近年、少人数で静かに故人を見送る家族葬が一般的になりつつあります。しかし、「家族」と名前が付いている以上、「家族葬に友人は参列していいのか?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
今回は、家族葬に友人が参列できるケースや参列する際の注意点、参列できなかった場合の対応方法などをわかりやすく解説します。故人や遺族への配慮を忘れず、友人としてふさわしい対応を心がけましょう。
この記事を要約すると
- 家族葬は基本的には故人の家族や親族のみが参列する葬儀形式ですが、遺族から直々に招待された場合は友人として参列できます。葬儀の案内がなかった場合は、参列は控えてほしいととらえるのが自然です。
- 家族葬に友人を招く場合は、事前にほかの親族の合意を得ておくことが大切です。葬儀案内を伝える際は、香典の対応状況やほかの人に情報を広めないようお願いする旨もあわせて明示しましょう。
- 家族葬に友人として招かれた場合は、家族葬の意義を理解したうえで適切な行動を心がけることが大切です。招かれなかった場合は、参列以外の方法で遺族にお悔やみとお気持ちの気持ちを伝えましょう。
家族葬とは?
家族葬とは、家族やごく近しい親族のみで行う小規模な葬儀形式です。故人とのお別れの時間を落ち着いた雰囲気で過ごせる点が魅力で、近年では一般葬よりも選ばれるケースが増えています。
家族葬の参列者は、家族のみとは限りません。一般的には三親等以内の家族・親族が参列しますが、生前親しくしていた友人も招かれる場合があります。ただし、参列の可否は遺族の意向に従うのが原則で、葬儀の案内がなければ参列を控えるのがマナーです。
一般葬 | 家族葬 | |
---|---|---|
参列者の人数 | 50人以上 | 10〜30人程度 |
参列者の範囲 | 家族・知人・近所の人・仕事関係者など | 3親等以内の親族や親しい友人など |
葬儀費用 | 100〜200万円程度 | 30〜100万円程度 |
葬儀準備・当日の対応 | 準備するものが多く忙しい | 比較的ゆっくり対応できる |
香典の対応 | 基本的に受け取る | 遺族の意志によって辞退するケースもある |
なお、一般葬と家族葬の違いについては、以下の記事で詳しく解説しているので参考にされてください。
家族葬に友人は参列できる?
家族葬に友人が参列できるかどうかは、遺族の意向に大きく左右されます。
遺族の意向に従うのがマナー
家族葬は家族や親族のみで静かに葬儀を行いたいという遺族の希望によって選択されることが多いため、故人と親しい友人であっても参列しないケースが一般的です。参列を希望する場合でも、遺族に無理にお願いはせず、あくまで遺族の判断に委ねましょう。
ただし、特別に深い付き合いがあり、事前に遺族の了承があるときは、家族葬への参列が認められることもあります。
訃報を聞いた際に判断するのが基本
家族葬に参列できるかどうかは、訃報を受けた際の内容で判断します。遺族からの訃報に「家族葬で執り行います」などの文言があり、とくに葬儀への参列案内がなければ、原則として参列は控えるのがマナーです。一方、訃報を受けた際に葬儀案内や葬儀情報も伝えられた場合は、参列してもかまいません。
また、場合によっては、葬儀を執り行った後に葬儀報告とともに訃報が伝えられるケースもあります。
故人の友人への訃報の伝え方
故人の友人や家族ぐるみの付き合いがあった相手への訃報の伝え方は、葬儀に参列を依頼するかどうかで異なります。
参列を依頼する場合
友人に家族葬への参列を依頼する場合は、訃報を伝える際に葬儀の詳細もあわせて明記し、丁寧に参列をお願いしましょう。さらに、香典や供物の対応状況もあらかじめ伝えておくとスムーズです。
参列を依頼する場合の例文
◯◯様
突然のご連絡失礼いたします ◯◯の息子の◯◯です
◯月◯日に 父◯◯が永眠いたしました
つきましては ◯月◯日◯時より 家族葬にて葬儀を執り行います
小規模な形式ではありますが ご生前に親しくしていただいたご縁から ぜひご参列賜れれば幸いです
なお ご厚志の儀は 謹んでご辞退申し上げます
通夜:◯月◯日 午後◯時〜
告別式:◯月◯日 午前◯時~
会場:◯◯斎場(住所・電話番号)
形式:仏式
喪主:◯◯(故人との属柄・電話番号)
参列をお断りする場合
