「ご逝去」とは人が亡くなったことを意味する言葉の一つで、「死亡」の敬語表現です。身内が亡くなったときは「死亡」、身内以外の人が亡くなったときは「逝去」と言葉を使い分けます。
今回は、近親者が亡くなったときにするべきことを知りたい方向けに、臨終を迎えて亡くなってからの流れや必要な手続きなどを詳しく解説します。訃報の適切な伝え方や、電話・メール・手紙で訃報を受けた際のお悔やみの伝え方も例文を用いながら紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
逝去と死去の違いとは?
「逝去」という言葉は、「死去」の敬語表現です。逝去と死去はどちらも人が亡くなったことをあらわす言葉ですが、自分から見てどの立場にある人が亡くなったかによって両者を使い分けます。
一般的には、家族や親戚などの身内が亡くなった場合は「死去」、それ以外の第三者の死を指す場合は「逝去」を用います。文章で表現する場合は「ご」を付けて「ご逝去」とすることが多く、この場合の二重敬語についてはとくに問題視されません。
以下ではそれぞれの言葉を使った例文を紹介しているので、使い分けや活用方法に悩んだ方はぜひ参考にしてみてください。
「逝去」
- 学生時代にお世話になった教授がご逝去されました。
- お母様のご逝去の報に接し、心よりご冥福をお祈りいたします。
- 〇〇様のご逝去を悼み、謹んでお悔やみを申し上げます。
「死去」
- 昨日、私の祖父が闘病の末に死去いたしました。
- 弊社の役員が死去しましたことをご報告いたします。
逝去と似た意味を持つ言葉
「逝去」や「死去」のほかにも、人が亡くなったことをあらわす言葉はいくつかあります。それぞれ意味や使い方が少しずつ異なるうえ、「死」というワードを直接使わずに伝えられる言葉もあるので、シーンにあわせた適切な言葉選びをしましょう。
- 「永眠」
- 意味:永遠の眠りにつくという意味で、主に書き言葉で用いられる。
- 例文:長い闘病の末、昨日母が永眠いたしました。
- 「他界」
- 意味:死後に別の世界に行くという仏教的な考え方に基づいた表現。
- 例文:昨日、町内会長が他界されました。
- 「急逝」
- 意味:元気に活動していた人が不慮の病気や事故などで急に亡くなった場合を指す書き言葉。若い人に使うことが多い。
- 例文:息子の〇〇が昨日急逝いたしました。
- 「急死」
- 意味:「急逝」よりもややくだけた表現で、主に話し言葉で用いられる。
- 例文:兄が突然倒れて急死しました。
- 「亡くなる」
- 意味:「死ぬ」の尊敬表現で、相手を問わず幅広く活用可能。主に話し言葉で用いられる。
- 例文:夫が心不全によって亡くなりました。
- 「息を引き取る」
- 意味:息が途絶えることで亡くなったことを表現する言葉。闘病の末に亡くなった場合に用いられることが多い。
- 例文:かねてより療養中だった姉が、昨日息を引き取りました。
- 「昇天」
- 意味:命が天に召されるという、キリスト教的な死の表現方法。
- 例文:妻は幼い娘を残して昇天しました。
身内が亡くなったあとに行うこと
家族や身内が亡くなったあとは、ご遺体の処置・役所での手続き・訃報の連絡などをすみやかに行わなければなりません。突然のお別れで深い悲しみにくれている方や気持ちの整理ができていない方もいるかもしれませんが、家族や親戚同士で助け合いながらそれぞれに対応しましょう。
なお、葬儀に関わる全体の流れは以下の記事で解説しているので、あわせてチェックしてみてください。
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末期の水
末期の水(まつごのみず)は、逝去した人の口元に水を含ませて濡らす仏教由来の儀式です。「あの世へ旅立つときに喉が乾かないように」という願いが込められており、濡らした脱脂綿を故人の口元にあてて感謝やねぎらいの思いを伝えます。
場合によっては臨終後すぐではなく、ご遺体を安置したあとや納棺の前に行うこともあります。
エンゼルケア
エンゼルケアとは、ご遺体をきれいに整えたり腐敗による感染症を防止したりするために行う死後処理のことです。看護師・納棺師・葬儀社スタッフなどのプロの手によって洗髪・髭剃り・清拭・着替え・死化粧などをほどこし、故人の体を清めて安らかな表情へと整えます。
なかには闘病生活が長かった方や怪我・事故で体に傷を負った方など、亡くなる際に元の姿から大きく変化してしまった方もいるかもしれません。エンゼルケアを行うことによって、生前の元気だったときの姿に少しでも近付けることができるでしょう。
