葬儀や法要を行い、故人とのお別れの時間を過ごす葬儀場。ひとくちに葬儀場といっても、運営する団体や設備・規模は施設によってさまざまです。葬儀をスムーズに執り行うためには、葬儀内容に合った葬儀場選びが欠かせません。
今回は、葬儀の準備を進めている方や葬儀場選びで迷っている方向けに、葬儀場や葬儀社の選び方・葬儀場を選ぶ際に注意すべきポイントなどを詳しく解説します。故人や遺族が希望する葬儀内容を叶えられるよう、事前の情報収集や準備を丁寧に行いましょう。
葬儀場とは
葬儀場とは、その名のとおりお通夜・葬儀・告別式などの葬儀一式や法要などを執り行う会場を指します。葬儀場・斎場・葬儀会館・セレモニーホールなど呼び方はさまざまですが、葬儀を執り行う施設という点ではどれも同じです。火葬場が併設されている葬儀場は、斎場と呼ばれることもあります。
葬儀場の種類
葬儀を行う会場は公営斎場や民営斎場などの葬儀場のほか、寺院・教会・自宅・ホテル・公共施設など多岐にわたります。それぞれに特徴やメリットがあるので、自分に合った会場を選びましょう。
公営斎場
公営斎場は、都道府県の自治体が母体となって運営する斎場を指します。民営の斎場に比べて利用料金が安く、葬儀費用を安く抑えられるのが特徴です。
葬儀場と火葬場が併設されている施設が大半で、お通夜から火葬までを同じ場所で済ませられるのも魅力のひとつ。式間の移動がなく、霊柩車の手配も不要になるため、参列者の身体的負担や移動にかかる費用を抑えられるでしょう。
一方、民営の斎場に比べると設備が簡易的な施設が多いため、場合によっては葬儀内容や演出が制限されるというデメリットもあります。自治体によっては故人や遺族がその地域に住んでいることが条件になっていることもあるため、利用を希望する方は事前にリサーチしておくとよいでしょう。
民営斎場
民営斎場とは、一般企業や団体が運営している斎場を指します。公営斎場よりも利用料金が高額ですが、設備が充実している施設が多く、ユニークな演出や大規模な葬儀を実現しやすいのが魅力です。
民営斎場は、すべての葬儀社を経由して利用できる貸し斎場と、葬儀社が保有する自社斎場の2種類に分けられます。自社斎場は葬儀社とセットで手配できるため、葬儀場を別で探す手間がかかりません。
寺院・教会
家族が代々お世話になっている菩提寺や、故人が通っていた教会を利用して葬儀を執り行うケースもあります。基本的には信者や顔見知りのみが利用できる形式で、普段から関わりのある宗教者のもとで宗教や宗派に則った葬儀を行えるのが魅力です。
ただし、寺院や教会は葬儀を行うための施設ではないため、設備面では一般の斎場に劣るというデメリットもあります。
自宅
自宅で葬儀を行う形式を「自宅葬」といい、自宅のリビングやダイニングに一時的に祭壇を設置して葬儀を行います。自宅葬は、故人やその家族が住み慣れた場所でアットホームな式を行えるのが魅力です。また、一般の葬儀場を使用しないため、葬儀場の利用料もかかりません。
自宅葬を執り行う条件として、自宅にある程度広いスペースがあること・棺が入るサイズのドアや廊下であること・霊柩車が駐車できるスペースがあることなどが挙げられます。騒音や線香の匂いが近所迷惑にならないよう、事前に周辺住民に許可を取ることも必要です。
なお、マンションや賃貸物件では自宅葬の許可が下りない場合があるため、事前に確認しておきましょう。
ホテル
ホテルでは焼香や線香を使用できないため、火葬後に行われるお別れ会や偲ぶ会で使用するのが一般的です。ホテルを会場とした場合、豪華な設備のもとで多様な演出を行えるほか、本格的な料理も用意することができます。参列者が宿泊しやすいのも魅力といえるでしょう。
集会所・公共施設
集会所や公共施設での葬儀は、住宅街にある地域住民の集会所や公共施設を間借りして行う形式になります。
一般的な斎場と比べて利用料が安いうえ、地域住民が参列しやすいというメリットがありますが、設備が不十分な施設が多く、演出や葬儀内容に制約が生まれやすいでしょう。
葬儀場の選び方
ここからは、葬儀場を選ぶときにチェックすべきポイントを解説します。どの項目を優先するかを考えながら、葬儀場選びを進めましょう。
