自分の親が亡くなったとき、「嫁いだ娘は葬儀費用を出すべきなのか?」と悩む方は少なくありません。日本では、配偶者の家に嫁いだ場合は別世帯となりますが、親との関係性や家族構成によっては費用の一部を負担することもあります。
今回は、葬儀費用の支払いに関する基本や遺族で葬儀費用を分担する方法、親の葬儀に参列する際の香典のマナーについて解説します。いざというときに家族間でトラブルにならないよう、葬儀費用の支払い方についてよく知っておきましょう。
この記事を要約すると
- 親の葬儀費用は、親の遺産から支払うのが基本です。ただし、十分な遺産が残らなかった場合、配偶者や子どもをはじめとした遺族が支払うケースもあります。
- 配偶者の家に嫁いだ娘は実家と別世帯になりますが、家族構成や実親との関係性によっては葬儀費用を負担する可能性があります。
- 葬儀費用の支払いを遺族間で分担する場合、「誰がどの割合で負担するのか」でトラブルを招くおそれがあります。相続割合や収入状況に応じて負担額を決定するなど、事前によく話し合っておくことが大切です。
親の葬儀費用は誰が支払う?
日本では、葬儀費用を誰が負担すべきかについて明確な法律上の決まりはありませんが、親の葬儀を執り行う場合は親の遺産から支払うのが一般的です。しかし、さまざまな事情によって遺産が少なく、葬儀費用をまかなえないというケースも珍しくありません。この場合は、残された遺族が葬儀費用を負担することになります。
葬儀費用は高額なため、あらかじめ誰が支払う予定なのかを明確にしておくと安心です。遺族間でのトラブルを避けるためにも、親本人が遺言書やエンディングノートに明記したり、事前に家族で話し合いをしたりして準備を進めておきましょう。
葬儀費用の相場
葬儀費用の相場は、葬儀の形式によって大きく異なります。最も葬儀費用が高いのは数多くの参列者を招く一般葬で、100~200万円程度が相場です。近年主流となっている家族葬は、参列者を遺族や親しい相手だけに限定することで、一般葬よりも費用が安く抑えることができます。
参列者数や葬儀内容によっては想定以上に費用が膨らむケースもあるため、葬儀費用を支払う人の経済状況に応じた判断が求められます。
葬儀形式 | 費用相場 |
---|---|
一般葬 | 100~200万円程度 |
家族葬 | 30~100万円程度 |
1日葬 | 30~50万円程度 |
直葬 | 20~50万円程度 |
葬儀費用を準備する際のリスク
日本では、死亡が確認されてから遺産相続が完了するまでの間、亡くなった人の預貯金口座が一時的に凍結されます。これは相続トラブルを防ぐための措置であり、遺族であっても故人名義の口座からお金をおろすことができません。
葬儀費用を親の口座預金からまかなうつもりでいた場合、すぐに預金を引き出せない可能性があることをあらかじめ認識しておきましょう。
親が費用を支払わない場合は遺族が負担する
親の遺産が少なく、葬儀費用を捻出できない場合は、遺族の誰かが葬儀費用を負担する必要があります。遺族が葬儀費用を支払う場合は、事前に家族間で話し合って支払う人を決めておくとスムーズです。
以下の記事でも葬儀費用を誰が負担すべきかについて詳しく解説していますので、併せてチェックしてみてください。
喪主や施主が費用をすべて負担する
葬儀では、喪主が遺族の代表として葬儀社との打ち合わせや費用管理などの役割を担います。故人の配偶者や故人と同居していた子どもが喪主を務める場合は、葬儀費用の支払いも喪主が負担するケースが珍しくありません。
また、喪主とは別に葬儀費用やお布施の支払いを担当する人を立てる場合、その人を「施主」と呼びます。喪主は葬儀準備において大きな負担がかかるため、喪主と施主で負担を分担する方法もあります。
遺族で葬儀費用を出し合う
葬儀費用は誰か1人が代表して支払うほかに、遺族全体で費用を分担することも可能です。費用負担の優先順位は、一般的に「配偶者→子ども→その他の遺族」の順とされています。たとえば、親の配偶者が高齢で収入がないときは、実子たちが費用を出し合うケースがあります。
