香典を用意されたことはあっても、お布施を準備したことのある方は少ないかもしれません。いざお布施を用意するとなると、どんな封筒を使いどのように表書きを書けばよいか迷われる方は多いものです。
この記事では、お布施の封筒の選び方や表書き・中袋の書き方などの基本を解説しています。
お布施は葬儀やその後の法要ごとに繰り返し必要となるものです。基本を理解して、スムーズに準備を進めましょう。
また、お布施の基本の考えやマナーなどについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
あわせて読みたい!
お布施
お布施とは?基本の考え方や金額の相場、マナーなども解説
お布施の封筒の選び方は?お車代・心づけなどはどうする?
お布施はどのような封筒に選べばよいのか、迷われる方も多いでしょう。ここでは、お布施だけでなく、お車代・御膳料・心づけに使う封筒の選び方も解説します。
お布施の封筒は白無地の封筒か奉書紙を選ぶ
お布施を入れるのは、白無地の封筒か奉書紙です。お布施の封筒は不祝儀袋とは異なります。不祝儀袋には水引がついていますが、お布施袋には通常、水引はつけません。一般的に、お布施袋として使われる封筒は以下の2つです。
- 奉書紙(ほうしょがみ・ほうしょし)
- 白無地の封筒
奉書紙は儀式に用いられる厚みのある純白の和紙です。格式を重んじる場合は奉書紙を選ぶとよいでしょう。
白無地の封筒は、郵便番号や水引が印刷されていない白い封筒を指します。コンビニや文房具店で売られている白い封筒でも問題ありませんが、紙が二重になっていない封筒を選ぶことが注意点です。
弔事のマナーでは、不幸が重ならないよう二重のものを避けるのが一般的です。「お布施」と印刷されている封筒も売られているので、使いやすいほうを選ぶとよいでしょう。印刷済みのものを使用しても失礼にはあたりません。
お車代・御膳料は白い封筒を選ぶ
お布施と同時にお車代や御膳料が必要となるシーンも多くあります。この場合は、「お布施」「お車代」「御膳料」それぞれの封筒を用意しましょう。
お車代と御膳料も白い封筒に入れてお渡しします。こちらも印刷済みのものが売られています。
心付けは不祝儀袋やポチ袋を使用してもよい
心付けを渡す場合は、白無地の封筒や不祝儀袋、またはポチ袋を利用することもあります。ささやかなお礼の気持ちを表わすものなので、お布施ほど堅苦しくない体裁にするとよいでしょう。
表書きには「志」「お礼」などと記載するのが一般的です。
お布施の書き方
お布施袋の基本の書き方をご紹介します。表書き・中袋の書き方・金額の記載方法などにも触れていますのでご確認ください。
なお、お布施の費用については以下の記事で詳しく紹介しているので、あわせてチェックしてみてください。
あわせて読みたい!