利用料金で選ぶ
葬儀場を利用する際には、必ず利用料金が発生します。利用料金は葬儀場の種類によって異なり、公営斎場は5万円〜10万円、民営斎場は20万円〜40万円が金額の目安といわれています。利用料金を安く抑えたい方は、公営斎場を選ぶのがおすすめです。
また、簡易的な葬儀でも問題ない方や、とにかく利用料を抑えたいという方は、集会所や公共施設を選ぶのもひとつの方法です。
なお、弊社「1日葬・家族葬のこれから」で葬儀を執り行う際の式場利用料は、プラン料金内に含まれておりますのでご安心くださいませ。
※一部式場利用料の追加料金が発生する式場もあります。
設備の充実度で選ぶ
施設内の設備の充実度は、葬儀場を選ぶうえでもっとも重視すべきポイントといえます。希望の葬儀形態を行えるかどうか・会食を行う十分なスペースがあるか・音響設備が整っているかなど、重視したいポイントにあわせて葬儀場を選びましょう。
遺族や参列者にご高齢の方が多い場合は、バリアフリー面が充実しているかどうかも重要なポイントです。エレベーターやスロープがあるか、導線がスムーズで館内での移動距離が少ないかなどもチェックしておくことをおすすめします。
また、葬儀場内で快適に過ごすためにも、施設の新しさやきれいさ・控室の広さなどもあわせて確認しておくとよいでしょう。
施設の規模で選ぶ
葬儀場の規模が希望する葬儀形式や葬儀内容に適しているかどうかも、葬儀場選びの重要なポイントです。
参列者の人数や希望する祭壇の大きさに対して葬儀場が狭すぎると会場内が窮屈になってしまい、式をスムーズに行えません。とはいえ、反対に大きすぎる葬儀場を使用しても見栄えが悪くなってしまうため、希望の式に見合う最適な規模の葬儀場を選びましょう。
アクセスの良さで選ぶ
葬儀場へのアクセスや地理も、選ぶ際に必ずチェックしておきましょう。参列者に地域住民が多い場合は自宅の近くにある葬儀場を、遠方から参列する人が多い場合は交通アクセスの良い葬儀場を選ぶのがおすすめです。
また、駐車場の台数や火葬場からの距離も確認しておきたいポイントのひとつです。葬儀場と火葬場の距離が離れていると、移動の際に負担が大きくなる可能性があります。
宿泊可能かどうかで選ぶ
遠方から参列する方や故人と最後の一夜を共に過ごしたいという方は、葬儀場に宿泊するケースも珍しくありません。葬儀場への宿泊を検討している場合は、寝具の貸し出し・客室・シャワーなどの宿泊設備が整っているかどうかもチェックしておきましょう。
葬儀場選びで失敗しないためのポイント
満足感の高い葬儀を執り行うためには、式をスムーズに進められる葬儀場選びが大切です。葬儀場選びで失敗しないためには、事前の調査や準備が欠かせません。
事前に内見に行く
近年は生前に葬儀の準備を始めておく「終活」を行う人が増えています。施設によっては葬儀前に内見をさせてもらえることもあるため、自分の目で確認したうえで事前に葬儀場の見当をつけておくとよいでしょう。
身体が元気なうちに葬儀社や葬儀場を選んでおくと、いざというときにスムーズに葬儀準備を進められます。
身内でよく話し合う
葬儀社・葬儀場選びや葬儀のプラン決めでは、さまざまな項目を検討して素早い決断を下さなければいけません。葬儀後に後悔が残らないよう、家族同士でよく話し合ったうえで葬儀場を選びましょう。
第三者に相談する
葬儀場選びで悩んだ場合は、専門のスタッフに相談するのが一番です。葬儀社には豊富な知見や経験を持ったスタッフや葬祭ディレクターが常駐しているため、わからない点は気軽に相談し、もらったアドバイスを参考にしながら葬儀場を選びましょう。
葬儀社選びも大切
故人や遺族が希望する葬儀をスムーズに執り行うためには、葬儀場選びだけでなく葬儀社選びも重要です。葬儀の手配を進める際は、葬儀社選びを先に行い、葬儀形式や内容をある程度定めてから葬儀場選びを行いましょう。
葬儀社は故人が亡くなってから選ぶと時間に余裕が少ないため、できれば生前に決めておくことをおすすめします。
以下の記事では、葬儀社を手配する際に気を付けるべきポイントを詳しく解説しています。ぜひ、あわせてチェックしてみてください。
あわせて読みたい!
