ほとんどの葬儀社では、葬儀の手配を進める前に見積書を作成するサービスを行っています。事前に見積もりを取っておくことで、葬儀費用や葬儀内容を明確に把握できます。
今回は、これから葬儀の見積もりを取ろうとしている方向けに、見積もりを取る際に注意すべきポイントや見積書のチェックポイントを解説します。事前に葬儀費用を把握しておき、いざというときにスムーズに葬儀の準備を行えるようにしておきましょう。
この記事を要約すると
- 電話・直接訪問・メール・インターネットなどの方法で、事前に葬儀の見積もりを取ることができます。より正確な金額を知りたい方は、葬儀社と直接相談する時間を設けることをおすすめします。
- 見積もりを取る際は、1社だけでなく複数社に依頼して金額や内容を比較しましょう。必ずすべての葬儀社に対して同じ希望条件を提示し、単純比較ができるようにするのがポイントです。
- 見積書を受け取ったら、記載内容に不備がないか確認したうえで、各項目の費用の内訳やオプション料金、追加で発生しうる料金までチェックしましょう。
葬儀の見積もりは事前に取ることができる
葬儀費用は葬儀の規模や内容によって大きく変動するため、事前に発生しうる金額を把握しておくことが重要です。葬儀費用の目安を知る方法として、事前に葬儀社から見積もりを取ることが挙げられます。
複数の葬儀社から葬儀の見積もりを取っておき、内容や金額を比較したうえで葬儀社を選ぶことで、後悔のない葬儀を執り行えるでしょう。近年は、本人が元気なうちに自身で見積もりを取る方も増えています。
なお、以下の記事では葬儀社を手配するときのポイントや選び方を詳しく解説しています。あわせて、チェックしてみてください。
葬儀の見積もりを取るメリット
葬儀の見積もりを事前にとっておくと、さまざまなメリットがあります。ここからは、具体的なメリットを1つずつ解説していきます。
葬儀の費用を明確にできる
葬儀の見積もりを取ると、葬儀費用の総額だけでなく、費用の内訳や地域ごとの相場感も把握できます。葬儀費用は高額になるうえ、葬儀は一回しか執り行えません。
事前に費用と葬儀内容を知っておくことで、余裕を持って準備でき、想定外の出費を防げるでしょう。また、予算に合ったグレードやオプションを見極めることもできます。
葬儀社や葬儀内容を検討する時間の余裕ができる
事前に葬儀の見積もりを取ることで、葬儀の手配を始める前にゆっくりと検討する時間を作れます。亡くなってから慌ただしく手配をするより、落ち着いた状態で葬儀内容・費用・オプションの有無などを考えた方が、後悔のない葬儀を執り行えるでしょう。
また、家族内や本人と葬儀の希望や優先順位を話し合う機会にもなり、葬儀における「譲れないポイント」が明確になるのもメリットのひとつです。亡くなった後に見積もりを取ると、冷静な判断や価格交渉が難しい可能性があるため、事前に見積もりを取っておくことが大切です。
葬儀に向けて準備することが明確になる
見積もりを取ったり葬儀社に相談したりすることを通じて、遺族側で事前に準備すべき事柄が明確になるのもメリットのひとつです。
葬儀の準備を始めるにあたって、葬儀費用の工面・遺影の用意・お布施の準備・納骨先の確認など、生前に家族が用意できることは数多くあります。具体的な段取りを立てながら準備期間を設けることで、精神的にも余裕が生まれるでしょう。
葬儀社の対応がわかる
見積もりを依頼する際には葬儀社とコミュニケーションを取る機会があるため、その際に葬儀社の対応のよさを見極めることもできます。
質問への回答内容や専門用語の説明などを通じて、信頼できる葬儀社かどうかを事前に判断しましょう。親切丁寧な対応をしてくれる葬儀社を選ぶことで、葬儀後のトラブルを防ぐことにも繋がります。
亡くなったときにスムーズに葬儀準備に移れる
事前に見積書を取っておけば、いざというときにスムーズに葬儀準備に取り掛かれます。葬儀内容がある程度固まっていれば、慌てることなく進行でき、時間と心にゆとりが生まれるでしょう。事前の見積書ひとつで、遺族の負担を大幅に軽減できます。
葬儀の見積もりの取り方
葬儀の見積もりを取る方法は、電話・訪問・インターネットなどさまざまです。それぞれにメリット・デメリットがあるため、自分に合った方法で申し込みましょう。
電話
