地域住民が自治を行い、近隣住民との交流を行う町内会。町内会に属している住民が亡くなった場合は、適切に訃報を伝えることが重要です。
今回は、親族が亡くなった後の町内会での対応方法を知りたい方向けに、家族葬を行う場合の町内会への訃報の伝え方や回覧板に使える例文をわかりやすく解説します。町内会を通じて近隣住民の訃報を知ったときの弔意の伝え方についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事を要約すると
- 町内会に所属する住民が亡くなったら、町内会宛に訃報を伝えるのがマナーです。家族葬の場合は葬儀前の混乱を避けるため、葬儀を無事に執り行ってから伝える形でかまいません。
- 町内会への訃報の伝え方は、電話・回覧板・直接訪問などの方法があります。近隣住民へ1軒ずつ挨拶するのが難しい場合は、回覧板への掲載を依頼するのが効率的です。
- 町内会へ訃報を伝える際は、過度な詮索やプライバシーの侵害を避けるために、必要最低限の情報のみ共有するのが望ましいとされています。訃報を伝えるタイミングに合わせて、適切な挨拶文を選択しましょう。
親族の訃報は町内会に知らせるべき?
ご近所付き合いがある場合、親族の訃報は町内会に伝えるのが一般的です。町内会は地域住民の交流の場であり、近隣住民の安否や葬儀情報は共有するのがマナーとされています。
とくに、日頃から近隣住民と親しくしていた方や町内会活動に参加していた方が亡くなった場合は、後から知った方を驚かせてしまう可能性があるため、葬儀後であってもお知らせしておくと安心です。香典や弔問を辞退するときは、誤解を与えないように事情を明確に伝えましょう。
町内会の人に訃報を伝えるタイミングは「葬儀後」が一般的
故人の葬儀形式で家族葬を選択した場合、訃報を町内会に伝えるタイミングは葬儀後が最適です。家族葬は親族のみで静かにお別れすることを目的としているため、事前に町内会へ知らせてしまうと、参列や香典を申し出られてしまう可能性があります。
葬儀前の混乱や連絡の手間を軽減するためにも、葬儀後に訃報と合わせて「すでに身内だけで葬儀を執り行いました」と報告しましょう。とはいえ、なかには葬儀前に葬儀情報を伏せて訃報だけを伝えるケースもあります。地域の風習や遺族の事情を考慮し、最善のタイミングで伝えることが大切です。
町内会の人に訃報を伝える方法
町内会に訃報を伝える手段は、電話・回覧板・直接訪問のいずれかの方法が一般的です。回覧板への掲載を希望する場合は、町内会長や担当住民に依頼しましょう。
電話で伝える
葬儀準備でなかなか自宅に戻れないときや、日中挨拶回りをする時間がないときは、電話で訃報を伝えるのが効率的です。とくに町内会長や日頃親しくしている住民には、口頭で事情を説明すると丁寧な印象を与えられます。相手から弔意の申し出があった場合は、感謝を伝えつつ辞退の意向も添えて説明しましょう。
回覧板を回す
回覧板は町内会の全世帯に回覧されるため、訃報を近隣住民に広く知らせる手段として有効です。掲載を希望する場合は、町内会長や回覧板の担当者に依頼の連絡をし、共有したい項目と香典や弔問の対応状況を伝えましょう。
なお、回覧板は遺族の目の届かないところで回覧されるため、必要以上に個人情報を掲載しない方が安心です。
直接挨拶に伺う
故人がお世話になっていた近隣住民に対しては、直接訪問して訃報を伝える方法もあります。時間や手間はかかりますが、とくに親交の深かった方や高齢住民には、口頭で伝える方が誤解や不安を招きにくくなります。
なお、突然の訪問は失礼にあたるため、事前に相手の都合を伺ってから訪問するようにしてください。
町内会宛に伝える項目
町内会に訃報を伝える際は、必要最低限の情報に絞り、簡潔かつ丁寧に伝えることが重要です。
故人の氏名
まずは故人のフルネームを正確に伝えましょう。とくに、町内会に同じ名字や類似の名前の住民がいる場合は、混乱を招かないよう注意してください。必要に応じて、町内会で呼ばれていた愛称や旧姓などを伝える方法もあります。
亡くなった日付と享年
故人が逝去した日付と享年も、必ず伝えるべき項目です。日付は西暦・和暦どちらでもかまいません。享年は数え年で数えるため、満年齢よりも1歳多くなることに注意しましょう。
死因
故人の死因については、詳細を伝えず「病気のため」や「老衰のため」などとぼかすのが一般的です。
回覧板に掲載する際は、故人や遺族のプライバシーを保護するためにも、「長らくの闘病の末」や「かねてより療養中でした」などと柔らかい表現に留めるのが好ましいとされています。