葬儀の準備
葬儀社手配で失敗しないための5つのポイント。選び方から費用相場まで基本を解説。
葬儀社の種類
葬儀社は、専門葬儀社・冠婚葬祭互助会・インターネット仲介・JAや生協などの種類に分かれます。なかでも、近年は格安プランを提供するインターネット仲介で葬儀社選びをする方も増えています。
専門葬儀社
専門葬儀社は葬儀を専門に行っている会社で、全国に展開している大規模な葬儀社から地域に密着した小規模の葬儀社まで形態はさまざまです。
大規模な葬儀社は自社の葬儀場を持っているケースが多く、葬儀場選びの手間を省けます。ご遺体の搬送・会食の手配・霊柩車の手配などをすべて一任したい方や、サービスの手厚さを求める方にも適しています。
冠婚葬祭互助会
冠婚葬祭互助会とは、特定の互助会の会員になり、月々の積立金を支払うことで冠婚葬祭のサービスを受けられるシステムのことです。
互助会を介して葬儀社を選ぶと通常より割安で葬儀社を利用できたり、積み立てた金額を葬儀費用に充てられたりします。
インターネット仲介
近年利用者が増えているのが、インターネット仲介の形式です。こちらはネット上の仲介会社が葬儀社と利用者のマッチングを仲介するもので、インターネット上から24時間いつでも申し込めます。
さまざまな葬儀社の提供するパッケージプランから希望の葬儀内容や規模に見合うプランを選択できるため、葬儀社を比較する手間がかかりません。ただし、格安のプランを選択した場合、葬儀内容に制約があったり追加費用が高額になったりするケースもあるため注意が必要です。
JAや生協など
JA(農業協同組合)や生協(生活協同組合)が運営・提供している葬儀サービスを利用するのもひとつの方法です。基本的には加入している組合員向けのサービスですが、条件によっては会員以外も利用できる場合があります。
JAや生協を介して葬儀を依頼した場合、専門葬儀社を利用するよりも葬儀費用を安く抑えられるケースが多いでしょう。
葬儀社を選ぶ前に決めておきたいこと
葬儀社を選ぶときは、事前に葬儀の形式や内容をある程度決めておきましょう。先に葬儀社を決めてから内容を考えるより、希望する葬儀の内容に合わせて葬儀社やプランを選んだ方がスムーズです。
予算を決めておく
葬儀のプランや形式を決定するためには、葬儀にかけられる費用を明確にしておく必要があります。
葬儀費用を50万円〜200万円程度用意できる余裕がある方は一般葬や家族葬、50万円前後で執り行いたい方は一日葬や直葬が適しています。
葬儀形式を決めておく
葬儀形式は、故人の生前の意志や交友関係の広さにあわせて最適なものを選びましょう。
家族や親しい人のみが参列する小規模な葬儀を希望する場合は家族葬・1日葬・直葬を、友人や知人などを幅広く招きたい方は一般葬がおすすめです。
宗派を決めておく
日本の葬儀でもっとも多く選ばれているのは仏式の葬儀ですが、神式(神道)やキリスト教形式で葬儀を行うケースもあります。
お布施や心付けなどの寺院費用をかけたくない方や、特定の宗教で葬儀を執り行いたくない方は、無宗教で葬儀を行うことも可能です。
よい葬儀社の見極め方
ここからは、葬儀社を選ぶ際にチェックすべきポイントを紹介します。葬儀準備から当日まで密に関わる葬儀社だからこそ、品質の高い葬儀社を選ぶことが重要です。
見積もりや料金を細かく説明してくれるか