電話で見積もり依頼をする場合は、葬儀内容に関するヒアリングに回答し、後日正式な見積書を発行してもらうのが基本です。口頭での概算だけで終わらせず、必ず書面を郵送やメールで送ってもらうようにしてください。
直接訪問する
葬儀社を直接訪問して見積もりを取る場合は、見積書を即日発行してもらえるだけでなく、スタッフに直接葬儀内容の相談をしたり、斎場を内見したりもできます。
また、スタッフの対応や斎場の雰囲気を把握でき、信頼できる葬儀社かどうかを判断できるでしょう。営業時間の制約や訪問の手間はかかりますが、葬儀に対する具体的なイメージを膨らませるには最も適した方法といえます。遠方にある葬儀社を検討する場合は、オンラインでの相談サービスを活用するのもおすすめです。
メール・チャット
葬儀社を訪問する時間がない方や夜間に相談したい方は、公式LINEやホームページのチャット機能で見積りを依頼する方法が便利です。24時間どこからでも依頼できるため、忙しい方でも無理せず葬儀準備を始められます。やり取りの履歴が手元に残るという点も、安心できるポイントです。
インターネット
近年では、ホームページに希望の条件を入力するだけで概算見積もりを出せるシミュレーターを掲載している葬儀社が増えています。短時間で手軽に見積もりを取ることができ、数多くの葬儀社を簡単に比較したいときに便利です。
ただし、内容が簡略化されているケースもあるため、より正確な金額が知りたい場合は、後日正式な見積書を取り寄せるのをおすすめします。
複数社の見積もりをシュミレーターを活用して依頼し、そのなかから気になった葬儀社だけを後日直接訪問して相談するという方法もひとつの選択肢です。
見積もりを取るときの注意点
見積もりを取る際は、内容や条件など、さまざまな点で注意が必要です。ここからは、具体的な注意点を解説していきます。
事前に希望の葬儀形式や規模を決めておく
見積書の作成は、葬儀会社からのヒアリングを受けたうえで行われます。ヒアリングの際にすぐに答えられるよう、あらかじめ希望の葬儀形式や葬儀内容を整理しておくとスムーズです。
事前に準備をしておくと、より正確な見積書を作成でき、金額の比較がしやすくなるでしょう。
<ヒアリングの前に決めておきたい項目>
- ご遺体の安置場所
- 葬儀を行う場所(斎場・寺院など)
- 葬儀形式(一般葬・家族葬など)
- 宗教形式
- 葬儀の規模・参列者の人数
- 葬祭用品のグレード
- 食事や返礼品のグレード
複数社で相見積もりを取って比較する
1社のみの見積書では、その金額が適正かどうか判断しづらいといえます。見積もりを取る際は、必ず複数の葬儀社に依頼し、それぞれの内容や費用の違いを比較することが重要です。
また、金額だけでなく、葬儀社の対応力・サービスの充実度・担当者の印象なども同時に比較できます。信頼できる葬儀社を選ぶためにも、複数社で相見積もりを取ることをおすすめします。
相見積もりの場合は必ず条件を揃える
相見積もりを取る際に、葬儀社によって見積もり条件をバラバラにしてしまうと、正確な金額の比較ができません。参列人数や葬儀形式など、基本的な条件は必ず揃えた状態で依頼しましょう。とくに、飲食代や返礼品代は参列人数によって大きく変動するため、必ず数字を確認するようにしてください。
必ず書面で発行してもらう
見積書を依頼したら、必ず書面で受け取りましょう。口頭だけでは内容の確認ができず、後にトラブルの原因になる可能性があります。明細が正確に記載された見積書を発行してもらったうえで、不明点をその場で確認し、納得できる形にしておくことが大切です。
見積書に含まれない金額がある
見積書には、すべての費用が含まれているとは限りません。僧侶へのお布施や参列者の交通費などの葬儀社を通さずに支払う費用は、見積書に含まれないのが一般的です。見積書を受け取ったら、どの範囲までの費用が含まれているかを必ず確認しましょう。
<見積書に含まれない項目の例>
- 僧侶に渡すお布施や戒名料など
- 参列者に支払う交通費・宿泊費
不明点は必ず確認しておく
見積書を確認した際に出た不明点をそのままにしておくと、後のトラブルにつながる可能性があります。
見積書と請求書の金額の大幅な差異の原因は、見積書段階での葬儀社とのコミュニケーション不足が起因していることがほとんどです。葬儀後に後悔しないためにも、見積書を受け取った際に必ず不明点を洗い出すようにしてください。
