葬儀の流れ

時宗の葬儀とは?葬儀の流れやマナー、注意点について解説

時宗の葬儀とは?葬儀の流れやマナー、注意点について解説

時宗(じしゅう)は全国に教区があり、400以上の寺院を有する宗派です。ただし、地域によっては身近に接する機会が少なく、時宗で葬儀を行う際に、流れやマナーがわからず戸惑う方もいるのではないでしょうか。

時宗の葬儀には、「下炬引導」などの特徴的な儀式があり、合掌や焼香、数珠の扱いにも宗派ならではの作法があります。本記事では、時宗の基本的な教えから葬儀の流れ、焼香・数珠の作法、香典マナーまでわかりやすく解説します。

この記事を要約すると

  • 時宗は、鎌倉時代に一遍上人によって開かれた仏教宗派で、「南無阿弥陀仏」を唱え、故人が極楽浄土へ往生できるよう願う教えを大切にしています。
  • 時宗の葬儀は、「序分」「正宗分」「流通分」の三部構成で進められ、「下炬引導」や「念仏一会」といった特徴的な儀式が行われます。
  • 時宗には「未敷蓮華合掌(みぶれんげがっしょう)」と呼ばれる独特の合掌作法があり、焼香は1〜3回ほど行うのが一般的です。数珠を「念珠」と呼ぶなど、ほかの宗派とは異なる時宗ならではの作法やマナーもみられます。
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そもそも時宗はどんな宗教?

時宗とは、浄土宗から派生した仏教宗派で、鎌倉時代に一遍上人によって開かれました総本山は神奈川県藤沢市にある清浄光寺で、「遊行寺(ゆぎょうじ)」の名でも広く知られています。

  • 総本山:清浄光寺(神奈川県藤沢市)
  • 開祖:一遍上人
  • 経典:阿弥陀経、無量寿経、観無量寿経

時宗には、「南無阿弥陀仏」を唱えることで、誰でも極楽浄土へ往生できるという「他力念仏」の教えがあります。一遍上人は、鉢を鳴らしながら念仏を唱える「踊り念仏」を広めるため、全国を巡って布教を行いました。この踊り念仏は、現代の盆踊りの起源のひとつともいわれています。

時宗の葬儀の特徴

現在の時宗の葬儀では、「踊り念仏」が行われることはほとんどありません。その代わりに、「下炬引導(あこいんどう)」や「念仏一会(ねんぶついちえ)」といった時宗特有の儀式が執り行われます。

また、時宗には独特の合掌作法などもあるため、葬儀に参列する前に基本的な流れやマナーを確認しておくと安心です。

作法は浄土宗に倣うことが多い

時宗の葬儀は、基本的には浄土宗の作法に倣って行われます。そのなかでも、時宗ならではの特徴的な儀式として「下炬引導」と「念仏一会」があります。

下炬引導(あこいんどう)は、故人が仏門に入り、極楽浄土へ旅立てるよう引導を渡す儀式です。僧侶はまず、松明を表す法具を2本手に持ち、そのうち1本を捨てたあと、残った1本で円を描きながら「下炬の偈(あこのげ)」を唱えます。

1本目の松明を捨てる所作には、この世への執着を離れる「厭離穢土(えんりえど)」の意味があります。さらに2本目を捨てる所作には、極楽浄土への往生を願う「欣求浄土(ごんぐじょうど)」の意味が込められています。

一方の念仏一会(ねんぶついちえ)は、僧侶と参列者が故人に代わって「南無阿弥陀仏」を10回以上唱える儀式です。故人が阿弥陀如来の導きによって極楽浄土へ往生できるよう願うとともに、参列者自身が阿弥陀仏との縁を結ぶ意味もあるとされています。

合掌は両手の中央に少しふくらみを持たせて空間を作る

時宗には、「未敷蓮華合掌(みぶれんげがっしょう)」と呼ばれる特徴的な合掌作法があります。両手を合わせる際、手のひらをぴったり閉じず、中央にふくらみを持たせて、蓮のつぼみのような形を作るのが特徴です。肩や腕、指先に力を入れすぎず、静かに手を合わせます。

この合掌には、「人はまだ悟りを開いていない未熟な存在であっても、内には清らかな心を持ち、将来悟りを開く可能性を秘めている」という考え方が込められています。その姿を、これから花開く蓮のつぼみに重ねて表現しているとされています。

葬儀では、開式や読経、焼香など合掌を行う場面が多いため、喪主や遺族だけでなく、参列者も基本的な作法として覚えておくと安心です。

戒名ではなく法名(ほうめい)がある

故人に授けられる名前は、一般的には「戒名」と呼ばれますが、時宗では「法名(ほうみょう)」といいます。男性の法名には「阿」、女性の法名には「一」「弌」「仏」といった文字が用いられることが多く、これは時宗の開祖である一遍上人が、女性の法名に「一房」や「仏房」といった名前を用いていたことに由来するとされています。

また、生前に大きな功績を残した方には「院号」が付けられることもあります。ただし時宗では、すべての人が阿弥陀仏の本願によって平等に救われるという考え方を重視しているため、身分や社会的地位によって法名の格式に大きな差を設けない傾向があります。

時宗の葬儀の流れ

時宗の葬儀は、「序分」「正宗分」「流通分」の3つの構成で進められます。読経や念仏を通して、故人が極楽浄土へ往生できるよう祈るのが特徴です。基本的な流れは一般的な仏式葬儀と共通していますが、時宗特有の儀式も行われます。