ただし、複数人で葬儀費用を負担する場合、負担額の割合や誰が負担するかなどでトラブルに発展しやすいのが難点です。故人を気持ちよく送り出すためにも、納得できる分担方法を決めましょう。
嫁いだ娘も親の葬儀代を支払う場合がある
配偶者の家に嫁いだ娘も、実親の葬儀費用を負担することがあります。結婚して別世帯になったとしても、親との関係性や立場によっては喪主や葬儀費用の支払いを担当するケースがあることを認識しておきましょう。
兄弟姉妹のなかで経済的に最も安定している場合や、自分のほかに親の世話をしていた人がいない場合など、自然な流れで費用を負担することも考えられます。別の家に嫁いだから支払わなくてよいと考えるのではなく、状況に応じて柔軟に対応しましょう。
相続割合に応じて葬儀費用を分配する
葬儀費用を分担する方法の1つに、法定相続割合に基づく分配があります。この分配方法は、相続人それぞれが受け取る予定の遺産の割合に応じて費用を負担するため、非常に合理的といえます。相続人同士の間で収入に大きな差がない場合や、家族間で関係の断絶が起こっていない場合に適した方法です。
相続割合に応じた分配の一例(葬儀費用100万円の場合)
相続人 | 相続割合 | 費用負担額 |
---|---|---|
長男 | 50% | 50万円 |
次男 | 25% | 25万円 |
長女(嫁いだ娘) | 25% | 25万円 |
収入に応じて葬儀費用を分配する
相続割合ではなく、遺族それぞれの収入状況に応じて葬儀費用を分担する方法もあります。この分配方法では、経済力のある遺族が費用を多めに負担することで、負担額の割合を調整することができます。相続人同士の間で年齢や収入に大きな差がある場合は、話し合いによって負担額を変動させるのもひとつの手です。
収入に応じた分配の一例(葬儀費用100万円の場合)
続柄 | 年収 | 費用負担額 |
---|---|---|
長男 | 600万円 | 30万円 |
次男 | 1,000万円 | 50万円 |
長女(嫁いだ娘) | 350万円 | 25万円 |
親の葬儀代を支払う際に注意すべきポイント
葬儀費用の支払いをめぐるトラブルを避けるためには、事前の準備や家族間での認識の共有が非常に重要です。
相続割合を事前に把握しておく
葬儀費用を複数人の相続者や遺族で負担する場合は、法定相続割合を事前に把握することが重要です。自分の相続分がどの程度かを知っておけば、不公平な費用負担を避けやすくなります。
また、ほかの兄弟姉妹よりも多く葬儀費用を出した場合は、遺産分割協議の際に調整できるかもしれません。あらかじめ相続情報を整理しておき、不要な遺族間トラブルを防ぎましょう。
嫁ぎ先や家族と十分に話し合う
嫁いだ娘が実親の葬儀費用に関わる場合は、実家だけでなく、世帯を共にしている嫁ぎ先の家族ともしっかりと話し合う必要があります。双方の家族との関係性に配慮しながら、トラブルにならないように立ち回ることが求められます。
また、亡くなった後にスムーズに葬儀費用の準備ができるよう、実家側の家族や兄弟姉妹ともコミュニケーションを取っておくことが重要です。生前のうちから話し合いを進め、葬儀の役割分担や費用負担の割合に関する合意を得ておきましょう。
遺産相続の際に葬儀費用を控除する
葬儀費用の支払いは、相続税を計算する際に控除の対象となります。費用を負担する場合は、領収書などの記録を確実に保管しましょう。なお、控除の対象となるものは葬儀一式費用とお布施の支払いなどに限り、会食や返礼品にかかる費用は対象外です。
控除の対象となるもの
- 葬儀一式の費用(式場利用料・葬祭用品代など)
- 火葬・埋葬費用
- 僧侶へのお布施
控除の対象外となるもの
- 通夜振る舞い・お斎などの会食費用
- 香典返し
- 葬儀後の法要の費用
香典は葬儀費用を支払った人で分配する
