家族葬を執り行うときに「費用は誰が払うべき?」という疑問を抱く方は、多いのではないでしょうか?葬儀の費用を誰が負担するかについての問題は、遺族間のトラブルの原因になることもあり、慎重に扱う必要があります。
本記事では、家族葬の費用を負担する人の決め方や事前に確認すべきポイントを詳しく解説します。
葬儀の準備で悩んでいる方や将来の備えを考えている方にとって、本記事の内容は貴重な情報となるでしょう。家族で円滑に葬儀を進めるためのヒントを、ぜひ参考にしてみてください。
家族葬の費用は誰が払う?
家族葬の費用を誰が支払うかについて、4つの一般的なパターンを紹介します。
- 基本的には喪主が支払う
- 施主が支払う
- 親の遺産で支払う
- 相続人で分担する
それぞれの特徴と注意点を詳しく見ていきましょう。
なお、家族葬についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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1. 基本的には喪主が支払う
家族葬の費用は原則として喪主が支払います。喪主は通常、故人の配偶者や長男など最も近しい遺族が務めるケースがほとんどです。
最近では、高齢化社会の進展により、子が親の葬儀の喪主を務めるケースも増加しています。喪主の経済状況によっては、ほかの遺族で分担して支払うなど、柔軟に対応する場合もあります。
兄弟姉妹で親の葬儀費用を均等に負担するなど、家族の事情に応じて対応する必要があるでしょう。
喪主についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
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2. 施主が支払う場合
施主とは葬儀費用を負担する人のことを指し、葬儀を主催する喪主とは別の人が務めても構いません。一般的な家族葬では、喪主を長男や長女に任せ、配偶者が施主を務めるケースはよくあります。
また、故人と血縁関係ではない人が施主を務めることもあります。施主と喪主が異なる場合の費用負担の詳細は、事前に取り決めておくことが重要です。
3. 遺産で支払う場合
葬儀費用を故人の遺産から支払うという選択肢もあります。遺産から葬儀費用を支払う場合は、遺産総額から葬式にかかった費用を差し引いて相続税を計算します。
ただし、葬儀費用に該当する項目と該当しない項目があるため注意が必要です。
【葬儀費用になる項目】
- 葬式や葬送に際し、またはこれらの前において、火葬や埋葬、納骨をするためにかかった費用
- 遺体や遺骨の回送にかかった費用
- 葬式の前後に生じた費用で通常葬式にかかせない費用
- 葬式に当たりお寺などに対して読経料などのお礼をした費用
- 死体の捜索または死体や遺骨の運搬にかかった費用
【葬儀費用に含まれない項目】
- 香典返しのためにかかった費用
- 墓石や墓地の買入れのためにかかった費用や墓地を借りるためにかかった費用
- 初七日や法事などのためにかかった費用
また、故人の銀行口座が凍結される前に、現金をおろしておくことも重要です。遺産で支払う場合は、後々のトラブルを避けるため、明確な記録と領収書を保管しましょう。
4. 相続人で分担する場合
公平性の観点から、相続人全員で葬儀費用を分担する方法もあります。分担方法は、均等割りや相続分に応じた割合など、家族の事情に合わせて決定されます。
葬儀費用を分担する際は、事前に相続人間でよく話し合い、費用の分担方法や具体的な金額を明確にしておくことが重要です。分担する際は、各自の経済状況や故人との関係性も考慮に入れる必要があります。
費用分担の詳細を書面で残すことで、あとからトラブルになることを防げるでしょう。
香典も家族葬の費用に充てられる
家族葬でも香典を受け取ることが一般的であり、葬儀費用の一部に充てられます。香典を葬儀費用に使用する場合は、事前に遺族間で合意を得ておくことが重要です。