葬儀費用の相場
葬儀費用の相場は、葬儀形式によって大きく異なります。一番費用のかかる一般葬では100~200万円、簡易的な直葬では20~50万円が相場の金額です。
ただし、地域による風習・使用する斎場・会食の有無などによっても金額が変動します。より正確な葬儀費用を把握するためには、事前に見積もりを取っておくことが重要です。
葬儀形式 | 費用相場 |
---|---|
一般葬 | 100~200万円 |
家族葬 | 30~100万円 |
一日葬 | 30~50万円程度 |
直葬 | 20~50万円程度 |
葬儀見積もりの内訳
葬儀の見積書は、一般的に葬儀一式費用・飲食接待費用・返礼品費用・宗教者への御礼の4つの費用区分に分かれています。
葬儀一式費用
葬儀一式費用は、葬祭用品や車両費用などの葬儀にかかる基本的な費用を指します。セットプランで一括りにしているケースが多く、ドライアイスやご遺体の安置費用、葬儀スタッフの人件費などもこちらに含まれます。
葬儀一式費用に含まれるもの
- 葬儀プランの基本料金
- 葬祭用品(祭壇・棺・骨壺・枕飾りなど)
- 車両費用(霊柩車・寝台車など)
- 斎場や火葬場の利用料金
- 安置費用・ドライアイス代
- 葬儀スタッフの人件費
飲食接待費用
飲食接待費用は、通夜振る舞いや精進落としなど、参列者への飲食接待にかかる費用です。弁当形式・仕出し料理・料亭の利用などの選択肢があり、参列人数に応じて金額が変動しやすいのが特徴です。
飲食接待費用に含まれるもの
- 通夜振る舞いの料理
- 精進落としの料理
返礼品費用
返礼品費用は香典返し・会葬御礼・会葬礼状など、参列者への贈答品にかかる費用です。香典返しの目安は受け取った香典の1/3〜半額程度、会葬御礼は1,000円程度のものを用意するのが一般的です。こちらの費用も飲食接待費用と同様に、参列人数によって変動します。
返礼品費用に含まれるもの
- 会葬御礼・会葬礼状
- 香典返し
宗教者への御礼
葬儀を執り行う際は、葬儀社への支払いのほかに、宗教者への御礼も発生します。宗教者への御礼には、参列への御礼を表すお布施のほか、戒名料・御車代・御膳料などがあります。こちらの金額は見積書に記載されていないケースが多いため、注意が必要です。
宗教者への御礼に含まれるもの
- お布施
- 戒名料
- 御車代
- 御膳料
見積書の金額は固定費用と変動費用に分かれる
葬儀の費用は、基本的に金額が変わらない「固定費用」と、参列人数や葬儀内容によって変動する「変動費用」の2つに分かれます。
固定費用
葬儀一式費用や宗教者への御礼は、固定費用にあたります。祭壇・棺・骨壺などの葬祭用品や葬儀場・火葬場の使用料、霊柩車・寝台車などの搬送費用は、参列人数や葬儀内容によって変動しにくい項目です。
固定費用に分類されるもの
- 葬儀一式費用
- 宗教者への御礼
変動費用
飲食接待費や返礼品費用は、参列者数によって変動しやすい費用です。参列人数が増えるほど料理や贈答品の準備数が増えるため、見積書には想定人数で計上されます。
また、火葬場や式場が混雑していてご遺体の安置期間が長くなると、ドライアイスや安置費用が加算されることがあります。湯灌やエンバーミングなどのオプションを盛り込む場合も、追加費用が発生します。
想定外の出費を防ぐためには、あらかじめ変動費の範囲を把握しておくことが大切です。
変動費用に分類されるもの
- 飲食接待費用
- 返礼品費用
- 追加費用(安置日数の増加・遠方への搬送によるものなど)
- オプション費用(湯灌・エンバーミングなど)
見積書を受け取ったらチェックすべきポイント
葬儀社から見積書を受け取ったら、必ずチェックすべきポイントがいくつかあります。はじめに見積書に含まれている項目と含まれていない項目を確認し、お布施以外のすべての費用が記載されているかどうか確認しましょう。
また、見積書の読みやすさや追加料金の条件の明確さなどを踏まえ、信頼できる葬儀社かどうかを判断することも大切です。
基本料金・セット料金を確認する
まずは、基本料金やセット料金に含まれている項目とその内容をしっかりと確認しましょう。葬儀社が用意している基本のプランで、どこまでのサービスをカバーしているかを把握することが大切です。
