故人の家族・親戚や生前深い関わりのあった友人のみが参列して執り行われる家族葬。実は、一般的な斎場だけでなく、自宅を会場にできることをご存じでしょうか。
今回は、家族葬を検討している方向けに、家族葬を自宅で行うメリット・デメリットや自宅葬の流れ、自宅葬を行う際に気をつけたいことを詳しく解説します。斎場で執り行う家族葬や一般葬との費用相場の違いについても紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
また、以下の記事でも家族葬の費用や注意点について詳しく解説しているので、ぜひあわせてチェックしてみてください。
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自宅で行う家族葬とは
家族葬を自宅で行うことを、「自宅葬」といいます。現代は斎場で葬儀を執り行うのが主流ですが、斎場文化が確立する以前は、自宅で葬儀を執り行うのが一般的でした。現在もその名残で自宅葬を希望する方がいるほか、「故人がずっと暮らしていた家で最後のお別れをしたい」と考える方によっても選ばれることが多いようです。
また、近年はコロナ禍のあおりを受け、葬儀の簡略化や小規模化が進んでいます。自宅葬は斎場を使用しないことから外部との接触を最小限に抑えられるため、感染症対策の観点で以前より選ばれることが増えました。
自宅葬では、斎場の代わりに自宅の広いスペースに遺体安置所・祭壇・棺などを設置します。数十人ほどの参列者・葬儀社スタッフ・僧侶なども招き入れるため、ある程度広い住居であることが条件です。自宅葬を検討している方は、まずは自宅を会場にできるかどうかを確認しましょう。
家族葬を自宅で行うメリット
家族葬を自宅で行うメリットは、故人や遺族が過ごし慣れた空間で、アットホームな雰囲気の葬儀を行えることです。
思い出の詰まった場所で故人を送り出せる
自宅葬のもっとも大きな魅力は、故人が住み慣れた場所で最後のお別れができるという点です。なかでも病院での闘病生活が長かった場合は、最後は住み慣れた自宅から故人を送り出したいと考える遺族の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、故人の自宅は、参列する遺族にとっても思い出の多い場所です。気負わずアットホームな雰囲気で過ごせるため、気持ちの整理もつけやすく、リラックスしながら式に臨めるでしょう。
自由な形の葬儀を実現できる
自宅葬は自宅を使って小規模な形式で執り行われるため、式自体の自由度が高いというメリットもあります。参列者が多くオフィシャルなイメージの強い一般葬に比べて、故人や遺族の意向を反映しやすいといえるでしょう。
例えば、入場の際に故人がよく聴いていた音楽を流したり、キッチンで故人が好きだったメニューを作って通夜振る舞いを楽しんだりと、その場にいる参列者が故人の生前の思い出に触れながら同じ時間を共有できます。
時間を気にせずゆっくりとお別れできる
自宅葬は斎場を使用しないぶん明確な時間の制限がなく、遺族が時間を気にせずゆっくりと最後の時間を過ごせるのがうれしいポイントです。通夜の後も棺が自宅に残るので、斎場で行われる一般的な葬儀と異なり、一晩中故人と一緒に過ごすことができます。
久しぶりに集まった親戚同士で団欒しながら故人の思い出を語り合ったり、一緒に食事を囲んだりすることができるのも、自宅で行う葬儀ならではの魅力です。
近隣住民や親戚が参列しやすい
自宅葬は、近隣住民や同じ地域に住む親戚が参列しやすいのも魅力のひとつです。参列者がご高齢の場合、自宅周辺から離れた斎場に赴くのに負担がかかるでしょう。自宅葬であれば、このような事情を抱えた人でも参列しやすいほか、地域を上げて故人をみんなで送り出すこともできます。
葬儀費用を安く抑えられる
自宅葬は一般的な葬儀形式と異なり、斎場の使用料がかからないため、通常の家族葬に比べて葬儀全体にかかる費用を安く抑えられます。とはいえ、自宅に参列者を招く用意や駐車場の手配などが必要なため、別途でかかるお金があることも認識しておきましょう。
