お通夜は故人との最後の夜を静かに過ごし、これまでの感謝を伝える大切な時間です。しかし、いざ身近でお通夜が行われるとなると、どんな流れで進むのか、何を準備すればよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、これからお通夜の準備を始める方やお通夜に参列する予定の方向けに、お通夜の基本的な流れや参列時のマナーをわかりやすく解説します。お通夜に関する正しい知識を持ち、落ち着いて参列できるように備えましょう。
この記事を要約すると
- お通夜は、葬儀・告別式の前日夜に行われる仏式の儀式です。お通夜には故人の遺族や親しい間柄の人々が参列し、故人の死を偲びます。
- お通夜は開式のあとに僧侶による読経と参列者による焼香が行われ、僧侶の法話や喪主挨拶などを経て閉会します。閉会の後は、僧侶や参列者を招いた通夜振る舞いが開かれることもあります。
- お通夜に参列する際は、男女ともに喪服に身を包み、香典や数珠を用意しましょう。焼香の作法は式の宗派に合わせ、喪主や遺族と顔を合わせた際はお悔やみの言葉を手短に伝えるのがマナーです。
お通夜とは?
お通夜とは、葬儀・告別式の前に行われる儀式で、故人の遺族や近しい人々が集まって故人を偲ぶ目的があります。お通夜は夕方〜夜にかけて行われることが多く、所要時間は2〜3時間程度が一般的です。式中では僧侶による読経や法話のほか、参列者・会葬者による焼香や喪主挨拶などが行われます。
仮通夜と本通夜
仮通夜は、故人が亡くなった当日や直後に、ごく親しい遺族だけで簡易的に夜を過ごす形式のお通夜です。
一方で本通夜は一般的なお通夜とよばれる式にあたり、式場・僧侶・料理などを手配したうえで参列者を招いて執り行われます。昔は2日間をかけて仮通夜のあとに本通夜を行う形式が主流でしたが、近年では仮通夜を省いて本通夜のみを行うのが一般的です。
葬儀・告別式との違い
お通夜と葬儀・告別式は、目的・開始時間・内容に違いがあります。お通夜は主に夜間に行われる式で、故人を囲んで静かにお別れを過ごす目的があります。
一方で、葬儀・告別式はお通夜翌日の昼間に行われる正式な送別の儀式で、読経や焼香のほかに弔辞・出棺といった儀式が含まれます。葬儀・告別式のあとには火葬と収骨が行われ、繰上げの初七日法要を合わせて開く場合もあります。
お通夜の参列範囲
お通夜の参列範囲は、葬儀形式によって大きく異なります。一般葬では故人の遺族や親しい友人のほか、職場関係者・近隣住民なども幅広く参列します。一方で近年人気を集めている家族葬では、遺族・親族やごく親しい間柄の人のみが招待されます。
なお、家族や親戚を招く場合は、故人の両親・子ども・祖父母・兄弟などの3親等以内の血縁関係が目安となります。
お通夜の日程
お通夜の日程を決める際は、火葬場の予約状況・僧侶のスケジュール・参列者の都合の3つの要素を考慮する必要があります。一般的にはご逝去の翌日またはその翌々日にお通夜を執り行いますが、火葬場が混んでいる時期や遠方から遺族が参列する場合は日程を後ろ倒しにするケースも珍しくありません。
また、お通夜は六曜の「友引」の日に行っても問題ありませんが、葬儀・告別式や火葬は「友引」の日を避ける風習があるため、暦との兼ね合いも考える必要があります。
お通夜の流れ
ここからは、お通夜の一般的な進行の流れを順を追って紹介します。
お通夜の準備
お通夜の準備は、ご遺体の搬送と安置を終えたあと、葬儀社のスタッフと打ち合わせを行うところから始まります。日時の決定・会場の手配・葬祭用品や遺影の選択・返礼品・通夜振る舞い料理の手配などを行い、参列者への訃報や葬儀案内の連絡も同時に進めます。
お通夜の準備は喪主が中心となって進め、葬儀社のスタッフと対話しながら当日の流れを細かく確認しましょう。また、喪主挨拶の原稿や当日の受付係や案内係の選定も、事前に行っておくとスムーズです。
受付
お通夜の受付は、会が始まる30分〜1時間前を目安に開始します。受付は単なる出席確認だけでなく、参列者の記帳や香典の受け渡しも行う大切な場です。受付係は芳名帳や会葬御礼などを事前に準備し、参列者の対応に備えましょう。
参列者から香典を受け取ったら必ずお礼の言葉を述べ、丁寧に一礼するのがマナーです。受付を終えた参列者は案内係が会場内や控室まで誘導し、開式まで静かに待ってもらうよううながします。
僧侶到着
僧侶が斎場に到着したら、喪主または遺族代表が出迎え、控室へ案内します。控室では読経内容や式の進行を最終確認するほか、参列への感謝を述べながらお布施を手渡ししましょう。お布施は不祝儀袋に入れ、盆に包んで丁寧に手渡すのがマナーです。
