親が危篤と告げられたときは、誰でも強い動揺と不安に包まれます。しかし、現実的には子どもや家族としてすぐに対応すべき手続きが多く、あらかじめ流れを把握しておくことが求められます。
今回は、親が闘病中の方や危篤状態と診断された方向けに、親が危篤になったときに子どもがすべきことを項目ごとに解説します。親戚や職場への連絡方法や亡くなった直後の流れも紹介するので、ぜひ最後までチェックしてください。
この記事を要約すると
- 危篤状態とは、病状や怪我の状態が思わしくなく、命の危険が切迫している状態を指します。危篤と診断されてから回復する可能性はきわめて低く、数時間〜数日で息を引き取ることがほとんどです。
- 自分の親が危篤と診断されたら、すぐに病院へ駆けつけて医師から状況の説明を受けましょう。後悔が残らないよう、家族や近親者にも連絡を入れたうえで、最後の時間まで寄り添うことが大切です。
- 病院での付き添いで仕事を休む場合は、直属の上司に事情を伝えて業務の引き継ぎを行うと丁寧です。なお、危篤時には慶弔休暇が利用できず、有給休暇扱いとなることに注意してください。
危篤とは?
危篤は、病気や怪我の状態が悪化しており、命の危険が迫っている状態です。危篤の状態に明確な定義はありませんが、脈拍が低下している・呼吸が弱まっている・意識が低下して反応が乏しいなどの状態に陥った際に診断されます。
入院中の患者が医師に危篤と判断された場合、家族へ緊急で連絡が入り、患者への付き添いがうながされるのが一般的です。危篤状態の患者の多くは症状の回復が見込めないため、そのまま家族によって最後を看取られる形になります。なお、医療現場においては、危篤状態が延命治療や臓器提供の最終判断のタイミングでもあります。
重篤との違い
危篤と似た言葉として、「重篤」という用語もよく用いられています。重篤も危篤と同様に生命の危険が切迫している状態を指しており、厚生労働省は「心停止・呼吸停止またはそのおそれがある」または「心配蘇生を行った」状態と定義しています。
危篤と重篤は似たような意味合いで用いられますが、一般的に危篤は重篤よりも危険な状態を表すことが多く、危篤と診断された際は事態が深刻であることを覚悟しなければなりません。
危篤から回復する可能性はある?
危篤は生命維持に対して著しく危険が迫っている状態で、残念ながら回復する見込みはほとんどないといえるでしょう。ただし、治療の状況や呼吸状態の改善によっては、状態を持ち直して一命を取り留めるケースもあります。とはいえ、再び容体が急変することも多いため、医師の説明を踏まえつつ、落ち着いて事態に向き合うことが大切です。
危篤から亡くなるまでの期間には患者によって異なり、数時間〜数日と幅があります。親の危篤にともなって病院へ駆けつけたり職場を休んだりする場合は、最低でも数日程度予定を空けておくとよいでしょう。
親が危篤になったら24時間付き添うべき?
親が危篤と診断された場合、できる限りそばにいてあげることが望ましいですが、必ずしも24時間付き添わなければならないわけではありません。自身の体力や精神に無理をしない範囲で、ほかの家族とも交代しながら見守りましょう。
病院によっては家族の宿泊が許可されている施設もあり、簡易ベッドの貸出や個室での付き添いが可能なケースもあります。親との最後の時間を悔いなく過ごせるよう、慎重に判断してください。
親が危篤になった際にすべきこと
親が危篤状態という知らせを受けたら、子どもとしてすぐに行動すべきことがいくつかあります。突然のことに気が動転するかもしれませんが、落ち着いて順番に対応していきましょう。
病院へ駆けつける
親が危篤になった知らせを受けたら、できるだけ早く病院へ向かうことが重要です。病院に到着次第、家族代表として医師から病状や今後の治療方針についての説明を受けましょう。
病院によっては、家族の付き添い宿泊が許可されている場合があります。急な宿泊に備えて、ルームウェア・充電器・洗面用具などの最低限の持ち物を準備しておくと安心です。また、退院時に身分証やまとまった現金が必要になる場合があるため、あらかじめそれらも用意しておくことをおすすめします。
寄り添いながら言葉をかける
危篤の際、家族がそばにいてあげることは、本人にとっても家族にとっても重要です。たとえ意識がないように見えても聴覚が機能していることは多いため、名前を呼んだり感謝の言葉を伝えたりして最後の時間を後悔のないように過ごしましょう。声かけが難しい場合は、手を握ってそっと寄り添うだけでも気持ちは伝わります。
