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親が危篤になったときの銀行口座はどうなる?預金の引き出し方について解説!

親が危篤になったときの銀行口座はどうなる?預金の引き出し方について解説!

親が危篤状態に陥ったとき「銀行口座からお金を引き出せるのか」「どのような手続きが必要なのか」といった不安を感じる方は多いのではないでしょうか。医療費や入院費の支払いが迫るなかで、銀行の対応がわからないと不安になるのも無理はありません。

本記事では、親が危篤状態にあるときの預金引き出し方法から、亡くなったあとの口座凍結に至るまでを詳しく解説します。正しい手順と注意点を事前に知っておくことで、いざというときも冷静に対応できるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

この記事を要約すると

  • 親が危篤状態の時点では、本人の意思が確認できれば委任状による代理人手続きで預金を引き出せます。一方、意識がない場合は金融機関に相談し医師の診断書などを提出する必要があります。
  • 親が亡くなると銀行口座は凍結されますが、2019年の民法改正により緊急時は一定額まで引き出し可能な「預貯金払戻し制度」が利用できるようになりました。
  • 親の財産状況を把握せずに安易に預金に手をつけると、相続放棄ができなくなるため、緊急時であっても慎重に対応しましょう。
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親が危篤で本人の意思が確認できないときは金融機関に相談しましょう

親が危篤で意思確認ができなくなった場合、預金の引き出しについては悩ましい問題です。そこでまず試してみるべきなのは、銀行や金融機関に事情を説明し、専門担当者に相談してみることです。

本人の意思確認ができない場合でも、医師の診断書や戸籍謄本、そして必要であれば生活費や治療費の請求書などを用意しておくとよいでしょう。(参考:一般社団法人 全国銀行協会|親族等本人以外への預金払出しの主な事例

各金融機関によって求める書類の種類や手続きが異なるため、事前に確認しておくことが大切です。銀行の代理人制度を利用する場合は、金融機関での手続きが必要になるケースもあるため、早めに手続きを検討しましょう。

親が危篤になった場合の対応方法については、以下の記事も参考にしてみてください。

関連: 親が危篤になったらどうする?子どもが対応すべきことや親族・職場への連絡方法を解説

親が危篤状態になったときに預金を引き出す方法

親が危篤状態になったときの預金引き出し方法については、以下のポイントを押さえましょう。

  1. 本人の意思を確認する
  2. 必要書類を準備する
  3. 代理人手続きを進める
  4. 引き出し金額と用途を記録する
  5. ほかの相続人と情報を共有する

ここでは、各ステップについて詳しく解説します。

1. 本人の意思を確認する

危篤状態に陥っていても意識がある場合は、本人に預金を引き出したい旨を伝え、了承を得ることが最も確実な方法です。このとき、委任状を作成してもらえれば、家族が代理人として銀行で手続きを行えます。

委任状には本人の署名と印鑑が必要です。多くの場合、預金払戻し用の委任状では銀行届出印で対応できますが、金融機関や手続き内容によっては実印と印鑑証明書が必要になる場合もあります。また、本人が口頭で了承しても、銀行での手続きには書面が求められる点に留意しましょう。

2. 必要書類を準備する

親が危篤状態で預金を引き出す際には、いくつかの書類を準備する必要があります。まず、本人の意思確認ができる場合は、委任状と届出印(銀行印)本人確認書類が必要です。

意識がない場合は、まず金融機関に相談しましょう。その際、医師による診断書や危篤状態であることを証明する書類を持参すると、個別判断により少額の引き出しが認められる場合があります。

引き出しを行う家族自身の本人確認書類として、運転免許証やマイナンバーカードも用意しておくとよいでしょう。キャッシュカードや通帳・届出印があれば持参することで手続きがよりスムーズに進みます。

3. 代理人手続きを進める

親が危篤状態で意識がある場合、委任状による代理人手続きを進めるのが確実な方法です。

委任内容として、いくら引き出すかを明記することが一般的であり、金融機関によっては払戻理由の記入を求められるケースもあります。また、委任状は原則として本人が自筆で記入する必要があります。本人が自筆で書くことが難しい場合は、本人の意思確認の方法について銀行に相談しましょう。

4. 引き出し金額と用途を記録する

親が危篤状態で預金を引き出す際には、金額と用途を明確に記録しておくことが大切です。医療費や入院費・介護費用など、具体的に何のためにいくら必要なのかを整理し、領収書や明細書を必ず保管しましょう。

本人の意思確認ができない場合に銀行に相談する際は、医療費や介護費用などの引き出し理由を説明できるよう、請求書や振込用紙を準備しておく必要があります。

後々、ほかの家族や相続人との間でトラブルが生じないよう、預金の動きを明らかにしておくことが自分自身を守ることにもつながります。ノートやスマートフォンのメモ機能を使い、日付や金額・用途を記録しておくとよいでしょう。

5. ほかの相続人と情報を共有する

親が危篤状態で預金を引き出す際、ほかの相続人となる家族への情報共有は信頼関係を保つうえで欠かせません。兄弟姉妹がいる場合、誰か1人が勝手に引き出したという誤解を招かないよう、事前に状況を説明しておきましょう。

