家族が県外で亡くなった際、「現地で火葬するべきか」「地元まで搬送するべきか」「どこに相談すればいいのか」と迷ってしまうのは当然のことです。
本記事では、「現地火葬」と「地元搬送」という2つの選択肢について、費用・手続きの流れ・注意点などをわかりやすく解説しています。さらに、判断の助けとなるチェックリストも用意し、自分に合った選択肢がひと目でわかるようになっています。
突然の事態にも冷静に対応できるよう、全体像を把握して、あらかじめ備えておきましょう。
この記事を要約すると
- 県外で亡くなった場合、「現地で火葬する」か「遺体を地元に搬送して火葬する」かの2つの方法があります。費用・時間・参列のしやすさなど、メリット・デメリットを把握して選びましょう。
- 現地火葬は、移動負担を避けたい・早めに火葬したい・費用を抑えたいときに適しています。地元火葬は、親族参列や菩提寺での法要、慣れた土地での見送りを重視する場合に向いています。
- 県外で亡くなった場合、葬儀社の手配→安置場所の決定→故人のお迎え→現地または地元への搬送、の流れとなります。現地で火葬の後、地元で葬儀をする方法もあります。
県外で亡くなったときの火葬~2つの選択肢~
旅行先や入院先、単身赴任先など、県外で家族が亡くなった時、「現地で火葬するか」「遺体を地元に搬送するか」という大きな選択を迫られます。
どちらが正解というものではなく、費用や日程、遺族の意向などによって選択肢は異なります。ここでは、2つの選択肢とその特徴を整理していきましょう。
選択肢① 現地で火葬する
県外で亡くなった場合、現地で火葬を行う方法です。遺体搬送に時間がかかり過ぎる、すぐに火葬を済ませたいなどの状況で選ばれます。火葬後は、現地で葬儀も行うか、地元で遺骨葬を行うかの選択肢に別れます。
そのまま現地で葬儀(現地完結型)
現地の葬儀社に依頼し、お迎え~火葬まで、すべてを現地で完結させる方法です。親族が現地に集まる必要がありますが、段取りがシンプルで、遺体搬送の時間がないので短期間で終えられます。
遺骨を地元に持ち帰り、地元で葬儀(遺骨葬)
安置期間を経て現地で火葬だけを行い、遺骨を地元に持ち帰って葬儀を行う方法です。長距離の遺体搬送をしないため、費用を抑えられるのが特徴です。
選択肢② 遺体を地元に搬送して、地元で火葬・葬儀をする
故人の遺体を地元に搬送し、地元で葬儀・火葬を行う方法です。葬儀参列者に地元の親戚・知人が多い、高齢、などの場合選ばれます。
「どっちがいいの?」迷った人のためのチェックリスト
県外で亡くなった場合、火葬を現地・地元のどちらで行うか、迷う方は多いでしょう。費用や移動の負担、参列者の有無など、判断材料はいくつもあります。ここでは、状況に合わせた選び方の目安をチェックリストにまとめました。
現地で火葬した方が良いケース
移動負担をできるだけ減らしたい、早めに火葬を済ませたいといったケースでは、現地で火葬を行うほうがスムーズです。次の項目に多く当てはまる場合は、現地での火葬を検討しましょう。
高齢で地元への移動負担を避けたい遺族が多い
地元での通夜・葬儀に参列者が少ない
故人が「簡素に済ませてほしい」と言っていた
急ぎで火葬を済ませる必要がある(夏場・衛生面)
地元への搬送費、地元泊のコストや負担を抑えたい
故人が長年現地に住んでいて、現地に縁がある
地元で火葬した方が良いケース
地元の親族との関係を大切にしたい、実家や自宅から見送りたいといった希望がある場合は、遺体を地元へ搬送して葬儀・火葬を行うほうが安心です。
以下の項目に多く当てはまるなら、地元での火葬を検討しましょう。
地元の親戚の参列を重視したい
遺言で「自宅から送り出してほしい」と言われていた