喪主の氏名と連絡先
町内会に訃報を伝える際は、故人に弔意を伝えたい住民のために、遺族の代表者や喪主の氏名と連絡先も明記しておくと丁寧です。連絡先は電話番号を記載し、必要に応じてメールアドレスや住所も添えるとよいでしょう。
葬儀日程と葬儀会場(参列を断らない場合)
葬儀に近隣住民の参列や弔問を受け入れる場合は、葬儀の日程や会場を具体的に伝えましょう。
たとえば「通夜:〇月〇日 午後6時より/葬儀:〇月〇日 午前10時より」、「〇〇斎場(住所・電話番号)」など、誰が見ても分かるような情報を提供する必要があります。
また、合わせて故人の宗派や香典・供物の辞退の有無も伝えておくと、参列者が準備しやすくなります。
葬儀を親族で執り行う旨(参列を断る場合)
近隣住民の葬儀への参列や弔問をお断りする場合は、その旨をはっきりと伝えることが大切です。
たとえば、「故人の遺志により、近親者のみで葬儀を執り行う予定です」と伝えれば、近隣住民からの誤解が生まれにくくなります。葬儀がすでに終えている場合は、「葬儀は近親者のみで滞りなく相済ませました」と事後報告形式にしてもかまいません。
香典や弔問への対応状況
近隣住民の参列・弔問をお断りする場合は、香典や後日弔問の対応状況も明確に伝える必要があります。
香典・供物・後日弔問などを辞退する場合は、「香典・供花・弔問はご辞退申し上げます」や「ご厚志、ご弔問の儀は謹んでご辞退申し上げます」などと伝えましょう。辞退の意図を明確にすることで、近隣住民に気を遣わせることや遺族の負担を軽減することにもつながります。
なお、通常どおり受け取る場合は、「お気遣いに感謝申し上げます」などの一言を添え、感謝の気持ちを表すのがマナーです。
町内会宛の訃報の例文
町内会に訃報を伝える際は、状況に応じて文章表現を使い分けると丁寧です。
電話
町内会長や班長など、町内会の関係者に電話で訃報を伝える際は、簡潔かつ丁寧な言葉を心がけましょう。回覧板の作成を依頼する場合は、その旨も合わせて伝えてください。
葬儀前の場合
お世話になっております。〇〇町◯丁目に住む〇〇でございます。
昨日、父の〇〇が永眠いたしました。葬儀は本人の遺志を尊重し、家族葬にて執り行いますため、町内会の皆様のご参列やご弔問はご遠慮いただいております。町内会の皆様におかれましては、生前のご厚誼を賜り深く感謝申し上げます。
何かございましたら、喪主の私までご連絡いただければと存じます。
葬儀後の場合
お世話になっております。〇〇町◯丁目に住む〇〇でございます。
◯月◯日、父の〇〇が永眠いたしました。葬儀は本人の遺志を尊重し、近親者のみで滞りなく相済ませました。ご厚志・ご弔問の儀は謹んでご辞退申し上げます。ご報告が遅くなり恐縮ですが、町内会の皆様におかれましては、生前のご厚誼を賜り深く感謝申し上げます。
何かございましたら、喪主の私までご連絡いただければと存じます。
回覧板への掲載を依頼する場合
お世話になっております。〇〇町◯丁目に住む〇〇でございます。
昨日、父の〇〇が永眠いたしました。葬儀は本人の遺志を尊重し、家族葬にて執り行いますため、町内会の皆様のご参列やご弔問はご遠慮いただいております。つきましては、大変お手数をお掛けいたしますが、回覧板に訃報のお知らせを掲載していただけますでしょうか。詳細については後ほどあらためてお伝えいたします。
何かございましたら、喪主の私までご連絡いただければと存じます。
回覧板
回覧板で訃報を伝える場合は、句読点を用いず、必要最低限の情報を掲載するのがポイントです。葬儀の情報を掲載する・葬儀の参列はお断りする・葬儀を事後報告するなどのさまざまな事情に合わせて、適切な文面を作成しましょう。
参列・弔問を受け付ける場合
町内会各位
訃報
このたび 〇〇町◯丁目の〇〇様が ◯月◯日に永眠いたしました(享年◯◯)
つきましては 通夜ならびに葬儀を下記の日程で執り行いますので お知らせいたします
通夜:◯月◯日 午後◯時〜
告別式:◯月◯日 午前◯時~
会場:◯◯斎場(住所・電話番号)
形式:仏式
喪主:◯◯(故人との属柄・電話番号)
ご多用の中誠に恐縮ではございますが ご参列いただけますと幸いです
参列・弔問をお断りする場合
町内会各位
訃報
このたび 〇〇町◯丁目の〇〇様が ◯月◯日に永眠いたしました(享年◯◯)
故人の遺志により 葬儀は近親者のみで執り行います
ご厚志 ご弔問の儀は 誠に恐縮ではございますが 謹んでご辞退申し上げます
町内会の皆様の生前のご厚情に深く感謝申し上げ 略儀ながらご報告申し上げます
葬儀後の場合
町内会各位
訃報
