この記事を要約すると
- 危篤とは、命に大きな危険が迫っている状態を指し、臨終とは危篤のなかでも亡くなる間際を指す
- 近親者が危篤になった場合にすべきことは、「親交の深い方へ連絡」「病院への泊まりの準備」「職場へ休暇の連絡」「葬儀社を探す」「現金の用意」
- 危篤であることの周知方法は、確実に伝えるために電話が最適。伝える内容は、「危篤であること」「病院の名前」「必要であれば他の人への周知」
危篤とは、病気や怪我によって命に大きな危険が迫っている状態のことです。医師によって危篤と診断された場合、残念ながら回復の見込みはほとんどなく、お別れの瞬間が近いことを覚悟しなければいけません。
今回は、家族や近親者が病気療養をしている方やもしものときのために心の準備をしておきたい方向けに、「危篤」と「臨終」の意味の違いや、危篤と診断されてから臨終を迎えるまでの一連の流れについて解説します。家族が危篤になった場合に対応すべきことやその先のために用意しておくことなどもあわせて紹介するので、大切な方とのお別れの時間に備えたい方はぜひ参考にしてみてください。
また、以下の記事では危篤・臨終から葬儀、四十九日法要に至るまでの流れを詳しく解説しています。ぜひ、あわせて参考にしてみてください。
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危篤と臨終の違いとは?
危篤とは、本人の命に大きな危険が迫っている状態をあらわす言葉です。病気や怪我の状態が悪化してこれ以上の回復が見込めないときや、息を引き取る瞬間が近いときに、医師が診断を下します。
臨終とは、危篤状態のなかでも亡くなる間際のことを指す言葉です。ただし、近年は息を引き取る瞬間のことを「臨終を迎える」と表現することもあります。
また、危篤や臨終と似たような言葉に「重篤」というものがあります。重篤も危篤と同じく命に危険があることをあらわす言葉ですが、危篤ほど切迫した状態ではなく、まだわずかに回復の可能性が残されている場合に使用します。
危篤とはどのような状態か
一般的に以下のような症状があらわれ始めた場合、医師から危篤と診断されます。
<危篤時の症状の一例>
- 意識が薄れ始める
- 反応が弱くなったり、会話に応えられなくなる
- 心拍数が少なくなったり、呼吸が乱れたりする
- 血圧や血液内の酸素濃度が著しく低下する
- 肌や爪の色が変わり始める
- 体温が下がり、手足が冷たくなる
- 睡眠時間が長くなる
- 排尿が止まる
危篤の判断が下されたら、存命でいられる時間はそう長くありません。個人差はありますが、診断後数時間〜数日間で息を引き取ることがほとんどです。そのため、残されたわずかな時間で最後のお別れを伝えなければいけません。
近親者が危篤になった場合にするべきこと
ここからは、自分の家族や近親者が危篤になった場合にするべきことを詳しく解説します。危篤の連絡を受けたら、親族や親交の深い人に連絡を取るのはもちろん、自分の職場との調整や泊まり込みの用意など、さまざまな準備をすばやく行う必要があります。
入院中の病院から危篤になった旨の連絡が来たときや不慮の事故などで急に容体が変化したとき、できるだけ落ち着いて対応できるようにしておきましょう。
心の準備
病院から危篤の連絡を受けたら、そう遠くないうちにお別れが来ることを覚悟しなければなりません。医療の発達した現代においても、よほどの脅威的回復がないかぎり、危篤状態に陥ってから一命を取り留めることは難しいものです。治療方法によっては、家族側に最後の決断が委ねられる場合もあります。
生きている限り、大切な人との別れはいつでも起こりうるもの。急な連絡だった場合はショックで取り乱したり頭が混乱したりするかもしれませんが、できるだけ心を落ち着けて向き合うようにしましょう。
親族や親交の深い人に危篤を伝える
自分が病院から危篤の連絡を直接受けた場合、ほかの親族や本人と親交の深い人にも急いで状況を知らせる必要があります。危篤の診断を受けてから素早く連絡が取れれば、多くの人が最後の時間を作るために病院に訪れることができるでしょう。近いうちに葬儀の予定が入りそうなことを、あらかじめ把握してもらうことにも繋がります。
このとき連絡を取る範囲は、本人から数えて三親等までにするのが一般的です。家族のほかに友人や親交の深い人がいる場合は、その方にも家族と同様に危篤の旨を伝えましょう。
連絡方法
