「大切な人を静かに送りたい。でも家族だけで葬儀をする場合、具体的にどのような葬儀になるのだろう」。小規模な葬儀は、近年ごく一般的な選択肢のひとつとなりましたが、初めての葬儀ではこのように迷うことも多いでしょう。
この記事では、家族だけの葬儀の種類をはじめ、費用の目安、トラブルを防ぐポイントまで、詳しくまとめました。無理をせず、納得できる葬儀スタイルをイメージできるヒントとなれば幸いです。
この記事を要約すると
- 家族だけで葬儀を行う場合、家族葬・一日葬・直葬・後日のお別れ会など、複数の選択肢があります。それぞれ流れや費用が異なります。
- 家族だけの葬儀は、費用や心身の負担を少なくでき、故人とゆっくり過ごせます。形式に縛られず、自由なスタイルで葬儀を行えるため、家族の思いを反映できます。
- 少人数であるがゆえに、呼ばなかった親族や関係者からの不満が出る可能性があります。認識のズレによる意見の対立や対応ミスがないよう、配慮が不可欠です。
「家族だけの葬儀」4つの選択肢
家族だけで葬儀を行いたいと考えたとき、選べるスタイルはひとつではありません。それぞれに特徴やメリットがあり、故人や家族の希望に合わせて最適な形式を選ぶことが大切です。
ここでは、代表的な4つの選択肢をご紹介します。
- 1.家族葬
- 2.一日葬
- 3.直葬・火葬式
- 4.家族葬+後日お別れ会/偲ぶ会
1. 家族葬
家族葬とは、家族やごく親しい親族のみで行う小規模な葬儀です。参列者数は10名~30名程が一般的で、通常2日間かけて通夜と告別式を行います。葬儀としての基本手な流れは一般葬と同じで、代々続く葬儀の形式を守りながらも、故人との最後の時間をゆっくり過ごせるのが魅力です。
「儀式はしっかり行いたいが、身内だけで静かに見送りたい」人に特に向いている形式といえるでしょう。家族葬とは具体的にどういったものか、費用やマナーなどについては、以下の記事で解説しています。気になる方はご覧ください。
2.一日葬
一日葬は、通夜を省略し、告別式と火葬を一日で終えられる葬儀です。拘束時間が短くなり、参列者の宿泊手配も不要となることも多いので、時間・費用をコンパクトにしたい方に選ばれます。
式は簡略化されるものの、きちんと故人を送り出したいという想いは十分に反映できるのが魅力です。 「儀式はそれなりに行いたいが、短時間で済ませたい」人にとってはバランスのよい選択肢になるでしょう。
一日葬とは具体的にどのような流れなのか、費用や注意点などは、以下の記事で詳しく紹介しています。気になる方はご覧ください。
3.直葬・火葬式
直葬(ちょくそう)は、通夜や告別式といった儀式を一切行わず、火葬のみを行う形式の葬儀です。火葬式とも呼ばれ、最もコンパクトな葬儀スタイルといえるでしょう。経済的な理由や宗教儀式にこだわらない家族の意向で選ばれることが多い葬儀形式です。
参列者もごく少数に限られ、儀式よりも実務的な面を重視するスタイルであるため、 「宗教色を薄めたい」「費用を最小限に抑えたい」「できるだけシンプルにしたい」といった希望がある人におすすめの葬儀形式です。
ただし、直葬は、ほかの葬儀とは少し異なる形式であるため、デメリットや注意点を把握しておくといいでしょう。気になる方は以下の記事で詳しく紹介しているためご覧ください。
4.家族葬+後日お別れ会/偲ぶ会
近年、増えている選択肢が家族葬+後日お別れ会または、偲ぶ会を執り行うスタイルです。葬儀は身内だけで行い、その後、故人と親交のあった友人・知人・仕事関係者を招き、改めてお別れの機会を設けます。
自治体施設や貸しホール、ホテルなどを利用し、会食を中心に行うケースもあります。 家族の意向を尊重しながら、社会的なつながりにも配慮できる柔軟なスタイルとして支持されています。
「本当は家族葬にしたいけれど、周囲への配慮も欠かしたくない」と考えている方にとって、最適な選択肢といえるでしょう。
家族だけで葬儀を行うメリットとデメリット
家族だけで葬儀を行うスタイルには、メリットもあればデメリットも存在します。ここでは、それぞれのポイントを整理して紹介します。
メリット
家族だけで葬儀を行うことで、費用や心身の負担を減らし、故人との時間をゆっくり過ごせるのが大きな特徴です。小規模ならではの静かで温かな時間のなか、故人を見送れます。
費用を抑えられる
家族葬や一日葬など、参列者数を絞った葬儀では、式場の規模が小さく済み、飲食や返礼品の数も抑えられます。 これにより、一般葬と比べて大幅に費用負担を軽減できるのが大きなメリットです。
故人との時間をゆっくり過ごせる
弔問客の対応や形式にとらわれず、家族だけで静かにお別れの時間を持てます。故人への想いや感謝の気持ちに向き合え、心のこもった見送りができるでしょう。
気遣い・準備の負担が少ない