香典の総額が葬儀費用を上回る場合は、余剰分の扱いについても遺族間で話し合って決めることが理想的です。香典の管理者は、受け取った香典の記録を詳細に付け、使用内訳を遺族に報告すると信頼感を得られるでしょう。
家族葬の費用を誰が払うか決める前にチェックすべきこと
家族葬の費用負担者を決める前に、以下の4点をチェックすることが重要です。
- 遺言書の内容
- 遺言代用信託の内容
- 故人が葬儀社と生前契約をしていたか
- 故人が生命保険に加入していたか
ここで紹介する項目の確認を怠ると、あとからトラブルの原因になる恐れがあるので、必ず押さえておきましょう。
1. 遺言書の内容
故人が遺言書を残している場合、葬儀費用の支払いに関する指示が含まれている可能性があります。遺言書に葬儀費用の支払い方法が明記されている場合は、故人の遺志に原則従います。
遺言書で特定の相続人に葬儀費用の負担を指示している場合もあるため、確認が必要です。
2. 遺言代用信託の内容
遺言代用信託とは、生前に信託銀行等と契約を結び、死後の財産分配を指定する方法です。通常の預金にあるお金は、相続が確定するまでは預金を引き出せません。
一方、遺言代用信託は遺言書と同様の効果を発揮するので、預金をスムーズに受けとれます。ただし、遺言代用信託の内容確認には、信託銀行等との連絡や手続きが必要となる場合がある点だけ留意しましょう。
3. 故人が葬儀社と生前契約をしていたか
葬儀社との生前契約は、故人が自身の葬儀の内容や費用を前もって決めておく仕組みです。生前契約があれば、葬儀の進行がスムーズになり遺族の経済的・精神的負担も軽減されます。
契約書類は自宅や貸金庫に保管されていることが多いため、故人の所持品を丁寧に確認する必要があります。生前契約が見つかった場合、速やかに該当の葬儀社に連絡を取り、契約内容の詳細を確認することが重要です。
4. 故人が生命保険に加入していたか
生命保険の死亡保険金は、葬儀費用の支払いに充てられる重要な資金源です。保険証券は自宅や貸金庫に保管されていることが多いため、故人の遺品を慎重に確認する必要があります。
故人が生命保険に加入していた場合は、保険会社に問い合わせて加入状況や保険金額・受取人などの詳細を確認しましょう。ただし、保険金を受け取る際は手続きに時間がかかる場合があるため、葬儀費用の一時的な立て替えが必要になるケースもあります。
家族葬の費用相場と内訳は?
誰が払うかを決める上で、家族葬の費用についても事前に押さえておくとよいでしょう。
家族葬の費用相場
公正取引委員会が発表した葬儀取引の実態調査に基づくと、家族葬の平均費用は約72万円とされています(参考:公正取引委員会|葬儀取引実態調査報告書)。
実際の費用は地域や葬儀社によって異なるため、複数の葬儀社に見積もりを依頼することが推奨されます。一般的に、都市部の方が地方よりも若干高い傾向があります。
また、予備費として全体の10~20%を見込んでおくと、急な出費にも対応しやすくなります。
家族葬にかかる費用の詳細については、次の記事を参考にしてください。
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家族葬の費用内訳
続いて、家族葬でどのような費用がかかるのか、各項目ごとの費用相場を見ていきましょう。
こちらも地域や葬儀社によって変動いたしますので、以下を目安に実際に見積もりを取りましょう。
内訳項目 | 費用相場 |
---|---|
葬儀一式費用 | 30~140万円 |
飲食接待費用 | 30~70万円 |
返礼品費用 | 1千円~5千円(1人あたり) |
寺院費用 | 10~50万円 |
また、家族葬のお布施相場については、以下で詳細を解説してるので、チェックしてみてください。
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家族葬の費用を抑える方法は?