お布施
お布施の費用はどれくらい?費用の相場や法要に必要なその他の費用も解説
表書き
表書きは、毛筆で上段に「お布施」下段に「氏名」と書くのが基本です。筆ペンなら濃い墨のほうを使用します。
表書きの「お布施」の文字は、全体のバランスを見ながら上段の中央に記載します。文字のサイズは大きすぎず小さすぎないサイズを意識するとよいでしょう。
氏名は「お布施」の文字の真下に来るよう下段の中央に記載します。記載方法は「フルネーム」「名字のみ」「〇〇家」のいずれでもかまいませんが、状況に応じて選ぶ必要があります。たとえば喪家と喪主の名前が異なる場合は、「〇〇家」とするとわかりやすいでしょう。
また、名前の文字数に応じて書き上がりの配置をイメージしながら書くと、上下が詰まり過ぎずキレイに仕上がります。
中袋(中包み)の書き方
中袋には表の中央の上部に金額を記載し、裏に住所と氏名を記入します。金額と住所・氏名どちらも縦書きで記入してください。お布施を受け取った方が整理しやすいよう読みやすい文字で丁寧に記入しましょう。
なお、市販のお布施袋で住所や金額の記載欄が印刷されている場合は、そのとおりに記入します。また、中袋に記入する際は、筆ではなくペンなどを用いても問題ありません。
お布施の金額・数字の書き方
お布施に記入する金額や住所など数字は、漢数字で書きます。金額は頭に「金」とつけ、壱・弐・参など、大字(だいじ)で書くのが正式な書き方です。大字は改ざんを防ぐため使われています。
たとえば30万円の場合は、「金参拾萬圓」または「金参拾萬円」と書きましょう。「金参拾萬円也」と「也」をつける場合もあります。
以下に漢数字と大字の対応表を記載したので、ぜひ参考にしてみてください。
漢数字 | 一 | 二 | 三 | 五 | 十 | 千 | 万 | 円 |
大字 | 壱 | 弐 | 参 | 伍 | 拾 | 仟(阡) | 萬 | 圓 |
裏書き(中袋がない時)の書き方
お布施袋に中袋がない場合は裏書きが必要です。裏書きには、金額・住所・氏名を縦書きで記入します。裏書きの記入方法は以下の2種類がありますが、どちらでも問題ありません。
- 右上に金額、左下に住所・氏名
- 左下に住所・氏名・金額
中袋がある場合、金額と住所・氏名を中袋に書くため裏書きは不要です。
お車代・御膳料の書き方
お車代・御膳料は、お布施とは別の封筒でそれぞれ用意し、濃い墨で以下のように記載します。
項目 | 書き方 |
---|---|
お車代 | お車代・御車代・御車料 |
御膳料 | 御膳料 |
お車代とは、僧侶や神官の交通費にあたるものなので、葬儀を寺院で行った場合や喪主が迎えの車を用意した場合などは必要ありません。
御膳料は食事代にあたるものです。通夜ぶるまいや精進落としなど、法要後の宴席を辞退された場合に渡します。ただし、僧侶や神官が臨席された場合は不要です。
宗教別の表書きの書き方
「お布施」は仏式の慣習であるため、宗教によって表書きの書き方は異なります。ここでは、神式・キリスト教式の表書きの書き方について紹介します。
神式
神式の葬儀や祭祀では、表書きに「御祭祀料」と書くのが一般的です。仏式と同様、奉書紙か白い封筒を使用します。水引や熨斗(のし)も不要です。
キリスト教式
キリスト教式の場合、表書きには「献金」と書くのが一般的です。ほかにも「御礼」と記載する場合や、カトリックは「御ミサ料」、プロテスタントは「記念献金」とする場合もあります。仏式と同様、白い無地の封筒を使います。
お札の入れ方・包み方
お布施は、中袋(中包み)に紙幣を入れ、その中袋をお布施袋(上包み)に入れます。
お札は肖像画のある面を表にし、取り出す時に肖像画がはじめに見えるように入れます。複数枚のお札を入れる場合は、紙幣の向きをすべて揃えましょう。
また、お札は新札である必要はありません。新札が用意できれば好ましいですが、絶対的なマナーではありません。なるべくキレイなお札を用意しましょう。
香典の場合、新札の使用を避けるマナーもありますが、お布施は新札でも問題ありません。
お布施を渡すタイミング
お布施を渡すタイミングに決まりはありません。特に慌ただしい葬儀の場合、思うように時間がとれないこともあります。タイミングを逃した場合は、できるだけ速やかに渡せるとよいでしょう。