一般葬と比較すると、参列者対応や挨拶回りが不要となるため、喪主や家族への心身の負担が少なくなります。とくに高齢の親族が多い場合や、急な葬儀で心労が重なるなかでは、大きな助けとなるでしょう。
自由なスタイルで葬儀ができる
家族だけで行う葬儀は参列者の顔ぶれが限られるため、形式にとらわれず自由なスタイルで故人を見送ることができます。
たとえば、読経を省略して音楽を流す、思い出の写真を飾る、会食中心のカジュアルな形にするなど、方法はさまざまです。故人らしさを大切にした柔軟な葬儀ができるのも大きなメリットでしょう。
人間関係のトラブルが起きにくい
「誰を呼ぶべきか」「どこまでの範囲に声をかけるべきか」といった人間関係の悩みが軽減され、後々のトラブルにつながるリスクを抑えられます。
参列者が少ないからこそ、気疲れすることなく、故人との別れに集中できるでしょう。
デメリット
家族だけの葬儀は、参列者への配慮不足や親族間の認識のズレから、思わぬトラブルや行き違いを招く可能性もあります。事前の話し合いや周囲への配慮は必須です。
知らせなかったことに対する誤解や不満が出やすい
家族だけで葬儀を行った場合、後日、親戚や知人から「なぜ知らせてくれなかったのか」といった不満が出ることがあります。
訃報を入れるなら、事前に「家族葬のためご参列はご遠慮いただきます」と添えるなど、配慮しましょう。
親族間で認識のズレが生じやすい
家族間でも、「もっと呼ぶべきだった」「儀式をもっときちんとすべきだった」など、葬儀への考え方にズレが生じることがあります。家族内で葬儀の全体像をよく話し合い、方向性を共有しておくとよいでしょう。
社会的なお付き合いに影響する場合がある
会社関係や地域の知人への連絡を省く場合、ビジネスや近所付き合いに影響がある可能性もあります。後日、手紙や挨拶で感謝の意を伝えるなど、フォローするとスマートです。
儀式を省いたことに後悔が残ることもある
通夜・告別式などを省略した結果、「もっとしっかり送り出してあげればよかった」と後悔するケースもあります。
逝去直後は落ち着いて考えることが難しい場合もありますが、故人・家族・自分自身の希望をよく確認し、できるだけ納得のいく形を選ぶことが大切です。
家族だけの葬儀の流れ
家族だけで行う葬儀も、選ぶ形式によって進行の流れが少しずつ異なります。ここでは、家族葬・一日葬・直葬それぞれの一般的な流れを、簡単にご紹介します。
家族葬 | 一日葬 | 直葬 |
---|---|---|
①逝去 | ||
②遺体搬送・安置 | ||
③葬儀社と打ち合わせ(葬儀内容・日程の決定) | ③葬儀社と打ち合わせ(火葬日程・手続き確認) | |
④納棺 | ||
⑤通夜 | – | – |
⑥告別式 | – | |
⑦火葬 | ||
⑧精進落とし(火葬後の会食) | ⑧散開(精進落としは行わないことが多い) |
家族だけの葬儀の費用相場
家族だけで行う葬儀といっても、形式によって費用は大きく異なります。ここでは、家族葬・一日葬・直葬それぞれの一般的な費用相場を表で整理しご紹介します。
葬儀形式 | 費用 |
---|---|
家族葬 | 100万円前後 |
一日葬 | 30~50万円 |
直葬 | 20~50万円 |
追加でかかる可能性のある費用は以下のとおりです。
追加費用項目 | 内容 |
---|---|
火葬場使用料 | 公営か民間か、また地域によって大きく異なる |
式場・祭壇のグレードアップ | 式場規模・花など、オプションによって異なる |
飲食・返礼品の数 | 飲食物・返礼品・会場などの数・内容によって大きく異なる |
僧侶へのお布施 | 葬儀社のプランには読経・戒名料などの費用は含まれない。菩提寺・僧侶などによって費用は異なる |
費用を抑えるためのポイントは以下のとおりです。
- 複数の葬儀社で見積もりを取る
- 不要なオプションはつけない
- 参列者の交通費・宿泊費を確認しておく
なお、弊社「1日葬・家族葬のこれから」は全国一律価格で、相場よりも抑えた価格で葬儀をご提供しています。不要なものを省いたセットプラン料金でご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせください。
家族だけで葬儀を行う際の参列者の範囲とマナー
誰を「家族」とするかは家庭ごとに考え方が異なるでしょう。少人数での葬儀だからこそ、参列者の範囲やマナーを前もって整理しておかないと、後々トラブルにつながる可能性もあります。
ここでは、参列者の範囲設定や断り方、服装や香典対応など、最低限押さえておきたいポイントを解説します。
「どこまで家族とするか」の線引きを明確にしておく
「家族」の範囲をどこまでとするかは、それぞれの家庭の状況によって異なります。一般的には、配偶者、子ども、兄弟姉妹までを指すこと一般的ですが、親しい親戚や故人と特に親しかった友人を含める場合もあるでしょう。
