葬儀の基礎知識

 県外・遠方から遺体搬送をする際の費用と流れ、注意点を解説

県外・遠方から遺体搬送をする際の費用と流れ、注意点を解説

大切な方が遠く離れた場所で亡くなった場合、安置場所や葬儀場まで遺体を長距離搬送しなければなりません。遺体搬送の予備知識のないまま手配をするのは心もとないものです。搬送まで時間がかけられないことも多いため、おおよその費用や手順を知ったうえで進めると安心でしょう。

この記事では県をまたいだ遺体搬送を行う際の流れや費用などについてまとめました。海路・空路を使って県外から搬送する場合や、海外からの遺体搬送する場合についても触れています。県をまたいでの遺体搬送について把握しておけば、急な訃報に慌てず対応できるでしょう。

なお一般的な近距離の遺体搬送については、以下の記事で詳しくご紹介しています。

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県外からの遺体搬送費用の目安

この記事を要約すると

  • 隣接する県外へ遺体搬送する際の費用は目安は、約3万円です。100kmの距離になると、約4.5万円になります。移動距離が500kmを超える場合は飛行機での搬送が安くなるでしょう。
  • 県外から遺体搬送する際の流れは、一般的な遺体搬送と特別違いはありません。死亡診断書を受け取り、葬儀社を手配し、遺体搬送してもらうのを待ちます。
  • 県外から遺体搬送する際の注意点は、県をまたいだ長距離搬送に対応していない葬儀社があるので、事前に確認しておきましょう。

遺体搬送を県外から行う場合の費用は、移動距離と時間帯、業者などによって異なります。走行距離に応じた基本費用の目安は以下の通りです。

移動距離エリア例遺体搬送の目安金額
50km東京から神奈川・千葉など隣接県約3万~3.5万円
100km東京から静岡・茨城など約4.5万円
300km東京から愛知・福島など約11~13万円
500km東京から大阪・岩手など約15~20万円
700km東京から広島・青森など約21~32万円

走行距離に応じた基本料金で、人件費やドライアイスなどの費用が必要です。エリアによっては冬期の割増料金が必要です。また有料道路・フェリー・航空機などを利用する場合もそれぞれ実費が必要です。

県をまたいでの遺体搬送は長時間になることも多いので、時間帯によっては割増料金が必要になる場合があります深夜・夜間・早朝にあたるのは、以下の時間帯です。

区分時間帯
深夜22:00~5:00
夜間19:00~22:00
早朝5:00~8:00

全国霊柩自動車協会より

県外からの遺体搬送の流れ

県外からの遺体搬送の流れは、一般的な近隣の遺体搬送と基本的には変わりません大まかな流れは以下の通りです。

  1. 死亡診断書を受け取る
  2. 葬儀社を手配する
  3. お迎えを待つ
  4. 葬儀社によって搬送する
  5. 遺体を安置する

遠方への遺体搬送に対応できない葬儀社もあるため、搬送の距離については事前確認が必須です。病院で臨終となった場合は早急な搬送が必要となるので、搬送業者については早めに調べておきましょう。

臨終・葬儀社手配・遺体搬送から四十九日まで、葬儀の流れを以下の記事で解説しています。葬儀全体を把握しておけば、細々した選択もスムーズできるでしょう。

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県外から遺体搬送をする方法

県外から遺体を長距離搬送する方法は、車・船・飛行機の3つです。亡くなった場所や葬儀の場所や搬送所要時間などに応じて、船や飛行機が選ばれます。最も一般的なのは車で、船や飛行機を利用する場合でも車は必要となります。使用される車は、霊柩車ではなく寝台車です。

船や飛行機の場合、遺体は法律上は貨物扱いとなり、貨物料金に特別料金が加算されます。法律上は貨物扱いですが、実際は貨物ではなく遺体として丁重に扱われるため心配ありません。

県外から遺体搬送するための必要書類

県外から遺体搬送するために必要な書類は「死亡診断書」または「死体検案書」です。どちらも人の死を医学的・法的に証明する書類で、以下のような違いがあります。

死亡診断書●生前医師の診断を受けており、診療の傷病に関連して死亡したと判断される場合に発行
●病院またはかかりつけの担当医が発行
死体検案書●生前医師の診断を受けていない、診断とは異なる事由で亡くなった場合、死因が不明な場合などに発行
●警察の調査・解剖を経て警察医が発行

死亡診断書・死体検案書は、役所に提出する死亡届とセットになっています。死亡後7日以内に役所に死亡届を提出し、受理されると火葬・埋葬の許可を得られます。

県外からの遺体搬送の注意点

県外からの遺体搬送で、長距離・長時間の移送となる場合は注意が必要です。費用面の確認と搬送業者選定を丁寧に行いましょう。

長距離の遺体搬送費用を抑えるには

長距離の搬送費用を抑えるには、葬儀と遺体搬送を同じ葬儀社に依頼するのが妥当とされています。ただし遺体を迎えに行くまでの走行距離も費用に加算されるため、葬儀の場所とお迎え先が遠い場合は要注意です。搬送だけは迎え先の搬送業者に依頼する方が費用を抑えられる可能性もあります。

また先に述べた通り、遺体が病院の霊安室で仮安置されている場合、早急なお迎えが必要です。この場合、すぐにお迎えを手配してもらえる搬送業者を選ぶ必要があります。差し迫った状況で慌てないよう、手間はかかりますが、事前に複数社に見積もりをとって比較しておくとスムーズです。

