供花は、故人の冥福を祈り、故人の友人や知人が喪主に送る大切なものです。しかし、近年は、親族だけでお見送りをする家族葬が増えており、参列者からの供花を辞退するケースが増えています。親族の供花だけを受け取ることや、代わりに喪主自身が準備することもあるでしょう。
本記事では、家族葬における供花の種類や費用、手配の方法や適切なタイミング、守るべきマナーについて解説します。さらに、参列者からの供花を辞退しても失礼にあたらないのか、いただいた供花へのお礼の仕方についても紹介しています。ぜひ参考にしてください。
この記事を要約すると
- 供花は、故人と親交のあった遺族や友人が送る花のことで、菊や胡蝶蘭が用いられます。葬儀場の祭壇の両側や入り口に飾られます。
- 供花は、通夜の前日〜当日の午前中には届くように依頼します。花屋やインターネットでも注文できますが、葬儀会場の雰囲気や宗派などを把握している葬儀社に依頼するとスムーズです。
- 供花は辞退しても失礼ではありませんが、訃報の連絡をするときなどに早めに辞退する旨を伝えておきましょう。供花をいただいたら、礼状や返礼品を準備して、四十九日の忌明けに渡します。
供花(くげ)とは?
供花とは、故人の遺族や親交のあった友人、知人が故人を偲ぶために、喪主に対して送る花のことで、葬儀会場の祭壇の両脇や会場の入り口などに飾られるお供物のひとつです。宗教によって供花の形や選ばれる花の種類も異なります。
供花の意味・役割
供花は、故人の追悼の意味を表し、感謝や尊敬の気持ちが込められています。また悲しみに暮れる葬儀のなかで、遺族や参列者の心を慰め和ませる意味もあります。個人で送ることもあれば、会社や団体など連名で送ることもあります。
供花に選ばれる花は、日本の国花である菊をはじめとして、百合や胡蝶蘭、カーネーションなどです。和花も洋花もありますが、バラバラな印象にならないように統一感を考えて作られます。
白い菊には「ご冥福をお祈りします」という意味があり、百合には「純粋」という花言葉があるため、清らかに見送る気持ちを表すのに選ばれます。
胡蝶蘭には「純粋な愛」、カーネーションには「感謝」、オンシジウムには「気立てのよさ」「可憐」といった意味があります。宗教によって選ばれる花の種類や色が異なりますが、故人の人柄に合わせて選ぶこともあります。
家族葬での供花の位置づけ
一般葬では、参列できない方が「せめてお花だけでも送りたい」と供花を送ることもあります。しかし、家族葬の場合は、参列していない方からの供花を受け付けていないケースがほとんどです。
これは、故人の「人にあまり負担をかけたくない」という意向や、遺族の「しめやかに見送りたい」という思いから家族葬が選ばれるためです。
家族葬は葬儀の規模が小さく、参列者も親族に限られる傾向があるため、兄弟や遺族の連名で供花を手配することが多く、喪主が取りまとめて葬儀社に依頼する場合もあります。
供花を希望する場合は、まず喪主に確認するのが安心です。喪主側も辞退する際には、あらかじめ丁寧に連絡するなどマナーを守れば、トラブルを防ぐことができます。
遺族や親しい関係性の家族だけで行われる家族葬だからこそ、供花においても故人が好きだった花を選ぶなど、故人や遺族の希望を反映させたその人らしい葬儀にするのもよいでしょう。
家族葬で送る供花の種類
供花にもいくつか種類があり、祭壇の横に並ぶスタンド型の供花や、輪の形をした花輪や故人の枕元に飾る枕花などがあります。サイズや飾る場所、送るタイミングや使われる花の種類などは、宗教によって異なるため、手配するときは必ず確認しましょう。
供花
一般的に供花というと、祭壇の両側に並べるスタンド型の花のことを指します。菊や百合、胡蝶蘭やカーネーションなどを用いて、白色をメインに淡い黄色、紫色、ピンク色などでまとめます。
バラのように棘のある花や、椿のように落ちやすい花、朝顔のようにツルのある花は使われません。枯れやすい花や匂いの強い花も避けられます。
供花は、2基1対で準備されますが、会場のスペースや費用面を考えて1基で送られるケースも増えています。祭壇に組み込むこともあり、全体の統一感が損なわれないように葬儀社で考えられて準備されることも一般的です。
花輪
生花や造花を輪の形に組んだものを花輪といい、複数の方の連名や会社、団体名義で送られることが一般的です。花輪は、関東でよく用いられます。
