故人が亡くなってから葬儀を行うまでの日数は、遺族によってさまざまです。昔は亡くなったらすぐに葬儀を行うのが主流でしたが、近年は参列者の都合にあわせ、集まりやすい週末に行われることも多くなりました。
本記事は、亡くなってから何日後に葬儀を行うのか知りたい方や、葬儀日程の決め方に悩んでいる方向けに、亡くなってから葬儀を行うまでの日数の目安や葬儀日程の決め方について解説します。遺族や参列者の都合を鑑みながら、できるだけ多くの人が参列しやすい日に葬儀を行いましょう。
この記事を要約すると
- 亡くなってから何日後に葬儀を行うという明確な決まりはありませんが、近年は亡くなってから2〜5日以内に行うのが一般的です。
- 葬儀日程は参列者・僧侶の予定や火葬場の空き状況を見ながら決定しましょう。六曜の「友引」の日を避けるケースもあります。
- 亡くなってからすぐに葬儀を行えない場合でも、ご遺体に適切な処置を施せば長期間安置できます。先に火葬を終える「前火葬」を選択するのもひとつの方法です。
葬儀は何日後に行う?
実は、「亡くなってから何日後に葬儀を行うべき」という明確な決まりはありません。昔は亡くなった翌日にお通夜、翌々日に葬儀・告別式を行うのが通例でしたが、近年は亡くなってから2〜5日以内の都合のよいタイミングで行うのが一般的です。
大規模な葬儀を行う場合や遠方から参列する人がいる場合は、週末にあわせて葬儀を行うと参列者が足を運びやすいでしょう。
また、夜中や未明の時間帯に亡くなった場合は、当日の夕方にお通夜、翌日に葬儀・告別式を行うことも可能です。できるだけ早く葬儀を済ませたい方は、24時間対応している葬儀社を探すのがおすすめです。
葬儀日程の決め方
ここからは、葬儀日程を決めるときに確認するべきポイントを解説します。葬儀日程は依頼する葬儀社を決めて手配の連絡を入れた後に、葬儀社と相談しながら決定します。
参列者の予定を合わせる
葬儀日程を決める際にもっとも優先すべきなのは、遺族をはじめとした参列者の予定です。近年は亡くなった日の曜日に関わらず、多くの人が参列しやすい週末に葬儀を行うケースが増えています。
また、遠方から参列する予定の人がいる場合や大規模な一般葬を行う場合などは、余裕を持った日付を設定した方が参列者の負担が少なくなるでしょう。
火葬場の予約状況を確認する
葬儀を行う際は、葬儀場のほかに火葬場の予約も押さえなければいけません。葬儀を行いたい日に火葬場の空きがあるかどうかも重要な確認ポイントのひとつです。
火葬場には公営のものと民営のものがあり、公営の火葬場は葬儀場に併設されているケースが一般的です。公営の火葬場は「その地域に住んでいる人限定」といった利用制限が設けられている場合がありますが、利用料が割安のため多くの人から人気があります。
また、首都圏では火葬場の数に限りがあるため、ほかの地方に比べて予約が取りにくいといわれています。
以下の記事では、葬儀場や葬儀社の選び方のポイントを詳しく解説しています。ぜひ、あわせてチェックしてみてください。
僧侶の予定を確認する
お世話になっている菩提寺や僧侶がいて、お通夜や葬儀・告別式で読経を依頼したい場合は、僧侶の予定を確認することも重要です。仏式以外の宗教形式でお世話になっている宗教者を招く場合も、事前に連絡を取っておきましょう。
友引の日を避ける
カレンダーで「友引」という表記を見たことがある人もいるのではないでしょうか。これは中国から伝わった「六曜」という考え方によるもので、日にちを6種類の「曜」に振り分けて吉凶を判断します。
友引は六曜の2番目にあたる曜で、「友を引く」という意味合いを持ちます。結婚式やお祝い事には適しているものの、「故人が友を道連れにする」という捉え方をするため、葬儀は昔から避けられてきました。
お通夜は友引の日に行っても問題ありませんが、葬儀の日が友引と重なる場合は、1日後ろ倒しにするのが一般的です。友引の日を休業日としている葬儀社や火葬場もあります。
地域の風習に基づいて決める
お住まいの地域によっては、火葬のタイミングが葬儀の前だったり特定の六曜の日に葬儀を行ったりと、葬儀日程の決め方に特有の風習を持っている場合があります。
参列者に地域住民が多い場合は、こうした伝統や風習も加味して日程を決めるのがおすすめです。
葬儀日程を決めるときの注意点
ここからは、葬儀日程を決める際にとくに注意するべきポイントを解説します。亡くなった方の時期によっては、葬儀や火葬のスケジュールを前倒しや後ろ倒しにする必要があるかもしれません。
火葬は亡くなってから24時間後以降に