なお、本人の枕元でネガティブな言葉や焦らせるような言葉を発するのはもちろん、葬儀をはじめとした死後の話をするのは控えるのがマナーです。
延命治療や臓器提供について確認する
危篤の場面では、今後の延命治療を希望するか、死後の臓器提供を希望するかといった重要な判断が必要になることがあります。もし本人が元気なうちに意向を伝えていた場合は、あらためて家族間で意思を確認しておきましょう。
また、これらの項目に対する本人の意思確認が取れていない場合は、家族で話し合い、本人にとって最善と考えられる選択をする必要があります。医師から治療方針の説明を受けたうえで、冷静に判断しましょう。
家族・親族に連絡を入れる
危篤の知らせは近しい家族だけでなく、親族にも早めに共有しておくと後の対応がスムーズです。連絡を入れる際は、必要な情報のみを簡潔に伝えましょう。遠方に住む親族はすぐに病院に駆けつけるのが難しいため、無理をしないように伝えておくと丁寧です。
なお、今後容態が回復せずに親が亡くなった場合の流れや役割分担についても、事前に家族間で話し合っておくといざという時に慌てずにすみます。状況を落ち着いて伝え、各々ができる範囲で協力し合うことが大切です。
連絡の際の必要事項
- 誰がいつから危篤状態か
- 付き添いやお見舞いに来てほしい旨
- 入院先の病院・病室の詳細
- 代表者の連絡先
職場に連絡を入れる
親が危篤になった場合は、今後病状が悪化して亡くなる可能性もふまえて、早めに職場に事情を伝えておくことが大切です。付き添いのために急な休暇が必要となったときは、直属の上司に状況を説明しましょう。
親が危篤状況でしばらく付き添いのために仕事を休むこと・亡くなった場合は忌引き休暇を取ることを伝え、必要に応じて業務の引き継ぎも行うとスムーズです。
なお、亡くなった後の葬儀に参列する際は慶弔休暇を利用できますが、基本的に危篤時の付き添いは有給休暇扱いになります。親の付き添いに際してまとまった休暇を取った場合は、復帰時にお礼の品を持参すると丁寧な印象を与えられます。
葬儀の準備を進める
危篤の段階で葬儀について考えることに抵抗を感じる方も多いかもしれませんが、いざという時に慌てないためにも、少しずつ葬儀の準備を始めておくとスムーズです。
すでに依頼を決めている葬儀社がある方は、現在の状況を伝えておき、今後の流れについてあらかじめ相談しておいてかまいません。まだ葬儀社が決まっていない場合でも、この段階から情報収集や相見積もりの比較をしておくと、亡くなった後に冷静な判断をしやすくなります。
突然の事態で何も準備ができていない場合は、家族が集まったタイミングで、葬儀の予算・形式・場所・参列者の範囲などの条件を整理することから始めましょう。
なお、弊社「1日葬・家族葬のこれから」は、必要なものを含めた明瞭のセットプランでの葬儀を全国に提供しています。事前のご相談で特別価格のご案内もしておりますので、お気軽にお問い合わせください。
エンディングノートや連絡先を確認する
親が危篤になった際は、エンディングノートや重要書類の保管場所、家族・親族の連絡先をあらかじめ確認しておくと、亡くなった後の対応がスムーズに進みます。特に保険証・身分証・通帳・印鑑などの基本的な書類はすぐに必要となるため、保管者や保管場所を家族間で共有しておくと安心です。
また、親が生前に死後の意向を書き残している場合は、その遺志に沿って葬儀や遺産相続を行えるよう、あらかじめ内容を把握しておきましょう。
現金を手元に用意する
病院の会計では、カードやキャッシュレス決済が利用できない場面も珍しくありません。退院時の精算や死亡診断書の発行手数料を支払う際に困らないよう、あらかじめまとまった現金を用意しておくと安心です。
なお、親本人の銀行口座は死後相続が完了するまで凍結されるため、病院代や葬儀代に親の預金を使用する予定の方は、あらかじめ現金を引き出しておくことをおすすめします。
親が自宅で危篤状態になった場合の対応方法
終末期の闘病は入院治療だけでなく、「自宅で最後を迎えたい」と希望して在宅ケアを受けるケースも珍しくありません。もし自宅で闘病している親が容体急変した場合は、すぐに主治医・訪問看護師・ヘルパーなどの関係者へ連絡し、状態を確認してもらいましょう。
自宅で親を看取った場合、駆けつけた主治医によって死亡診断が行われ、その後の流れは病院で亡くなったケースと同様になります。
親の危篤で仕事は休める?
