無宗教葬儀とは？メリット・デメリットや流れ、マナーのほか注意点も解説

宗教的なこだわりがなく、無宗教葬儀を検討している方もいるのではないでしょうか。

無宗教葬儀は、宗教的なしきたりに執着しない自由な葬儀形式です。葬儀に明確な決まりがないため、故人や遺族の意向を式に反映しやすく、納得して故人を送り出せるメリットがあります。

しかし無宗教葬儀には、デメリットや注意すべき点もいくつか存在します。事前に把握せず安易に無宗教葬儀を選択すれば、後悔する可能性があるため注意が必要です。

今回は、無宗教葬儀の内容やメリット・デメリット、式の流れについて解説します。マナーや注意点についてもあわせて解説するので、無宗教葬儀を検討中の方はぜひ参考にしてください。

無宗教葬儀とは

無宗教葬儀（無宗教葬・自由葬）とは、特定の宗教や宗派のしきたりに固執しない葬儀形式を指します。

一般的な葬儀では、僧侶や神父などの宗教者を招き、故人や遺族の信仰に準ずる方式で葬儀を実施しますが、無宗教葬儀では宗教者を呼びません。読経や説教、焼香、戒名、位牌も必要なく、代わりに黙とうや献花をする傾向があります。

無宗教葬儀には、葬儀の自由度が高いという特徴があります。故人や遺族の好みに合わせて希望内容を葬儀に組み込めるため、葬儀にこだわりのある方に向いた葬儀形式です。

無宗教葬儀には、宗教そのものを否定する趣旨はありません。あくまで特定の宗教の縛りから解放された葬儀形式であり、完全に無宗教で執り行う必要もありません。

例えば一部の仏教儀礼を取り入れ、葬儀中に焼香を行ったり、火葬場で読経してもらったりするのも自由です。宗教儀礼の簡略化や、異なる宗教・宗派の儀礼の混在化を行っても構いません。

無宗教葬儀の3つのメリット

無宗教葬儀のメリットは以下の3つです。

• 葬儀内容の自由度が高い
• 宗教者へのお礼が省ける
• 宗教を問わず葬儀に参列できる

具体的な内容について説明していきます。

葬儀内容の自由度が高い

無宗教葬儀の大きなメリットは、葬儀内容を自由に決められる点にあります。

無宗教葬儀では宗教儀礼にとらわれる必要はありません。宗教上の作法を気にせずに済むため、故人の遺志や遺族の意向で自由に葬儀内容を決められます。

葬儀会館で葬儀を行うのではなく、故人が生前お気に入りだった場所での葬儀も可能です。ただし、ご遺体やご遺骨の安置ができないなど、場所によっては葬儀内容に制限が発生することもあります。

献花なら問題ないものの焼香はできない会場もあるため、事前のリサーチが必要です。

宗教者へのお礼が省ける

宗教者へのお礼が省ける点も無宗教葬儀のメリットです。

一般的な仏教僧では、僧侶へのお礼としてお布施や戒名料、お車代などをお渡しします。無宗教葬儀では基本的にこれらは不要なため、経済的な負担を抑えられる可能性があります。

ただし、無宗教葬儀であっても、会場使用料や葬儀スタッフの人件費などは通常の葬儀同様かかります。宗教者を呼んだ場合には、当然ながらそれに見合ったお礼も必要です。

宗教を問わず葬儀に参列できる

無宗教葬儀には、宗教を問わず自由に葬儀に参列できるメリットもあります。

身の回りには、信仰する宗教が異なる人もいるものです。異教の葬儀の場合、参列するのに気が引けたり教義上の理由から参列したくてもできなかったりします。

特定の宗教に固執しない無宗教葬儀であればこの問題は解決できます。故人と遺族が異なる信仰をもっていたとしても、宗教的な束縛にとらわれず自由に葬儀を執り行えるのが無宗教葬儀の利点です。

無宗教葬儀の3つのデメリット

無宗教葬儀のデメリットは以下の3つです。

• 葬儀の準備に手間がかかる
• 菩提寺への納骨ができない可能性がある
• 親族ともめる可能性がある

具体的な内容は次のとおりです。

葬儀の準備に手間がかかる

無宗教葬儀のデメリットとしては、葬儀の準備に手間がかかることが挙げられます。

一般的な葬儀の場合、葬儀内容はある程度決まっており、葬儀社側でも標準的なプランを用意しています。基本的には、希望に近いプランを選択し、必要に応じてオプションプランを選択すれば大きな問題は起こりません。