家族葬の費用を安く抑えるための対策を抜粋して3つ紹介いたします。
- 会食を省く
- 無宗教の葬儀形式を検討する
- 通夜を省略する
また、以下の記事では、家族葬の費用を抑える方法を他にもたくさん紹介してますので、気になる方はチェックしてみてください。
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会食を省く
会食を省くことで、飲食設定費用をの金額を大きく抑えることが出来ます。親族のみで行う場合は、畏まった場を必ずしも設けなくても良いでしょう。
配慮するならば、会食の代わりに、自宅で召し上がっていただけるよう、飲み物やお弁当などをご用意することをおすすめいたします。
無宗教の葬儀形式を検討する
無宗教で葬儀を行うことで、僧侶へのお布施などの費用を大きく抑えることが出来ます。
無宗教だからといって、故人を偲ぶ時間や気持ちに変わりはありませんので、最近では宗教者を呼ばないお葬式も増えてきています。
ただし、菩提寺がある場合は、事前に許可を取らないと、納骨してもらえないなどのトラブルがありますので、予め確認は行いましょう。
通夜を省略する
通夜を省略することで、会場費や人件費を抑えることが出来ます。
そのため、1日で葬儀と火葬を行う「一日葬」を検討するのも良いでしょう。
親族のみが参列する場合、通夜と告別式の参列者は同じになることがほとんどですので、通夜を省く一日葬を検討される方も増えてきています。
弊社では、価格を抑えたプランパックでの一日葬をご用意しており、人気プランとなっておりますので、ぜひご検討ください。
家族葬の費用を誰が払うかでトラブルになるケース
家族葬の費用負担をめぐっては、しばしばトラブルが発生します。ここで紹介する4つのケースは、とくに注意が必要です。
- 喪主が立て替えた費用の一部を親族に請求する
- 立て替えを同意したはずの親族に支払いを拒まれる
- 葬儀費用が発端となり相続問題に発展する
- 葬儀費用をだれが負担するか決まらない
トラブルを未然に防ぐための対策もあわせて解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 喪主が立て替えた費用の一部を親族に請求する
喪主が葬儀費の全額を立て替えたあとに費用の分担を親族に求めるケースでは、葬儀前に詳細を取り決めておかないとトラブルに発展しやすい傾向があります。費用の内訳や金額の妥当性について、親族間で認識の相違が生じる恐れがあるためです。
喪主の判断で高額な費用を葬儀にかけた場合、周囲の親族が納得できずに支払いを拒否するケースもあります。また、親族によって経済状況が異なる場合、均等な分担が難しくなるため不公平感が生じることもあるでしょう。
トラブルを防ぐには、葬儀の前に金額を見積もり、それぞれの負担割合と分担する金額について合意を取っておきましょう。
2. 立て替えを同意したはずの親族に支払いを拒まれる
口頭での同意のみで、書面による確認を取っていない場合、あとになって支払いを拒否されるリスクがあります。葬儀の内容や費用が当初の予想を大きく上回った場合、親族が支払いに難色を示すことは珍しくありません。
相続問題や家族間の軋轢が背景にある場合、葬儀費用の支払いが拒否される口実となることがあります。
このようなトラブルを防ぐには、葬儀前に費用の見積もりや分担方法について決めたことを書面に残しておきましょう。
3. 葬儀費用が発端となり相続問題に発展する
葬儀費用の負担をめぐる話し合いが、遺産分割の議論に発展してしまうケースがあります。遺産から葬儀費用を支払うべきかについて、遺族間で意見が分かれることがあるためです。
このようなトラブルを防ぐには、葬儀費用と相続の問題を切り分けて考え、弁護士などの専門家からアドバイスを受けると良いでしょう。
4. 葬儀費用をだれが負担するか決まらない
遺族間で意見が分かれ、葬儀費用を誰が負担するかについて決まらない場合、葬儀の準備が滞るケースも起こりえます。経済的な余裕がある遺族がいない場合、費用負担の決定が難しくなり、葬儀の規模や内容に影響を与えることもあるでしょう。
遺族間の関係性が複雑な場合、費用負担の話し合いすら始められないケースも珍しくありません。故人の意思が不明確で、葬儀の形式や規模について遺族間で意見が分かれる場合、費用を負担する人や割合を決めることが難しくなります。
喪主や施主が中心となって、遺族間で公平な負担方法を事前に話し合って合意を得ることが唯一の解決策です。
家族葬の費用を誰が払うかで揉めないための対策
家族葬の費用負担をめぐるトラブルを防ぐために、以下の5つの対策を紹介します。
- 葬儀の規模や形式を慎重に選ぶ
- 葬儀費用の負担者と負担割合をあらかじめ決めておく
