家族葬に参列することになったものの「香典を持参すべきか」「何を贈れば良いのか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。近年、家族葬が増えつつあるため、香典の扱いに戸惑うことはよくあります。
本記事では、家族葬における香典の代替品について詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
この記事を要約すると
- 家族葬で香典の代わりになるものは「供花」「線香」「果物」「お菓子」「ろうそく」「水・お茶・お酒」が挙げられます。仏教形式の葬儀であれば、線香が選ばれることが多いです。
- 家族葬で香典の代わりを贈る場合のマナーは、遺族に意向を確認しましょう。香典のみならず、供物を辞退される場合もありますので、事前に確認するのが無難です。また、品物には、弔事用の水引のかけ紙をつけましょう。
- 香典以外で受け取った際でもお返しかどうかは、お返しをするのが一般的です。いただいた物の半分から1/3程の金額でお返しをしましょう。
家族葬における香典の意味
家族葬における香典の意味は、一般的な葬儀と同様に故人への弔意を表すものです。とくに、家族葬においては、遺族が香典を辞退するケースも増えています。
そのため、香典の扱いは遺族の意向を尊重することが最も大切です。香典を通じて弔意を表すか、別の方法で哀悼の意を示すかは、遺族の希望に沿って判断すべきでしょう。家族葬の香典についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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家族葬において香典の代わりになるもの
家族葬で香典の代わりになる品物について、6つの選択肢を紹介します。
- 供花(きょうか)
- 線香
- 果物
- お菓子
- ろうそく
- 水・お茶・お酒
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 供花(きょうか)
香典の代替品として、供花が挙げられます。供花も香典と同様、故人を偲び、遺族への弔意を表す意味がある品物です。
供花は、宗教によって適した花の種類が異なるため、事前に確認することが重要です。各宗教における、望ましい供花の種類は以下の表を参考にしてみてください。
宗教 | 花の種類 |
---|---|
仏教 | ユリ・蘭・菊・カーネーション等 |
神道 | 白菊・ユリ・カスミソウ・カーネーション等 |
キリスト教 | カーネーション・ユリ・胡蝶蘭等 |
供花の相場は、1~3万円で、基本的には白系の花が適しています。香りが強すぎたりトゲがあったりする花は、供花として適切ではない点も留意しましょう。
また、家族葬においては、供花を辞退しているケースもあるため、必ず遺族の意向を確認することが大切です。
2. 線香
線香は、とくに仏教の葬儀において意味深い贈り物で、香典の代わりとして線香が選ばれることもあります。線香の種類には棒状や渦巻き型があり、香りもさまざまです。
具体的な線香の種類は、以下のとおりです。
種類 | 特徴 |
---|---|
白檀(びゃくだん) | ⚫︎爽やかで甘味のある落ち着いた香り ⚫︎緊張や不安を和らげる効果があるとされる ⚫︎アロマセラピーでも使用される人気の香り |
沈香(じんこう) | ⚫︎常温ではあまり香りがせず、燃やすことで香りを楽しむ ⚫︎高ぶる気持ちを抑える効果があるとされる |
伽羅(きゃら) | ⚫︎沈香の一種で、最高級とされる香り ⚫︎樹脂を多く含み、そのままでも良い香りを醸し出す |
線香の相場は、故人が友人の場合は5,000円~1万円で、親族の場合は1~5万円です。ただし、仏教以外の宗教では適さないため、線香を贈る際は遺族の宗教や希望を確認しましょう。
3. 果物
果物は、供物として適しており、実用的で日持ちが良いため家族葬でも喜ばれる選択肢です。とくに、どの宗教においても果物は問題ない点も大きな魅力と言えるでしょう。果物の相場は、1~2万円です。
果物を選ぶ際のポイントは、故人の好みや季節を考慮することです。具体的には、りんごやみかん・梨などがよく選ばれます。
果物の個数は、偶数ではなく奇数がふさわしいことも大切なポイントです。偶数は、割り切れる数であるため「故人との縁が切れる」ことを連想させるためです。
果物を贈る際は、専用の化粧箱に入れ、のし紙を付けるなど丁寧な包装を心がけると良いでしょう。
4. お菓子
お菓子は、家族葬において香典の代替品として適しています。日持ちが良く実用的なため、遺族に喜ばれる選択肢のひとつです。
お菓子は宗教を問わず贈れるため、宗教が不明な場合でも安心して贈れます。なお、お菓子の相場は、2,000~3,000円です。
お菓子を選ぶ際は、故人の好みや季節を考慮しましょう。
5. ろうそく
香典の代替品として、ろうそくが送られるケースがあります。ろうそくは、仏様の慈悲を象徴し、故人と世の中の心を照らす意味があるとされています。
ただし、神道やキリスト教の葬儀では適さないので、必ず宗教を確認してから贈りましょう。そのため、ろうそくを選ぶ際は、遺族の意向や故人との関係性を考慮することが重要です。
6. 水・お茶・お酒
香典の代わりに、故人を偲ぶ飲み物を供えることがあります。故人の生前の好みを反映した飲み物を選ぶことで、個人的な追悼の意を表せます。
常温保存可能な飲料を選ぶと、遺族の管理の手間が省け、負担を軽減できるでしょう。ただし、宗教によって適切な飲み物が異なるため、注意が必要です。
宗教 | 適切な飲み物 |
---|---|
