遺体が発見されたとき、すでに腐敗が進んでしまった場合、どう対応すべきか戸惑いを感じる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、遺体の腐敗がどのように進むのかについてやその後の手続きの進め方・特殊清掃業者の選び方について詳しく解説します。突然のできごとに直面しても慌てず対応するには、知識を身に付けておくことが大切です。ぜひ参考にしてみてください。
この記事を要約すると
- 遺体が腐敗した際は速やかに警察へ連絡し、検視後に専門の葬儀社を通じて適切な手続きを進めることが重要です。
- 腐敗状態によって通常の納棺処置が難しい場合があり、専門技術を持つ特殊清掃業者へ依頼しましょう。
- 特殊清掃業者を選ぶ際は、実績や価格が一般的な相場から乖離していないかなどを確認することが大切です。
※本記事の内容はセンシティブな内容を含みます。手続きの進め方を知りたい方は「死亡後に遺体が腐敗していたときの手続きの進め方」からご覧ください。
死亡したあとの遺体の腐敗はどのように進むのか
死亡後の遺体は時間の経過とともにさまざまな変化を遂げます。ここでは、遺体の腐敗がどのように進行するのかについて7つのステップで解説します。
- 死後硬直が進行する
- 死斑が形成される
- 自己融解が始まる
- 腐敗ガスが発生し遺体が膨張する
- 体液が漏れ出す
- 遺体が崩壊する
- さらに放置されると白骨化する
それぞれ詳しくみていきましょう。
1. 死後硬直が進行する
死亡してから約2時間経過すると、関節が動かなくなって筋肉が硬直していく「死後硬直」がはじまります。硬直は顎からはじまり、頭部・首・肩・腕へと順に進行します。
死後約8時間で手足の先まで硬直が及び、死後10~12時間程度で硬直はピークに達するのが一般的です。
死後硬直は、環境温度や故人の体格によっても変化し、筋肉質の方では硬直が強く長時間持続する傾向があります。また夏場は硬直の進行が早く、冬場はゆっくりと進みます。
2. 死斑が形成される
死亡後、心臓が停止すると血液の流れも止まり、重力によって体の下側に血液が移動することで形成される紫赤色や暗赤色の斑点が「死斑」です。大量出血や重度の貧血があった場合は、死斑がほとんど見られないこともあります。
死斑は、遺体の体重を支えている部分には形成されず、その周囲から現れはじめることが多い傾向があります。
3. 自己融解が始まる
死亡後、体内の防御機構が破綻すると、体内の酵素によって自己融解と呼ばれる現象が進行します。
生きている間は体内の酵素が自らの身体を分解しないよう防御機構が働いていますが、死後はその機能が失われることによって起こります。
とくに、酵素の多い膵臓で顕著に見られるのが特徴です。自己融解によって、遺体は徐々に分解されます。
4. 腐敗ガスが発生し遺体が膨張する
死後約48時間が経過すると、腸内細菌の増殖と胃腸の融解によって腐敗が本格的に進行します。この過程で発生する腐敗ガスは、硫化水素やアンモニア・メタンなどです。
腐敗ガスは、はじめ胃腸に留まっていますが、次第に全身の皮下組織や臓器にも広がります。ガス中の硫化水素が血液中のヘモグロビンと結合すると、腹部が淡い青色に変色し始め、徐々に全身へと広がっていきます。
この現象は、室温によって進行速度が大きく変わるのが特徴です。
5. 体液が漏れ出す
腐敗が進行すると、体内で発生した腐敗ガスによって遺体が膨張します。遺体の膨張が進むと皮膚や組織が耐えきれなくなり、体液が外部へ漏れ出します。
重力の影響で体液は下方へ移動するため、床面や寝具に染み込み、黒ずんだシミを作ることがあり、場合によっては下の階にまで漏れ出すこともあるでしょう。
このような状態になると強い臭気を発し、ハエなどの害虫を引き寄せます。
6. 遺体が崩壊する
腐敗が進行した遺体は、体内で発生した腐敗ガスにより膨張したあと、組織が次第に崩壊していきます。
皮膚は赤褐色から黒色へと変色し、組織の崩壊とともに腐敗した体液があふれだし、この段階で体の表面から徐々に骨が露出しはじめます。
腐敗の進行速度は環境によって大きく異なります。乾燥した環境では干からびたような状態になり、湿度の高い環境ではさらに腐敗が進むでしょう。
遺体が完全に崩壊すると、長い時間をかけて白骨化していきます。
7. さらに放置されると白骨化する
腐敗が進行した遺体は、最終的に白骨化へと向かいます。白骨化は、皮膚や筋肉・内臓などの軟部組織が消失し、骨や歯などの硬組織だけが残された状態です。