引き出した金額や使途・残高について透明性を持って伝えることで、あとからトラブルになるのを未然に防げます。遠方に住む家族にはメールやメッセージアプリを使い、引き出しの経緯と領収書の写真を共有するとよいでしょう。

感情的になりやすい状況だからこそ、客観的な事実を冷静に伝える姿勢が大切です。全員が親のために最善を尽くしたいと願っているはずですが、情報共有の不足が疑念を生むこともありますこまめな報告は手間に感じるかもしれませんが、家族や親族との関係性を守るためには欠かせません。

トラブルを防ぐポイントについては、以下の記事を参考にしてみてください。

関連: 葬儀費用でケンカが起きる原因と防ぐためのポイントを解説

親が危篤になり亡くなったら銀行口座の扱いはどうなるか

ここでは、親が亡くなったあとの銀行口座の扱いについて解説します

  • 銀行口座が凍結される
  • 凍結後は自由に預金を引き出せない
  • 凍結を解除するには相続手続きが求められる
  • 凍結中は公共料金などの引き落としも停止される

それぞれ詳しく見ていきましょう。

銀行口座が凍結される

親が亡くなったという知らせを銀行が受けると、銀行が死亡の事実を知った時点で口座は凍結されます。凍結とは、預金の引き出しや振込・口座振替などすべての取引が停止される状態のことです。

この措置は、相続人全員の権利を守り、特定の誰かが勝手に預金を使ってしまうことを防ぐ目的があります。公共料金やクレジットカードの引き落としも止まってしまうため、支払い方法の変更手続きが必要になるでしょう。

凍結後は自由に預金を引き出せない

口座が凍結されると、家族であっても自由に預金を引き出すことは一切できなくなります。そのため、葬儀費用や未払いの医療費など、すぐに必要なお金があっても原則として引き出せません。

ただし、2019年の民法改正により創設された「預貯金の払戻し制度」を利用すれば、葬儀費用など緊急性の高い支払いのために、一定額まで引き出せるようになりました。払戻し制度を利用する場合、戸籍謄本や印鑑証明書などの書類の提出が求められます。(参考:一般社団法人 全国銀行協会|遺産分割前の相続預金の払戻し制度のご案内

凍結を解除するには相続手続きが求められる

凍結された口座を解除し預金を引き出すには、正式な相続手続きを経なければなりません。遺言書がある場合は遺言書に基づいて、ない場合は相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がいくら相続するかを決める必要があります。

銀行に提出する書類は多岐にわたり、戸籍謄本一式や遺産分割協議書・相続人全員の印鑑証明書などが求められます。相続人が複数いる場合、全員の同意と署名押印が必要となるため、手続きには時間と労力がかかるでしょう。

書類の準備や連絡調整だけで数週間から数ヵ月を要することも珍しくありません。専門的な知識が必要な場面も多いため、司法書士や弁護士に相談することも選択肢のひとつです。

凍結中は公共料金などの引き落としも停止される

口座が凍結されると、電気・ガス・水道などの公共料金の自動引き落としもすべて停止されます。携帯電話料金やクレジットカードの支払い・保険料なども同様に引き落とせなくなり、未払いの状態が続くことでしょう。

支払いが滞ると延滞料金が発生したり、最悪の場合はサービスが停止されたりする恐れがあります。そのため、口座凍結を知ったらすぐに各事業者へ連絡し、支払い方法を変更する手続きを行わなくてはいけません。振込用紙を送ってもらったり、別の家族名義の口座に変更したりするなど、対応方法は事業者によって異なります。リストを作ってひとつずつ確実に対応していくことで、混乱を最小限に抑えられるでしょう。

親が亡くなったあとの銀行口座を扱う際の注意点

親が亡くなったあとに銀行口座を扱う際には、いくつかの重要な注意点があります。ここでは、その具体的な内容について詳しく紹介します。

  • 口座名義人死亡の事実を銀行へ連絡する
  • 支出は領収証などで記録しなくてはいけない
  • 預金を引き出すと使途によっては単純承認とみなされる

ぜひ参考にしてみてください。

口座名義人死亡の事実を銀行へ連絡する

親が亡くなった事実を知ったら、適切なタイミングで銀行へ連絡することが重要です。法的な期限はないものの、相続手続きに必要な戸籍収集が完了した頃が適切なタイミングとされています。

申告を躊躇して隠したまま預金を引き出すと、あとから相続トラブルに発展する恐れもあります。ほかの相続人から「勝手に引き出した」と疑われ、不法行為として返還請求されるリスクを考えると、適切に対応するのが無難です。

申告の方法は、銀行の窓口に出向くか電話で連絡するのが一般的で、死亡診断書のコピーなどを求められることもあります。複数の銀行に口座がある場合は、すべての金融機関に連絡する必要があり、手間はかかりますが避けてはとおれません。