危篤の連絡は急を要するものであるため、連絡先の人に確実に伝えることが求められます。そのため、連絡方法は電話が最も適しています。
病院から連絡を受けたタイミングが夜中や夜明けの時間帯であっても、この場合はマナーなどを気にせず電話をかけても問題ありません。ただし、本題に入る前に「夜中の連絡となり恐れ入ります」などと一言付け加えましょう。電話が繋がらなかった場合は留守番電話に簡単な要件を伝え、折り返しの連絡をもらえるように頼みます。
危篤を伝えたい人が多い場合や全員に連絡する時間の余裕がない場合は、同じコミュニティの代表者となる人に先に連絡し、ほかの人にも伝えてもらうように頼むという手もあります。
連絡内容
危篤の連絡をするときは、以下の要点を簡潔にまとめながら伝えましょう。
<伝える内容>
- 自分の名前と本人との関係性
- 本人が危篤であること、病状や怪我の状態
- 入院している病院の名前・住所・病室の番号
- 自分や家族代表の連絡先
- (必要であれば)ほかの人にも伝言してほしい旨
もし、連絡先の人とメールやチャットをする間柄であった場合は、電話で連絡をしたあとに細かい情報をテキストで伝えるという手もあります。連絡先の人が本人との最後の時間を取れるよう、情報に不備がないかをしっかり確認してください。
泊まり込みの準備をする
危篤状態になってから臨終を迎えるまでの期間は、一般的に数時間から数日間といわれています。危篤状態が長く続く場合やいっときも離れず本人の側にいたい場合は、この期間に病院に泊まり込んで寄り添うこともあります。
病院に向かう際は泊まり込みで付き添いをすることになってもいいように、ある程度の準備をしておくと安心です。家族や親戚間で交代で泊まり込みをする場合は、連絡を取り合いながら担当する日程を決めておきましょう。
また、入院先の病院が自宅から離れている方は、先々のことまで考えてある程度まとまった荷物を持っておくと後々困りません。まだ早いかもしれませんが、念のため礼服なども用意しておくとよいでしょう。
職場に連絡をする
自分の家族が危篤になった場合、最後の時間を過ごしたり看取ったりするために仕事を休むことになります。その先の葬儀までを考慮すると、会社に勤めている方は長期間休みを取ることになるかもしれません。危篤の連絡を受けて病院へ駆けつけることになったら、すみやかに職場や上司に事情を説明し、休みをもらいましょう。その際、ある程度業務の引き継ぎを行っておくと、自分にも職場にも負担がかかりません。
家族や大切な人と過ごす時間が第一優先ではありますが、長期間職場に穴を開ける場合は、適宜連絡を取り合うように心がけてください。なお、葬儀で休みを取る場合は忌引が適用されますが、危篤で休みを取る場合は通常の休みとなるため注意が必要です。
また、看取りには行かず葬儀のみに参列する予定の場合は、危篤の知らせを受けた時点で職場に忌引を取る可能性があることを伝えておくとよいでしょう。
依頼する葬儀社やお寺に目処をつけておく
大切な方が危篤になって落ち込んでいるかもしれませんが、亡くなってからは非常に慌ただしくなることが予想されるため、少しでも余裕がある方はこのタイミングで葬儀社やお寺の目処をつけておくことをおすすめします。
すでに依頼先が決まっている場合やお世話になっている葬儀社・お寺がある場合は、早めに連絡をしておいても問題ありません。本人が元気なときに葬儀の希望を決めていたり、エンディングノートを用意していたりした場合は、その意向に沿う形にしましょう。
ただし、本人の病床の近くでその先の話をするのはタブーです。意思疎通が図りにくい状態であっても耳からの情報を得られている場合があるうえ、まだ本人が存命のうちにそのような話をするのは縁起が悪いことが理由です。
現金を用意する
死亡診断書の受け取り・葬儀費用・参列者対応やお布施など、亡くなったあとは何かとお金がかかることが予想されます。現金以外の支払い方法を選べることもありますが、お布施などは現金で包む必要があるため、あらかじめある程度まとまった金額の現金を用意しておくと安心です。
また、本人から葬儀費用を自分の口座から使ってほしいと頼まれている場合や、本人名義の口座を家族で使っている場合などは、ご存命のうちに現金を引き出しておきましょう。亡くなった直後は手続きを踏むまで本人名義の口座から現金を下ろせないため注意が必要です。
危篤になった人と面会するときは?