しかし、無宗教葬儀では葬儀の自由度が高い分、遺族側で決めなければならないことが多くあります。大切な方を亡くしたつらい時期に葬儀プランを一から練るのは、遺族にとって大きな負担になる場合もあるでしょう。

菩提寺への納骨ができない可能性がある

菩提寺への納骨ができない可能性があるのも、無宗教葬儀の大きなデメリットです。

無宗教葬儀で僧侶を呼ばない場合、読経もせず、戒名も付けません。このようなケースでは菩提寺との関係がこじれ、先祖代々のお墓への納骨を拒否される場合があります。

納骨を希望するのであれば、あらかじめ菩提寺や葬儀社に相談しておきましょう。無宗教葬儀であっても僧侶は呼べるため、読経を依頼するなど葬儀の内容を一部調整すれば、菩提寺とのトラブルを避けられる可能性があります。

親族ともめる可能性がある

無宗教葬儀の場合には、親族ともめる可能性もあります。

親戚や友人のなかには、信心深く、宗教的な儀式を重んじる人もいるものです。信仰心はさほどなくても、伝統的な葬儀スタイルから逸脱するのを嫌う場合もあります。

このようなケースでは、周囲の理解が得られず、無宗教葬儀に同意を得られないこともあるでしょう。無宗教葬儀にこだわるのであれば、故人の遺志や遺族の考えなどをあらかじめ丁寧に説明しておくのが大切です。

無宗教葬儀の費用相場

無宗教葬儀の費用相場ははっきり決まっていません。無宗教葬儀では葬儀内容を自由に決められるため、必要な経費も千差万別です。

ただし、無宗教葬儀においても一般葬と同様、ご遺体の搬送費用や棺代、火葬費用、会場使用料などはかかります。僧侶を呼ばない点以外は一般葬に近い形式であれば、それに準じた費用がかかると予想できます。

なお、一般的な葬儀費用の目安は、約119万円です。（特定サービス産業動態統計調査（経済産業省）を元に算出）
弊社「1日葬・家族葬のこれから」では、相場より抑えた価格で家族葬を行えます。葬儀に必要なものを含んだセットプラン料金をご用意しておりますので、ご安心してお任せください。

無宗教葬儀でよく取り入れられる内容

無宗教葬儀で取り入れられることが多い内容の例としては、以下のものが挙げられます。

• 音楽
• スライド上映
• 故人の趣味

具体的には、次のようなことを葬儀に取り入れることがあります。

音楽

無宗教葬儀では、楽器奏者を呼び、故人の思い出の曲を生演奏することがあります。

一般的な葬儀でも音楽は流せますが、基本的には葬儀にふさわしい曲しか流せません。焼香中や読経中など宗教儀式中には流せないといった制限もあります。

無宗教葬儀では、このような制限なく好きな音楽を好きなだけ演奏可能です。映画を流すこともできるため、故人にゆかりのある映画の鑑賞会も実施できます。

スライド上映

スライド上映も無宗教葬儀でよく取り入れられます。

故人との思い出にまつわるスライド画像や動画を上映し、エピソードを語れば、参列者が故人をしのぶよい機会となります。

上映するスライドを編集してくれる葬儀社もあるため、葬儀プランを練る際には参考にしましょう。

故人の趣味

無宗教葬儀では、故人の趣味や経歴にまつわる物品を葬儀会場に展示することが多々あります。

故人の生前の生活ぶりを振り返ることで、故人をしのぶよいきっかけとなります。例えば釣りが趣味だった場合には、愛用の釣り竿を展示したり、釣果のわかる写真や魚拓を飾ることで、故人を身近に感じられるでしょう。

