「一人暮らしだけど、もしものときのことが心配…。」「親族に迷惑はかけたくないけど、どうすれば良い?」「自分の葬儀のことを考えると不安になる。」
一人っ子で独身の人が年々増加している昨今、自分の葬儀について考えることは避けて通れない問題です。しかし、事前に適切な準備をしておけば、残された人への負担を最小限に抑えられます。
本記事では、葬儀に備えて準備すべきことや身寄りがない人の葬儀の流れ、親の葬儀に備えて今からできることを解説します。
一人っ子で独身の方は、ぜひ参考にしてみてください。本記事を読んで、将来の不安を解消しましょう。
この記事を要約すると
- 一人っ子で独身の人は全体の19.7%まで増加し、亡くなったあとの葬儀や遺骨の管理が社会問題となっています。
- 身寄りがない場合は行政による直葬となり、遺骨は自治体が管理する無縁納骨堂に安置されます。
- 生前契約や死後事務委任契約を結んでおけば、30万円程度で自分らしい葬儀を実現できます
一人っ子で独身の人は増加傾向にある
一人っ子で独身の人は、この20年で急激に増加しています。2002年における一人っ子の割合は8.9%でしたが、2021年には19.7%まで上昇し、約2倍になりました。(参考:2021 年社会保障・人口問題基本調査 <結婚と出産に関する全国調査> )
一人っ子の家庭が増えている背景には晩婚化や経済的な理由があり、とくに1990年代から2000年代の就職氷河期世代が結婚した時期と重なっています。
さらに、生涯未婚率も2021年時点で「一生結婚するつもりはない」と答えた未婚者は、男性が17.3%、女性が14.6%と、年々増加傾向にあります。(参考:2021 年社会保障・人口問題基本調査 <結婚と出産に関する全国調査> )
このことからわかるように「おひとりさま」という生き方が社会に定着しつつあるといえるでしょう。
一人っ子で独身の人が生前に葬式の準備をしなかった場合の流れ
一人っ子で独身の人が葬式の準備をしなかった場合、以下のような流れとなります。
- 葬儀を執り行うことなく火葬される
- 遺骨は自治体で管理される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 葬儀を執り行うことなく火葬される
亡くなったあと、遺体の引き取り手がない場合は、行政によって火葬が執り行われます。葬儀は、通夜や告別式を執り行わず火葬のみで見送る「直葬」という形式で行われるのが一般的です。
直葬の場合、遺体は安置施設へ搬送・安置されたあと、通夜や告別式を行わずに火葬されます。火葬後の遺骨は、四十九日法要までは自宅に安置されるのが一般的ですが、身寄りがない人の遺骨は一定期間、自治体が管理します。
孤独死してしまった場合の葬儀の流れについては、以下の記事を参考にしてみてください。
2. 遺骨は自治体で管理される
身寄りのない方の遺骨は、死亡地の市区町村によって管理されます。自治体は遺骨を一定期間保管するものの、保管期間や引き取りの基準が統一されていません。そのため、自治体によって対応が異なります。
多くの自治体では、市営墓地や無縁納骨堂で保管し、一定期間経過したあとは合葬や海洋に散骨します。ただし、遺族が後日引き取りに来る可能性を考慮して、合葬を控える自治体も一定数存在します。
令和3年10月末日時点で、全国の自治体が管理する無縁遺骨の数は約6万柱に上り、親族からの引き取りがない状況です。(参考:遺留金等に関する実態調査結果報告書)
近年は、保管する遺骨の数が増加傾向にあり、保管場所の確保が自治体の課題となっています。
なお、身寄りのない人の葬儀については、以下の記事もご覧ください。
一人っ子で独身の人が自分の葬式に備えて生前にできること
一人っ子で独身の人が自分の葬式に備えてできることを、3つ紹介します。
- 親類縁者に頼んでおく
- 死後事務委任契約を結ぶ
- 葬儀会社と生前契約を結ぶ
ひとつずつ見ていきましょう。
1. 親類縁者に頼んでおく
自分が亡くなったあと、葬儀を執り行ってくれる人が身近にいない場合は、親類や縁者との関係を見直し、葬儀の際の協力を事前に依頼することが重要です。いとこや叔父・叔母など、比較的近い親族に依頼しましょう。
その際、自分が希望する葬儀の規模や予算、埋葬方法などについて具体的に伝えておくことが大切です。また、喪主や受付・会計係などの役割分担を事前に相談しておくと、万が一のときに混乱を避けられます。
親族が遠方に住んでいる場合は、連絡方法や緊急時の対応についても確認しておくと安心です。親族との良好な関係を築いておくことで、葬儀がスムーズに執り行えます。
2. 死後事務委任契約を結ぶ