僧侶・参列者入場
開式直前になると、はじめに僧侶がゆっくりと入場し、祭壇の前に着座します。その後、喪主・遺族・親族が順に席へ着席し、最後に一般参列者が入場します。
着席後は私語を控え、携帯電話の電源を切るなどして厳粛な雰囲気を保つことが大切です。僧侶・参列者の全員が着席したのを確認したら、司会者のアナウンスによってお通夜が正式に始まります。
開式
開式の準備が整ったら、葬儀社のスタッフまたは司会者によって開式が宣言されます。式中は司会のアナウンスに従って、故人を偲ぶ心で静かに過ごしましょう。
読経
読経は、故人の冥福を祈るために僧侶が経文を唱える儀式です。時間はおおむね20〜30分程度で、宗派によって読経内容や唱え方が異なります。参列者は、左手に数珠をかけて手を合わせながら僧侶の読経に耳を傾け、焼香の順番を待ちましょう。
焼香
僧侶による読経と同時に、焼香の儀式が行われます。焼香の順番は喪主・遺族・親族・一般参列者の順で、司会者の案内に従って静かに進行します。
焼香は宗派によって回数や作法が異なるため、失礼のないように事前に作法を調べておくと安心です。焼香を終えたら軽く一礼して席へ戻り、ほかの参列者の邪魔にならないように静かに着席しましょう。
僧侶の法話
読経と焼香がすべて終わると、僧侶による法話が行われます。法話は仏教の教えをもとに故人の人生や人とのつながりについて説く時間であり、遺族の悲しみを癒す目的があります。参列者は姿勢を正し、僧侶の言葉に静かに耳を傾けましょう。
喪主挨拶
法話の時間が終わると、最後に喪主が参列者へ向けて代表挨拶を行います。挨拶では故人を偲んで集まってくれたことへの感謝を述べたあと、故人の人柄や生前の思い出に触れるのが一般的です。
挨拶を覚えられない場合は、原稿を読みながら行ってもかまいません。結びには、あらためて参列への感謝と無事にお通夜を終えられたことへの感謝を述べましょう。
閉式
式内容の一切が終了したら、司会者によるアナウンスでお通夜が閉会します。式の終了後は、参列者が順番に退場します。なお、通夜振る舞いが行われる場合は、閉式の挨拶とともにこの後の流れを案内されます。
通夜振る舞い
お通夜の閉式後は、僧侶や参列者をもてなすための通夜振る舞いが行われます。通夜振る舞いは故人との思い出を偲びながら食事を共にする場であり、遺族から参列者へ感謝を伝える意味合いもあります。出席を依頼された場合はできるだけ顔を出し、周囲の参列者や遺族と温かい会話を楽しみましょう。
翌日の準備
通夜や通夜振る舞いが終わったら式自体は解散となりますが、遺族は翌日の葬儀・告別式に向けて葬儀社スタッフとの最終確認を行います。祭壇や供花の配置や翌日の流れを確認し、翌日もスムーズに式を進められるように備えましょう。
お通夜の費用
お通夜にかかる費用は、葬儀の規模や地域によって異なりますが、基本的には会場費用・通夜振る舞い費用・お布施を合わせて30~50万円程度に収まるケースがほとんどです。ただし、葬祭用品のグレードや通夜振る舞いの食事内容によっては、相場よりも高額になることも考えられます。
お通夜の費用を安く抑えたい場合は、参列者を減らして小規模で執り行ったり、通夜振る舞いを省略したりして工夫してみるのもひとつの方法です。
お通夜に参列する際のマナー
お通夜は、故人との最後の夜を過ごす厳かで大切な儀式です。お通夜に参列する際は、遺族の悲しみに寄り添い、さまざまなマナーを守ることが求められます。
参列する際の服装
お通夜に参列する際は、男女ともに喪服を着用するのがマナーです。男性は黒のスーツ・白シャツ・黒ネクタイを身につけ、女性は黒いアンサンブルやワンピースに黒のストッキング・パンプスを着用しましょう。アクセサリーは真珠の一連のネックレスにとどめ、化粧やネイルは控えるのがマナーです。
子どもの場合も黒を基調とした落ち着いた色味の服装を選び、派手な装飾は避けてください。なお、かばんや靴などの小物を選ぶ際は、光沢のある素材や動物由来の素材を避けるのが一般的です。
参列する際の持ち物
お通夜に参列する際は、喪服用のかばんに香典・ふくさ・数珠・ハンカチを用意するのが基本です。香典袋はふくさに包んで持参し、受付で取り出すのがマナーです。数珠は宗派に関わらず持参して問題ありませんが、派手な飾りや色味のものは避けましょう。ハンカチは、白無地や黒無地などの落ち着いたデザインのものを選びます。
また、これらの持ち物のほかに、筆記用具や香典返しを入れる小さなバッグなどがあると安心です。
香典の包み方・渡し方