白骨化するまでの期間は環境によって大きく異なります。地上に放置された場合、夏では1週間から10日程度で白骨化がはじまり、冬では数ヶ月以上かかるでしょう。
完全な白骨化には5年以上かかり、それ以降は骨自体も徐々に崩壊していきます。
死亡後に遺体が腐敗していたときの手続きの進め方
遺体が腐敗していた場合、通常とは異なる対応が必要です。ここでは、適切な手続きの進め方を6つのステップで紹介します。
- 警察へ連絡する
- 遺体を引き取る
- 死亡届を提出する
- 特殊清掃業者に依頼する
- 葬儀社に葬儀を依頼する
- 健康保険や年金関連の手続きを進める
それぞれ詳しくみていきましょう。
1. 警察へ連絡する
孤独死は不審死として扱われるため、110番通報または最寄りの警察署に連絡しましょう。
警察官が現場に到着すると検視や現場検証が行われ、死亡推定時刻や死因の特定のために遺体の状態を詳しく調査します。
検視の結果、病死や自然死と判断されると「死体検案書」が発行されます。なお、遺体の腐敗が進んでいると死因特定が難しいこともあるでしょう。
なお、検視について詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
2. 遺体を引き取る
警察から遺体引き取りの連絡を受けたら、身分証明書や朱肉を使うタイプの実印など必要な持ち物を持って警察署に向かいます。警察署では死亡状況の説明を受け、死体検案書を受け取る流れです。
遺体の引き取りを決めたら、事前に葬儀社に連絡し、搬送の手配をしておくと安心です。腐敗が進んだ遺体の場合、特殊な対応ができる葬儀社を選ぶことが重要です。
遺体を引き取ったあとは、葬儀社の専用車両で火葬場へ搬送されます。
弊社、「1日葬・家族葬のこれから」では、火葬のみを行うシンプルなプランもご用意しております。孤独死など、予期せぬ状況でのご葬儀にも数多くの実績があり、経験豊富なスタッフが丁寧にサポートいたしますので、安心してご相談ください。
なお、法律上は遺体の引き取りを拒否することも可能です。その場合は、自治体が火葬を執り行います。ただし、相続放棄をしていない場合は、後日自治体から火葬費用を請求されることがある点だけ留意しましょう。なお、遺体の引き取り拒否について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
3. 死亡届を提出する
警察による検視が終わり死体検案書が発行されたら、7日以内に市区町村役場へ死亡届を提出する必要があります。死亡届には、死体検案書または医師の死亡診断書を添付します。
死亡届の用紙は役所窓口で入手でき、記入方法がわからない場合は窓口で質問しましょう。死亡届の提出時に必要なものは、以下のとおりです。
- 届書(届出人の署名があるもの。押印は任意。)
- 死亡診断書(医師の証明があるもの)
- 国民健康保険被保険者証または資格確認書(加入している方のみ)
- 国民年金手帳または国民年金証書(受給している方のみ)
- 介護保険被保険者証(加入している方のみ)
引用元:出生・死亡届|名古屋市
死亡届が受理されると、火葬許可証が発行されます。
なお、弊社「1日葬・家族葬のこれから」では火葬許可証の発行の代行をしておりますので、初めての葬儀で不安な方も安心して葬儀を進めることができます。
4. 特殊清掃業者に依頼する
遺体が腐敗している場合、特殊清掃業者への依頼が必須です。腐敗した遺体からは強烈なにおいが発生し、体液が床や壁に染み込むため、一般の清掃では対応できません。
特殊清掃業者は、専門的な知識や技術・機材を持ち、感染症リスクを回避しながら適切に清掃を行います。依頼の流れとしては、まず複数の業者から見積もりを取り、適切な業者を選定しましょう。
業者は、警察からの入室許可を得たあと、現場の除菌や汚染物の処理・特殊清掃・遺品整理・消毒といった手順で作業を進めます。とくに、汚染部分の清掃では、専用の薬剤や機材を使用して細菌やウイルスを完全に除去してくれます。
早急に対応することで、汚染の拡大を防げるでしょう。
5. 葬儀社に葬儀を依頼する
遺体が腐敗している場合、特殊清掃や納棺の専門技術を持つ葬儀社に依頼することが重要です。腐敗が進んだ遺体は通常の納棺処置が難しいため、その旨を葬儀社に必ず伝えましょう。
葬儀社は、特殊な防腐・消臭処理を施し、可能な限り故人の尊厳を保った対応をしてくれます。
