葬儀の基礎知識

直葬にお坊さんは呼ばなくてもいい!呼ぶ場合やマナー・注意点も解説

直葬にお坊さんは呼ばなくてもいい!呼ぶ場合やマナー・注意点も解説

お通夜や告別式を行わない直葬は、シンプルな弔い方法として近年ニーズが高まっています。しかし、お坊さんを呼んでお経をあげてもらったり、戒名をつけてもらったりしなくても本当に問題がないのか気になる方もいるのではないでしょうか。

バチが当たるのではないか、故人が成仏できないのではないかと心配しながらの葬儀では、故人とのお別れに集中できません。

本記事では、直葬にお坊さんは不要かどうか解説します。読経を希望する場合の実現方法や注意点などもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。

お急ぎ

そもそも直葬にはお坊さんを呼ばなくてよい

直葬ではお坊さんを呼ばなくて問題ありません。直葬はお通夜や告別式のような宗教儀式を行わないため、そもそもお坊さんは不要です。

お坊さんを呼んでお経をあげてもらわなくても故人が成仏できるのか、バチがあたらないのか、という点は、遺族の気持ち次第です。

お経は、故人を極楽浄土へと導きつつ、遺族や参列者の悲しみを癒す意味をもつとされます。戒名は、故人が迷わず極楽浄土へたどり着けるように授かる名前です。これらを重んじる方も確かに少なからず存在します。

しかし、故人を弔う葬儀は、残された者の気持ちの整理をつける場という側面があります。遺族が納得できるのであれば、基本的には読経も戒名もなくて不都合は生じません。

直葬には、会場使用料や会食代、お布施などの葬儀費用を抑えられ、身内だけで静かに故人をお見送りできるメリットがあります。故人が遺言で直葬を希望していたり、遺族が納得していたりするのであれば、お坊さんを呼ばない葬儀も検討する価値があります。

直葬についておさらいしておきたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

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直葬と家族葬・火葬式の違い

直葬と混同しやすい葬儀形式として、家族葬や火葬式が挙げられますが、直葬と家族葬は儀式の数が異なり、火葬式と直葬は同一のものです。

直葬は24時間遺体を安置した後、基本的にはそのまま火葬するだけの葬儀形式です。一方、家族葬は規模が小さいだけで、基本的な葬儀の流れは一般葬と同一です。家族葬ではお通夜と告別式にお坊さんを呼んでお経をあげてもらい、戒名をつけてもらいます

火葬式については、基本的に直葬と同じ意味をもちます。しかし、実ははっきりした定義はなく、葬儀会社によって指し示す内容が異なることもあります。

出棺前に焼香をするなど故人とのお別れの場を設ける葬儀を火葬式と呼び、火葬後にお骨を受け取るだけのプランを直葬と呼ぶケースもあります。葬儀を検討する際には、葬儀会社のプランの内容をしっかり確認しておきましょう。

直葬と家族葬の違いを詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

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直葬でもお坊さんは呼べる

直葬では基本的にはお坊さんを呼びませんが、遺族の希望があればお坊さんにお経を読んでもらい、戒名も授かれます。お坊さんを呼ばないことに心残りや後ろめたさを感じるようであれば、直葬であってもお経を読んでもらった方が満足できるでしょう。

菩提寺がある場合には、事前に相談しておけば直葬でもお経をあげてもらえます。菩提寺がない人は、葬儀会社のつてでお寺を紹介してもらったり、お経のオプションがついた直葬プランを選択したりしましょう。

お坊さんの派遣サービスの利用や、地域の寺院への直接依頼も可能です。ただし、寺院によっては直接の依頼をお断りしていることもあるので注意が必要です。火葬場によっては、持ち回りでお坊さんが待機していることもあります。

