病院や施設で亡くなられた場合は、安置場所へご遺体を移さなければなりません。病院の霊安室などは、長時間ご遺体を預けられないため、急に手配が必要になることもよくあることです。
この記事では、病院や施設で亡くなった場合のご遺体搬送について解説します。一般的な流れをはじめ、ご自分で運ぶことは可能なのか、遠方・海外で亡くなった場合の対応方法についても触れています。
さらに、ご遺体搬送の方法や費用なども解説しています。限られた時間のなか、ご自分に合った選択ができるよう参考にしてみてください。
病院でのご逝去からご遺体搬送の流れ
ここでは、ご逝去から搬送・安置までの一般的な流れをご紹介します。
病院で亡くなった場合、ご遺体は霊安室に移されます。霊安室は一時的な保管場所で、葬儀の段
取りが整うまで預けておくことはできないため、ご遺体搬送の流れはしっかりと把握しておきましょう。
葬儀社へ連絡する
死亡が確認されると、ご遺体は霊安室へ移され、遺族にはご遺体の引き取りを依頼されます。ご逝去が深夜であっても、急ぎの遺体搬送が必要となるのは珍しくありません。
多くの場合、遺族がご遺体を動かすのは難しいためプロに依頼することになります。遺体搬送だけを請け負う業者もありますが、依頼先は葬儀社であることがほとんどです。
葬儀を依頼する葬儀社が決まっている場合は葬儀社へ、決まっていない場合は葬儀社を速やかに決めなければなりません。葬儀社は基本的に24時間365日対応しているので、ご遺体の引き取りを依頼されたタイミングですぐに遺体搬送を依頼しましょう。
電話口では、ご逝去された方の名前・病院の名称・電話をかけている方の名前と連絡先・安置場所などを確認します。
弊社では、交通状況やご希望の地域によりますが、通常30分〜1時間程度でお迎えにあがります。03-6800-8990までお電話ください。お電話のご相談だけもお受けしています。
清算と死亡診断書の受け取り
葬儀社に連絡した後は、病院の会計窓口で清算を行い死亡診断書を受け取ります。領収証は後日必要になることもあるため、保管しておきましょう。
死亡診断書は担当の医師が作成します。死亡診断書は死亡した事実を医学的・法律的に証明する書類で、役所へ死亡届を提出する際に必要です。
氏名・性別・生年月日をはじめ、死亡した時間・場所・原因などが詳細に記されます。原本は役所に提出することになるので、コピーをとっておくと安心です。
お迎え
葬儀社へ連絡したあと搬送先が決まると、到着までの目安時間が告げられます。場所にもよりますが、お迎えの車が到着するまでの時間は、およそ1時間です。
お迎えには霊柩車ではなく、「寝台車」と呼ばれる遺体搬送専用の車が使われます。
搬送
ご遺体は病院から安置場所まで搬送されます。葬儀社のスタッフによって、ご遺体はストレッチャーなどに乗せられ、寝台車へと移されます。寝台車で移動する場合は、1~2名であれば遺族も同乗できる場合がほとんどです。
安置
ご遺体の搬送先である安置場所は、自宅・葬儀社や斎場・民間の安置所のいずれかです。
安置場所をどこにするかは、先に述べたように、葬儀社へ連絡した際に相談します。葬儀を行う場所や、葬儀までの時間なども踏まえて決められるのが一般的です。
安置に必要な処置や枕飾りなども葬儀社が行います。
なお、ご遺体搬送の流れだけでなく葬儀全体の流れも把握したい人は以下の記事もチェックしてみてください。全体の流れを確認することで、やるべきことが明確になり、よりスムーズに準備・進行できるでしょう。
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ご遺体搬送の一般的な料金相場
ここからは、一般的な料金相場について紹介します。ご遺体搬送の料金は、距離や地域、搬送する時間帯によって異なり、料金は大きく分けて「搬送料金」と「備品料金」に分かれています。
搬送料金
搬送料金は、移動距離や時間帯によって変動します。以下は一般的な料金相場の例です。
【近距離・中距離|搬送料金の目安】
~10kmまで | 1.2万円~2万円程度 |
10km~30kmまで | 2万円~3万円程度 |
距離ごとの加算額 | 10㎞ごとに3,000~5,000円程度 |
このとき、会社によって搬送料金に人件費が含まれない場合がある点に注意しましょう。搬送料金に人件費が含まれない場合、人件費が別途必要です。
なお葬儀プランなら、50kmまでのご遺体搬送費用はプランに込みとなっている場合がほとんどです。搬送だけを依頼する場合、プランの金額より割高になることもあります。
なお、夜間・休日の搬送や冬季に雪道を搬送する場合、割増料金・追加料金が設定される傾向があります。料金体系はエリアや葬儀会社によって異なるため、事前に見積もりを依頼するとよいでしょう。
弊社では、搬送料金も葬儀プランに含まれます。50kmまでは追加料金なしでご対応いたします。
備品料金
葬儀プランを利用せずご遺体搬送だけを依頼する場合は、搬送用の備品費用も別途必要となります。
主な備品とその料金相場は以下の通りです。
- ドライアイス10kg(1日分) 5,000~1万円
- 防水シート 4,000円~
弊社では、ご遺体搬送に必要な備品はすべて、葬儀プラン内に含まれます。安心してご依頼ください。
自分でご遺体搬送するのは可能?
