葬儀の基礎知識

日蓮宗の葬儀の特徴とマナー|通夜・告別式の流れも解説

日蓮宗の葬儀の特徴とマナー|通夜・告別式の流れも解説

日本で執り行われる葬儀の多くは仏教に基づいていますが、宗派ごとに儀式の意味や進め方、参列時の所作にはそれぞれの特徴があります。日蓮宗の葬儀もまた、独自の形式や考え方に基づいて執り行われるため、他の宗派と同じ感覚で臨むと戸惑う場面も出てくるかもしれません。

故人を丁寧に見送り、遺族や参列者に配慮あるふるまいをするには、宗派ごとの流れやマナーを理解しておくことが大切です。この記事では、日蓮宗の葬儀の基本的な考え方や式の流れ、参列時の注意点をわかりやすく解説します。

この記事を要約すると

  • 日蓮宗では「南無妙法蓮華経」の唱題を通じて成仏に至るとされ、読経や鳴り物を重視した力強い儀式が特徴。教義に基づいた所作一つひとつに意味がある。
  • 日蓮宗の葬儀の流れは多宗派とほぼ同じではあるものの、読経の回数や参列者も唱題すること、鳴り物の使用といった独自の特徴もある。
  • 日蓮宗の葬儀に参列する際は、焼香の所作や香典の表書き、数珠の扱いなど、宗派特有のマナーがある。
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日蓮宗の葬儀に対する考え方

日蓮宗は、鎌倉時代の僧・日蓮を開祖とする仏教の一派で「法華経(ほけきょう)」という経典をもっとも尊い教えとしています。その信仰のなかにあるのが「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」というお題目です。

これは「法華経の教えに従って生きます」という意味を持ち、日蓮聖人はこの七文字に仏の功徳すべてが込められていると説きました。こうした教えは、葬儀の場にも深く表れます。日蓮宗の葬儀は、単なる別れの儀式ではありません。

故人が仏の世界へと進むための大切な修行の場であり、その旅立ちを支えるために、お題目が繰り返し唱えられます。残された人々にとっても、法華経の教えを再確認し、自らの生き方を見つめ直す機械として位置づけられています。信仰と葬儀が強く結びついているのが日蓮宗の大きな特徴です。

日蓮宗の葬儀は読経の力強さと荘厳な鳴り物が特徴

日蓮宗の葬儀では、読経の力強さと鳴り物の響きが印象的です。葬儀では参列者も含めて全員で「南無妙法蓮華経」とお題目を唱える場面がありこれは個人の成仏を助ける宗教的な修行の一環とされています。

さらに、妙鉢(みょうはち)や木鉦(もくしょう)などの鳴り物がリズムを刻み、式全体を厳かな空気で包み込みます。こうした葬儀に参列する際は、ただ見守るのではなく、お題目を声に出して唱え、儀式に心を添える姿勢が大切です。

日蓮宗の葬儀における祭壇やお花の考え方

日蓮宗の祭壇は、白木の檀に本尊として「十界曼荼羅(じっかいまんだら)」や「三宝尊(さんぼうそん)」を祀るのが一般的です。左右に「鬼子母神(きしぼじん)」や「大黒天(だいこくてん)」を安置することもあります。

花の飾り方については宗派や寺院によって異なり、日蓮正宗など一部では「樒(しきみ)」のみで祭壇を整える形式がみられます。しきみは常緑で枯れにくく、永遠の命や清浄さを象徴する植物として古くから葬儀や墓所で用いられてきました。

ただし、日蓮宗全体で生花が禁じられているわけではなく、故人が好んだ花を添えるなど、家族の想いを反映した飾り方も行われています喪主としては、寺院の意向を確認しつつ柔軟に対応しましょう。

日蓮宗の葬儀の流れ

日蓮宗の葬儀では、宗派独自の考え方や祭壇の形式に加え、式全体の進行にも特徴があります。一般的な仏教葬儀と大きくは変わりませんが、所作や鳴り物、読経のタイミングなど、事前に知っておくと安心できることもあります。

ここでは、通夜・告別式・火葬のそれぞれの流れと、その中で意識したいポイントを解説します。

通夜|読経と鳴り物に合わせた所作が特徴

通夜は、故人がなくなられた日の夜、または翌夜に行われます。日蓮宗ではまず司会者の開始宣言があり、仏・法・僧に拝礼する「三宝礼」や、諸仏を招く「道場偈」お経を読み始める前の「開経偈」など、決まった流れに沿って進行します。

その後、法華経の一部を拝読する読経があり、参列者も「南無妙法蓮華経」と声をそろえて唱える場面があります。また、棺を扇で叩く「開棺」や、払子を振って引導文を読み上げる「引導」といった、独自の儀式も特徴的です。

こうした一つひとつの所作には、意味があり、故人を丁寧に見送るための大切な時間となります。

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告別式|焼香や合掌のタイミングが大切な場面

告別式は、通夜の翌日午前に執り行われるのが一般的で、遺族や参列者が一堂に集い、最後の別れを告げる儀式です。開式後は、読経や唱題が進行し、その途中で焼香の時間が設けられます。