実家で安置・お別れをしたいという希望がある
親族や地域の慣習として「地元で送る」が一般的
地元にお墓があり、納骨の手続きがスムーズ
菩提寺がある(納骨や法要が地元)
現地で火葬するメリット・デメリット
県外で亡くなった場合、現地で火葬する方法には、費用や時間を抑えられる反面、参列者の負担や菩提寺との調整が必要になるなど注意点もあります。ここでは、現地火葬を選ぶ際のメリットとデメリットを整理し、判断の参考になる情報をまとめました。
メリット
現地で火葬を行えば、遺体搬送が不要になるため費用や手間を抑えられます。スケジュール面でも柔軟に対応できるといった利点があります。主なメリットは以下の通りです。
遺体搬送が不要なため、費用と手間が抑えられる
地元までの搬送費用と時間が省略できます。現地で火葬までスムーズに進められ、葬儀の負担を抑えられるでしょう。
スケジュール調整がしやすく、火葬までの時間を圧縮できる
長時間の遺体搬送がないため、現地の状況や遺族の都合に合わせやすくなります。葬儀場や火葬場が混み合う冬場でも、比較的スムーズに葬儀・火葬を済ませられます。
遠方への移動負担が軽減される
故人やその家族が現地での生活が長い場合、実家への移動は負担となりがちです。現地で葬儀・火葬を済ませることで、遠方の実家までの移動の負担を減らせます。
故人の「簡素にしてほしい」という希望に添いやすい
通夜や葬儀を省略した「直葬」など、シンプルな形での見送りを選びやすくなります。
デメリット
現地で火葬を行い地元で遺骨葬となる場合、参列者は顔を見てのお別れができません。また現地で葬儀も行う場合、参列者が遠方から移動しなくてはならなくなります。具体的なデメリットは以下の通りです。
遺骨葬の場合、参列者が顔を見てのお別れができない
現地で火葬をした後、葬儀を地元で行う場合、参列する親戚・知人は故人の顔を見てのお別れができません。特に親しい親戚などが入る場合は、配慮が必要となるでしょう。
葬儀に参列できる人が限られやすい
葬儀を現地で行なう場合、遠方に住む地元の親族や友人が参列しにくくなります。また後日、地元でのお別れ会などを開く場合は、その負担も考慮しておきましょう。
参列者の旅費・宿泊費の負担が増える
現地で葬儀を行う場合、親族や友人が現地まで移動することになります。この際の交通費や宿泊費を負担する場合、予算を把握しておくことが重要です。人数が多い場合は費用がかさみ、調整も大変になることがあります。
菩提寺への連絡・調整に時間がかかることがある
地元の菩提寺への納骨を考えている場合、菩提寺への連絡は必須です。葬儀を現地で行うならば、地元から僧侶を招く必要があり、スケジュールの調整が必要です。
地元で火葬するメリット・デメリット
遺体を地元に搬送して葬儀や火葬を行う方法は、親族の参列、地域のしきたり、菩提寺やお墓との関係などを大切にしたい人に向いています。ここでは、地元で火葬する場合の主なメリットとデメリットを紹介します。
メリット
地元で火葬を行う最大の魅力は、多くの親族・知人に参列してもらえ、菩提寺やお墓との連携もしやすい点です。地域の慣習に沿った形で、故人を安心して見送ることができます。
多くの親族・知人が参列しやすい
地元で行うため葬儀の連絡がしやすく、親戚・知人の協力も得やすいです。集まりやすい環境で多くの人としっかりとお別れができます。
地域の習慣やしきたりに沿った葬儀がしやすい
慣れた土地で準備ができるため親戚・知人などにも相談がしやすく、精神的な安心感があります。参列者もいつもの雰囲気で葬儀に参加できます。
菩提寺やお墓のある地元で一貫して行える
