葬儀の基礎知識

家族葬と一般葬の違いが丸わかり|費用や流れ、選び方を解説

家族葬と一般葬の違いが丸わかり|費用や流れ、選び方を解説

家族葬と一般葬はどちらも通夜と葬儀・告別式を2日間に分けて行う葬儀形式です。日本で幅広く選ばれている葬儀形式ですが、なかにはどちらを選べばよいかわからない人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、家族葬と一般葬の違いやそれぞれの形式のメリット・デメリット、家族葬を執り行ううえでの注意点について詳しく解説します。家族葬・一般葬それぞれの費用相場やどちらにするか悩んだ際の選び方についても紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

お急ぎ

家族葬とは

家族葬は、血縁家族・親戚やごく親しい友人のみが参列する葬儀です。参列者は20〜30人程度と小規模で、一般葬よりも葬儀費用を安く抑えられる傾向があります。

家族葬は、故人が生前関わりのあった人が少ない場合や、家族だけで静かに葬儀を執り行いたい場合に適した葬儀形式です。温かくアットホームな雰囲気で式を執り行えるため、心の整理も付きやすいでしょう。近年は葬儀の小規模化やコロナ禍の自粛ムードの流れを受けて、以前よりも選ぶ人が増えています。

また、以下の記事では家族葬のメリットや注意点について詳しく解説しています。ぜひあわせてチェックしてみてください。

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一般葬とは

一般葬は故人の家族や親戚に加え、友人や仕事関係者などが幅広く参列する葬儀です。参列者は50人以上と大規模で、故人と生前関わりのあった多くの人が集まります。

一般葬は、故人の交友関係が広かった場合やたくさんの人と一緒に最後のお別れの時間を過ごしたいと考える方に適した葬儀形式で、家族葬よりも参列者が多いぶん費用は高額になります。昔は一般葬が主流でしたが、近年は家族葬が人気になり、一般葬を選ぶ人は減少中です。

家族葬と一般葬の違い

家族葬と一般葬の違いは、規模の大きさと参列者数です。家族葬は家族やごく親しい友人のみが参列して執り行われます。一般葬は人数の制限を設けず、家族や親しい人に加えて生前関わりのあった関係者が数多く参列します。

家族葬は、葬儀をできるだけコンパクトに執り行いたいと考えて選ぶ遺族が多く、香典・供花を断ったり、通夜振る舞いを簡略化したりするケースがあります。生前関わりのあったすべての人が参列できるわけではないので、葬儀後に弔問に訪れる人もいるでしょう。

一方で、一般葬は規模が大きいぶん葬儀費用が高額になるうえ、式の準備にも手間がかかります。それぞれの特徴を知ったうえで、最適な葬儀形式を選びましょう。

家族葬のメリット

ここからは、家族葬を選択した場合のメリットを紹介します。

家族のみで静かにお別れできる

家族葬は、故人の家族や生前とくに親しかった人のみが集まり、ゆっくりと最後のお別れができるのが魅力です。多くの人を招いて大々的に執り行う一般葬と比べると葬儀準備や弔問対応の負担が少なく、落ち着いて心を整理しやすいといえます。

また、故人が亡くなったことを葬儀参列者のみに知らせることで、周囲に騒がれることなく静かに葬儀を執り行えるのもメリットのひとつです。少人数のアットホームな雰囲気で行えるため式の自由度が高く、故人や遺族の意思も葬儀内容に反映しやすいでしょう。

葬儀の準備の負担を抑えられる

家族葬の参列者は多くても30人程度と少なく、葬儀の事前準備にかかる時間や負担を抑えられます。

例えば、通夜の後に行われる通夜振る舞いの料理や参列の御礼に用意する会葬御礼品の数が少なく済み、手配した物の管理もしやすいでしょう。葬儀の参列案内を送る人が少ないため、用意する数を予想しやすいという利点もあります。

また、家族葬では通夜振る舞いを行わないケースや会食の代わりにお弁当を渡して簡略化するケースも多く、当日の事前準備も余裕を持って行えます。

式の時間が短く、遺族・参列者の負担を抑えられる

お通夜や葬儀・告別式では、参列者一人ひとりが焼香をあげる時間があります。焼香の時間は参列者が少なければ少ないほど短くなり、式全体の時間も短縮されるのが一般的です。そのため、参列者が少ない家族葬は一般葬に比べて式の所要時間が少なく、両日とも1時間弱程度で終えることができます。