葬儀を依頼できる親類縁者がいない場合は、死後事務委任契約を結んでおきましょう。死後事務委任契約は、信頼できる第三者に自身の死後に必要となる手続きを委託する契約です。
依頼できる手続きの内容は、以下のとおりです。
- 葬儀や埋葬の方法
- 行政手続き
- 未払い料金の精算
- 住まいの清掃
- SNSアカウントの削除 など
このように、幅広い事務を委任できます。死後事務委任契約を結ぶ方法は、特に身寄りがない人や親族に負担をかけたくない人にとって有効な手段です。
委任先は個人でも法人でも可能ですが、確実に対応してもらうなら法人組織に委任するのが安心です。契約時には委任内容を具体的に決め、費用についても明確にしておきましょう。
3. 葬儀会社と生前契約を結ぶ
自分の葬儀に備えてできることに、生前契約を交わしておくことも挙げられます。
生前契約とは、自分の葬儀について内容や費用を決めたうえで葬儀社と契約を交わすことです。葬儀の形式や規模・予算・支払い方法などを具体的に定められます。
生前契約で事前に決められる内容は、以下のとおりです。
- 祭壇や棺の種類
- 宗教や宗派
- 返礼品など
生前に葬儀の方針を決めておくことで、残された人の負担を軽くするだけでなく、自分自身が納得のいく葬儀を執り行えます。契約後は、エンディングノートや遺言書に契約内容を記載し、親戚・縁者に伝えておきましょう。
一人っ子で独身の人が葬式に備える際に押さえておくべきポイント
一人っ子で独身の人が葬式に備える際に留意すべきポイントを、5つ紹介します。
- 所持品を整理する
- 遺言を作成する
- 遺骨の処理方法を決める
- 老人ホームへの入居を検討する
- 福祉事務所へ相談する
1つずつ見ていきましょう。
1. 所持品を整理する
所持品の整理は、まずすべての物を出して何を持っているか把握することから始め、使用頻度に基づいて分類します。「日常的に使用するもの」「ときどき使用するもの」「ほとんど使わないもの」の3つに分け、それぞれ適切な収納場所を決めましょう。
とくに、重要な書類や貴重品は別途専用のファイルボックスを用意し、必要なときにすぐ取り出せるよう整理します。1年以上使用していないものは、写真に撮って思い出として残してから処分することを検討しましょう。
一度にすべて片付けるのではなく、部屋や種類ごとにわけて少しずつ進めることで、効率的に進められます。所持品を整理しておけば、亡くなったあとに見られたくないものを処分しておけるだけでなく、遺された人たちの負担を軽くできるでしょう。
2. 遺言を作成する
生前に遺言を遺しておくことで、自分が亡くなったあとの葬儀の方針や財産の分割方法などの方針を身内に伝えられます。遺言書は、財産の分配方法を明確にし、相続トラブルを防ぐための重要な文書です。
作成方法は、自筆証書遺・公正証書遺言・秘密証書遺言の3種類がありますが、一般的なのは自筆証書遺言と公正証書遺言の2つです。
自筆証書遺言 | 費用をかけずに作成できますが、法的要件を満たす必要がある |
公正証書遺言 | 証人の関与のもと作成され、法的な安全性が高く、原本は公証役場で保管される |
遺言書には、財産の詳細な内容や相続人・分配方法を具体的に記載する必要があります。また、遺言書を書いたことと保管場所は、信頼できる親族に伝えておきましょう。
3. 遺骨の処理方法を決める
遺骨をどのように処理してほしいかについて、自分の気持ちを周囲の人に伝えておくことも大切です。
遺骨の処理方法には、火葬場での引き取りや散骨・永代供養・合祀墓への納骨など、さまざまな選択肢があります。火葬場での引き取りは関西圏を中心に対応している施設が多く、比較的費用を抑えられるのが特徴です。
散骨の場合は、海洋散骨が一般的で相場は以下のとおりです。
散骨の種類 | 費用 |
---|---|
個人散骨 | 15〜40万円 |
合同散骨 | 10~20万円 |
委託散骨 | 3.5~10万円前後 |
永代供養は、寺院や霊園に管理を任せられますが、施設によっては年間管理費や法要料が別途必要になる場合があります。
合祀墓は、複数の遺骨を一緒に埋葬する方法で、管理や供養は施設が執り行います。遺骨の処理方法や葬式については、遺言書に方針を書いておくと安心です。
遺骨がいらない場合の対応方法については、以下の記事を参考にしてみてください。
4. 老人ホームへの入居を検討する
自分ひとりで身の回りのことをこなすことが難しくなってきたら、老人ホームに入居するのも選択肢のひとつです。
老人ホームへの入居は、60歳または65歳以上が基本条件となり、施設の種類によって入居条件が異なります。特別養護老人ホームは、要介護3以上が必要です。
月額利用料の相場は種類のよって幅があり、グループホームの場合は8~13万円ほどが目安です。