- 相続財産から葬儀費用を捻出する
- 香典を誰が受け取るかを決めておく
- 生前に遺言書を作成してもらう
事前に対策すれば、遺族間の関係を良好に保てるでしょう。
1. 葬儀の規模や形式を慎重に選ぶ
故人の意思や遺族の経済状況を考慮し、無理のない規模の葬儀を選択することが重要です。家族葬や直葬など、近年増加している簡素な葬儀形式を検討することで、費用負担を軽減できる可能性があります。
家族葬以外の葬儀費用における目安は、以下のとおりです。
葬儀形式 | 葬儀費用の相場 |
---|---|
一般葬 | 140万円前後 |
一日葬 | 約30~50万円 |
直葬 | 約20~50万円 |
準備できる葬儀費用によっては、一日葬や直葬を検討することも選択肢のひとつです。また、葬儀社から複数の見積もりを取り、費用の内訳を詳細に確認することで不要な出費を抑えられます。
遺族間で葬儀の形式や規模について十分に話し合い、全員が納得できる内容を決定することが大切です。
直葬についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
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2. 葬儀費用の負担者と負担割合をあらかじめ決めておく
葬儀の準備段階で、費用の負担者と負担割合について遺族間で明確に取り決めておきましょう。負担割合は、各遺族の経済状況や故人との関係性を考慮して決定するのが理想的です。
決定事項は必ず書面に残し、全員で確認・署名することで、トラブルを防げます。経済的な事情で葬儀費用を負担することが難しい親族がいる場合は、ほかの遺族が立て替えたり支払いを免除したりするなどの柔軟な対応を検討しましょう。葬儀費用の概算が決まったら、各自の負担額を具体的に提示し、支払い方法や期限も含めて合意を得ておくことが重要です。
3. 相続財産から葬儀費用を捻出する
相続財産から葬儀費用を支払う場合は、あとからトラブルに発展することを避けるために、遺族全員の同意をとっておきましょう。葬儀費用の明細と領収書を保管し、後日の相続手続きに備えます。
また、相続財産のなかに現金が十分になくほとんどが預金口座にある場合、資産の換金に時間がかかるため、葬儀費用の支払いが遅れるおそれがあります。現金がすぐに準備できない場合は、誰かが一時的に立て替え、あとで精算する方法を検討すると良いでしょう。
また、葬儀費用は相続税を計算する際に控除対象になる点も知っておくべきポイントです。相続財産からの支出を選択する際は、税理士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
4. 香典を誰が受け取るかを決めておく
香典の受取人と管理方法を事前に決定することで、葬儀費用の支払いに関するトラブルを防げます。一般的には喪主が香典を受け取り管理しますが、遺族間で合意の上で別の人物を指定しても構いません。
香典の総額が葬儀費用を上回る場合、余剰分の取り扱いについても事前に話し合っておくことが重要です。
香典を葬儀費用の支払いに充てるなら、その旨を遺族間で明確に合意し、書面に残しておきましょう。
5. 生前に遺言書を作成してもらう
故人の意思を明確にした遺言書があれば、葬儀費用の負担者や方法について遺族間の争いを防げます。遺言書に葬儀の形式や規模・費用の支払い方法を明記してあれば、葬儀を執り行う遺族の負担を軽減できるためです。
法的効力のある遺言書を作成するには、公正証書遺言や自筆証書遺言などの方法があります。
遺言書の種類 | 内容 |
---|---|
公正証書遺言 | 公証人の立会いのもと作成される正式な遺言書法的効力が高く、偽造や変造のリスクが低い証人が必要で作成に費用がかかる |
自筆証書遺言 | 遺言者が全文を自筆で書き、日付と氏名を記入・押印する遺言書費用がかからず、簡単に作成できるただし、内容に不備があると無効になるリスクがある |
遺言書の作成時に、葬儀費用の支払いに使用する預金口座や保険金の受取人を指定しておくと良いでしょう。
家族葬の費用を誰が払うかについては事前に話し合っておきましょう
家族葬の費用負担は、遺族間のトラブルの種になりやすい重要な問題です。遺言書や生前契約・生命保険など、事前に費用の準備状況を確認しましょう。
喪主や施主、相続人での分担など、さまざまな支払い方法があります。費用負担の決定前に、葬儀の規模や形式について家族や遺族で十分に話し合うことが大切です。
大切な人を送る葬儀が、新たなトラブルの種にならないよう、慎重に準備を進めていきましょう。
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