葬儀の基礎知識

献体の葬儀はどうなる?流れ・費用・遺骨が戻るまでの期間を解説

献体の葬儀はどうなる?流れ・費用・遺骨が戻るまでの期間を解説

大学の医学部・歯学部の学生や医師の解剖学実習のために提供される献体。亡くなった後の自分の体を医療の発展のために役立たせられるとして、生前に登録を希望する方が増えています。

今回は、献体に登録している方や登録を検討している方向けに、献体に登録している方が亡くなった際の葬儀方法や亡くなってから遺骨が戻ってくるまでの流れ、献体の登録方法などを詳しく解説します。一般の方の葬儀との違いを理解し、献体への理解を深めましょう。

この記事を要約すると

  • 献体とは、医学部・歯学部や医師の解剖学実習にご遺体を提供することを指します。医療の発展には、献体の存在が必要不可欠です。
  • 献体に登録している方が亡くなったら、遺族の同意を経てご遺体が引き渡されます。献体と火葬を終えて遺骨が戻ってくるまで、1〜3年ほどかかります。
  • ご遺体を献体に提供する方の葬儀は、引き渡し前の2日間ほどの期間内で行うか、引き渡し後にご遺体がない状態で行うか選択できます。ご遺体の搬送費用と火葬費用は献体の登録先が負担します。
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【早見表】献体登録者が亡くなってから遺骨が戻るまでの流れ

一般の葬儀と流れが大きく異なるため、全体像を時系列でまとめました。

タイミングすること
逝去直後献体の意思を家族で再確認/登録先へ連絡(氏名・登録番号など)
数日以内葬儀を「引き渡し前に行う」か「引き渡し後に行う」か決める
亡くなってから2日以内ご遺体を登録先へ引き渡し(死亡診断書の写し・印鑑・火葬許可証が必要)
引き渡し後防腐処置(数ヶ月〜半年)→解剖学実習
1〜3年後実習終了→火葬(立ち会える場合も)→遺骨の返還・遺骨返還式

※搬送費・火葬費は登録先が負担。葬儀を行う場合の葬儀費用は遺族負担です。

献体とは?

献体とは、大学の医学部・歯学部の解剖学実習や医師が研究のために行う解剖に対して、自分の死後の体を提供することを指します。献体は医学や医療の発展に欠かせない存在であり、献体の提供は原則無条件・無報酬で行われます。

日本では戦後に献体の認知活動が盛んになり、これまでも数多くの故人が自身の体を献体として提供してきました。献体としてご遺体を提供した場合は、ご遺体の搬送費用と火葬費用を登録先の大学や研究機関が負担することになります。

関連: 火葬とは?必要な手続きや流れ・費用を解説|注意点や当日のマナー

献体希望者が増えている理由

近年は「終活」によって死後について考える人が増えたり、献体に対する認知や理解が進んだりしたことによって、献体を希望する人が増えています。亡くなった後に少しでも社会や人の役に立ちたいという考えや、火葬費用を浮かせて家族にかかる経済的負担を少なくしたいという動機で献体を希望する方も多いようです。

献体登録者の数は大学や機関によって差があり、まだまだ登録者が不足しているところもあります。献体に興味を持った方は、お住まいの地域に献体を募集している大学や専門機関がないか調べてみてはいかがでしょうか。

献体の登録方法

献体を希望する場合は、生前に申し込みを行い、会員登録を完了させておく必要があります。興味のある方は、お住まいの地域に献体を募集している大学や機関があるか調べてみましょう。

希望の大学に申し込む

まずは、お住まいの地域にある医学部や歯学部のある大学、または関連機関などで献体を募集している団体を探してみましょう。登録したい団体が決まったら、問い合わせをして申込書を取り寄せます。

献体の申込書には本人の情報や捺印のほか、両親をはじめとした家族の同意の捺印・遺骨の変換先情報なども必要です。献体は本人の意志だけでなく、必ず家族の同意が得られなければなりません。

申し込みから登録完了までの流れはそれぞれの団体によって異なるため、申込先の案内に従いましょう。

献体登録証を発行する

献体の申し込みを行い、登録が完了したら、「献体登録証」というカードが発行されます。登録証には登録先団体や本人の基本情報、亡くなった際の連絡先・連絡方法などが記載されています。