サイズが大きく、葬儀会場の入り口など屋外に飾られます。家族葬では、会場の規模から花輪を飾ることができないという理由で、あらかじめ辞退する傾向があります。キリスト教で葬儀を行う場合は、花輪を飾ることはできません。
枕花
故人が亡くなってから、故人の枕元に飾る花を枕花といいます。そのため、葬儀会場に飾る供花と異なり、故人が亡くなるとすぐに用意する必要があります。
ご遺体の側に飾るので、大きすぎる花や派手な花は避けましょう。葬儀が終わるまで飾るため、フラワーアレンジメントなどで、長く飾れるものを準備するのが一般的です。
献花
献花は、キリスト教や無宗教で葬儀を行う場合に送られる花です。御霊前や御神前に備えるもので、仏式の葬儀のおけるお焼香のような位置付けです。
供花は、故人のご冥福をお祈りして送られますが、献花はお別れを告げるという意味が込められています。献花においては、参列者は持参せず、葬儀を執り行う喪主や遺族が準備するものです。
花の色は白色が基本で、菊や百合、胡蝶蘭などを用います。ただし、キリスト教の場合、仏教的な花と認識される菊は使用せず、百合やカーネーションなどを使用します。
家族葬で供花を送る方法・マナー
実際に供花を準備する際は、宛名や札名の書き方に注意が必要です。あわせて、手配の方法や気をつけるべき点、葬儀場に届ける適切なタイミングを理解しておけば、失礼なくスムーズに手配でき、葬儀にふさわしい花を添えることができるでしょう。
宛先・札名の書き方
供花は、故人ではなく喪主宛に送ります。宛名は、喪主の名前か、「〇〇家の遺族様」としましょう。
また、供花には、誰から送ったかわかるように芳名名札(ほうめいなふだ)という立札をつけます。
1人で送る場合は、個人名を記載します。連名の場合は、地位の高い人から順に名前を書きます。2〜3人の場合は、個人の名前を書くこともできますが、それ以上の人数になる場合は、「〇〇一同」など故人との関係性を表す書き方が一般的です。
会社から送る場合は、会社名を略さずに書きましょう。代表者の名前と役職を書くか、社員一同と記載します。
複数の人から送る場合の書き方は、以下を参考にしてください。
- 兄弟一同
- 子一同
- 〇〇家一同
- 親戚一同
- 友人一同
- 社員一同
供花を手配するタイミング
家族葬で供花を手配する場合、通夜が行われる日の午前中までに届くようにします。到着が遅くなる場合でも、通夜の開始3時間前には届くように準備しておきましょう。
葬儀会場の都合もあるため、生花店などで依頼する場合は、事前に受け取れる時間帯を葬儀社に確認しておいてください。通夜を行わない1日葬の場合でも、葬儀が始まる前には届いて設置できるように手配します。
ただし、早ければいいというものでもありません。遺族や参列者が送る場合は特に、早く届きすぎると亡くなる前から事前に用意していたような印象になってしまいます。花の見た目が悪くなってしまうこともあるので、やはり葬儀の前日〜当日に届けるようにしましょう。
供花の手配方法
供花を準備する方法は、以下の通りです。
- 生花店に依頼する
- インターネットで注文する
- 葬儀社に依頼する
最近では、インターネットや花屋を通じて手配することもできます。手配する際は事前に、葬儀会場の規模や宗派を確認してから注文しましょう。
花屋の場合は、スタッフに相談に乗ってもらうと、イメージと大きく異なるリスクは下がります。インターネットの場合は、実物を確認できないので、どれくらいのサイズか注意しておく必要があります。葬儀会場までの配送を行っている業者や花屋に依頼するのが便利でしょう。
葬儀社を通じて手配すると、葬儀の規模や雰囲気、スケジュール、宗教や遺族の意向などを理解しているためスムーズです。なお、全体の雰囲気を損なわないよう、葬儀社や指定の花屋以外で手配した供花は受け取れない場合があるため、まずは葬儀社に相談しましょう。
家族葬でのお花代の相場
家族葬において供花の予算は、1〜3万円程度とされていますが、故人との関係性によっても異なります。供花の1基の相場は、7,500〜2万円程度ですが、季節によっても価格が変わることもあります。
2基にすると金額が2倍になりますが、相場よりもあまりにも高すぎると喪主や他の遺族を困惑させてしまいます。金額に迷う場合は、葬儀社に相談するとよいでしょう。
