近年、家族葬を選択する方が増えています。「職場にはどのように連絡すべき?」「会社からの香典や弔電はどう扱う?」など、家族葬について戸惑いを感じる方も多いのではないでしょうか。
家族葬は一般的な葬儀とは異なる点が多いため、職場とのコミュニケーションに悩むケースは珍しくありません。
本記事では、家族葬を執り行う際の職場への連絡方法や、会社側の適切な対応の仕方について詳しく解説します。休暇の取り方や香典の扱い方まで詳しく紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。
家族葬とは
家族葬は、近親者のみで執り行う小規模な葬儀形式です。一般的な葬儀と比べ、参列者を親族や親しい友人に限定して執り行います。近年、家族葬を選択する人が増加しており、葬儀全体の28.4%を占めるようになっています。(参考:公正取引委員会|葬儀の取引に関する実態調査報告書)
公正取引委員会の葬儀の取引に関する実態調査報告書をもとに算出したところ、家族葬の平均的な費用は約72万円です。経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」をもとに算出した一般的な葬儀の平均費用が約119万円であることを考えると節約しやすいと言えるでしょう。
家族葬は、現代社会のニーズに合った経済的な葬儀形式として定着しつつあると言えます。家族葬についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
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家族葬を執り行う際に職場に連絡すべきこと
ここでは、家族葬を執り行う際にどのようなことを職場に連絡すべきか5つのポイントに絞って解説します。
- 亡くなった人はだれか
- 家族葬で執り行うこと
- 忌引き休暇を取る期間
- 休暇中の連絡先
- 香典や弔電などの扱い
家族葬を執り行う際は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 亡くなった人はだれか
職場への連絡では、亡くなった人が誰か明確に伝える必要があります。また、亡くなった人の氏名や本人との続柄・年齢を伝えます。
続柄によって忌引き休暇の日数が変わることが多いため、故人との関係性は配偶者や実父母・義父母・子・兄弟姉妹などというように詳しく伝えましょう。
また、親族が亡くなったことを会社の人に公表しても良いかどうか意思表示をすることも大切です。このような情報を正確に伝えることで、会社側も適切な対応をとれます。
2. 家族葬で執り行うこと
家族葬で執り行うことを職場に伝えることも重要なポイントです。会社の人が葬儀に参列することや香典などを辞退する意思を伝えられます。家族葬の日程も可能な範囲で共有すると良いでしょう。
ただし、参列者を限定していることを考慮し、詳細な時間や場所までは伝える必要はありません。家族葬で執り行うことを会社に伝えておけば、身内だけで静かに故人をお見送りできます。
3. 忌引き休暇を取る期間
忌引き休暇を取る期間を明確に伝えることは、仕事の引き継ぎや調整のために重要です。多くの会社では、親族の死亡に際して忌引き休暇が設けられています。
忌引き休暇の日数の例(会社によって異なる)
続柄 | 忌引きの日数 |
---|---|
配偶者 | 10日 |
実父母 | 7日 |
子 | 5日 |
配偶者の父母・兄弟姉妹・祖父母 | 3日 |
孫・配偶者の兄弟姉妹・祖父母・叔父・叔母 | 1日 |
忌引きの日数は「会社規定に基づき、3日間の忌引き休暇を取らせていただきます。」のように伝えます。休暇の開始日と終了日も明確に伝えれば、職場での業務調整がスムーズに行えるはずです。
また、葬儀後も諸手続きで追加の休暇が必要な場合は、その旨もあわせて相談すると良いでしょう。正確な期間を伝えれば職場の理解を得やすくなるため、職場に復帰しやすくなります。
4. 休暇中の連絡先
休暇中の連絡先を職場に伝えることは、緊急時の対応のために重要です。具体的には、携帯電話番号や自宅の固定電話番号を伝えます。