自分でご遺体を搬送すること自体は法律的に問題ありません。しかし、生きている人とは体の状態が違うため、ご遺体搬送にはさまざまな注意点があります。ここでは、自分で搬送を行う際に必要なものや搬送に適した車両、法律上の注意点について解説します。
自家用車でのご遺体搬送は可能?法律違反?
自家用車でのご遺体搬送は可能です。法律でも、自家用車でご遺体を搬送することを禁じられてはいません。
ただし適切に搬送するためには、以下の点を認識しておく必要があります。
1.精神的負担
ご遺体をご遺族自ら搬送するのは、精神的に大きな負担となる可能性があります。ご遺体に触れた経験のある人は少なく、イレギュラーな自体などは予測しにくいものです。不測の事態も想定しておきましょう。
2.衛生面の問題
体液の流出をはじめ、衛生面で問題が起こる可能性もあります。防水シートや保冷剤など、ご遺体を保護しながら搬送する準備が必要です。
3.搬送作業の負担
大人のご遺体は大きく重く、簡単に動かせるものではありません。十分な人手と、ストレッチャーや担架といった専用の器具などがあるとスムーズです。
自家用車でのご遺体搬送は、以上の点を十分に考慮することが重要です。ご遺族自らご遺体を搬送することに法律上の問題はありませんが、衛生面や精神面でのリスクが伴います。また搬送に必要な準備を整えるのに費用もかかるでしょう。
一方で、葬儀社に依頼すれば時間や手間を最小限に抑えられます。可能であればプロに任せることが最善といえるでしょう。
ご遺体搬送に必要なもの
自分でご遺体を搬送する場合、いくつかの道具を揃える必要があります。これらはご遺体の尊厳を守り、衛生的かつ安全に搬送するために欠かせません。
担架やストレッチャー
ご遺体を安定して運ぶために、ご遺体を乗せる担架やストレッチャー、専用袋などを用意しましょう。体液流出による感染症対策などの観点から、ご遺体を移動する際は、できるだけ動かさないようにしなければなりません。
防水シート
ご遺体から体液や浸出液が出る場合があるため、水分が漏れないようにする対策が必要です。
移動用の車内を清潔に保つためにも防水シートを用意しましょう。
手袋など
体液の流出などの問題から、搬送中の衛生面の配慮が必要です。手袋なども用意しましょう。
死亡診断書
死亡診断書を携帯しておきましょう。死亡診断書なしでもご遺体の搬送はできますが、事件性を疑われかねません。
万が一警察に職務質問された場合など、死亡診断書を携帯していれば、犯罪ではないことを証明できます。
ご遺体を搬送できる車
自家用車を使用する
ご遺体搬送には自家用車を使用します。不測の事態で車内を汚す可能性も考えられるため、知人の車やレンタカーを使用することは避けましょう。
十分なスペースを確保する
ご遺体を寝かせた状態にできるだけの広さが必要です。ご遺体を助手席に座らせて運ぶわけにはいかないため、バンタイプの車やフルフラットにできる車を使用しましょう。
温度・衛生面
ご遺体を搬送する際は衛生管理も重要です。車内環境も整えておく必要があります。夏場はとくに、エアコンの機能に問題がないよう確認しておきましょう。
ご遺体の固定器具
寝台車はストレッチャーなどを固定できるようになっていますが、通常の自家用車にはその機能はありません。搬送中にご遺体が動かないよう、固定できる器具などを用意しておきましょう。
遠方へ長距離のご遺体搬送
遠方へご遺体を搬送する場合、時間や人件費がかかり過ぎるため飛行機を利用するほうがよい場合もあります。ここでは飛行機での長距離搬送、海外からの搬送方法についてご紹介します。
飛行機でのご遺体搬送
車や船でご遺体を搬送することが難しい場合や、ご遺体の搬送に時間がかかり過ぎる場合は、飛行機でご遺体を搬送します。長距離搬送となると、有料道路や深夜料金・人件費などの料金面・ご遺体保全の観点からも飛行機が利用されます。
このときに発生するご遺体搬送の料金は、距離に応じて決まるのが一般的です。飛行機でのご遺体搬送費用の目安は、15万円~35万円です。