書類の受け取りや提出
亡くなってからすぐに対応しなければならないのが、死亡届と埋葬許可申請書の作成と提出です。故人が病院で息を引き取った場合は医師が作成した「死亡診断書」を、自宅で臨終を迎えた場合は警察が作成した「死体検案書」を受け取り、その情報をもとに2つの書類を作成して提出します。
提出先は、故人の本籍地がある場所・住民票がある場所・亡くなった場所のいずれかに該当する自治体の役所と定められています。どちらも亡くなってから7日以内の提出が義務付けられている書類ですが、とくに埋葬許可申請書は葬儀・火葬を行う際に必要なため、すみやかに提出しましょう。
なお、弊社では埋葬許可申請書の手続きをプラン料金内で代行いたしますので、ぜひお気軽にお任せください。
葬儀社の決定
書類の対応と同じくすぐに動き出さなければいけないのが、葬儀の準備です。一般的に葬儀は故人の死後数日後に執り行うため、亡くなったらすぐに葬儀社を決定して連絡を入れる必要があります。
故人が生前のうちに葬儀の希望を伝えていた場合やエンディングノートを用意していた場合は、その意向に沿って葬儀社や葬儀内容を決定しましょう。普段からお世話になっている葬儀社や決まった宗派がある方は、それにあわせて葬儀の手配を行ってください。
以下の記事で、葬儀社の選び方や葬儀の準備についてさらに詳しく解説しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
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ご遺体の搬送・安置
故人が病院や介護施設で息を引き取った場合、一時的に霊安室にご遺体を安置することができますが、長期間預け続けることはできません。そのため、葬儀が始まるまでの安置先をすみやかに手配する必要があります。一般的に安置所として用いられるのは、葬儀社・斎場・自宅・民間の安置所などで、葬儀社に連絡をすると手配を代行してもらうことが可能です。
ご遺体の安置先が決まったら寝台車で搬送し、安置先でご遺体の保護や処置を行います。自宅で亡くなった場合はそのまま自宅に安置することがほとんどですが、この場合も専門業者によるご遺体の保護や処置は欠かせません。
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訃報の連絡をする
家族や近親者が亡くなったら、故人と生前関わりのあった人をはじめとした関係各所に訃報の連絡を行います。なかでも親族や親しい間柄だった人には、すみやかに伝えるようにしましょう。
ここからは、訃報を伝える際に適切な方法や伝え方を例文を用いながら詳しく解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
連絡する範囲・タイミング
訃報を伝える範囲は家族や親族をはじめ、友人・勤め先・遺族の関係者など多岐にわたります。あらかじめ亡くなった際に連絡する相手のリストを作成しておくと、いざ連絡をするとなったときに便利です。
<連絡する範囲(優先順位順)>
- 家族・親戚・近親者
- 友人・親しい間柄の人
- 知人・故人の勤め先・故人の通っている学校
- 遺族の関係者
- 近所に住む人・自治体や町内会の関係者
訃報を伝えるタイミングは、故人との関係性によって異なります。弔問に訪れる家族や親戚には、亡くなってからすぐに伝えるのが一般的です。そのほかの間柄の人には、葬儀の日程が決まった後に葬儀の案内とともに送ります。
連絡方法
故人の訃報を伝える手段として、電話・メール・書面・死亡広告の4種類が挙げられます。それぞれメリットやデメリットがありますが、訃報は一刻も早く連絡をする必要があるため、電話を用いるのが一般的です。
電話とメールのどちらも繋がっている相手に連絡を取るときには、電話で要件を伝えたあとに詳細をメールで送るという方法もあります。電話が通じなかった場合や優先度の低い相手へ連絡する場合は、電話の代わりにメールを使って連絡を入れましょう。
- 電話:もっともすみやかに連絡が取れる
- メール:電話と併用したり、大人数に一斉に連絡したりするのに最適
- 書面:手紙やはがきを送る方法。現代ではあまり用いられない
- 死亡広告:地域の人や不特定多数の人に伝えたい場合に用いる
連絡内容
訃報の連絡をする際は、故人が亡くなった日時・葬儀の日程・喪主の連絡先などを簡潔にまとめて伝えるようにしましょう。目上の方であっても、時候の挨拶は入れないのがマナーです。また、メールの場合は句読点を使わないように注意してください。