メールアドレスもあわせて伝えておくと、文書でのやり取りが必要な場合に便利です。緊急性の高くない連絡は、メールで受け取る旨を伝えておきましょう。
休暇中でも必要に応じて業務の引き継ぎや相談に応じられるよう、連絡手段を確保しておくことは大切です。
5. 香典や弔電などの扱い
家族葬では、香典や弔電の扱いについて明確に伝えることが重要です。一般的に家族葬では、会社からの香典や弔電、供花などは辞退することが多い傾向があります。
「家族葬で執り行いますので、香典がお花・弔電は謹んで辞退させていただきます」のように伝えれば、気持ちを汲み取ってもらえます。
また、弔問を控えてもらいたい場合は「葬儀は家族のみで執り行いますので、弔問はご遠慮いただきますようお願いいたします」のように伝えましょう。
香典や弔電の扱いを明確に伝えることで、会社側の配慮を得られ、故人の意思を尊重して静かに故人を送り出せます。
家族葬について職場に連絡する際の例文
家族葬を執り行うことを職場に連絡するときの具体的な例文を紹介します。
- 会社に電話で連絡する場合【例文】
- 会社にメールで連絡する場合【例文】
どのように職場に葬儀のことを連絡したら良いかわからない方は、ぜひ参考にしてみてください。
1. 会社に電話で連絡する場合【例文】
電話での連絡は、迅速かつ丁寧に行うことが重要です。要点を簡潔に伝え、相手の質問に的確に答えられるよう準備しておきましょう。伝えるべき情報は、以下の5点です。
- 亡くなった人の詳細
- 休暇期間
- 葬儀形式
- 連絡先
- 香典や弔電などの取扱い
電話の場合は、以下のように伝えましょう。
おつかれさまです。人事部の山田です。
昨日、父の山田太郎が75歳で亡くなったため、連絡いたしました。
父の希望で、葬儀は近親者だけで執り行いますので、ご厚志につきましても大変失礼ながら辞退させて頂ければと思います。
忌引き休暇につきましては、7月1日から7日までの7日間頂けますと幸いです。
休暇中の連絡は、私の携帯(090-XXXX-XXXX)にお願いいたします。業務の引き継ぎなど、ご不明な点がありましたら、いつでもご連絡ください。
また、私のほうで手続きすることがございましたら、ご共有頂けますと助かります。
ご迷惑をおかけしますが、何卒よろしくお願いいたします。
電話での連絡は、相手の反応を確認しながら行えるため、相手の質問に応じて詳細に回答できる点がメリットです。親族が亡くなったという辛い状況ではありますが、感情的にならず落ち着いて伝えましょう。
2. 会社にメールで連絡する場合【例文】
メールでの連絡は、正確な情報を漏れなく伝えられるという利点があります。簡潔かつ丁寧な文面で、必要な情報を漏れなく記載しましょう。メール文面の例は、以下のとおりです。
人事部部長 竹田 一郎 様
突然のご連絡で恐縮です。人事部一課の山田太郎です。病気療養中であった父が他界いたしました。
死亡者氏名 山田一郎
享年 75歳
続柄 実父
死亡日時:20〇〇年〇月×日
また、葬儀参加のため忌引き休暇を取得させていただきたくお願い申し上げます。葬儀や忌引き中の連絡先につきましては、下記に記載いたします。
休暇期間:7月1日(月)~7月7日(日)の7日間
葬儀形式:家族葬
休暇中の連絡先:XXX-XXX-XXXX
携帯電話:090-XXXX-XXXX
メールアドレス:yamada@xxx.com
なお、家族葬で執り行いますので、ご香典やお花・弔電につきましては辞退させていただきます。
また、業務の引き継ぎ等でご不明な点がございましたら、上記連絡先までご連絡ください。
ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
山田 次郎
メールは記録として残るため、確認や引継ぎにも役立ちます。誤字脱字や情報の漏れがないか送信前に内容を再確認しましょう。
職場の人が家族葬を執り行う場合の対応【会社側】
次に、職場の同僚や部下が家族葬を執り行う際に、会社の人間としてどのように対応したら良いのかについて解説します。
- 原則として葬儀には参列しない
- 社内へ通知する【例文あり】
- 遺族が香典を辞退していたら送らない
家族葬は、一般葬と異なる点が多いので、ポイントを押さえて対応しましょう。葬儀のマナーについて不安がある方は、以下の記事も参考にしてみてください。