日蓮宗では「南無妙法蓮華経」と唱えながら焼香を行うことが多く、唱題が終わるまでに焼香を済ませるのが基本です。合唱のタイミングや立ち座りの動作にも意味があり、導師の所作に合わせて静かに行うのが望ましいとされます。

終盤には、「祖訓」や「宝塔偈」「回向」「三帰」などの儀礼が続き、読経の区切りには妙鉢が響くこともあります。加えて導師が払子を振りながら引導文を読み上げる「引導」の儀式もあり、これらは仏道への旅立ちを明確に示すものです。

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火葬・納骨|引導から出棺までの流れが重要な区切り

告別式が終わると、棺は霊柩車へ運ばれ火葬場へ向かいます。出棺の際には、遺族が順に棺へ花を手向けてから蓋が閉じられます。その後、出棺の合図とともに霊柩車が出発する流れです。

火葬場では、棺を炉に収め、合掌や黙祷で最後の別れを行います。収骨の際には「南無妙法蓮華経」と唱えながら骨を納めることがあります。納骨は当日に行う場合と後日法要とあわせて行う場合があり、どちらも僧侶による読経や唱題を伴うのが一般的です。

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日蓮宗の葬儀におけるマナー

日蓮宗の葬儀の特徴や流れについて解説してきましたが、その中で行われる焼香や通夜・葬儀の際に渡す香典、お布施などにも独自のマナーがあります。一般的な仏式葬儀と似ているようで細かな違いがあるため、あらかじめ確認しておくことが大切です。

ここでは、日蓮宗の葬儀における基本的なマナーについて参列者・遺族それぞれの立場から解説します。

焼香|一回だけ焼香する

日蓮宗の葬儀では、読経のあとに「南無妙法蓮華経」を唱える唱題が始まり、その間に焼香が行われます。参列者は順番に祭壇へと進み、まず遺族に一礼してから焼香台の前に立ち、合掌して一礼します。右手でお香をひとつまみ取り、額の高さに軽く押しいただいてから香炉にくべましょう。

導師は3回焼香しますが、参列者は1回で問題ありません焼香後は合掌後・一礼し、遺影に背を向けずに数歩下がってから席に戻ると丁寧な所作になります。数珠は左手にかけておくのが作法です。

香典|表書きに「御霊前」と書く

日蓮宗では、葬儀の場では不祝儀袋の表書きに「御霊前」または「御香典」と記すのが一般的です。これは故人がまだ成仏していないとされる四十九日の段階では「霊」として弔うという教義に基づくものです。水引は白黒や双銀の結び切を使用し、表書きは薄墨で記入します。

一方、四十九日以降の法要(忌明け後)は、故人が成仏されたという考え方から「御仏前」と書くのが基本です御香典と書いても間違いではありませんが、宗派に配慮するなら御仏前が無難です。時期によって表書きを使い分けることで、日蓮宗の教義を尊重した丁寧な弔意を示せます。

お布施|濃墨で書いた封筒を用意する

日蓮宗の葬儀でお布施を渡す際は、水引のない白無地の封筒を使うのが基本です。郵便番号欄や装飾のあるもの、二重封筒は避け、一重の白封筒を選びましょう。表書きは一般的な「御布施」でも問題ありませんが「御経料」と書くこともあります。

お布施に関しては日蓮宗では濃墨で期すのが正式とされます。香典と同様の感覚で薄墨を使うと、かえって失礼にあたるため注意しましょう。御車代・御膳料は別封筒に包み、合わせて渡します。直接手渡す際は、袱紗(ふくさ)に包み、丁寧に言葉を添えて渡しましょう。

関連: 日蓮宗の葬儀で渡すお布施の相場は?封筒や表書きのマナー、四十九日などの金額目安も解説

数珠|左手にかけて持つ

日蓮宗の正式な数珠は、108個の珠と2つの親珠、4つの四天珠が付いた「勤行数珠(ごんぎょうじゅず)」で、一般的な略式数珠とは形状が異なります。房は片側に2本、もう片側に3本あり、それぞれ釈迦如来と多宝如来を象徴しています。

使用時は、3本房の方を左手の中指、2本房の方を右手の中指にかけて一度ひねり、手を合わせるのが日蓮宗の作法です。ただし、この形式の数珠を参列時に必ず用意する必要はなく、普段使用する略式数珠を使用しても失礼にはあたりません。

一般的な仏教葬と異なり、数珠のかけ方や房の意味に決まりがあることが日蓮宗の特徴です。参列の際は、最低限、数珠を左手にかけて静かに扱うマナーを守りましょう。

日蓮宗の法要の考え方

日蓮宗における法要は、故人の冥福を祈る場という点では他の仏教宗派と共通しています。初七日から四十九日までの中陰期間に7日ごとの追善供養を行い、その後も年忌法要を営む流れも同様です。

