| 葬儀形式の種類 | 特徴 |
|---|---|
| 家族葬 | 参列者を家族中心に絞るため日程を合わせやすい。規模が小さい分、平日でも実施しやすいが、菩提寺の都合や地域の慣習によっては調整が必要になる。 |
| 一日葬 | 通夜を行わず葬儀・告別式を1日で行う形式。移動や仕事の調整がしやすく、火葬場の空き次第で平日でも組みやすいが、お別れの時間が短く感じる人もいる。 |
| 直葬(火葬式) | 通夜・葬儀を省き火葬のみを行うため、最短で日程を組みやすい形式。費用も抑えられるが、儀式が少ない分、後から形式を選ばなかったことを悔やむ声も一定数ある。 |
このように、葬儀形式によってメリット・デメリットがあり、費用面も大きく異なります。遺族や近親者と話し合ったうえで検討してみましょう。
葬儀日程に関するよくある質問
葬儀の日程は、家族の状況や地域の習慣によって考え方が変わります。ここでは、相談が多い質問を中心に判断の目安を解説します。
葬儀は平日に行うべき?
葬儀を平日に行うべきという決まりはありません。葬儀のほとんどは、亡くなった時間帯や火葬場の空き状況によって日程が決まり、その結果として平日になるケースもあれば、土日になることもあります。
遠方に住む近親者が多かったり、どうしても仕事を休めなかったりして週末を希望する人もいますが、無理に曜日を指定する必要はありません。
葬儀をしてはいけない日はある?
葬儀を執り行ううえで絶対に避けるべき日はありません。ただし、多くの地域では友引を避ける習慣があり、斎場や火葬場も休みになるため、この影響で日程調整が必要になる可能性はあります。また、実務的に葬儀をやりにくい日としては以下のようなケースがあります。
- 年末年始:12月30~1月3日は休みとなる火葬場が多く、その前後も混みやすい
- 大型連休明け:休みが続いた反動で予約が集中しやすい
このように避けるべき縁起の日は基本的になく、施設の都合で葬儀ができない日は存在します。
葬儀は何曜日が理想?
葬儀に理想の曜日はありません。実際の現場では曜日よりも誰が参列するのか、どこから来るのか、どれだけ準備に時間が必要かといった条件の方が重要です。近親者が近隣に住んでいてすぐに集まれる状況であれば、最短の日程で平日に行うのが一般的です。
逆に遠方の家族が多く、休みを取りにくい職種が多い家庭では日程調整により土日になるケースもあります。ただし、火葬場の空き状況や役所の手続きも影響するため、必ず希望した曜日に執り行えるとは限りません。
法事は平日でも大丈夫?
法事は平日に行ってもまったく問題ありません。葬儀と同様に宗教上などの理由で「平日は避けるべき」といった決まりはなく、希望すれば平日に執り行えます。平日はお寺や会食会場の予約を取りやすい、混雑しないといったメリットもあります。
ただし、平日に行う場合は、仕事や学校でどうしても参列できない人が多くなりやすいことを考慮する必要があります。家族が大丈夫でもお坊さんの都合がつかないといった可能性もあるため、事前に確認したうえで調整してみましょう。
葬儀を平日にやる場合におすすめの時間帯は?
平日の葬儀に「この時間が理想」という明確な基準はありません。というのも、実際の開始時刻のほとんどは、火葬場の予約時間で決まるため、希望を出してもその通りになることは稀です。一般的な傾向としては、午前9〜10時頃に式を始め、昼過ぎに火葬、その後に精進落としという流れです。
午後からの開始も可能ですが、移動が遅い時間帯にずれ込むほど高齢者や子供連れには負担がかかりやすくなります。
平日か土日かにこだわらず、最適な葬式日程を整えよう
葬儀の日程は、平日か土日かよりも「ご逝去の時間帯」「火葬場の空き」「参列者の移動」など複数の事情が重なって決まっていきます。基本は翌日通夜・翌々日葬儀ですが、遠方の家族がいる場合や行政手続きが間に合わない場合は半日〜一日ほど動くこともあります。
六曜や地域の慣習で調整が必要になるケースはあっても、平日だから不都合というわけではありません。もし日程がどうしても合わない場合は、一日葬や直葬など形式を見直す方法もあります。無理なく準備できる日程で調整してみましょう。
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