危篤になった人と面会の時間を持つときは、さまざまなことに気を配る必要があります。忌み言葉を使ったりマイナスな話をしたりしないなどのマナーを守り、適切な言葉を選んで想いを伝えることが大切です。また、一緒に病院にいる家族・親族への配慮や心遣いの気持ちも忘れないようにしましょう。
これまでの感謝の気持ちを伝える
人と面会をするときは、これまでの感謝の気持ちをしっかりと言葉にして伝えましょう。2人での思い出話をしたり別れを惜しむ気持ちを伝えたりして、最後に言い残したことがないようにすると心の整理がつきやすくなります。
本人の病状が悪化してすでに意思疎通が計れない状態や会話ができない状態であっても、あなたなりの想いを伝えることが大切です。応答ができないだけで、耳は聞こえていて言葉を受け取ってくれている可能性があります。
また、面会する際の服装にはとくに決まりはないため、身なりを整えることよりも早く駆けつけることのほうが重要です。お見舞いの品を用意する必要もありません。
本人や親族に配慮する
危篤というデリケートな状態の時期に面会をするにあたって、いくつか気をつけておきたいポイントがあります。いざ本人を目の前にすると気が動転してしまう方もいるかもしれませんが、以下のマナーを守って本人やその家族に失礼のないようにしましょう。
<面会をするときのマナー>
- 本人を否定するような言葉やネガティブな言葉をかけない
- 本人にプレッシャーを与えるような言葉を選ばない
- 本人の死を匂わせるような言葉を使わない
- 本人の死後の話をしない
- 忌み言葉や重ね言葉を使用しない
また、病室に付き添っている家族や親族にも配慮の心を持ち、やさしい言葉をかけてあげられるとよいでしょう。
臨終を迎えるときの流れ
危篤の末に臨終を迎え、息を引き取ったら、医師によって死亡の確認と診断が下されます。日本では、医師による死亡確認が行われた時点で亡くなったと定義されるため、家族が勝手に死亡を判断することはできません。病院で臨終を迎えた場合は医師の書いた「死亡診断書」を受け取り、ご遺体は霊安室に移動して一時的に安置します。
自宅で臨終を迎えた場合は、病院で臨終を迎えたときと対応方法が異なります。もし日頃からお世話になっているかかりつけ医がいてすぐに自宅へ呼べる場合は、連絡して自宅で死亡確認を行ってもらいましょう。そうでない場合は救急ではなく警察を呼び、事件性のある死亡ではないか判断するために簡単な検視を行います。とくに不審な点がなかった場合は「死体検案書」を受け取り、ご遺体の搬送や安置に移ります。
もし自宅で臨終を迎えた場合は、事件性が疑われないよう警察による検視が完了するまでは本人の体を動かしてはいけません。救急隊員であっても体に触れることができないため、注意が必要です。
以下の記事では臨終についてより詳細に解説しているので、確認してみてください。
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臨終を迎えたあとに行うこと
ここからは、身内や近親者が臨終を迎えたあとに行うことや手続きの流れなどを簡単に解説します。大切な人を亡くした直後は深い悲しみのなかにあるかもしれませんが、葬儀の準備を進めるためにも、スムーズに対応できるよう備えておきましょう。
また、以下の記事では、葬儀社の選び方について詳しく解説しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
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事務手続き
医師や警察によって死亡が確認されたら、受け取った「死亡診断書」や「死体検案書」をもとに「死亡届」と「埋火葬許可申請書」を作成して役所に提出します。
死亡届は、亡くなってから7日以内に提出することが義務付けられた書類です。「埋火葬許可申請書」の期限も同じく7日以内ですが、こちらは葬儀で火葬を行う際に必要な書類であるため、できるだけすぐに申請するようにしましょう。急なお別れでバタバタしている場合は、葬儀社に依頼して申請を手伝ってもらうことも可能です。また、同時に親族や生前親しかった人に向けて訃報の連絡を伝えることも忘れないでください。
なお、弊社では埋葬許可申請書の手続きをプラン料金内で代行いたしますので、ぜひお気軽にお任せください。
ご遺体の処置
病院で臨終を迎えた場合は、死亡の診断が行われたあとにご遺体を院内の霊安室に移送します。しかし、病院はご遺体を安置する場所ではないため、すぐにご遺体を安置する場所を手配して移送する必要があります。
自宅で臨終を迎えた場合はそのまま自宅にご遺体を安置することがほとんどですが、この場合もご遺体の腐敗や劣化が進まないよう然るべき処置を行います。
以下の記事では、ご遺体の処置についてさらに詳しく解説しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
危篤(臨終)のときにやるべきことを把握してお見送りの準備をしよう
危篤の知らせを受けてから臨終を迎えるまでの間には、本人に寄り添いながら同時にさまざまな対応を行う必要があります。突然のことで心の整理がつかない方もいるかもしれませんが、大切な方にこれまでの感謝の思いを伝え、気持ちよくお見送りの準備をしましょう。
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