式の時間が短いぶん、参列者や遺族の負担を抑えられるのもメリットのひとつです。長時間の外出や着席が難しいご高齢の方や小さい子供も参列しやすいでしょう。

葬儀形式お通夜の所要時間葬儀・告別式の所要時間
一般葬1時間半〜2時間程度40分~50分程度(参列者が多い場合は焼香時間が増えるためこれより長くなる)
家族葬40分程度40分~50分程度

葬儀費用を抑えられる

家族葬は一般葬に比べて参列者が少ないぶん、式場使用料・飲食接待費・香典返しの費用などが安くなり、葬儀全体にかかる費用を抑えられます。また、家族や親しい人のみが集まるため見栄を張る必要がなく、葬祭用品のグレードダウンがしやすいともいえるでしょう。

<葬儀にかかる費用の内訳>

費用内訳費用相場
葬儀一式費用・式場利用料
・ご遺体の搬送費
・祭壇 / 棺/ 遺影代
・会葬御礼費
30~140万円
飲食接待費用・通夜ぶるまい代
・精進落とし代
・告別料理代
30~70万円
返礼品費用・香典返し費用1人あたり3,000〜5,000円×人数
寺院費用・お布施(仏教)
・祭祀料(神道)
・献金(キリスト教)
10~50万円

家族葬のデメリット

ここからは、家族葬を選択した場合のデメリットを紹介します。

葬儀に参列できない人が生まれる

家族葬は血縁家族や生前とくに深い関わりのあった人のみが参列します。そのため、生前の故人と関わりがあったすべての人が直接お別れをできるわけではありません

場合によっては、「故人と生前に関わりがあったのにも関わらず参列の案内が届かなかった」といった声があがり、トラブルになる可能性もあります。家族葬を検討している方は、あらかじめその点を認識しておきましょう。

香典が集まりにくい

日本の葬儀では、参列者が故人へのお悔やみと遺族へのお見舞いを伝える「香典」をお供えする文化があります。家族葬では参列者が少ないため香典収入もそのぶん少なくなるほか、香典自体を受け取らないケースも珍しくありません。

香典返しの負担は一般葬よりもかかりませんが、葬儀費用を香典でまかなえる割合は少ないと考えた方がよいでしょう。

葬儀後に弔問対応を行う可能性がある

家族葬は参列者を身内に限定して執り行うため、葬儀に参列できなかった人が後から遺族を訪ねてくることがよくあります。遺族はその度に都合を合わせて個別で弔問対応や香典の受け取りを行う必要があるため、二度手間と感じる方もいるかもしれません。

一般葬のメリット

ここからは、一般葬を選択した場合のメリットを紹介します。

生前関わりのあった多くの人とお別れできる

一般葬には、家族や親戚・生前親しかった友人のほかに、交流のあった知人・仕事関係者・同級生などが幅広く招かれます。そのため、たくさんの人に囲まれてにぎやかに故人を送り出せるのが魅力です。

とくに生前の交友関係が広かった方や人に会うことが好きだった方の葬儀は、多くの人が集まった場で執り行うほうが故人も喜ぶかもしれません。

地域の伝統や文化を守れる

故人が住んでいる場所によっては、地域の伝統やしきたりを重視して一般葬が広く選ばれている場合もあります。近隣に住む住民が数多く参列し、地域をあげて故人を送り出すという昔ながらの風習が残っている地域もあるため、一般葬を選択することでご近所付き合いを円滑に行えるかもしれません。

また、故人の葬式に地域住民が集まることで、地域の繋がりが強まったり遺族が支援を受けやすくなったりすることも考えられるでしょう。

香典収入が増える

一般葬には大人数が参列するため、家族葬よりも香典収入をたくさん得られます。そのため、葬儀費用のいくぶんかを受け取った香典でまかなえる可能性が高いでしょう。

ただし、受け取った香典費用がすべて使えるわけではありません。1/3〜1/2程度の金額は香典返しとして参列者にお返ししなければいけないことを、あらかじめ認識しておきましょう。

葬儀後に弔問に訪れる人が少ない

一般葬では家族葬と異なり、故人が生前に関わりのあったほとんどの人を招くことができます。弔問や香典の受け取りを葬儀の際にまとめて行えるため、葬儀後に個別で弔問に訪れる人が少なくなるでしょう。このように、弔問客を個別で対応する負担を抑えられるのもメリットのひとつです。

一般葬のデメリット

ここからは、一般葬を選択した場合のデメリットを紹介します。

家族だけでゆっくりお別れする時間が取れない

故人の葬儀は亡くなってからの短い期間で手配し、さまざまな手続きや連絡対応と並行しながら進めなければなりません。一般葬は幅広い参列者に訃報や参列案内を送り、数多くの弔問者や会葬者の対応を行うため、葬儀が終わるまでは常に慌ただしい状況が続きます。