無宗教葬儀の一般的な流れ

一般的によく行われる無宗教葬儀の流れは以下のとおりです。

手順	概要
参列者の入場	遺族や親族、友人、知人など葬儀に参列する人が会場に入場する。生演奏の音楽を流すこともある
開式のあいさつ	司会者が開会を宣言する
黙とう	僧侶の読経の代わりに、全員で黙とうする
故人にまつわる企画	故人が好きだった音楽を演奏して故人に捧げたり（献奏）、故人の経歴の紹介やスライド上映を行ったりする
弔電の紹介	届いた弔電の一部を紹介する
喪主のあいさつ	参列者に対して喪主や遺族が感謝の気持ちを述べる
献花	焼香の代わりに、故人に花を供えていく
故人とのお別れ	参列者全員で故人と最後のお別れをする
閉式のあいさつ	司会者が閉会を宣言する
出棺	棺を会場から運び出し、火葬場に向けて出棺する
会食	火葬後に会食を行う場合もある

無宗教葬儀は自由度が高いため、必ずしも上記の流れで行われるわけではありません。あくまでおおまかな流れの一例として参考にしてください。

無宗教葬儀のマナー

無宗教葬儀にまつわるマナーとして、以下の2点を紹介します。

• 無宗教葬儀に参列する服装
• 無宗教葬儀の香典

それぞれ具体的に解説していきます。

無宗教葬儀に参列する服装

無宗教葬儀に参列する際の服装は、以下のような略式の喪服を着用するのが一般的です。

	基本の服装	小物
男性	黒のスーツに白のワイシャツ	黒いネクタイ・靴・靴下・ベルト
女性	黒のスーツ・ワンピース・アンサンブル	黒いストッキング・靴・バッグ

平服で葬儀を行う場合には、通常は会葬案内に指定します。その際には、ダークスーツや落ち着いた系統のワンピースで参列して構いません。平服だからといって、普段着で葬儀に参列するのはマナー違反にあたるため注意しましょう。

無宗教葬儀は仏教とかかわりのない葬儀のため、数珠は本来不要です。ただし、無宗教葬儀であっても焼香を行うケースもなかにはあります。焼香をする際には数珠があったほうがよいとされるため、必要があれば使用できるよう念のため持参しておくと安心です。

無宗教葬儀の香典

無宗教葬儀であっても香典は必要です。

香典袋には一般的な不祝儀袋か白い封筒を利用し、「御霊前」や「御花料」など宗教に無関係の表書きを記すのがマナーです。ただし、事前に喪主から香典を辞退する旨の連絡があればそれに従いましょう。

無宗教葬儀の場合、葬儀が終わればすぐに忌明けとなります。香典返しの日程に決まりはないため、喪主側はすぐに香典返しを行って構いません。

香典のマナーについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

無宗教葬儀の後の流れ

無宗教葬儀を行った後は、必要に応じて納骨を行います。

仏式では、四十九日や百箇日のタイミングで納骨を行う場合が一般的ですが、無宗教葬儀では自由な日程で納骨が可能です。遺族の都合や故人との思い出にちなんだ日程で納骨を行いましょう。もちろん、仏式に合わせた日程で納骨しても構いません。

無宗教葬儀では、一周忌や三回忌といった回忌供養も不要です。法要の代わりに、命日に合わせてしのぶ会や会食の場を設けるケースもあります。

無宗教葬儀の後の供養方法

無宗教葬儀を執り行った後、遺骨を供養する方法としては、以下が挙げられます。

• 永代供養
• 公営墓地・宗教不問の墓地
• 海洋散骨
• 樹木葬
• 手元供養

それぞれの概要は次のとおりです。

永代供養

永代供養は、宗教に関わらず、遺族に代わって遺骨を管理してくれる供養方法のため、無宗教葬儀の際にも利用可能です。

永代供養墓をもつ寺院や霊園が、責任をもって遺骨を供養してくれるため、納骨後の管理の手間が省けるメリットもあります。

お墓を受け継ぐ子孫がいない場合にも有益でしょう。一般的なお墓より費用を抑えられるのも魅力です。

公営墓地・宗教不問の墓地

公営墓地は宗教や宗派を問わないことから、無宗教葬儀であっても埋葬できます。宗教を問わない墓地は公営のもの以外にもあるので、周辺の環境や立地など希望の条件に合わせて探すとよいでしょう。

海洋散骨

無宗教葬儀の後、海洋散骨を利用する方法もあります。遺骨をパウダー状に細かく粉砕し、海にまく供養方法のため、自然に還りたい希望を故人や遺族がもっている場合には向いているでしょう。