葬儀内容を決める際には、複数の葬儀社から見積もりを取って比較検討する作業が欠かせません。その際、以下の2点を必ず確認してください。
- 見積書の内容がわかりやすく記載されているか
- プラン内容の詳細や追加費用の有無がしっかりと明記されているか
なかには葬儀後の精算で高額な追加費用を求められたり、見積書の内容と実際の葬儀内容にギャップがあったりするケースもあります。見積書の段階で料金や内容をていねいに説明してくれる葬儀社を選ぶことで、葬儀後のトラブルが発生しにくくなるでしょう。
希望の葬儀を叶えられるか
希望の形式や規模に沿った葬儀を執り行えるかどうかも、葬儀社選びの重要なポイントのひとつです。葬儀の規模・宗教形式・参列者数・演出など、細かい部分までしっかりと確認したうえで葬儀社を選びましょう。
スタッフの対応が丁寧か
葬儀社のスタッフとは、葬儀の準備から葬儀一式を終えるまで密に関わっていくことになります。なかには葬儀に関する専門的な説明がわかりにくかったり、低予算を希望するとあまりよい顔をしないスタッフに当たってしまったという方もいます。
気持ちよく葬儀を執り行うためにも、対応の丁寧さやコミュニケーションの取りやすさを必ずチェックしましょう。
経験豊富なスタッフがいるか
はじめての葬儀で不安な方や専門知識を持った人に相談しながら葬儀準備を進めたい方は、経験豊富なスタッフに相談できる葬儀社を選びましょう。
「葬祭ディレクター」という葬儀の専門資格を持つスタッフがいる葬儀社を探すのもおすすめです。
無理に契約を進めようとしてこないか
葬儀社のスタッフのなかには、営業の押しが強かったり契約を急かしてきたりする人もいます。大切な葬儀の内容をじっくりと検討するためにも、このようなスタッフに当たった場合ははっきりと断る姿勢が大切です。
歴史や実績がある葬儀社か
葬儀社選びで失敗したくない方は、希望する葬儀プランと似た葬儀例を持つ葬儀社や、その地域で長年営業している葬儀社を選ぶのもおすすめです。
歴史のある葬儀社であれば長年培ったノウハウを豊富に持っており、手厚いサポートを受けられる可能性が高いでしょう。
支払期日に余裕があるか
葬儀費用の工面に不安のある方やすぐにまとまったお金を用意するのが難しい方は、支払い期日が長めに設定されている葬儀社をおすすめします。
なかには分割払いやローン払いに対応している葬儀社もあるので、事前に支払い方法をチェックしておきましょう。
事前に葬儀社に相談をしておくのがおすすめ
故人が亡くなってから葬儀を執り行うまでの期間は数日程度と短く、短時間のうちにさまざまな重要事項を決めていかなければなりません。いざというときに迷ったりトラブルに巻き込まれたりしないよう、生前のうちに準備を進めておくことが大切です。
多くの葬儀社では、事前の無料相談や内見を受け付けています。事前に情報収集をしておくことで、葬儀にかかる費用や葬儀の流れを明確にできるほか、葬儀に関する疑問点もあらかじめ解消しておくことができるでしょう。
葬儀場選びは慎重に行いましょう
故人とのお別れの時間は短いからこそ、葬儀場や葬儀社は慎重に選ぶ必要があります。葬儀後に後悔が残らないようにするためにも、事前の情報収集や準備を丁寧に行いましょう。
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