一般葬では家族葬のように静かにお別れをすることは難しく、ゆっくりと故人を見送る時間を作りにくいと考えておいたほうがよいでしょう。

式が長丁場になる

一般葬は家族葬よりも参列者が多いうえ、式には参列せず焼香のみをあげに訪れる会葬者もいます。葬儀では参列者が多ければ多いほど焼香に時間がかかり、式全体の所要時間も長くなります。数多く集まった参列者と会葬者全員が焼香をあげるのに、1時間以上かかるケースもあるでしょう。

また、喪主や遺族は、式前に参列者の弔問対応や香典の受け取りも行わなければなりません。こちらも参列者が多い一般葬では受付時間を長く設定する必要があり、式当日の集合時間が早くなることを理解しておきましょう。

参列人数を事前に予測しにくい

一般葬は家族や親戚に加え、友人・同級生・仕事関係者など、故人と生前関わりのあった人に幅広く参列案内を送ります。そのため、葬儀に参列する人数がなかなか確定しにくく、参列人数が読みにくいのが難点です。

参列者の人数分必要な通夜振る舞いの料理や会葬御礼品は大体の予想数で手配するしかなく、直前に数を変更する可能性もあります。これらの手配は葬儀社と連携しながら行うため、こまめなコミュニケーションが求められるでしょう。

なお、以下の記事では、家族葬におけるメリット・デメリットをより詳しく解説しています。興味のある方はぜひチェックしてみてください。

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家族葬を行う際の注意点

ここからは、家族葬を執り行う際に気をつけたいポイントをいくつか紹介します。これから家族葬を検討している方は、あらかじめ把握しておきましょう。

訃報の伝え方に注意する

家族葬を選択した場合、参列を依頼する人としない人で故人の訃報を伝えるタイミングや伝え方が異なります。周囲の混乱を避けて静かに葬儀を執り行うために、葬儀に参列しない人に対しては葬儀前に訃報を伝えないのが一般的です。

「葬儀の参列は依頼しないが訃報だけは先に伝えておきたい」という場合は、訃報を伝える際に「故人の遺志により、葬儀は近親者のみで執り行います」と一言添えましょう。弔問や香典もあわせて辞退したい場合は、「故人の遺志により、弔問を一切お断りします」と明記しても問題ありません。

香典・供花を辞退する場合は事前に伝える

家族葬では、身内に金銭的な負担をかけたくない、香典返しの手間を省きたいという背景から、香典や供花を辞退するケースも珍しくありません。香典を受け取るかどうかは、必ず事前に取り決めを行いましょう。

香典を辞退する場合は、参列者に家族葬の案内を送る際に「故人の意向により、御香典・御弔電・御供花等は辞退させていただきます」などと明記するのがマナーです。

家族葬と一般葬の費用相場

一般的に葬儀費用が高額といわれている一般葬と、費用負担が抑えられるといわれている家族葬。ここでは、両者の費用相場を比較してみましょう。

公正取引委員会の「葬儀の取引に関する実態調査報告書」によると、家族葬の費用相場は約72万円・一般葬の費用相場は約140万円でした。一般葬にかかる費用は家族葬の約2倍で、金額に大きな差があることがわかります。

葬儀を手配する際は、葬儀内容だけでなく費用面もしっかり確認することが大切です。

葬儀形式費用相場
一般葬約140万円
家族葬約72万円

なお、以下の記事では家族葬の費用や安く抑えるポイントについて詳しく解説しています。ぜひあわせてチェックしてみてください。

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一般葬か家族葬か悩んだ時は

家族葬と一般葬のどちらを選択するか悩んだ場合は、故人の生前の交友関係の広さや参列する遺族の年齢などを考慮して判断しましょう。

故人の付き合いが広かった場合や仕事で要職についている場合など、たくさんの人に見送ってもらう方が好ましい場合は一般葬が適しています。故人の交友関係が狭かった場合や家族だけでゆっくり見送りたい場合は、家族葬がおすすめです。

また、遺族や参列者にご高齢の方が多い場合は、式の時間が短く参列者の負担が少ない家族葬を選ぶ手もあります。いずれにせよ、1番は故人の遺志を尊重することが大切です。

故人の遺志や遺族の状況に合った形式を選びましょう

家族葬は故人を家族や親しい人のみで静かに送り出したい方に、一般葬は故人を生前関わりのあったたくさんの人と送り出したい方に適した葬儀形式です。それぞれに魅力やデメリットがあるので、故人の遺志や遺族の意向に合わせて、適切な形式を選びましょう。

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