友人の参列をお断りする場合は、葬儀情報を伏せて訃報を伝えるか、葬儀後に葬儀を終えた報告と共に訃報を伝えるかのどちらかを選択してください。葬儀後に伝える場合は、親族のみで葬儀を執り行ったことの報告と、生前のお付き合いへの感謝の気持ちを忘れずに伝えましょう。
葬儀後に報告する場合の例文
◯◯様
突然のご連絡失礼いたします ◯◯の息子の◯◯です
◯月◯日に 父◯◯が永眠いたしました
葬儀は本人の意志を尊重し すでに近親者のみで滞りなく執り行いましたこと 何卒ご理解いただければと存じます
ご厚志 ご弔問の儀は 誠に恐縮ではございますが 謹んでご辞退申し上げます
◯◯の生前のひとかたならぬご厚情に深く感謝申し上げ 略儀ながらご報告申し上げます
今後とも変わらぬお付き合いのほど よろしくお願い申し上げます
なお、以下の記事でも家族葬の事後報告について詳しく解説しているため、併せてチェックしてみてください。
家族葬に友人を招くときの注意点
友人を家族葬に招く際は、遺族との関係性や葬儀の方針に配慮した慎重な対応が求められます。
事前に親族の許可を得る
家族葬に友人を招く際は、あらかじめ親族の了承を得ることが大切です。家族葬は親族だけで静かに執り行うことを目的とするため、なかには友人の参列に抵抗を示す親族もいるかもしれません。
後々のトラブルを避けるためにも、事前に友人を招きたい意向を伝えておきましょう。親族全員が納得したうえで友人が参列すれば、葬儀の雰囲気を壊すことなく執り行えます。
葬儀案内と一緒に香典の対応も伝える
参列を依頼する場合は、案内文に香典の対応についても明記しておくと丁寧です。
辞退する場合は、「故人の遺志により、香典はご辞退申し上げます」といった一文を添えると相手に確実に伝わります。香典の対応を事前に伝えておくことで、相手も参列準備をしやすくなり、葬儀当日の混乱を避けることができます。
訃報や葬儀情報を漏らさないようにお願いする
家族葬に招いた友人には、訃報や葬儀情報をほかの人に漏らさないよう必ずお願いしましょう。参列をお断りした人や訃報を伝えていない人にまで葬儀情報が広まると、さまざまな混乱やトラブルを招いてしまう可能性があります。
遺族からの信頼の元で参列を依頼された意味を理解し、故人と静かにお別れしたいという遺族の意向を尊重した行動を心がけることが大切です。
友人の家族葬に参列を依頼された場合のマナー
友人の家族葬に参列する際は、遺族が家族葬を選択した趣旨を理解し、故人や遺族へ配慮した行動を心がけましょう。
香典は遺族の対応状況に合わせる
家族葬では遺族が香典の受け取りを辞退するケースも多いため、事前に香典の対応可否を確認しましょう。辞退の旨が伝えられている場合は無理に渡さず、別の形でお見舞いの気持ちを伝えるのがマナーです。
香典を受け付けている場合は、葬儀に香典を持参しましょう。友人関係であれば、3,000円〜5,000円程度を包むのが一般的です。
なお、香典袋の書き方や包み方にはさまざまなマナーがあります。以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
参列することをほかの人に広めない
家族葬は限られた参列者のみで静かに行う葬儀です。遺族に参列を依頼された場合は、ほかの人に訃報や葬儀情報を広めることは避けましょう。情報が第三者に広まると、参列できなかったほかの人が気を悪くしたり、参列可否をめぐってトラブルに発展したりすることも考えられます。
遺族から信頼されて参列をお願いされた経緯を理解し、家族葬の趣旨を尊重した振る舞いをすることが大切です。
一般葬と同様に喪服を着用する
家族葬であっても、服装は一般葬と同様に準喪服を着用します。男性は黒のスーツに黒ネクタイ、女性は黒のワンピースやアンサンブルを身につけ、小物も黒の装飾が少ないものを選びましょう。
また、女性の場合、派手な髪型やメイクは避け、アクセサリーはパールを身につけるのがマナーです。葬儀の場にふさわしい装いを心がけ、故人や遺族に弔意を示しましょう。
以下の記事では、家族葬に参列する際の服装のマナーや持ち物についてより詳しく解説しています。ぜひ、あわせてチェックしてください。
適切なお悔やみの言葉をかける
家族葬に参列する際は、遺族へ挨拶する際や香典を手渡す際にお悔やみの言葉をかけるシーンがあります。遺族へお悔やみを伝えるときは、「このたびはご愁傷さまでした」「心よりお悔やみ申し上げます」などと手短かつ丁寧に気持ちを示すのがポイントです。