ご遺体の安置にかかる費用を抑えるため、亡くなってからすぐに葬儀と火葬を行いたいと考える方もいるのではないでしょうか。しかし、日本では亡くなってから24時間以内の火葬は認められていません。亡くなってから最低でも1日間はご遺体を安置し、その後火葬を行いましょう。
なお、火葬場の最終受け入れ時間は夕方頃としている場所が多いため、夕方以降に亡くなった場合は最短でも翌々日以降の火葬となります。
年末年始に亡くなった場合は後ろ倒しになる
年末年始は、火葬場が休業しているケースがほとんどです。もし年末年始に亡くなった場合は、火葬場の営業が再開するまで葬儀や火葬を待たなければいけません。
また、年始に火葬場の営業が再開した後は、年末年始に亡くなった方の予約が殺到することが予想されます。場合によっては、亡くなってから1週間以上経ってから葬儀を行う可能性もあると認識しておきましょう。
夏場に亡くなった場合は安置期間に注意
気温や湿度の高い夏は、ほかの季節に比べて遺体の腐敗が進みやすいという特性があります。夏場にご遺体の安置期間が長引く場合は、ドライアイスを増やすなどして追加の処置を行う必要があるかもしれません。
ご遺体の安置にかかる追加費用を発生させたくない方は、できるだけ早めに葬儀を済ませるとよいでしょう。
一日葬や直葬の場合も日程の決め方は同じ
一日葬は、通常2日間にわたって執り行われるお通夜と葬儀・告別式を1日で終わらせる葬儀形式です。直葬は、お通夜と葬儀・告別式を省略して火葬のみを数時間で行います。
一日葬と直葬はどちらも当日に火葬を行うため、亡くなってから24時間後に火葬を行うスケジュールを組みましょう。
なお、以下の記事では一日葬と直葬それぞれの詳しい流れやタイムスケジュールを解説しています。ぜひ、あわせてチェックしてみてください。
亡くなってから葬儀までの流れ
遺族は故人が亡くなってから葬儀の日まで、短い日数のなかでさまざまな準備を行わなければなりません。亡くなってから葬儀を執り行うまでの間にするべきことを知り、いざというときに向けて心の準備をしておきましょう。
ご遺体の搬送・安置
故人が亡くなったら、亡くなった場所に関わらず、まずはご遺体を安置所に搬送して必要な処置を施します。ご遺体はお通夜や葬儀の前に納棺されるまで、自宅や遺体安置所で数日間安置するのが一般的です。
ご遺体を安置する際は、腐敗が進まないようにドライアイスで保護をしたり、「エンバーミング」と呼ばれる消毒・修復の処置を行ったりします。ご遺体の搬送・安置は専門的な技術が必要なため、必ず葬儀社に依頼するようにしましょう。
葬儀準備
依頼したい葬儀社が決まったら、連絡を入れてすぐに葬儀準備に取り掛かりましょう。葬儀場や自宅で葬儀社の担当者と打ち合わせを行いながら、葬儀の日程や形式・規模・内容などの細かい部分を決定します。
また、葬儀準備と並行して死亡届の提出や火葬許可証の受け取りなどの事務手続きも行う必要があるため、時間を見つけて自治体の窓口に足を運ぶようにしてください。
<葬儀前に準備すること>
- 喪主の決定
- 葬儀日程・葬儀内容の決定
- 参列者に訃報と葬儀案内の連絡
- 死亡届・火葬許可申請書の提出
- 遺影の用意
- 喪主挨拶の用意
- お布施の用意
- 通夜振る舞いの用意
お通夜
お通夜に先立って、はじめに納棺の儀が行われます。納棺は故人のご遺体を棺に納める大切な儀式で、親族のみが立ち会いを許されるのが一般的です。故人には死化粧が施され、死装束が着せられます。故人が生前愛用していたものや好きだった食べ物を副葬品として一緒に納めることも可能です。
お通夜は故人の親戚や友人などの参列者のほかに、お線香をあげる会葬者なども参列します。近年は夕方から夜の時間帯に1〜2時間程度かけて行うことが多く、式後には「通夜振る舞い」という会食の席が持たれることもあります。
葬儀・告別式
葬儀・告別式は、お通夜の翌日の昼に行われる式です。仏式の葬儀・告別式では僧侶による読経や戒名の儀が行われ、故人が極楽浄土に行けるよう皆で祈りを捧げます。
式の最後には故人が眠る棺に参列者たちが花を手向け、最後のお別れを行います。葬儀・告別式が終わると故人の棺は霊柩車に乗せられ、火葬場に向けて出棺されます。
火葬
出棺されたご遺体が火葬場に到着したら、火葬炉で火葬されます。遺族や参列者たちは待合室で火葬が終わるのを待ち、火葬後に収骨室で「お骨上げ」を行います。
お骨上げは「故人をあの世に橋渡しする」という意味が込められた儀式です。長い竹箸を使って遺骨を拾い上げ、骨壷へと1本ずつ納めていきましょう。骨壷に納められた遺骨は、四十九日法要が終わって納骨されるまで、遺族の自宅で大切に保管します。
亡くなってすぐに葬儀を行えない場合は?