支出は領収証などで記録しなくてはいけない

親が亡くなったあと、葬儀費用や未払いの医療費などさまざまな支出が発生します。このような支出について、領収書や明細書を必ず保管し、何にいくら使ったかを明確に記録しておくことが重要です。

相続手続きの際、ほかの相続人から支出の内容を問われることがあり、証拠がなければ不要な疑念を招く可能性があります。ノートやスマホアプリなどで日付や金額・支払先・用途を整理しておくと、あとの説明がスムーズになるでしょう。葬儀費用は高額になることが多く、誰がどこまで負担したかを記録することで公平性を保てます。

預金を引き出すと使途によっては単純承認とみなされる

親が亡くなったあと、口座が凍結される前に預金を引き出す行為は、法律上「単純承認」とみなされる恐れがあります。単純承認とみなされると、相続財産をすべて受け入れる意思表示と解釈され、相続放棄できません。親に多額の借金があった場合、本来は相続放棄によって負債を引き継がずに済むはずが、預金の引き出しによってその選択肢を失ってしまいます

緊急の支出が必要な場合でも、親の財産状況全体を把握することが重要です。なお、身分相応な範囲の葬儀費用であれば、相続財産から支払っても単純承認には該当しないとされています。借金の有無がわからない状態で安易に預金に手をつけることは、のちに大きなリスクを招くため十分留意しましょう。

相続放棄については、以下の記事を参考にしてみてください。

関連: 葬儀代を立替しても相続放棄できる?相続とみなされないためのポイントを紹介

親が危篤になったときの銀行の扱いに関するよくある質問

親が危篤になったときや亡くなったあとの銀行口座に関しては、多くの方が同じような疑問を持っています。ここでは、よくある質問と回答について詳しく紹介します。

  • 親が認知症で意思表示ができない場合、預金を引き出せる?
  • 引き出したお金の使い道を家族が自由に決めても問題ない?
  • 「預貯金払戻し制度」とは、どのような制度?

詳しく見ていきましょう。

親が認知症で意思表示ができない場合、預金を引き出せる?

親が認知症で意思表示ができない場合、通常の委任状で代理人手続きを進めることは困難です。委任状には、本人の意思確認が前提となるため、判断能力が失われている状態では有効な委任状と認められない可能性が高いでしょう。

このような場合、成年後見制度を利用することが法的に適切な方法です。家庭裁判所に申し立てを行い、成年後見人を選任してもらえば、その後見人が本人に代わって預金の管理や引き出しを行えます。

ただし、後見制度の申し立てから選任まで通常1~3ヵ月程度かかるため、緊急の医療費支払いなどには間に合わないでしょう。一部の銀行では、医師の診断書や家族の事情を考慮して限定的に引き出しを認めてくれるケースもあるので、まずは窓口で相談してみることをおすすめします。

引き出したお金の使い道を家族が自由に決めても問題ない?

親が危篤状態で引き出した預金は、あくまで親のために使うことが大前提です。医療費や入院費・介護費用など、本人の治療や生活のために必要な支出に限定されるべきで、家族が自由に使ってよいお金ではありません。

たとえ家族であっても、本人の同意なく預金を私的に流用すれば、横領や背任といった法的責任を問われる恐れがあります。ほかの相続人から「勝手に使った」と訴えられれば、返還を求められたり、相続トラブルに発展したりするリスクも生じかねません。

善意で行った行為でも、使途が不明確であれば疑われる原因となるため、すべての支出について領収書を保管し、記録を残すことが重要です。親のために最善を尽くしたいという気持ちは大切ですが、その行為が法的に正当であるかどうかも常に意識する必要があります。疑問があれば弁護士や司法書士に相談し、適切な助言を得るのが確実です。

「預貯金払戻し制度」とは、どのような制度?

親が亡くなったあと、口座が凍結されると相続人全員の同意がなければ預金を引き出せないのが原則です。しかし、葬儀費用や当座の生活費など緊急に資金が必要な場合もあるため、令和元年7月1日から「預貯金払戻し制度」が創設されました。

この制度を使えば、遺産分割協議が終わっていなくても、相続人が単独で一定額まで払戻しを受けられます。払戻し可能な金額は、相続開始時の預金額×1/3×その相続人の法定相続分で計算されますが、ひとつの金融機関から引き出せる上限は150万円までです。複数の銀行に口座がある場合は、それぞれの銀行から上限150万円まで払い戻しを受けられます。

家庭裁判所の判断を経ずに手続きができ、相続人の1人が被相続人および相続人全員の戸籍謄本や自身の印鑑証明書などの必要書類を揃えて銀行に請求すれば利用できます。

親が危篤になったときの銀行口座は正しい手順に沿って取り扱いましょう

親が危篤という状況に直面したときでも、銀行口座の取り扱いについては、正しい手順を踏むことが重要です。本人の意思確認ができるうちに委任状を準備し、医師の診断書とともに銀行窓口で手続きを行うことが最も確実な方法です。

引き出した金額の使い道については、領収書を保管し使途を記録することで後の相続トラブルを避けられます。正しい手順を知っておくことで、冷静に行動できるでしょう。

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