関係性 | 費用相場 |
---|---|
両親 | 3〜10万円 |
兄弟姉妹 | 3〜5万円 |
叔父・叔母 | 1〜3万円 |
知人・友人・仕事の関係者 | 5,000円〜1万円 |
家族葬における遺族の供花の考え方
供花は相手のご厚意によるものですから、「せっかくのお気持ちを断るのは申し訳ない」と感じる方も少なくありません。とはいえ、親族のみで営む家族葬に多くの供花が届くのは適切とはいえない場合もあります。ここでは、家族葬における供花の受け方や、辞退する際の考え方について解説します。
辞退しても失礼に当たらない
供花を辞退することは、失礼には当たりません。家族葬において供花は、参列者が出すものという考え方が一般的です。招かれてない方は送らないのがマナーと考える方も多いため、家族葬に参列されない友人や知人からはそもそも送られることは少ないでしょう。
参列者の親族からでも葬儀会場に飾るスペースがないといった事情もあります。「できるだけ気を遣わせなくない」「しめやかに送ってほしい」という故人の意向があれば、尊重して問題ありません。
辞退する場合は早めに連絡する
供花は辞退しても失礼には当たりませんが、先方がすでに手配した後に断るのは心苦しいものです。そのため、供花を受け付けない場合は、訃報の連絡や葬儀案内を送る際など、できるだけ早めに伝えるようにしましょう。
香典や弔電も辞退する場合は、供花とあわせて伝えるようにしましょう。案内状には「誠に勝手ながら 香典 弔電 供花 はご辞退申し上げます」と明記しておくと安心です。
また、供花は葬儀社を通じて手配されることもあるため、あらかじめ担当者にも辞退の意向を伝えておけば、問い合わせがあった際にもスムーズに対応してもらえます。
供花をいただいた際の対応
供花やお花代をいただいた場合、返礼品をお渡しすることもありますが、必ずしも必要という決まりはありません。供花はあくまでお供え物のひとつと考えられるため、返礼品を省略しても失礼にはあたりません。
特に、親族からいただいた場合や、会社・団体など複数名の連名でいただいた場合には、返礼品は用意せずお礼状のみを送ることもあります。対応は親族間の取り決めや地域の慣習によって異なるため、迷ったときは身近な親戚や葬儀社に相談すると安心です。
返礼品を用意するケース
返礼品の金額の相場は、供花の1/2〜1/3程度です。香典と供花の両方のお礼をするときは、併せた金額の1/2〜1/3と考えるとよいでしょう。
供花の返礼品は、お茶や菓子折りなどの消え物、タオルなどが一般的です。迷ったら、相手が好きなものを選べるギフトカタログにするのもおすすめです。
供花の返礼品には、「内のし」をかけましょう。のしの表書きは「志」と書き、水引は、黒白結びきりか黄白の結びきりを使用します。四十九日の忌明けの後、香典返しと一緒に渡しましょう。
礼状を送るケース
本来であればお礼は直接伝えるのが望ましいのですが、葬儀で忙しいなかでは、ハガキなど書面で送るのが一般的です。親しい間柄であればメールやSNSでお礼を伝えることもありますが、マナー違反と受け取られる場合もあるため、基本的にはハガキを用いるのが無難でしょう。
お礼状には「この度は心温まる供花を賜り 誠にありがとうございました 謹んでお受けし、霊前にお飾りいたしました」などと記します。選んでいただいた花の種類やお気持ちに触れる一言を添えると、より感謝の気持ちが伝わります。
家族葬を行うなら経験豊富な葬儀社に相談を
供花は、故人の冥福を祈り、葬儀に彩りを添える大切なものです。手配する際は、あらかじめ故人の宗派を確認し、全体の雰囲気に合う花を選ぶようにしましょう。花の種類やサイズの判断に迷うときは、葬儀社に依頼すればスムーズに手配できます。
また、供花だけでなく、葬儀の費用や規模、日程などについても、経験豊富な葬儀社に相談しながら準備を進めると安心です。
弊社では、価格を抑えたプランパックでの葬儀を全国に一律価格でご提供しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代に合わせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。