先祖代々の慣習に則った儀式が行えるため、納骨や法要までスムーズです。家族や親戚にもわかりやすい流れになるでしょう。
デメリット
一方で、地元で火葬を行う場合は、遺体搬送にかかる手間や費用、日程調整の難しさといった注意点もあります。ここでは、主なデメリットを整理します。
遺体搬送の手配と費用がかかる
距離に応じた搬送費用が必要となります。陸路だけでは難しい場合、フェリーや飛行機なども利用するため、費用負担は大きくなります。
また搬送費用は運賃だけではなく、人件費、早朝深夜料金、冬季割増料金なども加算されます。
移動中のトラブルやスケジュールの調整が必要
特に長距離搬送では、天候や搬送会社の状況により予定変更の可能性があります。
搬送~火葬~納骨までの流れをチェック
臨終後、葬儀社の手配から安置、搬送、火葬、納骨までの一連の流れをフローチャートでまとめました。全体像を把握しておくことで、次に何をすべきかが見えやすくなり、手続きや準備もスムーズに進められます。
葬儀社の手配↓ | |||
安置場所の決定↓ | |||
病院などへ故人をお迎え↓ | |||
現地の安置場所へ遺体搬送↓ | 地元へ遺体搬送 | ||
現地で火葬↓ | 現地での葬儀↓ | 地元で安置↓ | |
遺骨を地元へ↓ | 現地で火葬↓ | 葬儀↓ | |
地元での遺骨葬↓ | 遺骨を地元へ↓ | 現地で納骨 | 火葬 |
菩提寺へ納骨 | 納骨 | 菩提寺へ納骨 |
1. 依頼先を決める
県外で亡くなった場合、まず葬儀社や搬送専門業者など、どこに依頼するかを決めなければなりません。 以下の3つの選択肢があります。
- 現地の葬儀社に全て任せる
- 地元の葬儀社と連携する
- 搬送のみ専門業者に依頼する
すぐに判断できない場合は、病院の紹介や24時間対応の葬儀社に相談してもいいでしょう。
2. 安置場所を決める
故人が病院の霊安室に預けられている場合、すぐに搬送する必要があります。 現地の葬儀社が用意する安置施設、自宅や実家、または地元の葬儀場の安置室など、希望に応じて選びましょう。わからない場合、依頼する葬儀社に相談すると、プロの意見がもらえます。
事情により決められない場合はいったん現地で仮安置し、その後地元に移送する方法もあります。
3. 搬送方法を選ぶ
安置場所が決まったら、搬送方法を決定します。地元への長距離搬送となる場合、搬送方法は寝台車、フェリー、飛行機を組み合わせることもあります。 距離やコスト、所要時間を考慮し、葬儀社または専門業者に相談しながら最適な方法を選びましょう。
4. 葬儀・火葬の打ち合わせを行う
現地で火葬を済ませるのか、地元まで搬送して葬儀・火葬を行うのかによって、準備内容が異なります。葬儀社と相談し、日程・会場・参列者の調整などを進めましょう。菩提寺がある場合は僧侶の手配も必要です。
冬季などは僧侶のスケジュールも詰まりがちです。僧侶への連絡は、葬儀が決まり次第速やかに行いましょう。
なお県外や遠方から長距離の遺体搬送をする際の、費用や流れ、注意点などは、以下の記事で詳しく解説しています。
それぞれの事情に合った選択で納得のいくお見送りを
県外で家族が亡くなった場合、火葬の方法は「現地で火葬する」か「遺体を地元に搬送して火葬する」かの二択です。 それぞれに費用・手間・参列しやすさなどのメリット・デメリットがあります。
迷うときは、移動負担や参列者の都合、菩提寺やお墓の場所などを整理しながら、家族で納得できる方法を選びましょう。 また、現地・地元どちらの葬儀社にも相談し、見積もりや段取りを確認することが大切です。
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