遺族のなかには、さまざまな事情によって、故人が亡くなってからすぐに葬儀を執り行えないケースがあるかもしれません。その場合の対応方法についてもあらかじめ知っておきましょう。
葬儀は直後でなくても問題ない<
一般的には亡くなってから2〜5日以内に執り行われる葬儀ですが、予定が合わない場合は日付を後ろ倒しにしても問題ありません。
ただし、ご遺体の安置時間が通常よりも長くなるため、腐敗や状態悪化が進まないよう追加の処置が必要になる可能性があります。たとえば「エンバーミング」とよばれる殺菌消毒措置を施した場合、亡くなってから50日間程度は清潔な状態でご遺体を安置できるといわれています。
前火葬を行う方法もある
亡くなってから葬儀までの日数が長期間空いてしまう場合、お通夜の前後に火葬を行う「前火葬」の形式を選択するのもひとつの方法です。
先に火葬を済ませておくことで、ご遺体の腐敗や安置費用の増加を抑えられます。前火葬を行った場合、棺の代わりに骨壷を祭壇に飾ってお通夜や葬儀・告別式を行います。
忌引は何日間取得できる?
会社に勤めている方や学校に通っている学生は、葬儀に参列する日に「忌引休暇」とよばれる休みを取ることができます。休暇の目安日数は故人との続柄によって異なり、配偶者が亡くなった場合は約10日間の休みを取得できます。
会社によっては、取得できる忌引休暇の日数が規則で定められているケースがあります。所定の日数を超えて休みを取る場合は、有給休暇や欠勤扱いとなるのが一般的です。
故人との関係性 | 忌引休暇の目安日数 |
---|---|
配偶者・親 | 7日 |
子 | 5日 |
兄弟姉妹・祖父母・配偶者の親 | 3日 |
孫・叔父叔母 | 1日 |
配偶者の兄妹姉妹・祖父母 | 1日 |
葬儀後の法要や納骨のスケジュール
無事に葬儀を終えた後は毎日の供養や初七日法要・四十九日法要などの法要を行い、四十九日法要を終えて忌中が開けたら納骨を行います。
初七日法要
初七日法要は、亡くなった日を1日目として数えて7日目に行う法要です。30分〜1時間程度の短い式で、遺族や親戚などが参列し、僧侶による読経を行います。
近年は簡略化や参列者の負担軽減のため、葬儀当日に繰り上げて行うケースも増えています。初七日法要の後はこれまでの葬儀で関わった参列者や僧侶を招き、「精進落とし」という会食を開くのが通例ですが、こちらも簡略化のために省略されることがあります。
四十九日法要
四十九日法要は、亡くなった日を1日目として数えて49日目に行う法要です。仏教ではこの日を境に「忌中明け」とされ、故人が極楽浄土へと旅立つと考えられています。
四十九日法要は初七日法要と違って簡略化せずに開かれることが多く、遺族や親戚などが参列し、僧侶による読経や法話が行われます。四十九日法要を終えると納骨ができるようになるため、この日にあわせて納骨も行うケースが一般的です。
<四十九日に向けて準備すること>
- 後飾り祭壇で日々の供養
- 本位牌の手配
- 仏壇・ご本尊の手配
- お墓の手配や掃除
- 香典返しの用意
- 四十九日法要の準備
納骨
納骨を行う際は、必ず事前に菩提寺や霊園などの施設管理者に連絡を取り、「この日に納骨を行ってもよいか」と確認するようにしてください。遺族が許可を得ず勝手にお墓を動かすのはタブーとされています。
納骨には、火葬が終わった際に受け取る「埋葬許可証」と墓の裏側に立てる「卒塔婆」という木製の板が必要です。卒塔婆には、故人の名前と施主の名前、没日が記載されます。
納骨は四十九日法要とあわせて行われるのが一般的ですが、遺族の心の整理がまだついていない・真夏・真冬で参列者の負担が多いなどの事情がある場合は、先送りにされるケースもあります。ただし、延期した場合でも三周忌までには納骨を完了させるようにしてください。
みんなが参列できる日程で葬儀を行いましょう
亡くなってから葬儀を行うまで日数の目安はおよそ2〜5日といわれていますが、遺族の都合や亡くなった時期・場所によってはそれよりも後に葬儀を行うケースもあります。いずれにせよ、遺族同士でよく話し合い、できるだけ多くの人が参列できる日を選ぶことが大切です。
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