親の危篤は緊急時のため、仕事を休んでもまったく問題ありません。ほとんどの職場では、危篤時の付き添いは有給休暇扱いとなります。なお、今後病状が悪化する可能性を考えて、休暇中も上司へこまめに状況を共有しておくと丁寧です。
また、すぐには病院に駆けつけない場合でも、急な呼び出しに備えて事情を説明したり業務の引き継ぎを準備したりしておくと、周囲への負担を最小限に抑えられます。
周囲の人に危篤を伝える方法
親が危篤と診断されたら、すみやかに周囲の人に状況を知らせる必要があります。特にお見舞いや葬儀への参列が予想される親族や、付き添いや忌引で休暇を取る職場の上司や仕事関係者には、必要な情報を簡潔にまとめて連絡しましょう。
親族への連絡方法
親が危篤と医師から告げられたら、まずは家族や親族へ迅速に連絡し、必要な人がすぐに駆けつけられるような体制を整えることが大切です。知らせる範囲は親の兄弟姉妹・子ども・孫などの3親等が目安で、緊急時のため時間帯を問わずに電話を入れてかまいません。
電話が繋がらなかった場合は、留守番電話やメッセージアプリで折り返し連絡してほしい旨を伝えると丁寧です。
連絡の際は、親の名前と自身の続柄・現在の病状・入院先・面会の可否を簡潔に伝えましょう。1人ずつ電話をする余裕がないときは、家族内で分担して連絡網を作るとスムーズです。
<例文>
「〇〇の長男(長女)の〇〇です。入院中の父の容体が急変し、先ほど医師から危篤と告げられました。もし可能であれば最後に父に会っていただきたく、ご連絡いたしました。入院先は〇〇病院の〇〇階〇〇号室で、◯時から◯時まで面会が可能とのことです。場所の詳細は追ってメッセージでお送りいたします。」
親が亡くなった直後にすべきこと
親が危篤状態から回復せずに亡くなった場合、子どもとしてさまざまな手続きや手配を行う必要があります。ここからは、臨終を迎えた直後の流れを解説します。
末期の水を取る
人間が亡くなった直後に遺族が行う儀式の1つが「末期の水」です。この儀式は故人が極楽浄土へ向かうときに喉が渇かないように願う意味合いがあります。
病室で眠る故人を囲みながら、遺族が順番に湿らせた綿棒やガーゼを使って口元へ水を当てていきます。生前への感謝の気持ちや闘病への労いの気持ちを込め、丁寧に水を与えましょう。
死亡診断書の受け取り
親が病院で亡くなった場合、退院時に医師が発行した「死亡診断書」を受け取る必要があります。死亡診断書は死亡届の提出・火葬許可証の受け取りに必要になるほか、死後の役所手続きや個人手続きの多くで利用することになります。
診断書を受け取ったら内容に誤りがないかを確認し、数部程度コピーを取ったうえで大切に保管しましょう。なお、死亡診断書の発行には数万円程度の発行手数料がかかるため、あらかじめ現金を用意しておくとスムーズです。
親族への訃報連絡
親が亡くなったら、遺族や親族へすみやかに訃報を伝える必要があります。まずは近親者から優先して連絡し、その後友人や交流のある人へ連絡を入れるのが一般的です。訃報の連絡も危篤の連絡と同様に、昼夜を問わず電話を入れてかまいません。
伝える内容は亡くなった人の名前・亡くなった日時・亡くなった場所・代表者の連絡先・葬儀情報などで、葬儀日程が決まっていない場合は決定後に追って連絡する旨も伝えましょう。
<例文>
「突然のご連絡恐れ入ります。〇〇の息子(娘)の〇〇です。本日〇時に、母〇〇が〇〇病院で息を引き取りました。通夜と葬儀の日程は決まり次第あらためてご連絡いたしますので、取り急ぎお知らせいたします。」
ご遺体搬送・ご遺体安置
親が病院で亡くなった場合は、数時間の間にご遺体の安置先を決定する必要があります。自宅・民間安置所・葬儀場などのなかから安置先を決定したら、葬儀社へ連絡し、搬送の手配を依頼してください。
ご遺体を自宅に安置する場合は、故人を寝かせる布団を用意しておきましょう。白木の机・ろうそく・線香などの枕飾りは、葬儀社が整えてくれます。
なお、季節や安置期間によってはドライアイスの追加やエンバーミングなどが必要となる場合もあるため、葬儀社に相談しながら適宜対応しましょう。
葬儀準備
親の葬儀の喪主は、子どもが担当するのが一般的です。喪主が中心となって葬儀社と打ち合わせをしながら、葬儀の規模・参列範囲・宗教形式・日程のほか、利用する斎場や火葬場・会食の有無・予算の目安などを調整して葬儀準備を進めていきましょう。
葬儀社は見積もりの作成から式当日の進行までの一切を担当してくれるため、信頼できる相手を見つけることが重要です。積極的にコミュニケーションを取りながら疑問点はその都度確認し、遺族間での意見の食い違いや葬儀後のトラブルが起こらないように心がけてください。
死亡届の提出
死亡届は、亡くなってから7日以内に本籍地・届出人の住所地・死亡地のいずれかの役所へ提出する必要があります。提出の際は医師から受け取った死亡診断書が必要となるため、忘れずに持参しましょう。死亡届の提出と引き換えに火葬許可証が発行されるため、火葬前に届け出を済ませるのが基本です。
なお、書き方が不明な場合や提出する時間がない場合は、葬儀社が手続きを代行することも可能です。1人で抱え込まず、必要に応じて気軽に相談してください。
親が危篤になったら、後悔のないように寄り添いましょう
親が危篤になり、またそのまま回復せずに亡くなった直後は、気持ちが追いつかないなかでも多くの判断と対応が求められます。周囲への連絡・葬儀準備・役所での手続きなどが続きますが、事前に流れを把握しておくことでいざというときにスムーズに行動できるでしょう。困ったときは1人で抱え込まず、ほかの家族や病院関係者・葬儀社にも頼りながら進めることが大切です。
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