施設を選ぶ際は、以下のポイントに注意しましょう。
- 医療体制
- スタッフの対応
- 設備の充実度
- 食事の内容 など
また、万が一の場合も施設の職員が速やかに対応してくれるため、孤独死のリスクも避けられます。入居を決める前に見学や体験入居をしたうえで、実際の雰囲気や生活環境を確認しましょう。
また、老人ホームのような施設で亡くなった場合について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
5. 福祉事務所へ相談する
福祉事務所は、社会福祉の機関として、生活全般に関する相談や支援を行う行政窓口です。
葬儀に関する経済的な不安がある場合は、生活保護制度の利用や生活福祉資金の貸付などについて相談できます。また、地域の民生委員との連携を通じて、身寄りのない方への支援体制を整えることも可能です。
福祉事務所では、相談者の状況に応じて適切な支援制度やサービスを紹介し、必要な手続きをサポートしてくれます。
一人っ子で独身の人が親の葬式に備えてできること
一人っ子の人は、親が亡くなった際に葬儀の準備にかかる負担を分担できる兄弟がいません。そのため、親の葬儀については早めに準備しておくことで、自分自身の負担を減らせます。
ここでは、以下の4つのポイントを押さえましょう。
- 親の希望を聞く
- 親族とのコネクションを作っておく
- 事前に葬儀会社を選定する
- 重要書類を整理する
1つずつ解説します。
1. 親の希望を聞く
親の葬儀に関する希望は、日常会話のなかでさりげなく聞き出すのが効果的です。
たとえば、知人の葬儀の話題から「どんな葬儀が良いと思う?」と切り出したり、テレビ番組や新聞記事をきっかけに会話を始めるのがよいでしょう。
具体的には、葬儀の規模や宗教や宗派の希望・お墓などについて確認します。また、延命治療や介護に関する意向も重要な話題です。
ただし、直接的な表現は避け「我が家の方針を話し合っておきたい」といった柔らかい言い方を心がけましょう。親の意向を把握しておくことで、いざというときに本人の希望に沿った対応ができます。
2. 親族とのつながりを作っておく
親戚との関係が薄くなっている場合は、日ごろからコミュニケーションをとることも、親の葬儀を円滑に進めるうえで大切なポイントです。
お盆や正月などの機会を利用して、食事会や集まりを定期的に設けるのが効果的です。
親族間の会話では過度に踏み込んだ話題は避け、一定の距離感を保つ必要があります。相手の生活リズムや価値観を尊重しつつ、良好な関係性を築きましょう。
日頃からコミュニケーションをとっておくことで、いざというときに協力をあおげます。
3. 葬儀会社を事前に選定する
葬儀社を選ぶ際は、費用の明確さと対応の良さの2点が重要です。
見積もりの段階で費用の内訳を詳しく説明し、パッケージに含まれる内容と追加料金が発生する項目を明確に示してくれる葬儀社を選びましょう。
また、スタッフの対応では、遺族の希望をしっかり聞いたうえで適切な提案ができ、質問に対して丁寧に回答してくれることも葬儀社を選ぶポイントです。
とくに、家族葬や直葬などの低予算プランでも親身になって対応してくれる葬儀社を選ぶことで、いざという時の不安を軽減できます。
なお、弊社では相場より抑えた価格で、必要なものを含んだ安心のセットプランで葬儀を提供しております。
事前にお問い合わせいただいたお客様には、特別価格でご案内しておりますので、まずはお気軽にお問い合わせくださいませ。
4. 重要書類を整理する
親の身分を証明する書類や遺産の権利書がどこに保管されているのかについては、生前のうちに確認しておきましょう。死亡届や火葬許可書を申請する際に、故人の身分を証明する書類が必要になるためです。
整理しておくべき重要書類は、以下のとおりです。
- 健康保険証
- 年金手帳
- 印鑑証明書
- 保険証券
- 不動産の権利書 など
親が亡くなってしまってから書類を探すのは、非常に手間がかかります。そのため、重要な書類は親が元気なうちにどこに大切なものを保管してあるのか把握しておきましょう。
一人っ子で独身の人は生前契約を検討しましょう
一人っ子で独身の人は、自分の最後について前もって考え、準備することが大切です。生前契約を結ぶことで、葬儀の内容や費用を事前に決められ、親族への負担を軽減できます。
また、遺言書の作成や死後事務委任契約を結ぶことで、自分の希望通りの葬儀を実現できます。
早めに準備することが、自分らしい最後を迎えるための第一歩です。気負わず、できることから始めていきましょう。
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