ただし、四十九日をもって成仏するという日蓮宗の教義から、特に四十九日法要の意味合いが強く、開眼供養や納骨式を同時に行うこともあります。読経は三方供養や三締を意識して3回唱えられることがあり、参列者が共に唱題する場面も見られます。

また、焼香は「押しいただく」作法があり、宗派によっては焼香しない流派もありますが、日蓮宗は丁寧な所作を重んじることが特徴です。法要後の会食は供養の一環とされますが、省略しても問題ありません。

日蓮宗の葬儀に関するよくある質問

日蓮宗の葬儀に対する考え方や流れ、マナーについて解説してきましたが、参列や準備を控えている方の中には、まだまだ気になることがあるという方もいるのではないでしょうか。ここでは、日蓮宗の葬儀に関するよくある質問に答えていきます。

日蓮宗の葬儀と他の宗教の違いは?

日蓮宗の葬儀は、他の仏教宗派と異なる特徴がいくつかあります。最大の違いは、僧侶だけでなく参列者も「南無妙法蓮華経」とお題目を声に出して唱える場面があることです。

読経を聞くだけの宗派が多いなか、日蓮宗では参列者も唱えることで功徳を積むという考え方が重視されます。

また、読経は三宝や三諦に基づき3回に分かれることがあり、儀式の流れがやや複雑です。さらに、葬儀では、太鼓や鉦などの鳴り物が鳴り響き、会場全体に強い音が響くのも日蓮宗ならではの特徴といえるでしょう。

葬儀で使われるシンバルのような道具はなに?

日蓮宗の葬儀で使われるシンバルのような道具は「妙鉢(みょうばち)」と呼ばれる金具性の仏具です。読経やお題目の節目で鳴らし、場を引き締める役割があります。

さらに、木魚の代わりに「木柾(もくしょう)」という木製の鳴り物を使い、カンカンと高い音で読経や唱題のリズムを取ります。

これらの鳴り物は、ただ音を出すだけでなく邪気を払い、故人を霊山浄土へと正しく導くための大切な役割を担うものです。

日蓮宗の葬儀は派手って本当?

外から見ると「派手」に感じられることもありますが、日蓮宗の葬儀は見た目の華やかさを目的としたものではなく、教義に基づく力強く厳かな儀式です。

太鼓や鉦などの鳴り物が鳴り響き、参列者も「南無妙法蓮華経」とお題目を声に出して唱えるため、静かに進行する葬儀と比べて印象が大きく異なります。

また、導師の読経は3回に分けて行われ、所作も丁寧で緊張感があります。これらはすべて、故人を霊山浄土へ正しく導くという教えに基づいたものであり、決して派手さを演出するためのものではありません。

日蓮宗の葬儀にかかる費用の目安は?

葬儀にかかる費用は葬儀の形式によって大きく異なります。日蓮宗に限らず、近年では家族葬や一日葬、直葬を選ぶ人も増えており、型式に応じて予算の組み方も変わります。

日蓮宗を含む一般的な仏教葬は100〜200万円が目安です。内訳としては会場費・祭壇・飲食接待費・返礼品・御布施などが含まれます。

家族葬は30〜100万円、一日葬は30〜50万円で収まることが多く、いずれも規模を抑えることで費用が下がります。通夜・告別式を行わない直葬なら20〜50万円程度です。

日蓮宗の葬儀では、お布施や戒名料が費用の大きな割合を占めます。お布施には明確な金額設定がなく、寺院や地域によって相場も異なるため、あらかじめ相談しておくことが大切です。

関連: 葬儀費用の平均はいくら?内訳や形式ごとの相場、費用を抑えるためのポイントを詳しく解説

日蓮宗の戒名はほかの宗教と違う?

日蓮宗では、他宗派のように「戒名」とは呼ばず「法号(ほうごう)」と呼びます法号は「院号・道号・日号・位号」で構成されるのが一般的で、特に「日号」は日蓮宗特有の要素です。

「日〇」という名前がつけられ、信仰が深い方や寺院・社会への貢献が大きかった方に授けられます。構成上は他の宗派と似ていますが「規律を守る名前」ではなく「信仰の証」として与えられたり「日号」が入ったりすることが主な違いです。

日蓮宗の葬儀を正しく理解して心を込めて故人を送ろう

日蓮宗は「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えることで成仏に至るという教えのもと、力強くも厳かな葬儀を行う宗派です。葬儀では太鼓や妙鉢などの鳴り物が用いられ、読経や唱題のリズムを支えながら、場を引き締めています。

通夜から告別式、火葬・納骨・法要までの流れは他の宗派と共通していますが、焼香の所作やお布施の渡し方、戒名(法号)の形式などには日蓮宗ならではの特徴があります。

大切なのは、宗派の考え方を正しく理解したうえでマナーを守り、心を込めて故人を見送ることです。葬儀について迷ったときは、葬儀社や菩提寺に相談するのも一つの方法です。

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