自宅で行う以外の費用の抑え方については、以下記事で説明していますので、気になる方はチェックしてみてください。
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家族葬を自宅で行うデメリット
自宅葬にはさまざまな魅力がありますが、自宅で葬儀を執り行うという性質上、デメリットもいくつか発生します。
自宅の設営準備が必要
自宅葬では、自宅のなかに広いスペースを作って斎場代わりにするため、事前に部屋の掃除や設営準備を行わなければいけません。スペースを確保するために大きな家具を移動させたり、プライバシーを守るために家具や物を見えない場所に片付けたりと、力仕事も発生するでしょう。
祭壇の設営や棺の運び込みなどは葬儀社が主体となって進めてくれますが、それ以前のスペースの確保や会場の掃除などは遺族の役割です。葬儀の前は、葬儀の準備だけでなくさまざまな手続きや各所への連絡対応にも追われるため、遺族の負担が大きくなることが予想されます。
自宅に参列者を迎え入れる準備が必要
自宅葬では参列者や葬儀社の担当者、読経を行う僧侶などの数多くの人を自宅に招き入れる形になります。そのため、お茶出しや履き物の用意など、来客時のおもてなしも欠かさずに行わなければいけません。
また、自宅に泊まる参列者がいる場合は、寝室やタオル・パジャマなどの用意、車で参列する人がいる場合は駐車場の手配も必要です。少ない人数で対応するのは負担が大きいため、自宅に住む遺族同士が協力し合いながら準備を整えていきましょう。
後片付けも自分達で行う
葬儀前の設営準備と同じく、葬儀後の後片付けも遺族が主体となって進めます。祭壇は参列者が火葬場にいる間に葬儀社のスタッフによって撤去されるので、それ以外の片付けと掃除を行いましょう。
自宅で通夜振る舞いや会食をした場合は食器や調理器具の片付けを、自宅に宿泊していた参列者がいた場合は掃除や洗濯などの作業も発生します。すべての掃除や片付けが終わったら、四十九日までの期間に位牌・遺骨・遺影を供養する後飾り祭壇を設置しましょう。
自宅で行う家族葬の流れ
故人が臨終を迎えてから葬儀を執り行うまでの流れは、斎場で行う家族葬と基本的に同じですが、自宅葬の場合はいくつか通常の家族葬と異なるポイントがあるので、あらかじめ把握しておきましょう。
①ご遺体の安置は自宅
故人が病院や施設で臨終を迎えた場合は、自宅へご遺体を搬送します。ご遺体の安置後はそのまま自宅で納棺の儀を行うため、安置後のご遺体の搬送は火葬場へ出棺する1回のみです。
②火葬中に自宅の留守番役が1人必要
自宅葬では、お通夜と葬儀・告別式を自宅で執り行い、火葬のみ火葬場で行います。自宅葬の祭壇は遺族が火葬場に向かっている最中に葬儀社のスタッフによって片付けられるため、火葬時は自宅に1人留守番役が残らなければいけません。
なお、香典・供花の受け取りや参列時の服装は、一般的な家族葬と変わりません。香典を受け取るか辞退するかは遺族間であらかじめ決めておき、辞退する場合は葬儀案内の際にあわせて伝えましょう。
一般的な家族葬の流れについては、以下記事で解説していますので、ぜひ比較してみてください。
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家族葬を自宅で行う際の注意点
家族葬を自宅で行いたいと考えている方は、自宅の広さや居住条件なども事前に確認しておきましょう。
十分なスペースがあるか確認する
自宅葬を行うためには、自宅に祭壇・棺・参列者の席などを設営できる十分なスペースがなければいけません。自宅葬の祭壇は斎場で行う葬儀よりも小さいサイズで手配できますが、それでも幅約2〜3m・高さ約2m・奥行約1m程度はあります。
また、玄関や部屋のドアの幅・廊下の幅が棺のサイズより大きいかどうかもチェックしましょう。棺は縦200cm×横60cm×高さ60cmほどのサイズが一般的なので、一度長さを測ってみてください。
また、出棺して火葬場に向かう際は、棺を霊柩車に乗せて搬送します。霊柩車は全長が5m以上あるものがほとんどです。自宅周辺に霊柩車が通れる道路や駐車するスペースがあるかどうか、事前に確認しておきましょう。