搬送費用以外の費用を事前に確認しておく

県外からの遺体搬送では、車両の走行距離に応じた費用以外に以下の費用も確認が必要です。

  • ドライバーの人件費
  • 備品費用
  • 有料道路通行料
  • フェリーなどの運賃
  • 遺族の交通費

県外から遺体搬送をする場合、場所によっては高速道路や航路を利用します。有料道路やフェリーは実費がかかります。長時間の搬送では、ドライバーが2人必要となることもあり、この場合二人分の人件費が必要です。

移動のための運賃のほかには、ドライアイスなどの遺体を保存するための備品も必要です。すべて合わせて見積もりを確認しましょう。

さらに遺体と一緒に家族も移動する場合は、家族の交通費も必要です。人数やルート、時間帯によっても費用は大きく変わるため、事前に把握しておきましょう。

長距離の遺体搬送ができない場合がある

葬儀社によっては、県をまたいだ長距離のご遺体搬送に対応していないこともあります。葬儀社を探す時に、長距離搬送が可能かどうかの確認をしましょう。

飛行機や船での遺体搬送

車での搬送に時間や費用がかかり過ぎる場合や、海路・空路でしか搬送できない場合、飛行機や船を利用して遺体を搬送します。飛行機や船での搬送について解説します。

飛行機での遺体搬送の条件

飛行機で遺体を搬送するには、納棺済みでないと遺体を搭乗させられませんまた利用する便によっては、棺のサイズに制限がある場合もあります。

飛行機での遺体搬送の費用

飛行機を利用する場合の搬送費用の目安は15~35万円です。飛行機の運賃は一般貨物運賃の5割増し(JAL)で、距離によっても異なります。お迎え先から空港までと、空港から安置場所までの搬送費も別途必要です。大きい棺や重さ100kg以上の棺の場合、追加料金が発生します。

搬送距離が500kmを越える場合、飛行機を利用する方が費用が安くなる傾向があります。

船での遺体搬送

離島など、車だけでは搬送できない場合、船で移送することになります。船で遺体搬送する際の費用の目安は約15〜30万円です。船の運賃と搬送費用が別であることもあるため、見積もり額に含まれるものを確認しておきましょう。

海外からのご遺体搬送について

海外で亡くなった場合、本人確認や手続きなどを行うため、遺族が現地へ迎えに行かなければなりません。必要な手続き・書類などは国によって異なります。費用の目安や所要時間、海外から遺体搬送できないケースなどについて解説します。

海外からの遺体搬送の費用目安

海外から遺体搬送する場合の費用目安は、諸々の手続きを含め、おおよそ100万円~150万円程度を見ておくと良いでしょう。内訳は以下の通りです。

海外からの遺体搬送費の内訳項目費用目安
渡航費用(親族による遺体確認)約30万円
エンバーミング費用約15~25万円
搬送費用約15~50万円

海外から飛行機での遺体搬送では、エンバーミングといわれる遺体の防腐処置が必要です。エンバーミングでは、体内の血液を防腐剤に入れ替えます。消毒・殺菌をし、腐敗防止ができるため、安心して長距離の搬送を行えます。

海外からの遺体搬送の必要書類

海外から遺体搬送する場合、必要な書類がいくつかあります。

まず、遺族のパスポートが必要です。先に述べた通り、遺体搬送の前に遺体の確認のため遺族が渡航しなければならないことが理由です。通常パスポートは申請から交付まで1週間程度かかりますが、親族の死亡や病気などの場合、緊急発行してもらえます。

海外から遺体を搬送する際には、以下のような書類が必要です。

  • 故人のパスポート
  • 死亡診断書(死体検案書)
  • エンバーミング証明書

場合によっては、非感染症証明書・納棺証明書・遺体証明書などが必要になることもあります。不明点は現地の在外公館や国内での搬送を依頼する葬儀社などに確認しながら進めましょう。

海外からの遺体搬送にかかる時間

海外からの遺体搬送には、時間がかかります以下は、日本と海外の主な地域のフライト時間です。

出発国遺体搬送にかかる時間
韓国・中国2~5時間半
東南アジア 4~8時間
北米 10時間~14時間
ヨーロッパ 9時間半~13時間半
オーストラリア7時間~10時間
中近東 8時間~11時間

直行便の有無や乗り継ぎの状況などによって、搬送時間は異なりますまた、海外での遺体の安置場所から空港までの距離や交通の便によっても大きく左右されるため、搬送にかかる所要時間は一概にはいえません。

なおエンバーミングにかかる時間は2~4時間です。そのほか書類の手続きなどにも時間がかかるため、海外からの遺体搬送には1日以上の時間が必要となります。

海外から遺体搬送できないケース

以下のような理由から、海外からの遺体搬送ができないケースも稀にあります。

  • エンバーミングができない
  • エンバーミングが認められていない
  • 遺体の移送が認められていない

エンバーミングが認められていない国や、遺体の移送そのものが認められていない国などは、現地で火葬することになります。また事故や遺体発見などの遅れによって遺体の損傷が著しい場合も同様で、エンバーミングできないため遺体搬送が難しくなります。

県外や遠方からの遺体搬送は信頼できるプロに任せて安心の葬儀を

県外からの遺体搬送の費用は、距離や時間によって変わります。運賃以外にも人件費をはじめ必要となる費用について把握しておきましょう。

臨終後、病院の霊安室に仮安置されている場合などは、早急にお迎えが必要になります。遺体搬送についてはできるだけ早めに見積もりを確認しておきましょう。

また海外からの遺体搬送は、エンバーミングをはじめ通常の遺体搬送とは異なる部分があります。個々のケースで異なることも多いため、不安や疑問はプロに相談すると良いでしょう。

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