葬儀の際に参列者からいただいた香典は、喪主が代表して受け取ります。ただし、親の遺産で葬儀費用を支払わなかった場合は、葬儀費用を負担した人が受け取るのが自然です。兄弟姉妹などの複数人で葬儀費用を負担した場合は、その割合に応じて分配しましょう。
葬儀費用の負担割合を決めるタイミングで香典の分配方法も話し合っておけば、後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
親の葬儀代を支払いたくない場合の対応方法
経済的な理由や家庭の状況など、さまざまな事情によって親の葬儀費用を支払えない、または支払いたくない方もいるのではないでしょうか。そのような場合は、トラブルを避けるためにも誠実に対応することが大切です。
支払いたくない意向を正直に伝える
経済的に余裕がない・家族を養っていて支出が厳しいなど、葬儀費用の負担が難しい理由がある場合は、家族に正直に伝えましょう。
無理に支払おうとしてさらに経済状況を悪化させると、かえって家族間の不満やトラブルの火種になる可能性があります。感情的にならず、事実を丁寧に説明すれば、ほかの家族も理解を示してくれるでしょう。
費用面以外で家族をサポートする
金銭的な問題で葬儀費用の負担が難しい場合でも、ほかの形で家族を支えることはできます。たとえば、葬儀の準備作業・親戚への訃報の連絡・当日の受付対応などを率先して行うことで、ほかの家族の負担を減らすことができるでしょう。葬儀費用を負担しないからこそ、できる範囲で葬儀準備や運営に協力する姿勢が大切です。
嫁いだ娘は親の葬儀で香典を包む?
嫁いだ娘が実親の葬儀に参列する際の香典の対応は、葬儀費用を負担しているかどうかによって異なります。自身が葬儀費用を負担している場合や喪主の場合は、香典を包む必要はありません。一方で、葬儀費用を支払わない場合や自身が喪主ではない場合は、ほかの参列者と同様に香典を用意するのがマナーです。
ただし、遺族側が香典を辞退している場合は、本来包むべき状況であっても、香典を包まなくて問題ありません。対応方法に不安がある方は、親族間で事前に確認しておくと安心です。
親の葬儀の香典の相場
親の葬儀に包む香典の金額は、自身の年齢や地域の風習、夫婦で参列するかどうかによって異なります。一般的には、30代以下なら3万〜5万円、40〜50代なら5万〜10万円を包むのが目安とされています。
また、夫婦で葬儀に参列する際は1人あたりの金額を倍にする必要はなく、同じように3万円〜10万円程度の包み方で問題ありません。あまりに高額すぎるとほかの親族と差が出てしまうため、相場の範囲内に収めるのがマナーです。
親の葬儀の香典袋の書き方
香典袋の書き方も、参列する人数や立場によって異なります。一人で葬儀に参列する場合は、水引の下にフルネームを縦書きで記します。夫婦で参列する場合や家族複数人で参列する場合は、世帯主のフルネームを書いて妻や子供の名前は左側に添えるか、中袋や別紙に記すのが一般的です。
また、署名のほかにも表書きや中袋の書き方など、香典袋にはさまざまなマナーがあります。間違いのないよう、ぜひ以下の記事を参考にしてみてください。
嫁ぎ先の義両親が亡くなったときの香典の包み方
配偶者の家庭に嫁いだ場合は、義両親の葬儀にも参列する必要があります。香典を包む際は、実の親と同様の金額を包むのがマナーです。香典袋の書き方も、実親の葬儀の場合と変わりません。義実家との関係性を良好に保つためにも、香典の金額や包み方に失礼がないようにしましょう。
親の葬儀費用を支払う人は家族で話し合って決めましょう
親の葬儀費用は親の遺産から支払うのが一般的ですが、状況によっては配偶者や子どもら遺族が支払うケースもあります。配偶者の家庭に嫁いだ娘であっても、実親の葬儀費用を支払う可能性があることを認識しておきましょう。また、親の葬儀を通じて家族関係が悪化しないよう、葬儀費用を誰が支払うのかを生前に話し合っておくとスムーズです。
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