迎えの車などを用意しない場合はお車代を渡し、儀式後の宴席を辞退される場合は御膳料を渡します。
葬儀でお布施を渡すタイミング
葬儀でお布施を渡すタイミングは、通夜または葬儀の当日が一般的です。通夜や葬儀が始まる前か葬儀が終わってから、すべてのお布施を渡します。お車代や御膳料も一緒に渡すとよいでしょう。ただし、通夜ぶるまいや精進落としに同席してもらうなら、御膳料は不要です。
葬儀当日にお布施を渡せない場合は、葬儀の前日または後日寺院に出向いてお渡しする方法もあります。その場合は、事前にその旨を伝えておきしましょう。
法要でお布施を渡すタイミング
法要でお布施を渡すタイミングは、法要の前後か施主が僧侶に挨拶する時が一般的です。法要の当日に渡せない場合は、葬儀と同様に前もって渡すか、後日改めて渡します。
お布施を渡す時のマナー
お布施を渡す時に注意したいのは、直接手渡ししないことです。お布施は、切手盆または袱紗(ふくさ)に乗せた状態で渡すのが正式なマナーです。
切手盆とは、黒塗りの小さなお盆のことを指します。ネット通販でも手軽な価格で売られているので、一つ持っておくとよいでしょう。
袱紗を使用する場合は、色に注意が必要です。葬儀や法要には、弔事用の紺や緑などのものを選びます。袱紗を新たに購入するなら、慶事・弔事どちらにも使える紫が便利です。渡すときは、お布施を袱紗の上に乗せ、表書きが相手に向くようにして差し出します。
お布施の書き方|よくある質問
ここでは、お布施の書き方に関してよくある質問をまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。
お布施の封筒は薄墨・濃い墨どちらで書きますか
お布施の封筒には、濃い墨で書きます。葬儀や法要、どのお布施の封筒も濃い墨を使用してください。
薄墨は「急な訃報に墨を磨る時間もなく駆けつけた」「悲しみの涙によって墨が薄くなった」ことなどを表わすとされています。そのため、僧侶への謝礼であるお布施には薄墨は適していません。お布施の封筒には濃い墨を使いましょう。
お布施の封筒にボールペンを使ってよいですか
ボールペンを使うのはマナー違反とされています。お布施の封筒の表書きには筆ペンまたは筆を使って記入しましょう。
表書きを筆ペンで書くのが難しい場合は、「お布施」「お車代」「御膳料」など、印刷済みの封筒を使うのがおすすめです。ただし、中袋はボールペンを使ってマナー違反にはなりません。
お布施のお札は新札にすべきですか
お布施のお札は、新札でなくても問題ありません。ただし、お布施は感謝として渡すものなので、折りジワや汚れが目立つ紙幣は避けたいところです。
なお、香典の場合は新札を使用するのはマナー違反です。どうしても新札しか用意できない場合は、診察に折り目を付けて香典袋に入れてください。
お布施の封筒には水引がいりますか
一般的には、お布施の封筒に水引は不要です。水引は供養の意味を持つとされているため、僧侶への感謝として用意するお布施袋には使いません。
ただし、一部の地域ではお布施に水引を付ける場合もあります。水引の有無に迷う場合は、親戚や葬儀社など、お布施を用意した経験のある人に確認してみましょう。
お布施の書き方でダメなものはありますか
「お経料」など「料」の文字を使うのをよくないとする考え方もあります。お布施は、労働に支払われる料金ではなく、感謝の気持ちを表わすお礼だからです。意見の分かれるところなので、迷う時には「お布施」とするのがよいでしょう。
お布施の用意は基本を押さえてスムーズに
この記事ではお布施の封筒の選び方や書き方をご紹介しました。
お布施は白い封筒の上段中央に「お布施」と書き、その下に名前を書きます。お布施の金額や住所などは中袋に書くのが一般的です。表書きは筆ペンや筆で濃い墨を使って書きましょう。お車代や御膳料が必要な場合は別途封筒を用意します。
マナーが気になったり、迷う場合は、親戚や知人など詳しい人に相談するのがおすすめです。一度基本を覚えてしまえば迷うことは少なくなるでしょう。
弊社では、菩提寺などお寺とのお付き合いがない方に、全国一律価格で僧侶を手配いたします。お車代や心付けなども全て含まれた定額の手配料金ですので、安心してご依頼ください。