近隣住民へ配慮する
葬儀前日から当日にかけては、祭壇や棺を運び込んで設営したり参列者や葬儀社スタッフの出入りが増えたりして物音が大きくなることが考えられます。霊柩車や参列者が移動する車の出入りも増えるほか、線香の匂いが建物の外まで充満することもあるかもしれません。
葬儀後の近隣トラブルを防ぐためにも、自宅葬を行う場合は必ず事前に近隣住民に式の開催を伝え、了承を得るようにしてください。町内会に入会している場合は、町内会の許可を得ておくことも大切です。
マンション・賃貸住宅の場合は事前に確認が必要
自宅葬は、基本的に一軒家で執り行うことが想定されていますが、スペース的に問題がなければ、マンションでも執り行うことは可能です。自宅がマンションの場合は、エレベーターに棺を運び入れられるかサイズを確認しておきましょう。
また、マンションに住んでいる場合は、自宅葬を行っても問題がないかを管理人に確認して必ず許可を得るようにしてください。賃貸住宅なら、家主にもあわせて話を通しましょう。場合によっては、スペース的に問題がなくても、マンションや賃貸契約の規約によって自宅葬が認められない場合があります。
なお、家族葬自体の注意点は以下記事で解説していますので、こちらも参考にしてみてください。
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自宅葬は自分たちで執り行える?
少し前の時代の日本では、遺族や近隣住民が協力し合いながら、葬儀社を介さずに自宅葬を行うケースがよくありました。しかし、現代では素人が個人でご遺体を搬送したり、火葬場を予約したりすることは基本的に認められていません。また、ご遺体の搬送や処置には、専門的な技術も必要です。
斎場を使用しない自宅葬であれば、葬儀社に頼らずに自分たちで執り行えるのではと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、自宅葬であっても必ず葬儀社に依頼をしましょう。葬儀社に依頼すれば、ご遺体搬送・ご遺体安置の段階から自宅での会場設営、納棺の儀や火葬場の手配などをすべてプロの手で行ってもらえます。
自宅葬を希望する場合は対応している葬儀社を選ぶ
自宅葬は斎場で行う一般的な葬儀形式に比べて件数が少なく、実績のある葬儀社も少ないのが現状です。スムーズに自宅葬を執り行うためにも、見積もりを取る際は自宅葬が可能かどうか確認を取るようにしましょう。場合によっては対応していなかったり、追加の料金がかかったりする可能性もあるため注意が必要です。
なかには、自宅葬の経験が豊富な葬儀社や自宅葬プランを用意している葬儀社もあるので、葬儀社選びの際は積極的に検討してみてはいかがでしょうか。
自宅葬の費用相場
自宅葬の費用相場は、依頼する葬儀社や地域の相場にもよりますが、40〜100万円程度が一般的です。公正取引委員会の「葬儀の取引に関する実態調査報告書」をもとに算出した家族葬の費用相場は約72万円であるため、場合によっては通常の家族葬よりも費用負担をかなり抑えられる可能性があります。
葬儀形式 | 費用相場 |
---|---|
一般葬 | 約140万円 |
家族葬 | 約72万円 |
自宅葬(家族葬を自宅で執り行う場合) | 約40〜100万円 |
なお、一般的な家族葬の費用については、以下記事で詳しく解説しています。
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生前の思い出が詰まった場所で故人を温かく送り出しましょう
家族葬のなかでも、故人の自宅で行う「自宅葬」は、故人や参列者の思い出が詰まったアットホームな空間でお別れの時間を過ごせます。しかし、自宅葬は自宅に十分なスペースがあり、近隣住民の了承を得られる場合でなければ行えません。希望する場合は事前にスペースや居住条件などを確認しておくことが重要です。
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