この登録証は亡くなってから献体登録先にご遺体を引き渡す際に必要なほか、献体を希望しているという意思表示にもなるため、必ず身分証明書と一緒に持ち歩くようにしましょう。

献体に登録している方が亡くなったら

ここからは、献体に登録している方が亡くなってからご遺体の引き渡し、献体後に遺骨を受け取るまでの一連の流れを解説します。

献体意志の再確認

献体に登録している方が亡くなったら、はじめに献体意志をあらためて確認しましょう。

生前に献体登録をしていても、亡くなる前に本人の意志が変わったり、亡くなった後に家族の意志が変わったりするケースも考えられます。登録先に引き渡すためには、必ず家族が献体に同意していなければいけません。

引き渡し時期を決定する

献体に登録している方が亡くなり、登録先にご遺体を引き渡す場合、亡くなってから2日間以内に引き渡しを完了させるのが一般的です。

そのため、遺族はお通夜や葬儀・告別式を48時間以内に実施するか、先にご遺体を引き渡してからご遺体なしで葬儀を行うかをすみやかに選択しなければなりません。

献体登録先へ連絡

故人の献体の意志と葬儀の時期を明確にしたら、登録先に献体登録者が亡くなった旨を連絡します。

登録先には故人の氏名・住所や登録カードに記載されている登録番号などの情報を伝え、ご遺体を引き渡す日時についても詳しく相談しましょう。

書類手続き

献体登録先に連絡を入れたら、書類による手続きが行われます。こちらの手続きは、献体をすることに対してあらためて承諾を得るという意味合いがあります。

手続きの際には、死亡診断書の写し・印鑑・火葬許可証が必要なため、あらかじめ手元に用意しておきましょう。こちらの手続きは、ご遺体を引き渡すタイミングで行うケースもあります。

ご遺体の引き渡し

ご遺体の引き渡しは、献体登録先の団体と提携した葬儀社のスタッフが行います。

引き渡す場所とタイミングは、先に葬儀を行う場合は出棺時、後で葬儀を行う場合はご遺体の安置時が一般的です。引き渡されたご遺体は、献体登録先に搬送されます。

献体として解剖学実習へ

引き渡されたご遺体は登録先で防腐処理を施したあと保管され、献体として解剖学実習や手術練習に用いられます。

火葬

献体を用いた解剖学実習が終わったら、登録先の団体から実習が完了した旨と火葬予定に関する連絡が入ります。登録先によっては遺族が火葬に立ち会える場合もあるので、火葬に立ち会いたい方は希望を伝えてみましょう。

また、解剖を行った医学生・医師や団体関係者による慰霊祭が行われるケースもあります。

遺骨を受け取る

火葬が完了したら、遺族のもとに遺骨が戻ってきます。登録先の団体へ遺骨を受け取りに行くケースが一般的ですが、解剖を行った医学生や医師も立ち会って遺骨返還式が行われることもあります。

ご遺体を引き渡してから遺骨が戻ってくるまでの期間は、早くて1〜2年、長い場合は3年以上です。遺骨を受け取ったら、献体としての一連のプロセスは終了します。

献体する場合の葬儀方法

献体をする方が亡くなった場合の葬儀のタイミングは、ご遺体を引き渡す前か引き渡した後のどちらかを選べます。葬儀を行うタイミングによって葬儀内容や亡くなってからの流れが大きく異なります。

引き渡し前に葬儀を行う

ご遺体を献体登録先に引き渡す前に葬儀を行う場合、引き渡しの目安となる2日以内に葬儀を完了させなければなりません。亡くなった翌日にお通夜・翌々日に葬儀・告別式を行うスケジュールで、すみやかに葬儀準備を進めましょう。

時間に余裕がない場合や小規模な葬儀を執り行いたい方は、お通夜と葬儀・告別式を1日で行う「一日葬」を選ぶのもひとつの方法です。どちらにせよ、亡くなってから数日間は慌ただしくなることが予想されます。