「お元気そうだったのに」「信じられない」といった心ない表現は、遺族の心を乱す可能性があるため避けましょう。また、「浮かばれない」や「たびたび」などの忌み言葉・重ね言葉も葬儀の場では不適切です。マナーを守り、遺族の気持ちに寄り添った言葉選びを心がけてください。
なお、葬儀に参列する際のマナーについては以下の記事で解説していますので、失礼のないように予習しておくとよいでしょう。
会食への参加は遺族の意向に従う
家族葬に参列した際は、通夜振る舞いや精進落としといった会食の席にも友人が招かれる場合があります。ただし、招待されたとしても、長居は避けて適切なタイミングで退席するのがマナーです。会食の席で遺族と会話する機会があったら、故人との思い出話や生前の付き合いへの感謝を伝えましょう。
なお、このような会食への参加可否は遺族の意向によるため、自分から参加を申し出ることは控えてください。
葬儀後の法事にも招かれたら参列する
家族葬の後に行われる四十九日法要や納骨法要などの儀式にも、友人が招かれることがあります。このような法事や法要に関しても、遺族から正式に案内があった場合のみ参列しましょう。
法事や法要は、故人を偲ぶ大切な節目です。参列を依頼された場合は、服装・持ち物・所作などのマナーを守り、追悼の気持ちを込めて参列することが求められます。
友人の家族葬に招かれなかった場合の対応方法
家族葬に招かれなかった場合でも、遺族や故人に配慮した丁寧な対応を心がけることが大切です。
葬儀について無理に詮索しない
家族葬は、故人や遺族の意向で参列者を近親者に限定しています。葬儀の案内がなかったということは、参列を控えてほしいという意思表示と受け取りましょう。
無理に葬儀の詳細を聞き出したり、参列できなかったことを責めたりするのは好ましい対応とはいえません。遺族の気持ちを尊重し、ほかの形でお悔やみやお見舞いの気持ちを伝えましょう。
適切な方法でお悔やみの言葉を伝える
家族葬に参列できなかった場合でも、お悔やみの気持ちを丁寧に伝えることが重要です。電話やメールで「ご愁傷さまです」「ご冥福をお祈りします」といった言葉を添えて送るだけでも、遺族に気持ちが伝わります。
ただし、電話はタイミングによっては遺族の負担になるため、特別親しい間柄でない以上は避けるのが無難です。お悔やみを伝える際は、手短にかつ誠意をもって対応しましょう。
後日弔問の際は遺族に許可を取る
葬儀に参列できなかった場合、後日遺族の自宅へ弔問に伺うことも可能ですが、その際は必ず事前に遺族の了承を得ましょう。連絡なしに突然訪問すると、遺族に大きな負担をかけてしまう可能性があります。
弔問を希望する場合は、無理のない日程かどうかを確認したうえで、短時間で済ませることが大切です。香典や供物などのお見舞いの品は、遺族が辞退していないかつ気を遣わせない範囲内であれば、用意して行ってもかまいません。
遺族が香典や供物を辞退していない場合は送ってもかまわない
家族葬に参列できなかったときでも、遺族が香典や供物の受け取りを辞退していない場合は、後日郵送や持参などの方法で送ることができます。香典を送る場合は、現金書留で手紙を添えると丁寧な気持ちが伝わります。供物については、故人が好きだったお花や果物、お菓子などを選ぶとよいでしょう。
ただし、ものによっては遺族が取り扱いに困る可能性もあるため、事前に確認しておくとスマートです。
友人として遺族の心のサポートを
大切な家族と突然のお別れをした遺族は、大きな心の負担を抱えています。そんなとき、故人と仲のよかった友人として、遺族への気遣いや心のサポートができるかもしれません。
ただし、忌明けまでは頻繁な連絡や訪問は控え、落ち着いたタイミングを待ってから声をかけるのが適切です。「何かあったら話を聞きますよ」などと無理のない距離感で寄り添うことで、さりげなく遺族の心を支えることができます。遺族をそっと見守りつつ、必要なときには支えてあげましょう。
家族葬への参列は遺族の判断に従いましょう
家族葬に友人が参列できるかどうかは、遺族の意向次第です。家族葬はあくまで故人を静かに見送る場であることを理解し、参列の案内があった場合もマナーを守った適切な行動を心がけましょう。
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