1. 序分

序分は、仏様を迎え入れ、葬儀を始めるための準備を行う部分です。

  1. 導師の入堂:僧侶が入堂し、葬儀が始まります。
  2. 香偈(こうげ):香を焚き、仏様を迎えるための偈文を唱えます。
  3. 三宝礼(さんぽうらい):仏・法・僧の「三宝」に礼拝します。
  4. 奉請(ぶじょう):阿弥陀仏や諸仏を招き、故人を導いていただけるよう祈ります。

2. 正宗分

正宗分は、時宗の葬儀の中心となる部分です。読経や念仏を行いながら、故人の極楽浄土への往生を祈ります。

  1. 懺悔偈(ざんげげ):これまでの過ちを懺悔し、心身を清めます。
  2. 作梵(さぼん):声明を唱え、場を清めます。
  3. 下炬引導(あこいんどう):故人が極楽浄土へ向かえるよう、引導を渡します。
  4. 弔辞:故人への別れの言葉を述べます。
  5. 開経偈(かいきょうげ):読経を始める前に唱える偈文です。
  6. 読経:経典を読み上げ、故人の冥福を祈ります。
  7. 念仏一会(ねんぶついちえ):参列者全員で念仏を唱え、阿弥陀仏との縁を結びます。

3. 流通

流通分は、葬儀を締めくくり、故人の冥福と参列者の平安を祈る部分です。

  1. 総回向(そうえこう):読経や供養によって得た功徳を故人へ向けます。
  2. 総願偈(そうがんげ):仏道修行の願いを唱えます。
  3. 三身礼(さんじんらい):仏の三つの姿に礼拝します。
  4. 送仏偈(そうぶつげ):仏様を送り出し、葬儀を締めくくります。
  5. 導師の退堂:僧侶が退堂し、葬儀が終了します。

焼香のやり方

まずは僧侶と遺族に一礼してから、焼香台へ進みます。親指・人差し指・中指で抹香をつまみ、額の高さまでいただいてから香炉にくべます。

時宗の焼香回数に明確な決まりはありませんが、一般的には1〜3回行われることが多いです。ただし、地域や寺院によって作法が異なる場合もあるため、不安な場合は周囲の参列者や僧侶の案内に合わせると安心でしょう。

焼香では、形式だけでなく、故人への感謝や冥福を祈る気持ちを込めて、落ち着いて丁寧に行うことが大切です。

香典のルール

時宗の香典マナーは、一般的な仏式葬儀に準じることがほとんどです。香典袋は、白黒または双銀の結び切りの水引が付いたものを使用し、蓮の花が描かれた不祝儀袋を選ぶのが一般的です。

表書きは、四十九日前までは「御霊前」、四十九日以降は「御仏前」と書きます。

香典の金額は宗派による違いはあまりなく、故人との関係性や地域によって変わります。一般的な目安としては、親や兄弟で3〜10万円程度、祖父母や親族で1万〜3万円程度、友人や会社関係では5,000円〜1万円程度です。

関連: 香典の正しい包み方とは?相場の金額・送り方のマナー・香典袋の書き方を詳しく解説

服装や持ち物のマナー

時宗の葬儀でも、服装は一般的な仏式葬儀のマナーに沿って考えます。喪主や遺族は正喪服または準喪服、参列者はブラックフォーマルなどの準喪服を着用するのが一般的です。

男性は黒のスーツに白シャツ、黒ネクタイを合わせます。女性は黒のワンピースやアンサンブルなど、肌の露出を控えた服装を選び、黒色のストッキングを着用しましょう。

アクセサリーは結婚指輪を除き、控えるのが基本です。着用する場合は、一連のパールネックレスなど、華美ではないものが適しています。また、光沢の強いバッグやエナメル素材の靴、派手なデザインの小物も避けましょう。

持ち物としては、念珠(数珠)や袱紗、白または黒のハンカチを用意しておくと安心です。

関連: 家族葬の服装は?身内だけなら普段着OK?持ち物やマナーも解説

数珠の種類・持ち方

時宗の数珠は、浄土宗と同様に、2つの輪が交差した二連タイプが特徴です。時宗では「数珠」ではなく「念珠(ねんじゅ)」と呼ばれることが多く、男性用は「三万浄土」、女性用は「六万浄土」と呼ばれています

一般的な数珠は、煩悩の数に由来する108個の珠で構成されることが多いですが、時宗の念珠は構成が異なります。三万浄土は主玉27個+20個、六万浄土は主玉40個+27個を基本とした形です。

念珠を持つ際は、房を自分側に垂らし、親玉をそろえて親指で軽く押さえるように持つのが基本です。

時宗の葬儀を行うなら葬儀社に相談を

時宗の葬儀には、「下炬引導」や「念仏一会」などの特徴的な儀式があり、合掌や焼香にも独自の作法がありますただし、事前に基本的な流れやマナーを理解しておけば、落ち着いて故人を見送ることにつながるでしょう。

また、時宗の葬儀を行う際は、宗派ごとの作法に対応できる葬儀社へ相談することも大切です。寺院との連携や儀式の進行に慣れている葬儀社であれば、準備や当日の対応もスムーズに進めやすくなります。

弊社では、価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代に合わせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。

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