関連: 一日葬とは?費用相場・流れ・後悔しない注意点を葬儀のプロが解説

引き渡し後に葬儀を行う

ご遺体を引き渡した後に葬儀を行う場合、時間に余裕を持って葬儀準備を行えるのがメリットです。慌ただしく葬儀準備をしたくない方や、遠方にいる親族が参列できる日程を選びたい場合は、引き渡し後に葬儀を行うほうが適しているでしょう。

ただし、すでにご遺体は引き渡されており、ご遺体がない状態で葬儀を行うことになります。棺のない葬儀となるため、一般的な葬儀の祭壇風景とは見た目が異なるかもしれません。

また、亡くなった直後ではなく、献体を終えて遺骨が戻ってきてからお別れの会や偲ぶ会を開くという方法もあります。

葬儀を行わないケースもある

ご遺体を献体として提供する場合、葬儀を簡略化してお通夜のみを行うケースや、葬儀自体を行わない選択をするケースもあります。

葬儀を行わない場合、葬儀費用がかからないため経済的な負担を抑えられます。しかし、故人とのはっきりとしたお別れのタイミングがなく、亡くなった実感が湧きにくい可能性もあります。

また、葬儀を行わなかった場合、菩提寺に納骨を断られることも考えられます。葬儀を行うかどうか決める際は、納骨までを見据えて判断するようにしましょう。

献体の引き渡し前後での葬儀の比較

引き渡し前に葬儀引き渡し後に葬儀
時期亡くなってから2日以内(通夜→告別式/一日葬)引き渡し後、日程に余裕をもって
ご遺体あり(通常の葬儀と同じ)なし(棺のない葬儀・遺影中心)
メリット故人と対面してお別れできる慌てず、遠方の親族も参列しやすい
注意点準備が非常に慌ただしいお別れの実感が湧きにくいことも

献体をした場合の葬儀費用

献体は提供した方に報酬や費用が一切発生せず、無償で行われます。献体としてご遺体を提供した場合、ご遺体の搬送費用と火葬費用は登録先の団体に全額を負担してもらえます。

火葬費用の相場は、公営の火葬場で無料〜5万円程度、民営の火葬場で3万円〜5万円程度です。ただし、火葬費用はかかりませんが、葬儀を行う場合の葬儀費用は通常どおり遺族負担となるため注意が必要です。

以下の記事では、葬儀にかかる費用の相場や内訳、安く葬儀を行うためのポイントを解説しています。ぜひ、あわせてチェックしてみてください。

関連: 葬儀費用の相場はいくら?平均総額・内訳まで徹底解説

献体に登録する場合の注意点

ここからは、献体に登録する場合や、献体に登録している方が亡くなった際に注意すべきポイントを解説します。

家族の同意が必要

大前提として、献体として提供されるには本人や家族・遺族の同意を必ず得られなければなりません。もし生前に家族の同意を得て献体の登録をしていたとしても、亡くなった後に遺族の誰かが反対した場合は、登録先に引き渡すことはできなくなります。

献体の登録を検討している方は、生前に家族とよく話し合っておき、自分の意志を理解してもらうことが大切です。

ご遺体が戻ってくるまで時間がかかる

ご遺体を引き渡してから献体を終えて遺骨が戻ってくるまでにかかる時間は、明確に定められていません。

引き渡されたご遺体はすぐに献体として用いられるのではなく、はじめに数ヶ月から半年ほどかけて防腐処置が施され、その後大学のカリキュラムやスケジュールなどに合わせて解剖実習が行われます。

実習は長期間にわたって行われることが多く、火葬を終えて遺骨が戻ってくるまでの目安は早くて1〜2年、長ければ3年以上かかるケースもあります。

ご遺体を2日以内に引き渡す必要がある

献体として提供されるご遺体は、腐敗や状態の悪化を防ぐためにできるだけ早く引き渡す必要があります。引き渡しの目安は亡くなってから2日以内とされており、引き渡し前に葬儀を行う場合は、かなり慌ただしくなることが予想されます。

葬儀のときに火葬場でのお別れができない

亡くなった方が献体として提供される場合、献体としての役目が終わるまでは火葬が行えません。火葬場で最後のお別れができないことで、遺族が気持ちの整理をつけにくいケースも考えられます。