直葬でお坊さんをお迎えする場所

直葬でお坊さんをお呼びする場合、お迎えする場所は主に次の2箇所です。

  • ご遺体の安置所
  • 火葬場

直葬ではお通夜や告別式を行わないため、葬儀会場へお坊さんはお呼びできません。ご遺体の安置所と火葬場にお坊さんをお招きした際の内容は以下のとおりです。

ご遺体の安置所

病院の安置所や葬儀社・火葬場の一時預かり所にお坊さんを呼び、お経を読んでもらえます。遺族のなかには、故人とじっくりお別れするために自宅に遺体を引き取ることもあるかもしれません。その際には、自宅での読経も可能です。

ご遺体の安置所での読経時間は10分程度で、通常の葬儀と比較し短週されています。

火葬場

火葬場の炉の前でもお経をあげてもらえます。

火葬場ではあまり長い時間場所を占有できないため、読経時間は5~10分程度と安置所よりさらに短くなっています。

読経時間が短いうえ、火葬前の最後のお別れに集中しにくいため、余裕をもちたいのであれば安置所でお経を読んでもらったほうが無難です。ただし、人によっては火葬場にお坊さんがいてくれたほうが心強いという可能性もあるので、それぞれ納得のいく方法を選びましょう。

希望すれば、安置所と火葬場の両方でお経を読んでもらえます

直葬にお坊さんを呼ぶ際にかかる費用の内訳と相場

直葬にお坊さんを呼ぶ際にかかる費用の相場は、トータルで10万~30万円程度が目安です。

そもそもの直葬自体の相場は、およそ20~50万円が目安です。内訳は、火葬場に払う会場使用料と葬儀会社へ支払う葬儀プラン費用で、お坊さんにお渡しする費用は含まれません。

お坊さんを呼ぶ際にはお礼としてお布施をお渡ししますが、その内訳は以下のとおりです。

  • 読経料
  • 戒名料

お布施以外にも、以下をお礼としてお渡しします。

  • お車代

それぞれの内容と費用の相場は以下で説明します。

読経料

読経料は、お坊さんにお経を読んでいただくお礼として必要です。

読経料の相場は、1回につきおよそ5万円です。安置所のみ・火葬場のみのいずれかで依頼したときはそれぞれ5万円程度、両方でお願いした場合は10万円程度の読経料をお渡しします。安置所のみでの読経の場合には時間が短いこともあり、宗派や地域によっては3万~5万円を相場の目安とすることもあります。

お経とともに戒名も依頼する場合が多く、一緒にお布施としてお渡しするため、読経料のみの明確な相場は決まっていません。あくまで目安ととらえてください。

戒名料

戒名を付けてもらう際には、戒名料もお布施としてお渡しします。

戒名にはランクがあり、宗派と戒名のランクで戒名料の相場が変わり、5万〜100万円以上と大きな幅があります。一般的な目安としては10万~15万円程度が相場であることが多いといわれていますが、宗派や地域によって異なるため事前に確認しておくのが無難です。

戒名は、男女それぞれ以下の順にランクが上がっていきます。

  • 男性:信士・居士・院信士・院居士
  • 女性:信女・大姉・院信女・院大姉

戒名は、遺族の希望や故人の遺言で自由に決められるものではありません。故人の生前の行いや社会的な地位で決められます。その他にも、同じお墓に入る夫婦は戒名のランクをそろえる必要があり、ご先祖様より高位のランクはつけられないというルールが存在します。

お金を積んだからといって高ランクの戒名をつけてもらえるわけではない点には注意しましょう。

お車代

お坊さんが安置所や火葬場まで移動する際の交通費として、お車代を用意します。近隣の寺院からお坊さんをお呼びする場合は、5,000円がお車代の相場です。

お寺から安置所や火葬場までが遠く、タクシーで往復した際にこの額よりかかるようであれば、その分を上乗せしたキリのよい金額をお渡しします。

お車代はお布施ではありません。お坊さん個人へのお礼のため、お布施とは別の封筒に入れて渡します。遺族が直接お坊さんを送迎した場合や、タクシーを手配して遺族が支払いを行った際にはお車代は不要です。