航空会社の規定によって、搬送する際は納棺した状態で搬送します。棺の重さや大きさによって、追加費用がかかる場合もある点に留意しましょう。
なお、葬儀社や専門業者に依頼する場合、必要となるのは死亡診断書または死亡届です。空輸に必要な手続きは葬儀社がすべて代行してくれますが、遺族も飛行機で一緒に移動する場合は、航空券の手配は自分で行います。
海外のご遺体搬送
海外で亡くなった場合、遺族がご遺体を引き取りにいくのが一般的です。葬儀文化や考え方が日本と海外では異なるため、葬儀は現地ではなく日本で行う傾向があります。訃報からご葬儀までの一般的な流れは以下の通りです。
- 外務省から訃報を受ける
- 死亡した国の在外公館に連絡し必要な手続きを確認する
- ご遺体を引き取るため渡航する
- 本人確認をする
- 必要書類を用意する(パスポート・死亡診断書・防腐処理証明書・遺体証明書など)
- ご遺体のエンバーミング(防腐処理)を行ったのち納棺
- 通関手続きを経て出国、飛行機にて搬送
- 入国し安置先へ搬送
ご遺体の搬送は現地の在外公館スタッフに確認しながら進めます。なお、海外からのご遺体搬送にかかる費用の目安は、トータルで100万~150万円です。
外国人が日本で亡くなり海外へご遺体を搬送する場合も、同様の流れで行われます。
ご遺体搬送に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、ご遺体搬送に関してよくある質問をまとめました。できるだけご遺体搬送に関わる不安を軽減できるよう、ぜひチェックしてみてください。
ご遺体搬送は24時間対応してもらえますか?
弊社は年中無休で、24時間365日、ご遺体搬送に対応しています。
ご逝去の瞬間は、いつ訪れるかわかりません。病院・施設によっては早急なご遺体の引き取りが必要となる場合もあります。また、初めて身近な方を失うと、どうすればよいかわからない方も多いはずです。無料でご相談を受け付けておりますので、まずはお電話ください。
ご遺体搬送にはどんな法律・ルールがありますか?
ご遺体搬送に関連する法律は以下の2つです。
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(第三十条):特定の感染症で亡くなった場合、移動を禁止・制限する法律
貨物自動車運送事業法:霊柩運送事業を、認可を受けた事業者だけに限定する法律
インフルエンザなど、特定の感染症で亡くなった場合、ご遺体の処置を遺族が自由に決められません。
料金の支払いが発生する「業務」としてご遺体を搬送する場合、国土交通大臣の認可が必要です。
たとえばタクシーや通常貨物の配送業者ではご遺体を搬送できません。
ご遺体の搬送は「一般貨物自動車運送事業(霊柩限定)」の認可を受けた葬儀社や搬送業者にのみ、依頼が可能です。
ご遺体搬送に使われる車はどういったものですか?
ご遺体を搬送する車には「霊柩車」「寝台車」の2つがあります。通常、葬儀を終えたあと、ご遺体を火葬場まで搬送するのが霊柩車、ご逝去場所から安置場所まで搬送するのが寝台車です。
ペットの遺体搬送も依頼できますか?
ペットの遺体搬送は、ペットの葬儀を行っている業者に依頼できます。
小型犬や中型犬は遺体搬送をあえて業者に依頼する必要はありませんが、大型犬で自家用車がない場合は依頼するとスムーズでしょう。
ご遺体搬送はプロに任せて無理のないご葬儀を
この記事ではご遺体搬送の流れや費用についてご紹介しました。
ご遺族が自らご遺体搬送をすること自体は、法律違反ではありません。しかし、初めての葬儀を経験する人がご遺体の搬送を行うには、負担の大きい作業といえるでしょう。ご遺体を乗せられるサイズの車両や、ご遺体を運ぶための備品の用意も必要です。
大切な方を亡くした悲しみのなか、無理をしてまで自分でご遺体の搬送を行う必要はありません。葬儀を依頼する葬儀社が決まっていない場合は、搬送だけでもプロに任せるとよいでしょう。
ほかにも葬儀にまつわる疑問や不安などありましたら、まずは弊社までお電話ください。24時間365日、いつでも無料でご相談を受け付けております。