仏教 | 水やお茶が一般的で、アルコール類は避けるべき (浄土真宗では水を使わない考え方もある) |
神道 | 日本酒を供えられる |
遺族の宗教観や好みを尊重しつつ、故人を偲ぶのにふさわしい飲み物を選びましょう。
家族葬で香典の代わりのものを渡す際のマナー
家族葬で香典の代わりの品物を渡す際のマナーについて、5つのポイントを紹介します。
- 遺族の意向を確認する
- かけ紙をつける
- 宗教や宗派に配慮する
- 日持ちする品物を選ぶ
- 表書きに注意する
それぞれ詳しく解説します。
1. 遺族の意向を確認する
家族葬では、遺族が香典や供物を辞退する場合があるため、何かを贈る前に必ず遺族の意向を確認することが重要です。遺族の希望を尊重し、負担をかけないよう配慮しましょう。
香典の代わりに品物を贈ることを提案し、承諾を得てから手配するのが無難です。遺族の意向に沿わない行動は、かえって迷惑になる恐れがあることに留意しましょう。
家族葬におけるマナーについて、詳しく知りたい人は以下の記事も参考にしてみてください。
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葬儀のマナー
【家族葬のマナー完全ガイド】参列基準・香典・服装のポイント
2. かけ紙をつける
香典の代わりに品物を贈る際は、かけ紙を付けます。
かけ紙には弔事用の水引(黒白の結び切り)を使用して、表書きは宗教や宗派に応じて適切なものを選びましょう。仏教の場合、四十九日前は「御霊前」、四十九日後は「御仏前」と記します。
なお、表書きは薄墨で書くのが一般的です。かけ紙の選び方や書き方が分からない場合は、葬儀社や専門店に相談しましょう。
3. 宗教や宗派に配慮する
故人の宗教や宗派によって、適切な供物や表書きが異なります。たとえば、仏教では線香やろうそくが一般的ですが、ほかの宗教では適さない場合があります。なお、仏教でも宗派によって供物の種類が異なることがあるため、注意が必要です。宗派と供物の相違を防ぐには、事前に故人の宗教や宗派を確認し、適した品物を選ぶことが大切です。宗教や宗派が不明な場合は、果物やお菓子など汎用性の高い品物を選びましょう。
4. 日持ちする品物を選ぶ
香典の代わりに食品を贈る場合は、保存性の高い品物を選ぶことが重要です。仏壇に数日間お供えすることを考慮し、常温で保管可能な品を贈りましょう。たとえば、個包装のお菓子や日持ちする果物が適しています。反対に、生菓子や冷蔵保存が必要な食品は避けましょう。
5. 表書きに注意する
香典の代わりに品物を贈る際も、かけ紙に適切な表書きをすることが大切です。表書きは宗教や宗派によって異なるため、事前に確認が必要です。表書きの書き方は以下のとおりです。
宗教 | 表書き |
---|---|
仏教 | 通夜や葬儀時は「御霊前」四十九日以降は「御仏前」ただし、浄土真宗では常に「御仏前」を使用する |
神道 | 「御玉串料」や「御榊料」 |
キリスト教 | 「御花料」 |
また、四十九日法要より前の場合、表書きの文字は薄墨で書くのがマナーです。表書きを薄墨で書くことには、突然の訃報で墨をする準備がままならなかったという意味が込められています。
表書きの書き方について不明な点がある場合は、葬儀社や専門店に相談するのもひとつの方法です。
家族葬の香典におけるよくある質問
遺族側と参列者側それぞれの立場で、家族葬の香典に関する疑問を3つ紹介します。
- 香典以外の品を受け取った場合でもお返しは必要?【遺族側】
- 頂いた品物はどのように処理する?【遺族側】
- 香典を辞退されたらどうする?【参列者側】
ぜひ、参考にしてみてください。
1. 香典以外の品を受け取った場合でもお返しは必要?【遺族側】
香典の代わりに供花や供物などを受け取った場合でも、お返しの品を用意するのが一般的です。頂いた供物の半分から1/3程度の金額で、お返しを選びます。ただし、お返しは不要という考え方もあるので、判断に迷う場合はさまざまなケースを経験している葬儀社に相談するのがおすすめです。
2. 頂いた品物はどのように処理する?【遺族側】
頂いた供物は、品物の種類や状態に応じて、丁寧に扱うことが大切です。供花は葬儀後に処分するか、一部を持ち帰って供養に使用します。
供物の食品類は、参列者で分け合うのが一般的です。ろうそくや線香などは、仏壇や墓参りの際に使います。
高級な果物セットを受け取った場合、参列者で分け合うのが良いでしょう。そのほか、頂いた品物の扱い方に迷ったら、葬儀社や宗教関係者に相談するのがおすすめです。
3. 香典を辞退されたらどうする?【参列者側】
遺族が香典の受け取りを辞退している場合は、遺族側の意向を尊重し、無理に渡そうとしないことが大切です。
代わりに弔電を送ったり、お悔やみの手紙を書いたりすることで弔意を表せます。後日弔問に訪れる際は、お花や日持ちのする食品などを持参するのもひとつの方法です。
何よりも大切なことは、遺族の負担にならないよう配慮しながら、故人を偲ぶ気持ちを伝えることです。親しい友人の場合は、後日自宅を訪問し、日持ちのする食品を持参するのも良いでしょう。
ご遺族の意向に沿って家族葬の香典の代わりになるものを選びましょう
家族葬における香典の代替品選びは、遺族の意向を第一に考えることが大切です。香典の代わりとなるお供え物には、供花や線香・果物など、さまざまな選択肢があります。故人との関係性や宗教を考慮して品物を選ぶことが大切です。
遺族の負担にならないよう、日持ちの良さや処理のしやすさを基準に選ぶのも良いでしょう。マナーを守りつつ、故人を偲ぶ気持ちを込めて選ぶことで、心のこもった弔意を表せます。
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