このたび 〇〇町◯丁目の〇〇様が ◯月◯日に永眠いたしました(享年◯◯)
葬儀はすでに近親者のみで滞りなく執り行いましたことを ここにご報告申し上げます
ご厚志 ご弔問の儀は 誠に恐縮ではございますが 謹んでご辞退申し上げます
町内会の皆様の生前のご厚情に深く感謝申し上げ 略儀ながらご報告申し上げます
今後とも変わらぬお付き合いのほど よろしくお願い申し上げます
町内会に訃報を伝える際の注意点
町内会へ訃報を伝える際は、近隣住民への配慮を欠かさないよう心がけましょう。
参列を断る場合はお詫びを入れる
家族葬を理由に参列をお断りする場合は、近隣住民に一言お詫びの言葉を添えるのがマナーです。「遺族のみで執り行いましたため、ご参列はご遠慮いただきました。何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます」などと伝えれば、丁寧な印象になり角が立ちません。
香典や弔問を辞退する場合は必ず伝える
香典や弔問を辞退する場合は、誤解を与えないよう、曖昧な表現ではなく明確に伝えることが大切です。明確に伝えていないと、近隣住民同士で対応の差が生まれてトラブルになったり、想定外の香典返しの手間が発生したりする可能性があります。辞退の意志をはっきりさせれば、相手に余計な気遣いをさせることもありません。
回覧板を回す場合は個人情報の保護に注意する
回覧板に故人や喪主の個人情報の記載を依頼する場合は、プライバシーを守るために、必要最低限の情報にとどめることが大切です。
たとえば、詳細な病状は控える、喪主の連絡先情報は電話番号のみにするなど、共有しなくても問題ない情報は伏せておくと安心です。回覧板は不特定多数の目に触れる可能性があるため、とくに慎重に対応する必要があります。
回覧板の文章には句読点を打たない
回覧板やハガキなどの訃報文では、「、」や「。」を使用しないのが慣習です。これは、句読点が「終わり」や「区切り」を意味し、死を連想させることに由来します。文中では句読点を用いない代わりに、改行や空白を活用して読みやすさを意識しましょう。
町内会の人の訃報を聞いた場合の対応
町内会を通して近隣住民の訃報を受けた際は、遺族の意向を尊重したうえで誠意のある対応をしましょう。
お悔やみの気持ちを伝える
訃報を受けた際は、まず「このたびはご愁傷様です」「ご冥福をお祈りいたします」といったお悔やみの言葉を伝えましょう。故人や遺族に対する過度な詮索は避け、遺族の悲しみに寄り添うことが大切です。葬儀への参列・弔問の有無や香典・供物の対応状況については、お悔やみの言葉を述べた後に確認するのがマナーです。
直接弔問に伺う
家族葬に近隣住民を受け入れる場合や弔問を断られなかった場合は、遺族の了承を得たうえで弔問に伺ってもかまいません。自宅に訪問する際は事前に連絡し、時間帯やタイミングに配慮しましょう。訪問時は長居を避け、静かに線香をあげて短くお悔やみの言葉を述べるのが作法です。
香典や供花を送る
香典や供花を送る際は、遺族が受け取りを辞退していないか事前に確認するのがマナーです。辞退している場合は送るのを避け、受け付けている場合のみ準備しましょう。
なお、香典には包み方や香典袋の書き方にさまざまなルールがあるため、失礼のないように気を付けてください。供花を送る場合も、事前に葬儀会場や喪主の意向を確認することが大切です。
葬儀に参列する
町内会員として葬儀に案内された場合は、事前に服装や持ち物などを準備したうえで参列しましょう。参列時は喪服に身を包み、香典や数珠などを持参するのがマナーです。
受付では挨拶を簡潔に済ませ、式では静かに焼香して遺族に対して失礼のないように振る舞うのがポイントです。式後は遺族の気を遣わせないよう、長くとどまらずに適切なタイミングで退出してください。
回覧板を作成する(町内会役員の場合)
遺族から回覧板への掲載を依頼された場合は、遺族の意向を確認しながら回覧板を作成しましょう。執拗に事情を聞くことは避け、掲載に必要な情報のみをヒアリングするのがポイントです。故人や遺族への敬意を忘れず、丁寧な訃報の文面を作成することで、遺族との関係をより良好なものにできるでしょう。
親族の訃報は町内会の人にも伝えましょう
町内会に所属する住民が亡くなった場合は、最前お世話になった近隣住民への感謝を伝える意味でも、必ず訃報の連絡を行いましょう。とくに、家族葬で近隣住民の参列をお断りする際は、誤解を与えないよう丁寧な対応が求められます。
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