葬儀に参列する際は、遺族へのお悔やみとお見舞いを目的とした香典を用意するのがマナーです。香典袋は黒白または双銀の水引が印刷された香典袋を選び、薄墨の筆ペンでの表書きと名前を記入します。中袋には贈り主の住所と、中に入れた金額を記入してください。
香典金額の相場は故人との間柄や自身の年齢によって変動します。たとえば、両親であれば3万円〜10万円、友人・知人であれば5,000〜1万円を包むのが一般的です。新札は避け、折り目のあるお札を用意しましょう。
受付で渡す際はふくさから取り出し、香典袋の表側を相手に向けて両手で差し出します。「このたびはご愁傷様でございます。心ばかりですがお納めください」などと一言添えると、相手に丁寧な印象を与えられるでしょう。
なお、表書きの文言や金額の記載方法、お札の包み方などには、それぞれ細かいマナーが定められています。遺族に失礼のないよう、以下の記事も参考に香典を用意してください。
供花の用意の仕方
供花は、故人への追悼の意を示す贈り物として用いられることが多く、葬儀社や花店を通じて手配を行います。お悔やみの場では白を基調とした菊・百合・カーネーションなどのスタンドやバスケットが主流で、木札に贈り主の名前を明記します。
なお、供花は直接斎場に贈るのが一般的ですが、斎場によっては特定の花屋のみ受け付けている場合や供花自体を受け付けていない場合があるため、手配前に対応状況を確認しておく必要があります。
焼香の作法
焼香の作法は宗派ごとに異なりますが、基本的な流れは仏教で共通しています。自分の順番が回ってきたら祭壇の前で一礼し、右手の親指・人差し指・中指で香をつまんで額のあたりにおしたあと、香炉に静かに落とします。この動作を1〜3回繰り返し、最後に合掌して一礼します。
焼香の回数は宗派により異なるため、前の人の作法を参考にするとよいでしょう。数珠は左手に持ち、焦らずゆっくりとした所作を心がけてください。
お悔やみの伝え方
遺族へお悔やみの言葉を伝える際は、悲しみに寄り添う気持ちを持ち、丁寧な言葉選びを心がけましょう。「このたびはご愁傷様でございます」「心よりお悔やみ申し上げます」などといった文言が一般的です。
なお、葬儀の場では「重ね重ね」「たびたび」などの重ね言葉や、「死」「再び」といった忌み言葉は避けてください。故人の死を直接的に表現する言葉や、死因をたずねる会話も好ましくありません。遺族が深い悲しみにあることを忘れず、落ち着いて手短に挨拶をすることが大切です。
ご遺体との対面のしかた
お通夜に参列した際に、遺族から故人のご遺体との対面をすすめられることがあります。対面の際は自分から動くのではなく、遺族や係員にうながされてから前へ進むのが作法です。故人の顔を拝見したら、両手を合わせて黙祷し、最後に静かに一礼してから去りましょう。
対面の際は涙を流してもかまいませんが、大声で泣いたり、遺族にしがみついたりすることは避けてください。対面時間は限られているため、長居はせず、落ち着いたら次の人に譲るのがマナーです。
通夜振る舞いへの出席・献杯の作法
通夜振る舞いに招かれた場合は、出席して喪主や遺族の心遣いに応えるのが礼儀です。通夜振る舞いでは故人の思い出話や遺族へのお見舞いの話題を選び、関係のない私的な話題は避けましょう。
料理とともにお酒が提供された場合は、乾杯の代わりに「献杯」という儀式を行います。献杯ではグラスを持って静かに傾け、遺族や出席者に軽く会釈を行います。なお、お酒は飲みすぎないように注意し、退場の際には遺族に一言伝えてから席を立つのがマナーです。
お通夜に参列できないときの対応
仕事や遠方に住んでいるなどのやむを得ない事情でお通夜に参列できない場合は、お通夜に合わせて弔電を送るか、後日改めて弔問するのが丁寧な対応です。
弔電はお通夜の開式前に斎場へ届くように手配し、「ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます」などの定型文を用いると失礼がありません。後日あらためて遺族の自宅を弔問する場合は、事前に連絡を入れて遺族の都合を確認し、香典や供花を持参して手短にお悔やみの言葉を伝えましょう。
なお、事前連絡なしに突然弔問に訪れるのはマナー違反となるため、必ず事前に電話やメールでお伺いを立ててください。
お通夜の流れを知って当日に備えましょう
お通夜は、故人との最後の夜を過ごす大切な儀式です。参列を依頼された場合は、服装・持ち物・作法などのマナーを守り、遺族を思いやる気持ちを持って参列しましょう。
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