海洋散骨は、お墓に納骨する方法と比較し維持費がかからないメリットもあります。遺骨の一部を散骨し、一部を手元に残す供養も可能です。

樹木葬

樹木葬も、無宗教葬儀の際に選択できる供養方法です。墓石の代わりに樹木を墓標とするため、自然に囲まれた環境で永眠したいという希望がある場合にマッチします。

樹木葬は、個別に埋葬する形式のほか、複数人を一緒に埋葬する合祀型や、袋に分けた遺骨を一か所に埋葬する集合型などから選択可能です。

墓石が不要な分、一般的なお墓より費用を抑えられるメリットもあります。

手元供養

無宗教葬儀の後、遺骨を手元に置いてそのまま供養する方法もあります。

無宗教葬儀では仏壇や位牌は不要ですが、設置しても問題はありません。開眼供養や位牌の魂入れは、無宗教葬儀では行わないことが多いといわれています。

なお、お墓に納骨した人であっても、自宅で手を合わせて供養する対象とするために位牌を作る人もいます。その場合には戒名がないため、俗名で位牌を作るのが一般的です。

無宗教葬儀を行う際の3つの注意点

無宗教葬儀を行う際の主な注意点としては、以下の3つが挙げられます。

• 内容次第ではかえって予算がかかることがある
• 定期的に故人をしのぶ場がない
• 無宗教葬儀に不慣れな葬儀社は避ける

具体的な注意点は次のとおりです。

内容次第ではかえって予算がかかることがある

無宗教葬儀は、内容次第では一般葬よりかえって予算がかかることがあります。

葬儀の自由度が高いことから、プロの演奏家を手配したり、献花に大量の花を使ったりできるのが無宗教葬儀の利点です。裏を返せば、葬儀内容にこだわれる分だけ出費がかさむ可能性も否定できません。

宗教家へのお礼が不要な分と差し引いても、高額な葬儀費用が必要なこともあるでしょう。葬儀費用を抑えたいがために無宗教葬儀を検討するのは、あまり得策とはいえません。

無宗教葬儀で葬儀費用を抑えるには、まずは予算を意識することです。そのうえで、予算内に収まるようやりたいことを取捨選択し、プランを練るのが大切です。

定期的に故人をしのぶ場がない

定期的に故人をしのぶ場がないのも、無宗教葬儀の際に注意が必要な点です。

一般的な仏式の葬儀では、回忌供養を行うため、定期的に故人をしのぶ機会が設けられます。一方の無宗教葬儀では、葬儀後の供養が不要であるため、身内が一堂に会して故人をしのぶ機会がなかなかありません。

故人をしのぶ席を設けたいのであれば、何年後の命日に集まるなど、あらかじめその後の供養方法やタイミングを考えておくとよいでしょう。

無宗教葬儀に不慣れな葬儀社は避ける

無宗教葬儀に不慣れな葬儀社も避けるべきです。

葬儀内容が自由な分、葬儀社のサポートは重要です。無宗教葬儀に不慣れな葬儀社の場合、葬儀内容に関する意欲的な提案がなかなか行えず、葬儀内容の選定が思ったように進まない可能性があります。

葬儀までにはタイムリミットがあるため、手配がスムーズにいかなければ、結局は一般的な葬儀とあまり内容が変わらないこともあるでしょう。葬儀内容が薄い場合には、葬儀中に手持ち無沙汰で過ごす時間が発生する可能性もあります。

無宗教葬儀に関するノウハウをもつ葬儀社であれば、遺族の要望をヒアリングしながら、具体的な葬儀プランを提案をしてもらえます。遺族の手間を極力省きつつ希望の葬儀を行いやすくなるため、葬儀社は慎重に選びましょう。

なお、弊社「1日葬・家族葬のこれから」では、お坊さんや宗教者を呼ばずに行う葬儀の実績が多数あります。必要なものを含んだ安心のセットプランで、相場よりもお得に家族葬をご用意しておりますので、ご安心ください。
事前相談も承っておりますので、どんなことでもお気軽にご相談ください。

無宗教葬儀のメリットとデメリットを把握し希望の葬儀を執り行おう

無宗教葬儀は、宗教にとらわれず故人をお見送りできる葬儀形式です。故人や遺族の思い描いた葬儀を行いやすいメリットがある一方で、菩提寺や親族への根回しが必要など注意すべき点もあります。

無宗教葬儀のメリットとデメリットを把握したうえで、望みに近い葬儀が行えるようじっくり検討しましょう。

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