葬儀社のなかには、必要な項目をあえて外し、料金を割安にすることで合計額を安く見せているケースもあります。見積もりの総額だけで判断せず、必要なものがすべて盛り込まれているかを必ずチェックしてください。
セット料金の内訳を確認する
見積書にセット料金のみが記載されている場合は、項目ごとの個別の料金を提示してもらいましょう。各項目の単価や数量を確認し、最小単位の金額まで把握しておくことが大切です。
とくに、参列人数によって金額が変動しやすい料理代や返礼品代は、見積書の段階で1人あたりの単価を算出しておくと安心です。
オプション料金を確認する
プラン内の内容をグレードアップしたり、プラン外のサービスを追加したりする場合は、オプション料金が発生します。主なオプションの項目として、祭壇の装飾・棺の素材変更・湯灌・送迎バスの手配などが挙げられます。
見積書やその葬儀社のプランをチェックするときは、希望する内容でセット料金に含まれていない項目があるか、どのようなオプションがいくらで用意されているのかを確認しておきましょう。
また、必要のないオプションが追加されていないかも目を通しておく必要があります。
追加で発生しうる費用を確認する
葬儀では、見積書の段階では予測できなかった費用が後から発生することも珍しくありません。よくあるのが、当初の想定人数よりも参列者が増えてしまい、料理や返礼品の費用が上乗せされるケースです。
こうした想定外の出来事に備えて、あらかじめ発生しうる追加費用の項目とその上限額を確認しておくことが重要です。
追加費用の一例
- 参列者数が想定より増えた場合の飲食代や返礼品代
- 搬送距離が想定より伸びた場合のご遺体搬送料金・スタッフの人件費
- 安置日数が想定より延びた場合のドライアイス代や安置費用
- 住民票がない自治体で火葬を行ったさいの火葬料金
本人・家族の希望が反映されているか確認する
ヒアリングを元に作成した見積書は、本人や家族が希望する葬儀内容やグレードが反映されているかどうかも重要なチェックポイントのひとつです。
とくに、葬祭用品や料理は選択したグレードによって金額が変動しやすいため、見積書に適用されている内容が希望のクオリティと一致しているかを必ず確認しておきましょう。
相場と比べて適切な金額かどうか判断する
見積書の総額が、相場と比べて著しく高かったり低かったりする場合は注意が必要です。
相場よりも高額すぎる場合は、不要なオプションや必要以上に高グレードなサービスが含まれているかもしれません。反対に安すぎる場合は、必要なサービスが含まれていない可能性もあります。相場の金額と比較しながら、納得できるサービス内容かどうかを見極めましょう。
請求書の料金が見積書と異なるケースもある
事前に受け取っていた見積書と、葬儀後に受け取った請求書の金額に差異があることは珍しくありません。その原因の多くは、参列人数の増加や料理・返礼品の追加・グレードアップによるものです。
とくに変動費用は実際の人数が確定してから最終的な金額が計算されるため、見積書との差が生じやすい項目といえます。
また、当初の想定より搬送距離や保管日数が延びた場合も、追加料金が発生することがあります。請求書を受け取ってからギャップを感じないためにも、見積書の段階で変動する可能性のある項目とその上限額を確認しておくとよいでしょう。
葬儀の見積もりを生前に行うケースも
近年は、終活の一環として自身の葬儀の見積もりを生前に取っておく人が増えています。生前に見積もりを取ることで、葬儀内容に本人の希望を反映しやすく、葬儀の際に用意する金額の目安が明確になります。
いざというときに本人が生前用意していた見積書があれば、家族が迷わずに対応できるでしょう。
ただし、見積書の作成から時間が空くと、葬儀社の価格改定が行われる可能性があります。見積書を取る際は、有効期限の有無もチェックしておきましょう。
事前に見積もりを取り、葬儀費用を明確にしましょう
葬儀社や葬儀内容を検討するうえで、事前に見積もりを取ることはとても有効な方法です。時間に余裕のある方は、複数社から同じ条件で見積もりを取り、最も希望に合った葬儀社を選びましょう。
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