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葬儀のマナー|喪主・参列者の服装・香典・焼香・挨拶を詳しく解説
1. 原則として葬儀には参列しない
家族葬の場合、原則として職場の人は葬儀に参列しません。家族葬が近親者のみで執り行う小規模な葬儀形式であるためです。同僚から「家族葬で父が亡くなりました」と連絡があった場合、参列の意思を示さないのが無難です。
ただし、故人や遺族との関係がとくに近い場合は、遺族に確認を取ることも検討しましょう。「お気持ちはありがたいのですが、家族のみでお見送りさせていただきます」などと断られた場合は、その意思を尊重します。
参列しない代わりに、休暇中の業務フォローなど、実務面でのサポートを行うことが大切です。あえて葬儀に参列しないことで、遺族の意向を尊重し、静かな家族葬の実現に協力できます。
2. 社内へ通知する【例文あり】
家族葬の実施を社内に適切に通知することは、会社としての対応を統一するために重要です。通知内容には、故人との関係や葬儀形式・弔意の表し方などを含めましょう。
たとえば、以下のような文面で社内に通知します。
「人事部山田次郎さんのご尊父様がご逝去されました。ご葬儀は家族葬にて執り行われるとのことです。山田さんの休暇期間は7月1日から7日までです。ご配慮いただきますようお願いいたします。」
社内への通知は、故人や遺族のプライバシーに配慮しつつ、必要最小限の情報を共有しましょう。
3. 遺族が香典を辞退していたら送らない
家族葬の場合、遺族が香典を辞退していることが多いため、意思を尊重することが重要です。香典の辞退は、家族葬の本来の趣旨である「身内だけで静かに送り出す」という方針に沿っています。
遺族から「香典は謹んで辞退させていただきます」と連絡があった場合は、その意向に従いましょう。
職場の人が家族葬で香典を辞退したときに渡せるもの【会社側】
家族葬を執り行う同僚や部下が、香典を辞退したときに、せめてもの気持ちとして渡せる品物の例を3つ紹介します。
- 供花
- お線香
- お菓子
故人や遺族との関係性にもとづき「渡さない」という選択肢も含めつつ適切に対応しましょう。
1. 供花
供花は、香典を辞退された場合でも弔意を表せる選択肢のひとつです。ただし、家族葬の場合は供花も辞退されることが多いため、事前に確認しましょう。
承諾を得た場合は、控えめで上品な供花を選びます。具体的には、菊やカーネーション・胡蝶蘭などが無難です。供花を贈ることで弔意を表しつつ、家族葬の静かな雰囲気を損なわないよう配慮できるでしょう。
2. お線香
お線香は、香典や供花よりも控えめな弔意の表し方として適している場合があります。
お線香代は、5,000円前後が相場で、高級な白檀や沈香などの上質な線香を小さな木箱に入れて贈ります。ただし、宗教や宗派によっては線香を用いない場合もあるため、事前に確認しておきましょう。
また、お線香は保存でき、今後の法要などでも使えるため実用性が高いというメリットもあります。控えめながら心のこもった贈り物として、お線香はおすすめの選択肢です。
3. お菓子
お菓子は、香典や供花を辞退された場合の代替品として検討できます。たとえば、和菓子の詰め合わせや、日持ちのするクッキーやせんべいなどが良いでしょう。
お菓子の相場は、4,000円前後が目安です。個別包装になっているお菓子を選択すると、遺族で分け合う際に便利なので喜ばれます。ただし、派手な包装や高価すぎる品物は避け、控えめな印象のお菓子を選びましょう。
お菓子を贈ることで、故人への弔いの気持を表しつつ、遺族の心に寄り添う温かみのある対応ができます。
家族葬を執り行う際は職場の人に詳細を伝えましょう
家族葬を執り行う際は、職場の人に故人との続柄や葬儀の形式など、詳細な情報を伝えることが大切です。状況を正しく伝えることで、会社側の理解と配慮を得られ、静かな家族葬の実現につながります。
心の整理をつけながら、大切な人との最後の時間を過ごすためにも、職場との円滑なコミュニケーションを心がけましょう。
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