葬儀社選びでは、特殊事例への対応実績があるかを確認することが大切です。費用面では、通常の葬儀に加えて特殊清掃や特別な納棺処置の追加料金が発生することがあります。
葬儀社との打ち合わせでは、故人の宗教や希望する葬儀の形式などを伝えましょう。
弊社「1日葬・家族葬のこれから」では、火葬のみのシンプルなプランから、通夜・告別式を行う家族葬や、通夜のみの1日葬など、お客様のご要望に合わせた様々なプランをご用意しております。不要なものを省き、相場よりも抑えたプランセットでの葬儀を全国に提供しておりますので、お気軽にご相談ください。
6. 健康保険や年金関連の手続きを進める
故人が健康保険や年金に加入していた場合、死亡後14日以内に資格喪失の手続きが必要です。会社の健康保険に加入していた場合は、勤務先の担当部署に連絡して手続きを進めます。
年金を受給していた場合は「年金受給権者死亡届」を年金事務所に提出し、給付を停止しましょう。
また、未支給年金の受給手続きを行うことで、遺族が一定額の年金を受け取れる場合もあります。
遺体の腐敗現場を清掃する業者を選ぶポイント
最後に、特殊清掃業者を選ぶ際に確認すべき重要なポイントを3つ紹介します。
- 作業実績を確認する
- 料金が極端に安い業者は避ける
- サービス内容が明確かチェックする
特殊清掃業者への依頼を考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 作業実績を確認する
孤独死や特殊清掃の実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。腐敗した遺体の清掃は、通常の清掃とはまったく異なる専門技術が必要です。
業者のホームページや問い合わせ時に、特殊清掃の実績数や経験年数を確認しましょう。とくに、腐敗が進んだ遺体の清掃経験があるかどうかをチェックすることが大切です。
2. 料金が極端に安い業者は避ける
特殊清掃の料金が市場価格より極端に安い業者には注意が必要です。
相場より大幅に安い業者は、必要な消毒処理を省略したり専門知識のないスタッフが作業したりする恐れがあります。
また、見積もり時に安い金額を提示し、作業開始後に追加料金を請求するケースも考えられます。部屋の広さや作業内容による相場は、以下のとおりです。
部屋の広さ | 相場 |
---|---|
1R・1K | 5〜30万円 |
1LDK〜3LDK | 7〜50万円 |
4LDK以上 | 20〜60万円 |
作業内容 | 相場 |
---|---|
浴室の清掃 | 3~10万円 |
消臭・除菌 | 1~2万円 |
体液や血液の除去 | 5~10万円 |
複数の業者から見積もりを取り、価格だけでなく作業内容も比較検討しましょう。信頼できる業者は、見積もり時に現場の状況を詳しく確認し、作業内容と料金を明確に説明してくれます。
3. サービス内容が明確かチェックする
特殊清掃業者を選ぶ際は、サービス内容が明確に示されているかを確認することが重要です。信頼できる業者は「特殊清掃一式」といった曖昧な表現ではなく、具体的な作業内容を明示しています。
体液や血液の除去や消毒・消臭作業・害虫駆除・遺品整理など、どこまでの作業が含まれるのかを詳細に説明してくれるかをチェックしましょう。
とくに、腐敗が進んだ現場では、床や壁に体液が染み込んでいる可能性があり、壁紙や床材の交換などのリフォーム作業が必要になることがあります。
追加料金が発生する可能性がある場合は、事前に説明してくれる業者を選びましょう。サービス内容が明確な業者は作業の透明性が高いため、トラブルの発生を防げます。
死亡後に遺体が腐敗してしまった場合は特殊清掃業者に依頼しましょう
腐敗が進んだ遺体の場合は特殊清掃や納棺の専門技術を持つ葬儀社に依頼することが重要です。特殊清掃業者を選ぶ際は、孤独死や特殊清掃の実績が豊富かつ経験年数が多い業者を選びましょう。
腐敗が進んだ現場では床や壁に体液が染み込んでいる可能性があり、壁紙や床材の交換などのリフォーム作業が必要になることもあります。
また、料金が市場価格より極端に安い業者は、必要な消毒処理を省略したり専門知識のないスタッフが作業したりする恐れがあるため注意が必要です。信頼できる業者は、見積もり時に作業内容と料金を明確に説明してくれるでしょう。
弊社では、価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代に合わせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。