以下では訃報を伝えるときの例を記載したので、ぜひ参考にしてみてください。
<電話の場合>
「〇〇の息子の〇〇でございます。父の〇〇が昨夜未明に〇〇病院で亡くなりました。葬儀の日程や今後については、決まり次第あらためてご連絡いたします。」
「〇〇の妻の〇〇です。主人の〇〇が一昨日息を引き取りました。つきましては通夜を◯月◯日◯時より、告別式を◯月◯日◯時より、〇〇斎場にて仏式で執り行います。何かありましたら、私の携帯電話までご連絡ください。」
<メールの場合>
件名:【訃報】〇〇他界のお知らせ
本文:
かねてより病気療養中のところ母の〇〇が◯月◯日◯時◯分に他界いたしました
享年◯歳でした
ここに故人が生前賜りましたご厚誼を深謝し謹んでお知らせいたします
通夜ならびに葬儀・告別式は仏式にて下記の通り執り行います
1.通夜:◯月◯日(◯)午後17時〜
2.葬儀告別式:◯月◯日(◯)午前10時〜11時
3.斎場:〇〇斎場(住所/電話番号)
4.仏式:〇〇宗
5.喪主:〇〇(長女)
6.連絡先:(電話番号)
訃報の連絡を受けたときのお悔やみの伝え方
親族や知人から訃報の連絡を受けたときは、連絡してくれた方への感謝の気持ちと故人へのお悔やみを伝えましょう。葬儀に参列する場合は参列の意思、葬儀の前に弔問に伺いたい場合は直接お悔やみに伺ってもよいかどうかもあわせて伝えます。
お悔やみは、電話かメールでできるだけ簡潔に伝えるのがマナーです。また、連絡を受けたらすぐにお悔やみの言葉を送るように心がけてください。
電話
訃報の連絡を電話で受けた場合や、遺族に直接お悔やみの言葉を伝えたい場合は、電話を用います。故人へのお悔やみや誠意を伝えるのにもっとも適した方法ですが、遺族が忙しく電話を取れない場合もあるので注意しましょう。
<例文>
「大変なときにご連絡をいただき、ありがとうございます。
突然のことで、大変驚いております。
〇〇様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。」
「とてもお辛いときにお伝えいただきありがとうございます。
突然のことで、言葉も見つかりません。
ご迷惑でなければ、直接お悔やみにお伺いさせてください。」
メール
訃報の連絡をメールで受けた場合や遺族の忙しさを気遣う場合は、メールを用いてお悔やみを伝えましょう。このとき気を付けなければいけないのが、時候のあいさつを入れずにすぐ本題に入ることと、本文で句読点を使わないことです。書面で訃報やお悔やみのやりとりをする場合は、「葬儀の一連の流れが滞りなく進みますように」という意味を込めて、基本的に句読点を使用しないのがマナーです。
<例文>
「この度はご身内にご不幸があったと伺い 驚いております
〇〇様のご冥福を心よりお祈り申し上げます
本来であれば弔問にお伺いすべきところ メールでのお悔やみとなりましたことをお詫びいたします」
「この度は〇〇様のご逝去につきまして とても驚いております
〇〇様のご逝去を悼み 謹んでお悔やみを申し上げます
お休み中のことはお気になさらず ご家族とのお時間をお過ごしくださいませ」
お悔やみを伝えるときのマナー
故人にお悔やみの気持ちを伝える際は、いくつか気をつけなければいけないポイントがあります。遺族から訃報の連絡を受けたとき、故人の死因を尋ねたり、「元気を出して」「頑張って」などの遺族の負担になりうる励ましの言葉を送ったりすることは避けましょう。
「たびたび」「くれぐれも」などの不幸がさらに重なることを連想させる重ね言葉や、「終わる」「わかれる」などのネガティブなイメージを想起させる忌み言葉も使ってはいけません。故人や遺族に失礼のないよう、伝える内容や言葉選びには十分に気をつけるようにしてください。
なお、都合が合わず弔問や葬儀に参列できない場合は、お詫びの言葉を添えてお悔やみ状や弔電を送るのがマナーです。
正しい言葉を使って故人の訃報を伝えよう
家族や身近な人が亡くなったときは、ご遺体の処置や関係各所への訃報の連絡、役所での手続きなど、遺族によって対応すべきことがたくさんあります。すべてすみやかに行わなければいけないため、事前の心づもりが肝心ですが、初めてで戸惑っている方や忙しくてすべての対応をするのが難しい場合は、葬儀社に連絡してサポートを受けることも可能です。
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