なお一般的な葬儀の場合、会食の席にお坊さんをお招きするか御膳料をお渡ししますが、直葬では基本的に会食を行わないため御膳料は不要です。

直葬のお布施のマナーについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご確認ください。

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直葬を執り行う際の注意点

直葬を執り行う際には、以下の点に注意が必要です。

  • 故人と最後のお別れをする時間が少ない
  • 親族や参列希望者の理解を得られない可能性がある
  • 菩提寺がある場合にはトラブルの元となる

具体的な内容は次のとおりです。

故人と最後のお別れをする時間が少ない

直葬の場合、故人と最後のお別れをする時間が少ない点に注意が必要です。

直葬では故人が亡くなったあと、24時間ご遺体を安置したら、基本的にはすぐに火葬します。お坊さんを呼ぶにしても、お経の時間も通常より短く、スペースの問題から供花も飾れません。

段階を追って儀式を行わないことで、人によっては心の整理がつきにくく、戸惑いのうちに葬儀が終わってしまう可能性があります。後悔しないためにも直葬の手順やスケジュール感をしっかり把握しておくことが大切です。

親族や参列希望者の理解を得られない可能性がある

直葬は、親族や参列希望者の理解を得られない可能性がある点にも注意が必要です。

直葬はある意味合理的であり、現代の世風には合っています。しかし親族や地域によっては、葬儀で宗教儀式を行わないのは非常識であると受け取られ、場合によっては責められることもあるでしょう。

直葬は一般的には遺族だけで行うため、親戚や親しかった友人が最後に故人とお別れする機会を奪ってしまう側面もあります。

直葬を検討する際は、このような事情や地域の風習なども考慮しておくべきです。直葬を選ぶ理由について事前に親族に説明し、理解を得られるよう努めましょう。

菩提寺がある場合にはトラブルの元となる

菩提寺がある方が直葬を行う場合、後々のトラブルの元となる可能性があります。

お坊さんを呼ぶ必要がないからと自己判断し、事前の連絡を怠った場合には、菩提寺との関係がこじれて納骨を断られるケースが考えられますその後の法要を希望する場合も同様です。

菩提寺への納骨ができなかった場合には、樹木葬や納骨堂、散骨などを選択することになります。

遠方でお坊さんを呼ぶのが難しい状況であっても、菩提寺には事前に相談をしておくのがマナーです。直葬を検討中であることを伝えたうえで、読経や戒名をお願いすべきか確認しておくとトラブルを避けやすくなります。

ただし、菩提寺によっては直葬自体に難色を示すこともあります。小規模な家族葬やお通夜を省いた一日葬であれば、費用を抑えつつ宗教儀式も実施できるため、場合によっては選択肢の一つとなるでしょう。

一日葬について詳しく知りたい方は、以下の記事をご一読ください。

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お坊さんは不要でもお別れの場は設けたいなら無宗教葬の選択もあり

もしも直葬を選ぶ理由が、お坊さんを呼んだり宗教儀式を行ったりしたくないためであるなら、無宗教葬も一考の余地があるでしょう。

無宗教葬は宗教儀式を行わない葬儀で、お通夜も告別式も行わず、読経や戒名もありません。代わりに黙とうや献花で故人をしのび弔う傾向があります。

身内や友人だけで自由に葬儀を行うため厳格な決まりごとはなく、自分なりのこだわりを活かした葬儀が可能です。故人の趣味にまつわる葬儀を行うなど、オリジナリティの高い葬儀が行えます。

直葬に比べ無宗教葬は、故人をしのぶ時間をしっかり取れるため、気持ちの整理をつけやすく、後悔の少ない葬儀が可能です。故人との最後の時間を思いのままに過ごしたい方は、検討してみてはいかがでしょうか。

直葬でお坊さんを呼ばないのも呼ぶのも自由!希望に合わせて後悔のない供養を

直葬の場合、基本的にはお坊さんを呼ばなくても問題ありませんが、希望があればお経を唱えてもらったり、戒名を授かったりするのも自由です。希望に合わせて葬儀プランを練りましょう。

トラブルを避けるためには、親族や菩提寺へ事前の根回しを行っておくのが大切です。周囲に配慮しつつ、悔いのない葬儀を執り行いましょう。

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