また、献体を終えて遺族の元に遺骨が戻ってくるまでには数年程度かかるため、故人が亡くなったことを実感しにくい方もいるでしょう。

献体登録に条件がある場合がある

献体を募集している大学や関連機関は数多くありますが、それぞれの団体が登録にあたって条件を設けていることがほとんどです。

なかでも年齢制限が設けられているケースが多く、成人から登録できる団体もあれば、60歳や70歳以上でなければ登録できない団体もあります。また、既往症や手術の経歴があると、登録を断られることもあります。

死亡届の提出方法が異なる

人が亡くなったら、7日以内に死亡届と火葬許可申請書を自治体の窓口に提出し、火葬許可証を受け取らなければなりません。

これらの申請書類は病院で受け取った死亡診断書をもとに記入しますが、献体として提供される予定の方は、一般の方と記入方法が一部異なります。

献体として提供される予定の方は、火葬日時の欄を「未定」とし、窓口の職員に献体として提供される予定である旨を伝えましょう。また、受け取った火葬許可証は火葬を行う献体登録先の団体に引き渡す必要があります。

献体を断られるケースもある

生前に献体に登録していたとしても、亡くなった際に必ず献体として提供できるわけではありません。亡くなった方の親族が誰もいなかった場合や遺族の誰かが献体に同意しなかった場合はもちろん、ご遺体の状態によって献体を断られることもあります。

<献体を断られるケース>

  • 親族が1人もいない
  • 遺族の同意を得られなかった 
  • 遺体の状態が悪い(腐敗が進んでいる・外傷がある・手術前後であったなど)
  • 感染症に罹っている
  • 臓器提供をしたことがあるまたはする予定がある
  • 死因が自殺
  • 遠方で亡くなり、搬送できない

献体をした場合の香典対応は?

一般の方の葬儀も献体をする方の葬儀も、基本的に葬儀内容は変わりません。そのため、献体をする方の葬儀でも、通常と同じように香典を受け取ってかまいません。もし受け取った場合は、必ず香典返しを用意しましょう。

ただし、献体をする方の葬儀は親族のみを招いて小規模で行われることも多く、香典を辞退するケースも珍しくありません。香典を受け取るかどうかは、喪主や遺族の判断に委ねられます。

献体と葬儀に関するよくある質問

弊社にも献体する場合の葬儀をどうするかのご質問をいただきます。よくあるお問い合わせをまとめましたので、参考にされてください。

なお弊社では、葬儀や法事などの葬儀後についても、24時間365日・全国対応しております。些細なことでもお困りごとありましたら、いつでもお問い合わせください。

献体をすると、お葬式はできないのですか?

できます。ご遺体を引き渡す前の2日以内に通夜・告別式(または一日葬)を行うか、引き渡した後にご遺体のない状態で葬儀を行うか、遺骨が戻ってからお別れ会を開くかを選べます。

葬儀を簡略化したり行わない選択もできますが、菩提寺に納骨する予定がある場合は事前に相談しましょう。

献体の費用は本当にかからないのですか?

献体そのものは無償で、ご遺体の搬送費用と火葬費用は登録先の大学・研究機関が負担します。ただし、葬儀を行う場合の葬儀費用は通常どおり遺族の負担です。

また搬送距離が長い場合などは、搬送費の一部を遺族が負担することもあるため、登録先に確認しましょう。

遺骨はいつ戻ってきますか?

ご遺体を引き渡してから遺骨が戻るまでは、早くて1〜2年、長い場合は3年以上(目安として1〜3年)かかります。防腐処置に数ヶ月〜半年、その後に解剖学実習が行われるためです。火葬に立ち会える場合や、遺骨返還式が行われる登録先もあります。

家族とよく話し合って決めましょう

解剖学実習や手術練習のために提供される献体。医療の発展やこれからの医療を担う学生に役立つことができますが、亡くなってからの流れや葬儀の方法など、一般の方と異なる点が数多くあります。

なかには故人とのお別れの実感が湧かないと感じる方もいらっしゃるため、献体に登録するか考えている方は、登録前に家族とよく話し合うことが大切です。

弊社では、価格を抑えたプランパックでの葬儀をご用意しています。参列人数に応じた広さの式場で、現代に合わせたシンプルな葬儀を行えます。依頼・相談は24時間365日受け付けているので、興味をお持ちの方はぜひお気軽にご相談ください。

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