この範囲を事前に家族内で話し合い、統一した方針を決めておくことがトラブル防止につながります。特に、呼ばれなかった親戚や知人から不満が出る恐れもあるため、慎重に判断しましょう。
参列を断る際は、丁寧な伝え方を意識する
「家族だけで葬儀を行う」旨を伝える際は、失礼のないよう丁寧な表現を心がけましょう。
たとえば、「故人の意向により、家族のみで見送りをさせていただくことになりました」など、本人や家族の意向を尊重した決定であることをやわらかく伝えると、相手も納得しやすくなります。
前もって知らせておけば、後々気まずい思いをすることも少なくなるでしょう。
服装は基本的に正喪服で問題なし、簡素でも失礼のない範囲で
家族だけの葬儀であっても、服装は基本的に正喪服(ブラックフォーマル)を着用するのがマナーです。宗教者が読経を行う場合や、火葬場で他の葬儀と重なることも考慮し、一般的な喪服スタイルを選ぶと間違いないでしょう。
各家庭の考え方によっては「平服可」とするケースもあります。その場合も、参列者が戸惑わないよう、事前に服装についての案内を出しておくとよいでしょう。
香典や供花の対応ルールを明確にしておく
家族葬の場合、香典と供花は辞退するか受け付けるかを事前に決めておくと、当日がスムーズに進みます。
辞退する場合は、「香典・供花ともにご辞退申し上げます」などと、案内状や電話連絡ではっきり伝えるようにしましょう。対応を明確にしておくことで、参列者側も迷うことがなくなり、後日の香典返しやお礼状といった手間も軽減できます。
家族葬を行うにあたって、誰しもマナーが気になるものです。詳しいマナーについては、以下の記事で解説しています。気になる方はチェックしてみてください。
家族だけの葬儀を行う際の注意点
家族葬は、静かに故人を見送ることができるうえ、ご遺族の負担も軽減できます。しかし、周囲への伝え方や親族間の連携がうまくいかないと、予期せぬ問題が生じる可能性もあります。
ここでは、事前に知っておきたいリスクと対処法を整理し、配慮すべきポイントもご紹介します。
また、以下の記事では家族葬での注意点をより詳細に解説しているので、不安な方はチェックしてください。
葬儀を知らせない・呼ばないことによる誤解や不満のないようにする
家族葬では、参列の範囲を絞るため、あえて親戚や知人に知らせないケースもあります。しかし、後日知った人から「なぜ呼んでくれなかったのか」と不満を抱かれることも珍しくありません。
これを防ぐためには、事前に家族だけで見送る方針であることを丁寧に説明しておくとよいでしょう。訃報を控えたい場合は、後日の挨拶状や一報など、何らかの形で心配りをするようにしましょう。
親族間で方針の違いが出やすいことを見越しておく
家ごとの慣習や個人の考え方はそれぞれ違うものです。「誰に参列してもらうか」「どのような宗教儀式を行うか」といった葬儀の方向性について、家族や親族間で意見が割れることは少なくありません。
こうした状況を避けるためには、できるだけ早い段階で家族・親族間で話し合いの場をつくり、共通の認識を持つことが重要です。「この範囲で執り行いたい」「形式は簡素にしたい」など、それぞれの希望を話し合い、落としどころを見つけておきましょう。
香典・供花・弔電の対応を事前に決めておく
こじんまりとした家族葬を希望される場合は、香典・供花・弔電への対応方法を事前に決めておくと、よりスムーズに進められます。「香典は辞退する」「供花は受け取らない」「弔電への返信はしない」など、訃報をお知らせする際に、これらの対応についてもお伝えすることで、相手に無用な気を遣わせずに済みます。
また、会社関係や友人などから弔意の申し出があった際の対応についても、家族で話し合っておきましょう。辞退する場合でも、「お気持ちは大変ありがたいのですが」といった一言を添えることで、丁寧な印象になります。
事後報告の仕方に気を配る
家族葬で葬儀に参列をご遠慮いただく場合でも、訃報はきちんと伝える必要があります。その際、失礼のないように、挨拶状や個別の電話、手紙などで、家族葬を選んだ理由などを丁寧に説明しましょう。細やかな配慮をすることで、今後の人間関係を円満に保つことができるでしょう。
以下の記事では、家族葬の事後報告の際にそのまま使える文例集を紹介しているので、併せてチェックしてみてください。
家族だけの葬儀だからこそ、納得できる送り方を考えよう
家族だけで行う葬儀には、費用を抑えられる、負担が少ない、自由なスタイルを選べるといった多くのメリットがあります。一方で、周囲への配慮や家族間の意見調整など、慎重な判断が求められる場面も少なくありません。
自分たちにとって無理のない形で、大切な人をきちんと見送るためには、あらかじめ選択肢を知り、事前準備を丁寧に進めておくことが大切です。
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